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中学生に利用してほしい、使える年鑑7選

調べ学習で積極的に年鑑を活用しましょう。

皆さんは、調べ学習をする時、どういった資料を活用していますか?
最近ではインターネットの普及により、学校でもiPadを使った調べ学習が盛んに行われ、紙媒体の資料の使い方に慣れていない生徒さんが多く見受けられます。調べ学習の時こそ、学校の図書室を利用してほしいと思うのが司書の性ですが、調べ学習にかける時間や、先生たちの都合上、残念なことに、なかなかそうは行かないようです。
以前書いた記事「小・中学生職業調べにおすすめ20選」の中でも言いましたが、ネットはあくまでもは本であり図書館です。本は、ネットとは違い、私たちの手元に渡るまで、色々な人の目を通して誤りがないか確認をし、より正確な情報を私たちに発信してくれます。
そして、そんな紙媒体の資料の中で、特に信頼おける資料が「年鑑」です。
あまり、聴きなれない人もいるかも知れませんが、年鑑は、調べている事柄を、信頼度の高い統計データで裏付け出来る救世主と言っても過言ではありません。
ぜひ、この機会に、だまされたと思って、色々な年鑑を手に取ってみてください。
その時間は、きっと充実したものとなるに違いありません。

 

 

「年鑑」とは?

そもそも、年鑑という言葉を初めて聞いたという人も、中にはいるかも知れませんね。 そんな人のために、年鑑についてどういうものなのかを、少し説明をしておこうと思います。 私が愛してやまない『新明解国語辞典 第四版』よると、「年鑑」とは、

[一定範囲の事柄について]一年間の動きを図や表を使って解説した、年刊の本。

とだけ、説明が載っていました。これだけでは少し分かりづらいので他もいろいろ見てみると・・・『大辞林 第三版』と『日本大百科全書』(小学館)に、丁寧な解説を発見しました。

ある分野の一年間の出来事・統計などを収録・解説した、年刊の刊行物。イヤーブック。(『大辞林 第三版』)

ある国を中心として、政治、経済、社会、文化などを網羅する「総合年鑑」と、理科年表など特定の分野についての「専門年鑑」がある。(『日本大百科全書』)

つまり、簡潔に言えば、年鑑とは、「ある分野や組織、国や自治体などの、一年間の様々な出来事や統計をまとめた紙媒体の資料集のようなもの」と捉えてもらえれば良いかと思います。
年鑑を、調べ学習に取り入れることで、調べている事柄の裏付けとして根拠あるものとなり、信頼度の高いものになるのです。

 

中学生に利用してほしい年鑑7選

それでは、ここからは実際に、中学生に調べ学習等で利用してほしい年鑑をご紹介していきたいと思います。使い方によっては、大活躍する年鑑ばかりなので、ぜひ、参考にしてみてください。

 

平和学習に使える年鑑

『沖縄年鑑』 日本図書センター

こちらの年鑑の特徴は、写真と詳細な統計資料が豊富で、沖縄基地・返還問題など、沖縄戦後史を正確に知るための資料といった側面をもっていることです。 出版社のHPには、著名人から推薦の言葉が次のように並べられています。

ジャーナリストの筑紫哲也さん→「当時の様々な状況を知る上で極めて貴重な資料」
明治大学助教授の山田朗さん→「時代の臨場感を伝える「読める」データ集成である」
沖縄大学教授の新崎盛暉さん→「今では珍しくなった写真とともに、米軍支配当時の沖縄の時代的雰囲気を伝えてくれる

この年鑑が、いかに資料として価値の高いものであるかがわかっていただけるのではないでしょうか。

★この年鑑の使い道
写真や統計資料から、沖縄の基地問題について学ぶことができ、平和学習の授業に役立てることが出来ます。

 

受験対策に使える年鑑

『朝日ジュニア学習年鑑』 朝日新聞出版

こちらは、様々な分野の統計や資料を網羅した、小中学生向けに出版された年鑑です。 特徴としては、年鑑を見慣れていない人でも、写真やカラー、かみ砕いた説明により、わかりやすく情報を得られるという点が挙げられるでしょう。

★この年鑑の使い道
統計や資料から、その年のニュースをわかりやすく学ぶことが出来るので、受験対策に役立てられる年鑑です。今さら聞けない、あのニュースのあれやこれやを、この年鑑で理解することも出来ます。

 

各都道府県の統計を調べたいのなら、この年鑑

『〇〇県統計年鑑』 

どの都道府県も、それぞれの都道府県の土地や人口、経済、教育、文化などのあらゆる分野にわたり、データ収集をして統計を出している年鑑が存在しています。一つの県について、多方面から詳しいデータが必要な場合に、これらを利用するのも一つの手です。

★この年鑑の使い道
都道府県の詳しい情報を統計から得られる他に、それぞれの全国的地位などが載っている場合もあるので、例えば、その県の交通事故件数が都道府県内で何位であるかなど、自分が住んでいる自治体のことを客観的に知ることが出来ます。

 

福祉について学ぶなら、この年鑑

『世界の社会福祉年鑑』 宇佐見耕一/小谷眞男 旬報社

毎年特集テーマが組まれ、社会福祉や社会保障について、国際機関の実践や、様々な基本データから世界基準の福祉を学ぶことが出来ます。また、経済、政治、社会、保健衛生など、いろいろな分野で活躍されている専門家が、社会福祉を分析・考察しているページもあり、読み物としても興味深く読める年鑑です。

★この年鑑の使い道
福祉について、世界に視野を広げて理解を深められるので、福祉サービスやユニバーサルデザインなどの調べ学習に活用することが出来ます。

 

子ども関連の統計なら、この年鑑

『日本子ども資料年鑑』 母子愛育会愛育研究所 KTC中央出版

こちらは、人口動態と子どもに関するデータや、子どもの生活に関するデータなど、子どもが関わる様々なデータを収録した年鑑です。特徴としては、子どもに関する巻頭特集が一年ごとに組まれていて、基本データ以外の情報も充実しています。例えば、2020年の巻頭特集は、「子どもとメディア」。
子どものインターネット依存や、ゲーム障害に関する概説などが掲載されていました。

★この年鑑の使い道
子どもに関する統計を探しているのであれば、一度は開いてみることをお勧めしたい年鑑です。こういった、関係省庁や関係団体などから収集してきたデータを集めた年鑑を客観的に見て、身の回りの情報だけに縛られず、調べ学習に取り組むことはとても大切です。

 

国際情勢を調べたいなら、この年鑑

『世界年鑑』 一般社団法人共同通信社 共同通信社

こちらは、共同通信社の海外全支局、編集局外信部などの記者が取材してきた情報から、一年の世界各国の情勢をまとめあげた年鑑です。

★この年鑑の使い道
様々な国別データを見ることが出来るので、国際問題の理解を深める基礎資料として、調べ学習に活用することが出来ます。

 

星の位置や動きを調べるなら、この年鑑

『天文年鑑』 天文年鑑 編集委員会 誠文堂新光社

こちらは、一年間の主な天文現象、太陽と月の出没時刻、太陽系の星の位置や動きなどのデータが収録されている、天文に関する年鑑です。

★この年鑑の使い道
その年の注目すべき天文現象は、こちらの年鑑を見れば一目瞭然。過去の観測結果と、これから起こるであろう天文現象の予報が解説されているので、主な天文イベントを事前に知っておきたい時に役立ちます。

 

【おまけ!】マニアックな年鑑

最後に、おまけとして、マニアックな年鑑をこっそりご紹介します。
これまでご紹介してきたような、自治体主体のものや、記者が取材を重ねてまとめ上げた、一般的な統計データが載った年鑑ではなく、ある一つの分野だけに焦点を当てた専門的な年鑑は、とことん奥が深いです・・・。

 

ひたすらキノコな年鑑

『きのこ年鑑』 日本図書センター

こちらは、キノコに関する一年ごとの統計・資料の他に、キノコ生産と流通動向、生産に関する制度からキノコそのものの成分に関するデータまで、あらゆるキノコ情報が収集されています。 キノコのことを調べる境遇にある方は、きっと、はずせない年鑑でしょう。
作ったキノコを売る勢いで、本格的にキノコ作りをされる際は、ぜひ、ご参考になさってみては??

調べれば調べるほどに、世の中には、本当にいろいろな年鑑があるのだと痛感させられました。
使い道はご自分でお考え下さい。

 

 

年鑑に慣れることから始めてみよう。

いかがでしたか? この記事を読んで、少しでも年鑑に興味を持っていただけたら、司書として、とても嬉しいです。
まずは、気になる年鑑を実際に手に取ってみて、目次を参考に、特に気になる項目のページだけを眺めてみると良いかも知れません。データがただひたすらに羅列しているタイプの年鑑よりは、ランキング形式で載っていたり、読み物として楽しめるタイプの年鑑の方が慣れるまでは見やすいかも知れませんね。
見ることに慣れさえすれば、年鑑は、調べ学習の心強い味方になってくれること間違いありません。

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中学生におすすめのファンタジー小説10選

ファンタジー好きにお勧めしたい名作たち

ファンタジー物の中には、昔から愛されてきた、いわゆる「名作」と呼ばれる物が数多くあります。
ところが、読みやすい話題の作品にばかり注目する傾向の強い昨今、こういった名作が中学生の目に触れる機会が最近は少なくなってきたように思います。
名作には、やはり、名作と言われるだけの理由があるわけで・・・
ぜひ、尻込みせずに、一度は読んでみてほしいジャンルの一つです。
ファンタジー小説から、想像することの楽しさを知ってもらえれば、読書の幅も広がると思います。

今回、ファンタジー小説の中から、世界で「名作」とうたわれているものや、私が個人的に「名作」と感じたものを10冊選んでみましたので、興味を持っていただけると、これ幸いです。

中学生におすすめのファンタジー小説10選

 

忠実に再現された日本版に、エンデも感動?!

『はてしない物語』ミヒャエル・エンデ/著 岩崎書店

 

せいとさんの声
せいとさんの声

本と現実がシンクロしていくところが面白い!
・・・でも、長すぎて、返却期限までに読めません。(生徒談)

 

日本のファンタジー作家と言えば、この方!

『獣の奏者』上橋 菜穂子/著 講談社

 

せいとさんの声
せいとさんの声

スラスラ読めた。頭の中で、闘蛇を想像するのが楽しい。(生徒談)

 

洋服ダンスの向こう側に広がる異世界!

『ナルニア国物語シリーズ』C.S.ルイス/著 岩崎書店

 

ジブリのやつより、原作が断然面白い!

『床下の小人たちシリーズ』/著 岩崎書店

 

主人公は、神と人間のハーフ!

『パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々シリーズ』リック・リオ-ダン/著 ほるぷ出版

 

せいとさんの声
せいとさんの声

ラノベより、最近こっちにハマってきました。
自分がこんなに読めるとは思わなかったです。(生徒談)

 

自分勝手な神様が人間になったら?!

『アポロンと5つの神託』リック・リオーダン/著 ほるぷ出版 

 

ダークファンタジーの世界へようこそ!

『ダレン・シャン』ダレン シャン/著 小学館

 

せいとさんの声
せいとさんの声

けっこう怖い。でも読む手がとまらない。(生徒談)

 

ハラハラもありつつ、ドキドキもある、恋愛ファンタジー!

『トワイライト』ステファニー・メイヤー/著 ヴィレッジブックス

 

せいとさんの声
せいとさんの声

エドワードが、とにかくイケメン。恋してます!(生徒談)

 

「もしも、死んでしまったら…」を小説で体感!

『青空のむこう』アレックス・シアラー/著 求龍堂

 

100年以上前から読み継がれる名作は、やはり凄い!

『タイムマシーン』H・Gウェルズ/著 偕成社

 

 

ファンタジー小説の魅力

いかがでしたか?少しでもファンタジー小説に興味を持っていただけたでしょうか。
本を読むメリットで、一般的に言われているものとして思い当たることをざっと挙げるとするならば、

〇客観的に物事が考えられるようになる
〇語彙力が身につく
〇色々な価値観に触れることができる
〇疑似的な経験を得られる

などがありますが、ファンタジー小説は、特にこの中で「疑似的な経験を登場人物と共に得られる」ことが大きいように思います。
実際には絶対に起こりえない現象や、体験できない冒険を、主人公と共に体験していくことで、世界観を存分に味わえることがファンタジー小説の魅力の一つであり、優れたファンタジー小説であればあるほど、読み手は想像力を掻き立てられ、物語の世界を楽しむことが出来るのです。

これを機に、ファンタジーの世界へ足を踏み入れて、どっぷりとその世界観を味わってみてはどうでしょうか。

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好きな漫画の傾向から、ハマりそうな小説を選びました‼

 

◆ 自分の好みを知るところから始まる、「読活」。

 

ある日、滅多に図書館へ来ない子に、「本はあまり読まないの?」と尋ねると、なんとも嫌そうな顔をして「漫画は読むけど、本は読まん。」「活字は嫌い。」と話してくれたことがありました。「なんで漫画は読むん?」と更に聞いてみると、「絵で、すぐ読めるし・・・。面白い話が多いから。」だそうです。確かに、漫画ならではの面白さってありますよね。例えば、学校図書館で漫画を置くことが禁止だからと、変わりとして漫画のノベライズ本を置くところがあったりしますが、漫画大好きな私としては、それでは漫画の良さが損なわれているように感じてなりません。漫画は、ストーリーと同じくらい作画が重要であるだけに、その漫画の変わりをノベライズ小説に全て託してしまうのは見当違いです。つまりは、漫画には漫画の良さがあって、小説には小説の良さがあるのです。
では、漫画は漫画で堪能しつつ、漫画好きの情熱を少しだけ小説にも向けてもらうことは出来ないのでしょうか。
これは、学校司書の永遠のテーマであり、課題なのかも知れません・・・。

これまで、読書とは無縁の生活を送ってきて、小説を小難しいものだと認識してしまっている中学生の固定観念を覆すには、「漫画ばかり読まんと、本を読め!」ではなく、「漫画って面白いよね~!いいよね~。」と、まず、漫画を肯定することにあると私は思います。嘘でもなんでもなく、実際に漫画は面白いのですから。
「どんなの読むん?何系?」と漫画トークに花を咲かせ、相手の好みを聞き出せたら、してやったり。心の中で私はガッツポーズをします。「この漫画のここが好きなんよ。」と、キラキラした瞳で語ってくれる子どもたちに癒されながら、頭の中では、同じジャンルの小説を、無い脳みそをフル回転させて探します。
そして、「その漫画が好きなら、絶対この本ハマるわ~。だまされたと思って読んでごらん。」と、一冊の本を手渡し、何なら、大まかなストーリーや見どころを漫画トークと同じ熱量で、子どもたちと同じキラキラの瞳で語ってしまいます。

本選びは、絵本も小説も、自分の好みを知っておくことがとても大事です。
読書初心者で、その物差しとなる「好み」がわからないのであれば、好きな漫画をその代わりとして、小説選びの基準にしてみてはどうでしょうか。小説の面白さに気づき、新しい扉が開けるかも知れません・・・。

 

 

◆ この漫画が好きな人は、あの小説にハマる?!

前置きが長くなってしまいましたが、それでは、実際に、漫画と小説を紐づけて、お勧めの小説を紹介していきます。小説初心者にしては、少し長い本もありますが、ハマれば長さは関係ないということで載せておきましたので、ぜひ、挑戦してみてください。

★あの疾走感を小説でも味わいたいなら・・・

 

運動音痴ですら、バスケにハマった漫画

『スラムダンク』井上 雄彦 集英社

こちらの漫画が好きな人に、お勧めしたい小説はこちら!

本当の強さとは何かを考えられる作品!

『風が強く吹いている』三浦 しをん/著 新潮社 

 

★得体の知れないものから恐怖を味わいたい人には・・・

 

まっすぐな少年と、それに憑く化け物の妖怪退治

『うしおととら』藤田 和日郎 小学館

こちらの漫画が好きな人に、お勧めしたい小説はこちら!

その声に、答えてはいけない!

『ぼぎわんが、来る』澤村 伊智/著 KADOKAWA 

 

この世のものではないモノを見通す眼を持つ、青年探偵の物語

『心霊探偵八雲』神永 学/著 KADOKAWA 

 

★痛快な青春エンターテインメント!ハマったならば・・・

 

今日から不良になった2人がおくる、ドタバタ劇

『今日から俺は!!』西森 博之 小学館

こちらの漫画が好きな人に、お勧めしたい小説はこちら!

落ちこぼれ高校生たちのおバカ青春ストーリー!

『レヴォリューションNo.3』金城 一紀/著 KADOKAWA 

 

★仲間っていいよね!人生は冒険だ!カッコイイ生き方がしたいなら・・・

 

ひとつなぎの大秘宝を探して大海原へ!

『ワンピース』尾田 栄一郎 小学館

こちらの漫画が好きな人に、お勧めしたい小説はこちら!

秘密組織にスカウトされ、人生が180度変わった少年の物語

『英国情報局秘密組織チェラブ』ロバート・マカモア/著 ほるぷ出版 

 

仲間と一緒に正義を貫く!

『ぼくらのシリーズ』宗田 理/著 ポプラ社 

 

★爽やかな少女漫画好きには、極上な青春モノを・・・

 

恋愛だけでなく、一人の女の子の成長も感じられる少女漫画

『君に届け』椎名 軽穂 集英社

こちらの漫画が好きな人に、お勧めしたい小説はこちら!

多感な時期に、何を思い、何に悩むか・・・高校生の心の成長を描いた名作

『夜のピクニック』恩田 陸/著 新潮社 

 

★物語のヒロインらしからぬ主人公は、小説にも!

 

王道を行かない主人公

『ヒロイン失格』幸田 もも子 集英社

こちらの漫画が好きな人に、お勧めしたい小説はこちら!

こじらせOLの恋物語

『勝手にふるえてろ』綿矢 りさ/著 新潮社 

 

◆ きっかけは何だっていい。「読活」のすすめ

いかがでしたか?漫画、小説ともに、まだまだ紹介したい本があったので、いつかまた、第二弾もやれたら・・・と思います。
漫画で描かれた伝記モノ、映画のノベライズ本、アイドルが書いた私小説・・・読書をするきっかけは、何だっていいのです。そこがスタートとなって、守備範囲を広げていけば、自ずと、自分が面白いと思える小説にたどり着けるのではないでしょうか。
冒頭にも書きましたが、まずは、自分の好みを知っておくこと。自分がどのようなジャンルが好きで、どういった作品を読みやすく感じるのか知っておくことが大切です。又、読活を続けていけば、「この作家さんの書く小説が好き」と、更なる気づきがあるかも知れません。
そこまでいけば、「ちょっと冒険してみよう」と、普段は手に取らないジャンルに挑戦し、新たな発見を楽しむ余裕も生まれていることでしょう。

本を毛嫌いしている子どもたちが、少しでも、読書の楽しさ、小説の面白さに気づいてくれればいいな~と、心から思います。

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読んでみよう。吉野彰さんの人生を変えた一冊

ノーベル化学賞受賞、吉野彰さんの人生の転機となった本

 

2019年10月9日、吉野彰さんにノーベル化学賞の受賞が決定しました。

全てが小型化し、持ち運びが便利となった現代、軽量小型で長寿命、しかも何度も使うことの出来るリチウム電池を発明した、吉野彰さん達の功績は大変輝かしいものです。

そんな吉野さんの人生の転機となったのは、一冊の本との出会いだったのだそうです。これが、イギリスの科学者である、マイケル・ファラデーが書いた『ロウソクの科学』という本。

科学への熱い愛がひしひしと伝わる・・・

『ロウソクの科学』マイケル・ファラデー/著・竹内 敬人/訳 岩波書店

こちらは、ロウソクが燃える不思議や、炎の特性について書かれている本で、当時小学4年生であった吉野さんは、担任の先生にこの本を進められ、子ども心に科学の魅力を知ったのだそうです。

内容は、難しいことが書いてあるわけではなく、小中学生の理科の授業で行う実験ばかりで子ども向けではありますが、絵が少ないので、小学生には少し読みづらいかも知れません。しかし、本書を読むと、著者の科学への愛がひしひしと伝わってきて、著者が子どもたちに伝えたい”科学の面白さ”を、詰め込めるだけ、沢山詰め込んでいることを感じられずにはいられません。

ロウソクの科学の話から始まり、最後は人間の呼吸の話にまで行き幕を閉じる・・・やはり、科学は何歳になっても好奇心を擽りますね。

小~中学生に読んでほしい、科学の本

 

ファラデーの本が読みづらいのであれば、このような本もお勧めです。

身の回りにあふれる不思議にわくわく

『好奇心をそだて考えるのが好きになる 科学のふしぎな話365』日本科学未来館

 

 

マンガを読みながら、身近な不思議に迫るシリーズ

『ドラえもん科学ワールド(既19巻)’19年度』藤子プロ・真鍋 真/監修 小学館

どちらも、科学への好奇心を掻き立てられる内容となっているので、勉強の合間の息抜きや、科学に興味を持つきっかけとして、良いかも知れません。ある現象が起こる仕組みを知ることは、普段何と無しにそこにある物事の奥深さを知ることに繋がります。そもそも、「科学(science)」の語源は、ラテン語の「scientia (知識)」から来ているのだとか。
科学の本を開けば、知りたい「知識」に、きっと出会えると信じて、この記事を終わりとしたいと思います。

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司書がおすすめする、障害・福祉関係の絵本&読み物

身近なユニバーサルデザインを見つめて

 

今回は、障害や福祉のお薦めな絵本や読み物を紹介していきたいと思います。

その前に、福祉の点で切っても切り離せないユニバーサルデザインのことについて少し触れておきます。ユニバーサルとは、「普遍的な」、「全体の」という意味で、これに「設計」の意味の「デザイン」を付けて「ユニバーサルデザイン」と呼んでいますが、要は、国籍や年齢、性別等の違いであったり、障害の有無等を問わずに、全ての人の為に考えられたデザイン(設計)をそのように呼んでいるわけです。学校の授業では、こうした自分たちの身近にあるユニバーサルデザインを見つめ、生活に生かすことを通して生徒が積極的に社会に参画していくことまでを目標としているようです。

小学校や中学校でユニバーサルデザインの授業が行われている昨今、私自身、学校現場や公共図書館で仕事をしてきて、福祉について考えたり、様々な障害についての理解を深める授業を行なっている学校が増えてきたように感じています。そこで、今回は障害や福祉のお薦め本を細かいカテゴリーごとに分けて紹介することにしました。絵本も沢山紹介していますので、様々な障害や福祉の事について、この機会に知識を深めてみてはどうでしょうか。

 

 

障害や福祉関係のおすすめな絵本

 

視覚障害

『もうどう犬べぇべ』 セアまり/さく 平澤 朋子/え ほるぷ社

最初にご紹介する絵本は、盲導犬のべぇべと視覚障がい者であるメグの物語です。
メグは目がどんどん見えなくなっていく病気になり、部屋に引きこもりがちになっていました。そんなメグの笑顔を取り戻してくれたのは、いつも困り顔の盲導犬べぇべでした。べぇべの動きからメグは周りの様子を理解できるようになり、ハーネスを外した時のべぇべのおかしなしぐさによってメグに再び笑顔も戻るようになります。やがて2人(1匹と1人)は、外出中に起こってしまった事故から、困ったときには遠慮せずに周囲の人に手助けをしてもらっても良いのだと気づき、これを機に前向きに色々なことに挑戦していくのです。
この絵本の作者である、セアまりさん自身、メグと同じ視覚障がい者です。だからこそ、絵本の最後に載っている作者の言葉には、伝えたいメッセージが沢山散りばめられているように感じます。町で盲導犬を見かけた時に気を付けてほしいこと、目の不自由な人が困っている場面に遭遇したらどうしてほしいか等、この絵本から沢山感じ取ることが出来るのではないでしょうか。

 

小1むすこ
小1むすこ
こまっている人がいたら、声をかけてあげようと思ったよ。(息子談)

 

 

視覚障害

『6この点 点字を発明したルイ・ブライユのおはなし』 ジェン・ブライアント/著 ボリス・クリコフ/絵 岩崎書店

こちらは、点字を発明したルイ・ブライユの物語です。わずか15歳の少年がたった一人で完成させた点字が、現在でも図書館や空港、銀行のATM等で使われているって凄いことですよね。
どうやって点字が生まれたのか、点字を生んだ少年の人生とはどういったものだったのか、この絵本を読めば、この少年のひた向きな努力と諦めない気持ちを感じ取ることが出来ます。ルイの周りには、目の見えないルイに対して「きのどくだ・・・」と声を掛ける人たちが多くいました。けれども、ルイはただ、ほかの子と同じように、自分で読んだり書いたりしたいだけであって、「かわいそうなルイ・ブライユ」と同情されることに違和感を覚えていたことでしょう。目が見えない自分を悲観することなく、どうすれば良い状況になるのか、先だけを見つめて努力を怠らない、この絵本の通りのルイ・ブライユを想像すると、「きのどく」や「かわいそう」等という言葉は違和感のほかありません。目が見えないけれど本が読みたいから、目が見えない人でも読むことの出来る本を作ろうと考える精神は、とても前向きなのですから。

 

小1むすこ
小1むすこ
目が見えなくても、本が読めることにビックリした。(息子談)

 

 

視覚障害

『雨のにおい 星の声』 赤座 憲久/著 鈴木 義治/絵 小峰書店

こちらは、盲目の子どもたちの心を写した絵本です。雨のにおい、星の声、風のうごき、足の裏からもあたりの景色がひろがっています。普段、私たちが目で見て、当たり前に過ごしていることが、この子たちの心を通して感じれば全くの別世界へと姿を変えるのです。見えないことで分からないこともありますが、見えないことをハンデとせず、研ぎ澄まされる感性から得られるものも沢山あるのだということに気づかされる一冊です。

 

 

いろいろな障害

どんなかんじかなあ』 中山 千夏/さく 和田 誠/絵 自由国民社

「みえないって」、「きこえないって」、どんなかんじかなあ・・・。ひろくんは目を閉じてみたり、耳を塞いでみたりして、友達がどんなかんじか考えてみます。ひろくんの様に自分以外の人のことを考えて、歩み寄ってみることで、これまで全く気が付かなかったことに気づくことが出来るのかも知れません。
誰かと繋がりたければ、その人のことを知ることにつきます。その人に自分のことを知ってもらいたい場合も同様に、相手のことを知ろうとすることで互いの壁がなくなるのです。又、誰かのことを知ろうとすればするほど見えてくるのが、普段何てことなく過ごしている「自分自身」だったりします。同じ人間でも、誰一人として、同じ身体や考えの人はいないわけで、自分以外の誰かを知ろうとすることは、これまで自分が見落としてきた自分自身の良いところや凄いところをも気づかせてくれることだってあるのですよね。

 

 

聴覚障害

ローラのすてきな耳』 エルフィ・ネイセ/著 エリーネ・ファンリンデハウゼ/絵 朝日学生新聞社

このお話は、幼少期の頃に耳が聞こえにくかった作者の実体験に基づいて書かれたものです。自分のせいではないのに、耳が聞こえにくいが故に起こってしまう様々なこと・・・この絵本には、そんな少女のつらさや苦しさが語られていると共に、後半からは補聴器を着けたことによって彼女の前に広がった新たな世界のことが、希望に満ちた様子で描かれています。耳が聞こえづらい人にとって、補聴器がただの「機器」ではなく、いかに重要な「耳」となりえるのか・・・「私にもようやく居場所が見つかったの!」この絵本の最後で少女の口から出た言葉が、全てを物語っているような気がします。

 

 

聴覚障害

『ぼくのだいじな あおいふね』 ピーター=ジョーンズ/著 ディック=ブルーナ/絵 偕成社

こちらは、耳が聞こえづらい男の子の毎日がディック・ブルーナの絵で分かりやすく語られています。聴覚障害児をもつお母さんや先生方の助言から誕生した絵本ということで、外見だけでは分かりにくい聴覚障害の悩みや不安が小さな男の子の目線で丁寧に描かれています。ブルーナの明るい色調とシンプルにまとめられた文は、とても暖かく、愛情をもって理解を示してくれる人達の存在がどれほど心強いか、気づかせてくれます。

 

 

聴覚障害

わたしたち手で話します』 フランツ=ヨーゼフ・ファイニク/著 フェレーナ・バルハウス/絵 あかね書房

生まれつき耳が聞こえないリーザという女の子と、手話が得意なトーマスという男の子の出会いが微笑ましいお話です。リーザは同い年くらいの子どもたちとなかなか仲良くなることができませんでした。リーザにとって、声を出して話をすることは、自分が話す声も聞くことができないのでとても難しいのです。リーザが耳が聞こえないことを手話でいくら話しても、子どもたちには通じません。そんな一人ぼっちのリーザに手で話しかけてくれたのがトーマスでした。トーマスの両親も耳が聞こえないので、トーマスの家では手話が日常で使われていたのです。そして、リーザとトーマス、二人の出会いは他の子どもたちにも素敵な効果をもたらすことになりました。
読んでいて、心にふっと暖かい灯りがともる、そんな絵本です。この絵本によって、思わず手話を覚えたくなる、そんな子供たちもきっと出てくるのではないでしょうか。

 

小1むすこ
小1むすこ
学校で、手話の本を借りてきたよ! 「手伝いましょうか?」を覚えたんだ。(息子談)

 

聴覚障害

わたしの妹は 耳がきこえません 』 ジーン=W=ピーターソン/著 デボラ=レイ/絵 偕成社

こちらは、耳の聞こえない妹を持つ作者が、詩のような優しい文で妹について書き綴っている絵本です。友達に「耳がきこえないって、耳がいたいの?」と聞かれて、”わたし”は「耳はいたくないの。でも、むねがいたくなるの。みんなに自分の気持ちをわかってもらえないときにね。」と答えます。妹のことを本当によく見ているお姉さんで、妹のことがとても大切で可愛いのだろうなあ、と、読んでいて愛情が伝わってきます。例え耳が聞こえていなくても、誰かに愛されているだけで、世界はこんなにも光に満ちてみえるのだということがよくわかる一冊です。

 

 

染色体異常

『わたしたちのトビアス』 セシリア・スベドベリ/さく 偕成社

こちらは、子どもたちの無邪気な絵と文で、障害児である弟のトビアスのことが書き綴られている絵本です。トビアスが産まれた時にちっとも嬉しそうではなかったママの声や、周囲の反応・・・それらを目の当たりにして、トビアスの兄弟たちは「とくべつ」や「ふつう」について考えます。パパとママは、トビアスを施設へ預けることを検討しますが、兄弟は大反対。「トビアスに手がかかるなら、わたしたちみんなで、てつだうのがあたりまえ」とかんかんに怒るのです。ある時、ママが言いました。「みんな、いっしょにくらさないから、おたがいに、わかりあったり、すきになったりできないんだわ。」そこで兄弟たちはこう考えます。「わたしたちに、ふつうでない弟がいてよかった」、「わたしたちは、ふつうでない人といっしょにくらすことをおぼえるし、ふつうでないとはどういうことかが、わかるようになるから」と。
弟への愛にあふれた絵本であり、社会全体で”知ること”が”支援に繋がる”ということをこの絵本は教えてくれます。

 

 

染色体異常

『わたしのおとうと、へん・・・かなあ』 マリ=エレーヌ・ドルバル/さく スーザン・バーレイ/え 評論社

こちらは、フランスの≪幼年期と染色体異常を考える21世紀の会≫の提唱で創られた絵本です。
うさぎのリリには、どんなときでも、にこにこ笑顔のドードという弟がいます。「目は、どろーん」、「耳は、だらーん」、「口から、よだれが、だらだらだら」そんなドードを見て、「わたしの、おとうと、へん……かなあ。」と、リリは時々心配しています。そして、ドードがスープを零しても、床にお漏らしをしても、ちっともドードを怒らないパパとママのせいで、このままではドードが赤ちゃんのままだと心配が止まりません。「いくら、しんぱいでも、きみがひとりで、なにから、なにまで、してあげることはできないよ。」とリリに助言をしてくれるふくろうのおじさんや、大風の日に家を建てた野ネズミの話を聞いて、リリは一番大切なことを思い出すのです。スーザン・バーレイさんの温かい絵のタッチが素敵な一冊です。

 

 

肢体不自由(両足麻痺)

『わたしの足は車いす』 フランツ=ヨーゼフ・ファイニク/著 フェレーナ・バルハウス/絵 あかね書房

アンナは、生まれた時から両足が麻痺している女の子です。自分の足では動くことが出来ないので、車いすがアンナの足となって行きたい場所へ連れて行ってくれます。ある日、お母さんにお使いを頼まれたアンナは、初めて自分一人で外へ出かけることになりますが、なかなか思うようには行きません。じろじろ見てくる人がいたり、「気のどくだね。」と言われたり、お店の店員に変に気を使われたり・・・そんなアンナに対して声を掛ける男の子、ジギーの優しい言葉は、アンナの張りつめた気持ちをどんなに楽にしてくれたことでしょう。「ふつうとはちがってる」、「ちがってもいいのさ。ちがってるのって、ほんとうは、とくべつなことなんだから。」よく考えてみれば、”ふつう”って何を基準に言っているのかわからないですよね。大多数の人が”ふつう”で、少数派の人が”ちがう”と弾かれているのであるならば、ジギーの言葉は的を得ているようにも思えます。この絵本から、ぜひ、いろいろなことを感じ取ってみてください。

 

小1むすこ
小1むすこ
車いすに、ちょっとだけ乗ってみたいな。 アンナに友達が出来て良かった。(息子談)

 

 

肢体不自由(脳性麻痺)

『ぼくたちのコンニャク先生』 星川 ひろ子/著 小学館

「幼い子に向けて障害をメッセージする本を作りたい———」こちらは、母であり写真家である著者がずっと温め続けてきた思いによって生まれた写真絵本です。保育園に勤めだして直ぐに「コンニャク」と言うあだ名を付けられて、園児たちから洗礼を受けた近藤先生と純真無垢な園児たちの日常を垣間見ることが出来ます。生後8か月の時に脳性まひと診断された近藤先生は、ごはんの時に手が震えたり、話すことが苦手だったり、手先ならぬ足先を器用に使って折り紙を折ったり・・・子どもたちの目には、それら全てが新鮮に映って、興味の対象となるのです。「偏見」など微塵も持たず、近藤先生の色々なことを純粋に「知りたい」と思う、この園児たちのように、”いろんな人がいて、あたりまえ”なのだと、多くの子どもたちがこの絵本から感じ取っていくのではないでしょうか。

 

小1むすこ
小1むすこ
足の指でいろんなことが出来るのがすごい!ぼくにも出来るかな・・・。(息子談)

 

 

肢体不自由(先天性四肢欠損)

『さっちゃんのまほうのて』 たばた せいいち/さく 偕成社

田畑精一さんと先天性四肢障害児父母の会によって作られた、生まれつき右手の指がない女の子のお話です。ままごとあそびでお母さんになりたいさっちゃんは、お母さんに訊ねます。「しょうがくせいになったら、さっちゃんのゆび、みんなみたいに はえてくる?」お母さんはさっちゃんが期待通りの答えはしてくれませんでした。「さっちゃんは おかあさんには なれないよ!だって、てのないおかあさんなんて へんだもん」友達から言われた、こんな心ない言葉もあって、やがて、さっちゃんは幼稚園を休むようになってしまいました。
子供は純粋であるが故に、その言葉によって人が傷ついてしまうということを深く考えずに、言葉を発してしまうことがあります。一度、口から出てしまった言葉は「無し」にすることは出来ません。でも、その言葉が正しくなかったと気づいた時、その言葉を違う言葉や態度で上書きすることは出来ると思います。さっちゃんの友達は、ハートの形をしたチョコレートを渡すことで、さっちゃんに対して謝りたい気持ちを態度で表しました。さっちゃんにとっては、それだけで、「なんだか ふうーっと おかしくなって」前向きになれるのです。自分と違う体の人を、つい、ジロジロ見てしまうこともあるとは思います。無知ほど残酷なものは無いのかも知れません。この絵本は、先天異常と子どもたちを取り巻く問題をこれからも広く社会に語りかけていくことでしょう。

 

小1むすこ
小1むすこ
指がない人だけじゃなくて、指の数が多い人もいるって聞いてビックリした。 いろんな人がいるんだな~。(息子談)

 

 

自閉症

『ふしぎなともだち』 たじま ゆきひこ/さく くもん出版

続いてご紹介する絵本は、転校先の小学校で、自閉症の男の子と初めて出会う少年の目線で描かれている絵本です。先ほど、「無知ほど残酷なものは無いのかも」と言いましたが、こちらは「知っていること」の大切さがよく描かれているように思います。初めて自閉症の子と出会い、その行動や、それを当然として日々を過ごす子どもたちに衝撃を受けたおおたくん。おおたくんにとって、初めのうちは、自閉症のやっくんは「きんちょう」の対象だったり、一緒にいると「いらいら」してしまう、近づきたくない相手だったりします。ですが、長い年月を共に重ねていく中で、やっくんの存在はおおたくんにとって、心でわかりあえる、不思議な友達となるのです。
このお話には、実は実在するモデルとなった二人がいるようで、作者である田島さんが淡路島の自閉症の青年とその同級生に取材を重ねて絵本になったのだそうです。その為か、読んでいて周囲の反応もとてもリアルに感じました。私が小学生の時にも同じような子がいて、よくクラスでからかわれていましたが、彼も今思えば、なんらかの障害を持っていたのだと思います。当時の自分にこの絵本を読ませたい・・・「知っている」からこそ、見えてくることって、本当に沢山あるのではないでしょうか。

 

 

学習障害

『ありがとう、フォルカーせんせい』 パトリシア・ポラッコ/著 岩崎書店

知的発達に目立った遅れがないのにも関わらず、学習面で、読み書きが出来なかったり、算数が苦手だったりと、つまずきや習得の困難さを示す子どもを「学習障害」と言いますが、この絵本の主人公であるトリシャも、字をくねくねした形としか捉えることが出来ず、読み書きが一切できません。トリシャが、隣の子の読んでいることを丸暗記して本を読めるふりをしたり、先生が読んだ後に同じことを繰り返して読めるふりをしていたことで、先生たちには気づかれないまま、学校生活は過ぎていきます。子供たちはその点敏感で、自分たちとは違うトリシャを笑ってばかにし、からかいます。そんなトリシャの苦しみにいち早く気が付いたのが、フォルカー先生でした。「きみには 字や すうじが みんなとは ちがってみえるのに、らくだいしないで ここまで きた」、「きみは かしこくて、それに とっても ゆうかんだ」フォルカー先生はトリシャに優しく言葉を投げかけます。
これは、作者の自伝的な物語であり、30年後、トリシャがフォルカー先生と再び会った時に、どんな仕事をしているのか尋ねられ、彼女は先生にこう言うのです。「しんじられますか?こどもの本を かいているんですよ。」学習障害を持っている子どもたちにとって、これほど勇気をもらえる絵本はないのではないでしょうか。トリシャにとって、フォルカー先生との出会いが人生を変えたのです。この絵本は、個性にあった教育の大切さを再認識させてくれます。

 

 

学習障害

『算数の天才なのに計算ができない男の子のはなし 算数障害を知ってますか?』 バーバラ・エシャム/著 マイク・ゴードン/絵 岩崎書店

まず、このタイトルを見て、「どういうこと??」と疑問に思う人は少なくないかも知れません。算数が得意ならば、計算も簡単に出来るのでは?と。これが、算数障害の誤解を招きやすい部分で、この絵本ではこういった分かりづらいケースをウィットに富んだ絵と文で、分かりやすく伝えてくれています。算数障害の子どもにとって、この絵本のマックスの様に、数の概念を理解出来ても、九九を機械的に覚えることは出来ません。また、その反対に、計算が出来ても、計算の意味が理解出来ないというケースもあるそうです。傍から見ると大変分かりづらいですが、当の本人にしてみれば、「どうして自分は出来ないのだろう」と自暴自棄になる、とても深刻な状況です。障害を認識されることなく、間違った方法での指導が続くことになれば、ますます悪い方向へ進んでしまいます。教師も親も、子どもたちをよく観察して、その子に寄り添った支援をすることが大切なのだということをこの絵本を読んで改めて実感しました。

 

 

発達障害

『ボクはじっとできない』 バーバラ・エシャム/文 小学館

表紙にも小さく書かれてある通り、こちらは、自分で解決法をみつけたADHDの男の子のお話です。この絵本の素晴らしいところは、なんといっても、デイヴィッド自身が自分の特性のどこが問題であるかに気づき、解決方法を探って、解決策を先生に提案したことでしょう。昨今、日本では社会に出ていく上で問題解決能力が重要視されていますが、デイヴィッドに備わっていたのは、まさしく、この問題解決する力であったのです。ADHDの特性として、落ち着きがなかったり、モノをすぐ失くしてしまったりと、ネガティブな面だけがクローズアップされがちですが、頭の回転の速さや、アイデアの豊富さなど、強みとなる部分もこちらでは頼もしく描かれています。

 

小1むすこ
小1むすこ
自分でいろいろ考えて、デヴィッドって凄い。(息子談)

 

障害や福祉関係のおすすめな読み物

 

続いて、障害や福祉関係のおすすめな読み物についてご紹介します。

視覚障害

『目の見えない人は世界をどう見ているのか』(新書) 伊藤 亜紗/著 光文社

こちらは、生物学者を目指していた著者によって書かれた本です。視覚障害者やその関係者達に対して行ったインタビュー、その人達とともに行ったワークショップ、日々の何気ないおしゃべり等から「世界の別の顔」の姿を柔らかな読みやすい文体でまとめています。「世界の別の顔」とは、見えない世界しか知らない人から言えば、「見える世界」のことで、見える人から言えば、逆に「見えない世界」のことです。本文にも書かれてありますが、実はこの本は、「いわゆる福祉関係の問題を扱った書物ではなく、あくまで身体論であり、見える人と見えない人の違いを丁寧に確認しようとするもの」(p.7)です。「視覚障害者がどんなふうに世界を認識しているのかを理解すること」(p.23)がこの本の大きなテーマとなっています。決して支援の観点から書かれている本ではありません。もちろん、必要とされた時に、差し伸べる手は大切ですが、この本を読めば、きっと全く違った印象を持つはずです。著者である伊藤さんの解説がとても丁寧で分かりやすく、どの話もストンと入ってきて読んでいて心地良かったです。
そして、余談ですが、この本を基にして描かれた絵本があります。こちらは未就学児に見せても楽しむことが出来ますし、小学生に物事を違う視点で見たり考えたりするきっかけを与えられる絵本だと思います。絵本作家のヨシタケシンスケさんがストーリーを考え、伊藤亜紗さんに相談しながら作ったそうですよ。こちらもお勧めです。

 

 

視覚障害

『暗やみの中のきらめき 点字をつくったルイ・ブライユ』 マイヤリーサ・ディークマン/著 汐文社

こちらは、ルイ・ブライユのただの伝記ものではなく、現代のフィンランドに住む盲目のレオ少年の話と、まだ幼いながらも200年前に点字を発明したルイ・ブライユの話が交互に進んでいきます。よくある伝記ものは、事実を語ることに忠実になりすぎて内容が浅くなってしまいがちですが、二人の人生が交互に語られることで、ルイがやり遂げたことが如何に凄いことであるのかがよくわかり、物語に厚みが加わっています。当時のフランスの時代背景や、フィンランドの学校での様子なども物語の端々に描かれているところも興味深い作品です。「そこに書いてあることを知りたい、物語を聞きたい」熱い思いを抱いていた幼い盲目の少年が点字を発明するまでを、現代のフィンランドの男の子レオの目を通して見つめている、とても読み応えのある一冊です。

 

 

聴覚障害

ろう者の祈り 心の声に気づいてほしい』 中島 隆/著 朝日新聞出版

こちらは、新聞での連載が加筆されて本になったものだそうで、インタビューのような形で話が進んでいきます。聴覚障害者の方が悩んでいることや、どのような助けを必要としているのかがよくわかる本です。手話は、聴覚障害者の方にとって言語の一つですが、私自身、お恥ずかしながら、この本を読むまで手話と日本語がこれほどまでに違う言語であるとは思っていませんでした。こういった聴者の認識のズレが聴覚障害の方に対する誤解を生み、聴覚障害者の方を苦しめているのかも知れません。聴覚障害について知るきっかけとして良い一冊です。

 

 

聴覚障害

『犬たちがくれた音 聴導犬誕生物語』 高橋 うらら/著 金の星者

こちらは、小学校高学年ぐらいから読める児童書です。捨てられたり、震災などで帰る場所を失った犬がどのようにして聴導犬となるのかがこの本を読めばよくわかります。聴導犬は聴覚障害者にとって、生活に必要な音を伝える大切な存在です。しかし、中には、聴導犬がいなくても、機械を使えば音を知らせることは可能だと考える人もいるでしょう。この本は、そういった声に対して疑問を感じた著者が、動物保護や聴導犬の育成に取り組んでいる団体へ取材を重ねていく上で出会った、ある一頭の犬と、その犬を育てた人たちを主人公にしたお話です。日本で認定されている聴導犬はまだ数少なく、盲導犬に比べてあまり世間に知られてはいません。この本によれば、アメリカやイギリスでは沢山の聴導犬が活躍していますが、聴導犬の歴史の浅い日本では(この本が出版された2007年時点で、)約数十頭しかいないそうです。
この本を読めば、聴導犬がもっと社会に浸透してほしいと願わずにはいられません。

 

 

聴覚障害

あなたの声がききたい―聴覚障害の両親に育てられて』 岸川 悦子/著 岡本 順/絵 佼成出版社

こちらもノンフェクションの一冊です。著者の岸川悦子さんが入院先の病院で出会った、看護師の加奈子さんのこれまでの人生が丁寧に描かれています。加奈子さんのご両親は聴覚障害者で、幼いころから加奈子さんは友達の親と自分の親との違いにもどかしさを感じながら育ったそうです。心無い人たちからの偏見や差別が、読んでいて何とも言えない気持ちにさせますが、加奈子さんのご両親の前向きな生き方や、「将来は、弱い立場の人たちのために、なにか役立つ仕事をしよう」という、加奈子さん自身の気持ちの変化は読んでいてとても「強さ」を感じました。加奈子さんのご両親がまだ若かった頃、日本は今よりもっと、障害者に対して偏見や差別があったこと、手話が禁止され、ほとんどの聾学校で「口話法」が教育されていたこと・・・この本から知った事実が沢山ありました。そして、「手話」が聴者と聴覚障害者を繋ぐ重要な手段であることを改めて認識させられました。感動だけではない、色々なことを、ぜひ、この本から感じていただければと思います。

 

 

肢体不自由(難病ALS)

『わたしは目で話します』 たかお まゆみ/著 偕成社

こちらは、難病ALS患者である著者が「言葉の力」について書いた本で、全篇、文字盤を使って目で書かれています。言葉を発することは奇跡であり、孤独の中で言葉は育たず、言葉が人を人間にする・・・この本の中に散りばめられている言葉の数々は、どれも核心的で、読んでいて、はっとさせられます。第一章でALSという病気についての説明が詳しくなされていますが、ここで、著者にとって「身体が動かなくなるより、おいしいものが食べられなくなるより、言葉をうしなっていくことのほうが、十倍も百倍もつらかった」 (p.53)ことが書かれています。普段何も考えずに、ごく自然に使っている言葉ですが、失って初めてわかる、言葉の可能性や力をこの本から感じられるのではないでしょうか。話すことさえ出来れば、あらゆる困難を解決できることだってあるでしょう。最後に、人と話すことに悩みを抱えている人へ、著者からメッセージが書かれていました。その中の一つに、「友だちの言葉を大切に。」という内容のものがあります。私は、闘病生活や話せない苦しみだけを綴った本ではなく、この本がコミュニケーションできる喜びがどんなに深いものなのか、人と言葉を交わすことの尊さについて書かれている本であることが、このメッセージに凝縮されているように思いました。難病ALSについてはもちろんのこと、普段の何気ない言葉のやり取りに対しても考えることの出来る良書です。

 

 

肢体不自由(両下肢弛緩性マヒ)

車イスから見た街 』(岩波ジュニア新書) 村田 稔/著 岩波書店

こちらは、生まれて一年半で、せき髄性小児マヒで両足が動かなくなり、車いす生活を余儀なくされた著者の目線から見た、日本の街や社会についてのことが書かれた本です。この本は今から約25年前に書かれたものなので、この頃から言えば、日本は随分変わりましたが、「福祉の視点で街を見る」きっかけに良い本ということで、今回選ばせていただきました。今でこそ、商業施設のトイレには必ずと言っていいほど障害者用トイレがありますが、この本によると、これが書かれた頃の日本には、まだあまりメジャーではなかったようです。又、歩けないからという理由で高校側から入学を拒否された話なども載っていて幾分内容に古さも感じますが、著者が25年前に、車イスの目線で「おやっ」と思っていたことが、残念なことに令和になった現代の街でもまだ見られる光景であることを私たちは知っておかなければならないと思います。例えば、車イスマークのついた駐車区間に、平気で止める一般車や、同じく車イスマークのついた駐車区間に設けられた、鎖の付いた柵、これは現代でも見かける光景です。歩道橋、駅の階段、地下鉄の入り口、バス、電車・・・誰にとっても使いやすい街になるために、誰かの目線で物事を見たり、考えたりすることはとても大切ですね。

 

 

発達障害

拝啓、アスペルガー先生』 奥田 健次/著 飛鳥新社

タイトルに小さく「支援記録」とありますが、小難しい話は一切なく、とても読みやすい一冊です。こちらは、臨床心理士、行動分析学者で知られる奥田健次先生が書いた支援記録で、過去の支援から著者が思い出に残っている子どもたちのエピソードが紹介されています。著者が20年間の中で出会った子どもや家族たちで、実際に出会ったその時々の問題と乗り越えた記録に基づいて書かれていて、発達障害の子どもはこんなに変わることが出来るんだという事実を、読み物として楽しみながら、多くの人に知ってもらうことを目的として書かれたそうです。色々なケースで著者の所に訪れる子どもとその家族たちの様子や、課題を乗り越えて成長する子どもたちの姿に心揺さぶられ、この本から、子育てのアドバイスを沢山いただきました。正直、この先生の本を読み漁りたい・・・そんな衝動に駆られました。発達障害があるなしに関わらず、子どもたちの一人一人の特性を見極めて、それぞれに合わせた適切な教育の必要性を改めて感じた一冊でした。

 

 

自閉症

自閉症の僕が跳びはねる理由』 東田 直樹/著 角川学芸出版

こちらは、自閉症者である13歳の少年が、自閉症者の心の中を誰にでも理解できるように、自分自身の言葉でわかりやすく説明したものです。言葉についてや、感覚の違いについて等、様々な「謎」に一つ一つ丁寧に答えていくことで、自閉症者やその家族の助けになることが出来たらという願いを込めて、執筆されたのだそうです。本書の中の「僕たちの世界を旅してください」という一文にその思いが込められているのではないでしょうか。著者はこの本の中で、コミュニケーション手段の一つである筆談について、「書いて伝えることではなく、自分の本当の言葉を分かってもらうための手段」(p.15)であると述べ、「自分の気持ちを相手に伝えられるということは、自分が人としてこの世界に存在していると自覚できること」(p.31)だと説明しています。心と行動がイコールでないこと、その行動には全て理由があるということ・・・自閉症者の苦しさや心の声に気づかされる一冊です。

最後に、ユニバーサルデザインについて書かれてある本でお薦めの本をご紹介します。 今や、学校の授業自体もユニバーサルデザインを唱える時代です。当事者でなければ、その障害を「理解する」ことは出来ないかも知れませんが、「知らない」より「知っている」だけで、誰かが救われることだってあるかも知れません。どうすれば、全ての人々にとって、この世の中が生きやすくなるのか・・・「知っている」だけで、イメージしやすくなり、それはやがて、行動を起こすことに繋がるのではないでしょうか。自分さえ良ければいいという自己中心的な考えではなく、人のことを思いやれる優しい心を持ちたいものですね。

 

 

ユニバーサルデザインにおすすめな本

車イスが必要な生活を知ろう

ドラえもんの車いすの本 (バリアフリーブック―体の不自由な人の生活を知る本)』 共用品推進機構/編集 小学館

こちらの本の構成は、前半は、四肢機能障害で歩行困難となり、車イス生活を余儀なくされた北斗君という男の子の小学校での様子が沢山の実際の写真と共に紹介されていて、後半は、車いすに乗ったまりちゃんという転校生が出てくる漫画、『ドラえもんの空飛ぶ車いす』がメインとなっています。どちらの話も、読んでいる側に、「誰もが”不便さ”や”危険”を感じずに生活をするには、どうすれば良いのか」を考えさせてくれる内容になっていて、普段気が付かないことに目を向けられるきっかけとなる一冊です。自分の住む街や学校は、誰もが住みやすい、通いやすい場所となっているのか、この本をきっかけとして、身の回りのバリア(障壁)の有無をチェックしてみてはどうでしょうか。

 

 

自分以外の人の視点で見ることの大切さ

弱視の人に出会う本 (バリアフリーブック―見えにくいってどんなこと?)』 共用品推進機構/編集 小学館

こちらは、『弱視のおばあちゃん まちを行く』という漫画がメインとなっていて、最後の方に少し弱視について理解を深めることの出来るコラム等が載っています。漫画部分では、弱視であるおばあちゃんから見た社会が描かれていて、おばあちゃんと一日一緒に街を歩いた孫は、誘導ブロックの上に止められた自転車や、見えにくい料金表、ふちがはっきり見えない階段などを初めて危険なものだと認識します。そして、帰宅後、みんなのことを考えて工夫をしていけば、もっとよくなると思うことがいっぱいあったと両親に伝えるのです。障害のある人にとって住みやすい街は、障害のない人にとっても住みやすい街であるのだと気づくことができ、このお話は終わります。自分以外の別の人の視点に立ってみることで、「あれ?」と、何気ない光景を疑問に感じ、気づける人になりたいという気持ちが芽生えることが出来る本です。

 

 

バリアフリーを考える

新しい 心のバリアフリーずかん きみの「あたりまえ」見直そう! (見る知る考えるずかん)』 中野 泰志/監修 ほるぷ出版

タイトルにもなっている「心のバリアフリー」とは、「私たちのなかにある、”気づかない”という心のバリアを取りはらい、バリアフリーの社会を実現するために行動すること」(p.4)を言い、この本には、そういった「心のバリアフリー」によって、みんなが同じようにいきいきと活動できる社会を目指していくためのヒントが沢山載っています。町の中の色々なシーンを切り取って、そこからそれぞれのシーンに見られる問題点や解決策を探っていき、周囲の人はどのようなアクションを起こすことが出来るのかまでも詳しく書かれています。又、外からは分かりづらい、発達障害についても沢山触れられていて、学校の中での「心のバリアフリー」についても理解を深めることが出来る内容になっています。絵も豊富で、小学生にも十分理解できる、バリアフリーの知識を深められる図鑑です。
 

 

 

ユニバーサルデザインを分かりやすく解説!

トコトンやさしいユニバーサルデザインの本(第2版) (今日からモノ知りシリーズ)』 宮入 賢一郎/著 日刊工業新聞社

中学生や高校生が、ユニバーサルデザインについて調べるときに、必ず読んでいただきたい本がこちらです。今日からモノ知りシリーズは、どの本も、とても詳しく一つのことについて調べ上げて書かれてあるので、調べ学習に最適です。内容としては、バリアフリーとの違いについてや、「障がい」への誤解と理解、導入のプロセスと開発手法、各機関・各企業の取組み事例などが載っています。ユニバーサルデザインに対して、正しい理解と豊富な実例を沢山紹介してくれているので、これを基にして自分たちの身近にあるユニバーサルデザインを見つめて生活に生かすことへと繋げられるのではないでしょうか。

 

 

日常の中から考えよう!

くらしのユニバーサルデザイン (知る! 見る! 考える! ユニバーサルデザインがほんとうにわかる本)』 小石 新八/監修 六耀社

こちらは、シリーズ全3巻で、「もののユニバーサルデザイン」、「まち・施設のユニバーサルデザイン」、「くらしのユニバーサルデザイン」と、様々な場面でのユニバーサルデザインについて考えられる作りになっています。ただUD製品を紹介するだけではなく、ユニバーサルデザインについて色々な角度からみることで、今後の課題を考えようというわけです。又、頁の最後の方には、ユニバーサルデザインを調べて学ぶことの意味についても触れていて、日本人も福祉の心をもっともっと高めていかなければならないと、再認識させられました。

 

 

考え方から社会への広がりまで!

よくわかるユニバーサルデザイン (楽しい調べ学習シリーズ)』 柏原士郎/監修 PHP研究所

こちらの本では、まずはユニバーサルデザインを知るところから始まり、暮らしの中や、街の中のユニバーサルデザインについて知って知識を深めていけるようになっています。最後の章では、心とコミュニケーションのユニバーサルデザインについても触れられており、「考え方から社会への広がりまで」、しっかりと書かれています。
2020年のオリンピック・パラリンピック開催国として、社会全体で、ユニバーサルデザインの考え方を根付かせようとしている日本・・・誰もがわかるピクトグラムや、UDトークなど、誰にとっても理解しやすく、全ての人のために考えられたものは、例え言葉が通じなくてもコミュニケーション出来る大切なアイテムとなることでしょう。

 

 

4つのテーマに分けて、ユニバーサルデザインを紐解く!

ユニバーサルデザインがわかる事典』 柏原 士郎/監修 PHP研究所

こちらも先ほど紹介した本と同じく、「ユニバーサルデザインとは何ぞや」から始まり、次の章から、より詳しく、「いろいろなかたちのユニバーサルデザイン」、「いろいろな使い方のユニバーサルデザイン」、「まちのユニバーサルデザイン」、「サービス・情報のユニバーサルデザイン」と、4つに分けて説明されています。かたちを少し変えるだけで、使い勝手が断然に良くなったもの、機能やかたちを工夫することで、身体に障害がある人にも利用しやすくなったもの等、ユニバーサルデザインの製品は、実は、私たちの身の回りにさりげなくあるのです。これからの社会は、色々な人の立場に立って、「利用しづらい場所」や「使いづらいもの」を見つけ、みんなの声からユニバーサルデザインに作り替えていかなければいけませんね。

 

 

みんなが利用するからこそ、誰もが安全安心に使える建物を!

みんながつかうたてものだから』(絵本) サジ ヒロミ/著 偕成社

最後は、ユニバーサルデザインの建物を物語仕立てで解説している、絵本をご紹介したいと思います。市民合唱団の発表会へ行くことになった、まあちゃんは、その会場となっている建物で、お父さんからいろいろなことを教えてもらいます。車イスマークの話、みんなが使えるスロープのこと、点字ブロックを必要とする人がいることなど、まあくんにとって、それらは初めて聞くことばかりでした。障害がある人、無い人、様々な年代の人・・・みんなが使う建物だからこそ、誰もが便利で安全であることを意識して建てられたのだということが丁寧に描かれており、ユニバーサルデザインの考え方がよくわかる絵本です。

 

 

まとめ ~障害を知ることからユニバーサルデザインを考える~

 

いかがでしたか?この中で、気になる本はありましたか?

障害について書かれていて、小学生でも理解しやすい本は沢山あります。

中学生や高校生が知識を深めるために活用できる、ユニバーサルデザインの本も、意識して探せば沢山見つけることが出来ます。

少しでも気になった方は、書店や図書館で、ぜひ、現物を開いて内容をご確認してみてください。私がこれらの本から得た”気づき”以外にも、きっと、様々なメッセージを作品から感じ取って頂けるのではないかと思います。

この記事が、本を必要としている全ての人にとって、役立つものとなりますように・・・。

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平和学習におすすめな本

「平和学習」とは

 

日本では、小学生の高学年くらいから少しずつスタートをし、中学生になると本格的に学校で学ぶこととなる平和学習。主に、第二次世界大戦、日本でいうと太平洋戦争における戦争被害を学ぶのが一般的で、中でも特に広島と長崎の原子爆弾による被害、地上戦の舞台となった沖縄の被害などを中心に学習しています。最近は戦争の悲惨さばかりに注目をしてしまっているように感じますが、本来は、過去に犯した過ちについて学び、それがどうして起こったのかを理解することによって、同じことを繰り返さないようにすることが目的であるべきであり、生徒の皆さんには、この機会に、現代の日本や世界の国々が、戦争を起こさないためにはどうしていくべきなのかまでを具体的にしっかり考えて討論してもらえたらと思います。

まずは、歴史上の客観的な事実を学び、この時代に生きた人々の生の声に耳を傾けてみてください。今回は第二次世界大戦の資料に限らず、あえて、忘れ去られつつある第一次世界大戦や、つい最近になって収束宣言されたばかりのイラク戦争の資料も少し紹介しています。これらの資料が、どうすることで戦争を回避することが出来るのかを考えるきっかけになればと願います。

 

 

 

平和学習におすすめな資料

 

 

第二次世界大戦

『オバマ大統領がヒロシマを訪れた日』 広島テレビ放送/編 ポプラ社 

2016年5月27日、現職のアメリカ大統領として初めて広島を訪れたオバマ大統領の歴史的スピーチを、付属DVDの映像と文章で収録。大統領と抱擁を交わした森重昭の手記と、外交ジャーナリスト手嶋龍一の解説も掲載。【「TRC MARC」の商品解説】

全文が収められているので、価値ある一冊です。

 

第二次世界大戦

『戦争体験を「語り」・「継ぐ」』 大石 学/著 学研プラス

戦争を知らない世代が、「どうやって戦争体験を語り継いでいくか」ということを考えるための本。広島、長崎、沖縄をはじめとする日本各地の「戦争体験を「語り」・「継ぐ」」活動や、平和を訴える世界の活動を紹介する。【「TRC MARC」の商品解説】
これから私たちに何が出来るのかを考えるきっかけになる本です。

 

第二次世界大戦

『戦争とくらしの事典』 ポプラ社 

赤紙、出征、学童疎開、教育勅語、国民報、隣組、防空ごう・・・。1935年から46年ごろまでの日本のくらしを理解することば72とコラム12を収録。豊富な写真をながめるだけでも、戦時中のくらしを感じることができます。【「TRC MARC」の商品解説】

写真や解説文から戦時中の市民のくらしがよくわかる一冊です。

 

第二次世界大戦

『学級日誌 瀬田国民学校五年智組』 偕成社 

戦時中、瀬田国民学校5年生の女子生徒が描いた学級日誌の全記録。鮮やかな色彩の絵日記に、日誌中の原文を書きおこした文章と当時の思い出を添えて収録。1944年~1945年の国民学校の生活を雄弁に語る資料。【「TRC MARC」の商品解説】

戦時中、子どもたちがどういった心持ちでいたのか、また、学校での生活ぶりを知ることが出来ます。

 

第二次世界大戦

『被爆者 60年目のことば』 会田 法行/著 ポプラ社 

被爆から60年。広島・長崎に生きる6人の被爆者のことばを、彼らの写真とともに紹介する。そのことばは、被爆体験が歴史上の出来事などではなく、いまもなお深い悲しみが消えることなく彼らを包んでいることを教える。【「TRC MARC」の商品解説】

時は流れても決して風化させてはならない、「戦争の怖さ」は、同じ過ちを繰り返さないためにもずっと語り継いでいかなければなりませんね。

 

第二次世界大戦

『絵で読む広島の原爆』 那須 正幹, 西村 繁男/著  福音館書店 

生存者の証言をもとに再現された広島の町とそこに暮らす人々の様子を描いた絵本。現実の光景と50年前とを見較べることができる。核兵器の原理や放射線障害など被爆50年間の核に関する基本的な知識も盛り込んでいる。【「TRC MARC」の商品解説】
絵本というよりは絵が豊富な資料集という感じです。絵によって当時の様子や核について解説されているので、小学生でも読みやすいと思います。

 

第二次世界大戦

『10代がつくる平和新聞ひろしま国』 中国新聞社/編 

公募で選ばれた広島のジュニアライターが平和について取材を重ね、記事を書いた、『中国新聞』の特集企画「ひろしま国」50号分のダイジェストを収録。取材生活を小説風に書き下ろした物語なども併録。【「TRC MARC」の商品解説】
子どもが調べてきたことといっても、侮ることなかれ。戦時中の広島の様子がよく調べられていて、資料集としても十分使える一冊です。学習したことを新聞等にまとめる学校ならば、得た情報をまとめる上で参考にもなると思います。

 

第二次世界大戦

『知らなかった、ぼくらの戦争』 アーサー・ビナード/著  小学館 

「敵性語」を習い、「毒ガス島」で働き・・・。もと「敵国の詩人」が耳をすまし、つかみとった「生きつづける体験」。文化放送「アーサー・ビナード「探しています」のうち、23名の戦争体験談を採録し、加筆・修正して再構築。【「TRC MARC」の商品解説】
加害者であり被害者であった戦争当事者たちの体験談が読みやすくまとめられています。

第二次世界大戦

『わたしたちの戦争体験』 日本児童文芸家協会/監修 学研教育出版 

戦争体験を伝え、戦争について考えるきっかけとなる本。10は、戦後の成長・発展に関する体験者の証言や、当時の様子などを物語で紹介する。用語の解説や写真、資料ページも充実。【「TRC MARC」の商品解説】
シリーズ1~10まで出ており、戦場の様子から家族や学校での様子、そして戦争の終わりまでがこのシリーズで学べます。

第二次世界大戦

『アンネのこと、すべて』 アンネ・フランク・ハウス/編 ポプラ社 

アンネが生きたのはどのような世界だったのか?ユダヤ人は、なぜ迫害されなければならなかったのか?「アンネの日記」の著者アンネ・フランクの誕生から死、アンネの関係者の現在までをたどる。ミニページあり。【「TRC MARC」の商品解説】
日本でもよく知られる『アンネの日記』ですが、こちらは写真や様々な資料からアンネの生きたドイツのことが良くわかります。

イラク戦争

『ぼくの見た戦争』 高橋 邦典/写真・文 ポプラ社 

戦場では人の死がとてもすぐそばにある。2003年3月。イラクが大量破壊兵器をもっているという理由で、戦争になるかもしれない緊張感が高まりつつあった。アメリカ軍に従軍した日本人カメラマンの記録。【「TRC MARC」の商品解説】
戦争が「過去」のものではないこと、日本だっていつ戦争が起こっても不思議ではないことが、いくら平和ボケしていても、この本を見れば気づくことでしょう。日本人カメラマンの撮った写真はそれほど生々しく戦争を捉えています。

第二次世界大戦

『沖縄の戦争遺跡』 吉浜 忍/著 吉川弘文館

米軍との激しい地上戦が行われた沖縄。司令部壕、砲台、トーチカ、住民避難壕(ガマ)、収容所など、今も残っている数千件の戦場遺跡から厳選し、豊富な写真と現地調査に基づく平易な解説で、沖縄戦の実態に迫る。戦跡めぐりに最適。【「TRC MARC」の商品解説】
修学旅行で沖縄に行く学校の生徒さんは必見です!

第二次世界大戦

『沖縄戦を生きぬいた人びと』 吉川 麻衣子/著 創元社 

戦中戦後、言葉にはできなかったけれどずっと想い続けていたこと・・・。これまでに500名を超える、「沖縄戦」を体験した人びとと対話してきた臨床心理士が、語り手の揺れ動く想いを、数々のエピソードをもとに記す。【「TRC MARC」の商品解説】
先程と違い、こちらは沖縄の戦争を体験された方々の話です。涙なしには読めません・・・。

 

平和学習におすすめな読み物

 

太平洋戦争

『あんずの木の下で-体の不自由な子どもたちの太平洋戦争-』 小手鞠 るい/著 原書房 

昭和7年、日本で初めて設立された、手足の不自由な子どもたちのための「光明学校」。戦時中、学童疎開の対象外にされた生徒たちを自力で疎開させた校長先生の苦労や、生徒たちの長く辛い疎開生活を描いたノンフェクション。【「TRC MARC」の商品解説】

戦時中、体の不自由な子どもたちがどのように生きていたのかを知ることができる読み物です。

第二次世界大戦

『永遠の0―ゼロ―』 百田 尚樹/著 講談社 

生への執着を臆面もなく口にし、仲間からさげすまれたゼロ戦パイロット。「生きて帰る」という妻との約束にこだわり続けた男は、なぜ特攻を志願したのか?はるかなる時を超えて結実した、苛酷にして清冽なる愛の物語。【「TRC MARC」の商品解説】
フィクションですが、当時はあちこちでこういった悲劇が起こっていたのですよね。物語の時代背景を見つめるきっかけとなる一冊です。

第二次世界大戦

『ヒトラーと暮らした少年』 ジョン・ボイン/著 あすなろ書房 

ドイツ人の父とフランス人の母親との間に生まれ、パリで暮らしていた少年ピエロは、両親の死によりベルクホーフの叔母に引きとられる。ヒトラーと出会ったピエロは、彼の強いリーダーシップに惹かれ、変わりはじめた・・・。【「TRC MARC」の商品解説】

フィクションですが、時代背景が良くわかり、教科書でヒトラーを知るよりも身近なこととして捉えられる小説です。

第二次世界大戦

『アンネの日記』 アンネ・フランク/著 文藝春愁 

新しい冗談とか悪戯などを思いつく張本人。いつもお山の大将で、不機嫌になることがなく、けっしてめそめそ泣いたりしない。等身大のアンネがよみがえる。未発表の日記を追加し、ルビを増やして中学生から読める、増補新訂版。【「TRC MARC」の商品解説】
迫害されたユダヤの人たちが当時どのような生活を送っていたのかが、アンネの日記を通して知ることが出来ます。

平和学習におすすめな絵本

 

第一次世界大戦

『世界で一番の贈りもの』 マイケル・モーパーゴ/作 評論社 

 

第二次世界大戦

『さがしています』 アーサー・ビナード/作 童心社 

 

太平洋戦争

『かわいそうなぞう』 土屋 由岐雄/作, 武部 本一郎/絵 金の星社 

 

第二次世界大戦

『ちいちゃんのかげおくり』 あまんきみこ/上野紀子 あかね書房 

 

第二次世界大戦

『一つの花』 今西 祐行/作, 伊勢 英子/絵 ポプラ社 

 

第二次世界大戦

『だれにも話さなかった祖父のこと』 マイケル・モーパーゴ/作 あすなろ書房 


 

 

いかがでしたか?

気になる本がありましたら、近隣の図書館や書店で現物を手に取って、ページを捲ってみられることをお勧めします。二度と「戦争」という悲劇をもたらさない為にも、自分の頭で考えて学習してみてください。

 

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中学生が勉強にやる気を出したい時に、司書がおすすめする15冊

自分でモチベーションを上げよう

しなければならないことは沢山あるのに、どうしても気分が乗らない・・・そんなことってありますよね。大人にもあるんです。食べた後の食器の片づけ、取り込んだ洗濯物を畳むこと、家中に掃除機をかけること、疲れている時に終わりの見えない子どもの話を聞くこと、全て放り出したくなることがあるんです。そんな時、大人はどうしていると思いますか?ずっと放り出したままでいたとして、誰かが変わってやってくれますか?・・・そんなことはありませんよね。それらは自分がやらないとそのままの状態で何も変わらないです。ひょっとしたら、気の利く誰かが気づいて、それらを変わりにしてくれることもあるかも知れませんが、それは「絶対」ではありません。大体の場合、その、しなければならないことは、どんどん膨れ上がって更に大掛かりなことになっていくのです。

大人はこのような、気分が乗らない時をどう切り抜けるのか。思い切って、「これはまとめて土日に必ずする!」と決めてしまうなど、いろいろ方法はありますが、中でも多いのは、自分の好きな曲を掛けたり、コーヒータイムを取る時間を決めたりと、自分自身のモチベーションを上げることで気分を変えて切り抜ける方法です。

みなさんも、勉強をしなければならないけれど、気が乗らない・・・そんな時、ぜひ、この方法を実践してみてください。

モチベーションを上げる方法は色々ありますが、実は読書もその一つです。今回は、中学生が勉強にやる気を出したい時におすすめできる本を15冊紹介しますので、これらを読んで、ぜひ、自分自身のモチベーションを上げてください。

紹介する本の中には、目からうろこの勉強方法や、今からでも取り入れやすい勉強方法が載っていたりするものもあるので、参考にもなるのではないかと思います。

 

中学生が勉強にやる気を出したい時に、おすすめの15冊

 

インテリ芸人から勉強方法を学んで、やる気UP!

『京大芸人』菅 広文/著 講談社

「芸人になったとき売りになる」。たったそれだけの理由で、相方(宇治原)に京大を受けるよう勧めたロザン菅さんのエッセイです。しかし、ただの芸人のエッセイだと侮ることなかれ。この本には、「高性能勉強ロボ」と菅さんが呼ぶ、相方宇治原さんの学生時代の勉強の仕方についての発言がいろいろと載っていて、読むとかなりタメになります。例えば、歴史に関しては「ひと続きのドラマやと思ったらええねん」。「平安の貴族が自分の土地を守るために農民に武器を持たせたら、強くなって武士になり、立場が逆転して鎌倉に幕府を開いたという流れ」で覚える…など、歴史は問題を解かずに教科書をただひたすらに読むという勉強方法に納得してしまいます。もちろん歴史以外の勉強方法も沢山載っていて実践してみたくなりますが、学生時代の宇治原さんの勉強スケジュール、年間計画もぜひ、参考にしてみてはどうでしょうか。
 

せいとさんの声
せいとさんの声

地味な表紙で気が進まなかったけど、お勧めされて読んだら意外に面白かった。
考え方や勉強の仕方が面白くて、モチベーションが上がる!(生徒さん談)

 

正しい勉強方法を身につけて、やる気UP!

『中学の勉強のトリセツ』梁川 由香/著 学研プラス

こちらはマンガ部分と解説部分に分かれています。マンガ部分は某通信教材の宣伝チラシのマンガのようですが、解説部分で、勉強の心構えから各教科の攻略法、定期テスト対策など、かなり具体的な勉強方法を教えてくれています。解説部分はページを開いて、右ページに文で詳しい説明、左ページに右ページの内容を絵や図でかみ砕いて分かりやすく説明がしてあり、とても分かりやすいです。長く塾講師・家庭教師として働いてきた著者が、実際にこれまで担当してきた生徒さんたちの悩みや頑張りを思い出しながら作ったということもあり、読み手である学生の皆さんの「知りたい」をピンポイントに押さえられている参考書です。
 

せいとさんの声
せいとさんの声

中1でこれに出会いたかった・・・。(生徒さん談)

 

できることから始めて、やる気UP!

『受験生すぐにできる50のこと』中谷 彰宏/著 PHP研究所

まずは(目次より前にある)最初の数ページに、タイトルにもある「受験生すぐにできる50のこと」が箇条書きのような形でサラッと載っています。見ると、「過去問を先にやろう」、「英単語を先に増やそう」といった勉強に直結したものから、「朝日を浴びよう」、「二度寝しない」といった、生活面でのこと等、内容はいろいろですが、見れば確かに、どれもすぐに実行に移せるものばかりです。内容を読んでいくにあたって、これらの意図するところが分かる仕組みになっています。

また、ページの最後の方には「受験生こんなときはどうしたらいい?」という質問一覧が載っていて、例えばQ1「勉強の敵は何ですか?」の下にこの質問に対する答えとなるページ数が明記されていて、ここを開けば「ストレスをためないことが大切」だと教えてくれます。そしてこのページの最後に「受験生すぐにできること01:親とも、きょうだいとも、先生とも喧嘩しない」と書かれていて、つまりは前(50の箇条書き)からも後ろ(質問一覧)からも読むことが出来るので、自分の得たい情報から知ることが出来ます。
 

せいとさんの声
せいとさんの声

出来ることから始められそう。朝読書の時間にいつも読んでいる。(生徒さん談)

 

誰かに知ったかぶって、やる気UP!

『似ている英語』おかべたかし/文 東京書籍

人気シリーズが5作目で英語バージョンになりました。『目でみることば』シリーズや『似ていることば』等、これまで日本語の「ことば」に注目してきたシリーズですが、今回は日本人が疑問に思う、2つの英語の違いが写真と補足説明で大変わかりやすく説明されています。

例えば、牛は英語でCOWですが、このCOWとOXの違いが本書では紹介されています。日本語では牛は「牛」…ただその呼び名に限りますが、英語で牛は、メスの牛はCOW、肉牛として飼育されやすいよう去勢されたオス牛のことをOXと呼ぶのだそうです。日本語ではどちらも「牛」ですが、英語圏の人々にとって牛はとても身近な家畜であったために、細かく呼び名が分けられていて、言葉から文化の違いを知ることが出来ます。この他にも、日本人からすると違いが曖昧であったりする英語の違いに、本書では的確な説明文を添えて写真で比較したものが沢山載っていて、見ると、誰かにうんちくを語りたくなるのではないでしょうか。物事は人に話したり、口に出したりすることで忘れなくなると言います。覚えたての知識を誰かに知ったかぶって語り、自分のものにしてしまいましょう。
 

せいとさんの声
せいとさんの声

写真で単語の違いがわかるところが良い。
テスト勉強で役立ちはしないが、見てるだけで面白い。(生徒さん談)

 

内容を理解すれば面白さに気づいて、やる気UP!!

『発見!古典はおもしろい』面谷 哲郎/文 偕成社

こちらは絵本です。絵本ですが侮ることなかれ、『平家物語』や『今昔物語』等の古典文学を基にしていたり、『方丈記・徒然草』、『日本霊異記』等を参考文献として挙げていたりと、古典文学の話をかみ砕いて小学生でもわかるような内容にしたものが本書です。文法に苦しめられ、敬遠されがちな古典文学ですが、楽しみながら内容を理解すること、物語に興味を持つことに重点を置くと古典がもっと身近に感じられます。シリーズ3巻共に、落語や民話の基になった話ばかりなので、「似た話を聞いたことがあるな」と思う人もいるかもしれません。案外、古典文学は私たちのすぐそばに「昔話」としてごろごろ転がっているのかも知れませんね。

授業やテストに出る古典文学を既に知っているか、いないかが、やる気UPに大きく関係してくることは言うまでもないでしょう。
 

せいとさんの声
せいとさんの声

絵本だったら、妹に読み聞かせて自分も覚えられる気がする。(生徒さん談)

 

成功体験を読んで、やる気UP!

『バカヤンキーでも死ぬ気でやれば世界の名門大学で戦える』鈴木 琢也/著 ポプラ社

やる気を出すのであれば、成功者の話を聞くのが一番手っ取り早く、効果的です。同時に勉強のノウハウも得ることが出来、一石二鳥です。こちらの著者である鈴木琢也さんは、元はヤンキーからのとび職人でしたが、ある時、外資系に勤めていた父親が仕事で表彰され、周囲から尊敬される姿を目の当たりにして人生を変えることを決意されたそうです。一から勉強をし直してIT企業へ再就職後、UCバークレー校を目標に米国留学を決意されました。その間の、沢山の物語・・・本書に収められているのは、そういった著者がしてきた経験や模索してきた勉強方法です。ただ勉学に励むのではなく、その先に何を見て、何を目指して勉強をするのか、一皮むけるための心構えをぜひ、本書で感じ取ってみてください。
 

せいとさんの声
せいとさんの声

表紙の人がカッコイイ。
ストーリーに入り込むまで時間がかかるけど、一度入り込むと面白くてサクサク読める。(生徒さん談)

 

しっかり学習計画を立てて、やる気UP!

『中学生からの勉強法―未来を切り開く学力シリーズ―』小河 勝(ほか)/著 文藝春秋

小学生と中学生とでは色々と変わること、変えていかなければならないことがありますが、勉強もその一つです。意識をして勉強方法を変えていかなければ、後々、大変な目に遭うことになるでしょう。こちらの本はそういった中学生からの勉強方法が沢山紹介されていて、「どう変えていけばいいのかわからない」、そんな新中学生たちに大いに参考にして頂きたい一冊です。本書のカバーには、本書の4つの特長として次のように説明書きがあります。「大人になっても通用する」、「社会の求める学力から各教科の最新の勉強方法がわかる」、「学校生活の悩みにすべて答える」、「『未来を切り開く学力シリーズ』の先生が執筆」。これらの特長を前面に出して、毎日の勉強の仕方から高校入試までを解説している本作品。中学三年間の学習計画にも役立つので、読んでやる気UPに繋げてください。

読んで実践すれば、やる気UP!

『高校受験すぐにできる40のこと』中谷 彰宏/著 PHP研究所

こちらは、少し前に紹介した『受験生すぐにできる50のこと』と同じ作りになっていて、(目次より前にある)最初の数ページに、タイトルにもある「高校受験すぐにできる40のこと」が箇条書きのような形でサラッと載っています。そこから気になる項目ページにとんでみるも良し、目次からページを捲ってみるも良しですが、今回は目次から捲って本書を紹介したいと思います。

まず、目次で見ると、第一章は「やる気を高めるには」となっていて、今回の記事にピッタリの内容です。第一章の項目は全部で9つ。「伝記を読むと、やる気がわいてくる」、「具体的な目標を壁に張ると、一皮むける」等、目次だけを見てもどれも面白そうな興味深い内容です。どれもすぐに実行出来そうなことばかりなので、読みながら行動に起こしてみてください。何事にも行動するがごとしです。受験までに、やれることは全てやってみましょう。

社会科は歴史漫画を読めば攻略できると知って、やる気UP!

『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』坪田 信貴/著 角川書店

こちらは有村架純さん主演で映像化したので、ご存知の方も多くいるのではないかと思います。もちろん、これまで勉強してこなかった一人の少女が凄い目標を達成したストーリーとして楽しむことも出来る作品ですが、忘れてならないのは、この作品を書いたのが敏腕塾長であるということです。本書には、歴史漫画をひたすら読むことで歴史の流れを理解する等、これまで何度も生徒の偏差値を短期間で上げることに成功してきた著者が、物語の中に、受験に向けた勉強の仕方を沢山散りばめています。更に、目標・計画の立て方やモチベーションの上げ方についても詳しく綴られています。

著者は目標とする夢がない子にこんな聞き方をするそうです。

「君の目の前に、神様が現れたとする。そして、キラキラ光る銀色のプラチナチケットを渡してくれる。そこに、君のしたいことを書けば、①どんな大学でも学部でも必ず合格させてくれる、➁その実力をつけてくれる、③環境も用意してくれる、とする。こんなすごいチケットをもらったら、君は何をしたい、と書く?」(『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』より)

こう質問すれば、これまで夢も目標も持たなかった子からも、色々な答えが出てくるのだそうです。色々な縛らみが外れると、人は本来の純粋な気持ちと向き合えるのかもしれませんね。多くを得られる本だと思うので、ぜひ、一度読んでみてください。
 

せいとさんの声
せいとさんの声

これを読んで、クリスマスプレゼントに歴史漫画セットを全巻買ってもらった!(生徒さん談)

 

「わからない」ところが「わからない」が無くなって、やる気UP!

『わけがわかる中学理科―わけがわかるシリーズ―』学研プラス/編者 学研プラス

こちらは、問題をクイズ感覚で解いていくだけで、わからないことが払拭されていくので、友達と遊びながら問題を出し合うことにより共にやる気を高めていくことが出来ます。解説ページでは、できごとや現象の「理由」と一緒に関連事項も抑えることが出来るので、いつも暗記作業で行き詰ってしまう人に、ぜひ、お勧めしたいシリーズです。難しい言葉だけを丸暗記しようとしても、知識を得ることには繋がりません。それは何の意味があるのでしょうか。この本は、言葉を丸暗記ではなく、物事の本質を理解することに重点を置いています。まずはクイズ感覚で問題を解いてみて、自分の知らない知識に気づけたら、なぜそういった答えになるのか、解説ページでぜひ理解を深めてみてください。

ノートが変わったら、やる気UP!

『東大合格生のノートはかならず美しい』太田 あや/著 文藝春秋

こちらは、なかなか新しい形の参考書です。”新しい”と言っても、シリーズは既に第3弾(H31.3現在)まで出ていますが・・・どちらを読んでもテンションが上がります。特に受験生であれば尚のこと、やる気UPに繋がるのではないでしょうか。

株式会社ベネッセコーポレーションで「進研ゼミ」の編集に携わっていた著者が、その後フリーランスになり、東大合格者である高校生のノートの共通点を分析して本にしたのが本書です。なんと、その為に集めたノートは175冊。分析を重ねた結果、本書では沢山の東大生のノートを原寸大でそのまま載せて、科目別、性格別に分けてそれぞれ紹介しています。

上手な情報のまとめ方、自分に向いていると思うノートの取り方を見つけるなど、勉強の参考にしてみてはどうでしょうか。家庭学習だけでなく、授業を受ける心構えもきっと変わるはずです。
 

せいとさんの声
せいとさんの声

本物のノートのような作りで、眺めるだけで面白かった。(生徒さん談)

 

やる気を持続させる術を学んで、やる気UP!

『勉強のやる気が持続できるモチメンの教科』池末 翔太/著 広陵社書店

こちらは、カバーにも記載されていますが、これまで紹介してきた「やる気UP」の本とは少し違い、勉強のやる気が持続する本です。タイトルにもある「モチメン」とは、「モチベーション・メンテナンス」のことであり、著者曰く、「それ(モチベーション)を持続できるようなメンテナンスをしているか、していないかで、勉強の成果は大きく変わってくる」のだそうです。本書にはこういった、やる気を長続きさせるためのノウハウが色々な観点から書かれています。著者自身、学生時代に勉強の仕方を追及し、「勉強の才能がなくても、小さな工夫は誰でもできるんだ」と、自分にあった勉強スタイルを探してきた経験が本書の中にも見え隠れしています。

自分は勉強を始めようと決心しても、いつも長続きしないと感じている人は、ぜひ、一読してみてください。

工夫一つで、やる気UP!

『今すぐできる!中学生の勉強法』親野 智可等/著 PHP研究所

こちらの本では、家庭学習がうんと楽になる工夫や、学力アップの裏技等、勉強の悩みを解決するための様々な工夫が提案されています。もちろん、タイトルの通り、今すぐできるちょっとした工夫ばかりなので、大掛かりなことは何一つ必要ありません。この中から自分のやりやすいものを試して、自分独自のやり方を工夫して見つけていってください。

時間管理のワザの一つに、「模擬時計」の工夫が紹介されていますが、大人でも様々な場面で応用が利きそうです。このような大人になってから使えそうな工夫も沢山載っているので、学生時代に工夫をすることで乗り越えられる経験を沢山積んで、勉強だけでなく、社会に出た時に工夫一つで問題解決出来る力を備えていてほしいです。

 

ルールを守って、やる気UP!

『13歳からの勉強ノート 必ず成績が良くなる40のルール』小野田 博一/著 PHP研究所

こちらは、前書きによると、やる気のない人がやる気を出す為の本ではなく、元々「やってやるぜ!」と勉強に対する意欲をメラメラと燃やしている人に向けて書かれた本だそうです。しかし、読んでみると「これだったら自分でも出来るかも」と勉強を苦手としてきた子たちのモチベーションも上げるに違いない言葉でひしめき合っています。例えば、「暗記をする必要は無い」、「学習マンガを読もう」、「友人と勉強の話をしよう」、「宿題は必ずしよう」等です。これなら誰だって気楽に取り組めるはずです。ルールと言われると少し堅苦しく感じてしまいがちですが、ここに書かれていることは決して無理難題ではありません。勉強に意識を向け始めた人はぜひ、読んでみてください。
 

せいとさんの声
せいとさんの声

これをやってこなかったから、今、成績が悪いのか・・・と思った。(生徒さん談)

 

読めば自然と英語の語彙が増えて、やる気UP!

『英単語の語源図鑑 見るだけで語彙が増える』清水 健二(ほか)/著 かんき出版

最後に紹介するのは、英語に関する参考書です。これまで、やる気UPややる気を持続させる方法、いわゆる勉強の方法が書かれた本を多く紹介してきましたが、こちらは英単語の覚え方が載った、実際の勉強に利用して頂きたい一冊です。

日本語にも語源があるように、英語にも多くの言葉の基本となった言葉が存在します。本書はこういった語源を学んで英単語を沢山覚えてしまおうというものです。前書きの著者の言葉を借りて言えば、本書の特長は「より少ない時間でより多くの単語を身につけることができる」ということであり、勉強以外にも色々な事に時間を使いたい中高生にとっては興味を引く参考書の一つなのではないでしょうか。

著者自身、大学時代にどうしても「lavatory(トイレ)」と「laboratory(実験室)」の区別がつかず、苦労した経験があったそうです。そんな時、改めてじっくりと単語を見比べてみると、「laboratory」の中に「labor」という「労働」を意味する単語が隠れていることに気づき、語源辞典を調べてみると「labor(労働)」+「ory(場所)」という記述があり、「”労働する場所”だから実験室なのか・・・」と、目からうろこの体験をしたそうです。このように、語源から英単語を覚えると、似た単語を誤って覚えることも無くなり、連想的に語彙を増やすことも出来ます。英語を苦手とする人は、ぜひ、この参考書の語源学習を取り入れてみてはどうでしょうか。

 

 

 

 

大切なのは、モチベーションを保つこと

いかがでしたか?参考になりそうな本、モチベーションの上がりそうな本はありましたか?

しかし、ここからが大切です。

これらの本を読んで、やったつもりで終わらせることがくれぐれもないようにしてくださいね。何事も継続は力なりです。一日数十分の勉強が、気づけばあなたの武器になっているはずです。何も受験だけのことを言っているのではなく、長い目で見て社会で生きていく上での武器となるのです。学生時代に勉強をすることにより、教養が付くことはもちろんですが、正しい勉強方法をマスターすることは人生のいろいろな場面で役に立つことでしょう。

今回紹介した本の何れかを読んで、「これなら、自分も出来るかもしれない」と思った人は、実際に踏み出す一歩が大変重要です。モチベーションをしっかりキープしたまま、自分にあった方法で受験勉強を頑張ってください。

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小・中学生職業調べにおすすめの本20冊

 

キャリア教育で図書資料を活用しましょう

いつの頃からか、中学生は職業について調べ、社会のマナーや働く姿勢等について学んだ後、地域の会社や商店へ職場体験へ行くようになりました。最近ではネットに頼った調べ学習から企業の人を招いた講演型の授業まで、キャリア教育の方法も学校により様々ですが、司書としては、こういった調べ学習の場でこそ、資料を自分で探して答えを見つける方法を一緒に学んでほしいと思うわけです。せっかく学校に図書室があるわけですから、どんどん資料に触れて、知識を手に入れてほしいです。

今回、小・中学生のキャリア教育(職業調べ)におすすめな本を20冊集めました。将来の夢に具体的なビジョンを持ちたい人は、ぜひ、学校の図書室や近隣の図書館で資料を探してみてください。

 

小・中学生のキャリア教育におすすめな20冊

就きたい職業がまだない人は、これ!

『新13歳のハローワーク』 村上 龍/著 幻冬舎

将来就きたい職業が、まだ決まっていない人は、そこから見つけていかなければなりません。そこで身近な「授業科目」から職業を絞っていけるのがこの『新13歳のハローワーク』です。誰にだって好きな科目、苦手な科目があると思いますが、今現在好きであったり得意であったりする科目の項目を引けば、その分野の仕事を見つけられるようになっています。

例えば、「国語」が好き・興味がある という項目を引くと、更に、

 

 1.随筆や物語を読む

 2.詩や作文など文章を書く

 3.詩や文章を朗読する

と分かれているので、その中から自分の好きなことのページを見てみます。

私を例にすると、どちらかというと読むより書く方が好きなので、2.の「詩や作文など文章を書く」という項目を引いてみます。すると、いろいろな職業が出てきます。作家、コピーライター・・・。どんな職業が自分に向いているか知ることが出来るので、この本を職業調べの始めに開いてみてください。

 

 
職種から仕事を選びたい&働く生きた声を聞いておきたい人は、これ!

『あこがれ仕事百科』NHKラジオ第1「きらり10代!」制作班/編 実業之日本社

こちらは、「接客・サービス系」、「専門・技術系」等、職種ごとに職業が分かれて載っています。大体どの分野の仕事に就きたいか定まっている人は、その職種に関係のある職業について理解を深めるのに調度いいかも知れません。

例えば、「接客・サービス系」の項目を開いてみると、ホテルフロントや看護師、バスガイド等、9種類の職業が紹介されています。各々の職業の紹介ページでは、実際にそこで働いている先輩たちの生の声を聞くことが出来るので、理想と現実との間にうまれるギャップを最小限に抑えられるかも知れません。この本のインタビューに答えている先輩たちにも、進路を迷った時期があったのです。もちろん、自分の未来をイメージ出来ている人だけでなく、全く将来のビジョンが見えていない人にも、こういった先輩たちから発せられる言葉はとてもためになります。本書にも、次のような記述が見られます。

君が、「何になりたいか、まだ決められない・・・」と思っているなら、何も無理に決めなくてもいいのではないでしょうか?この本で紹介した仕事人の多くも、君たちと同じように、10代のころは迷っていました。この本には、迷っていた先輩たちからのメッセージが載っています。ぜひ、そこを読んでください。これから何をすればいいのか、そのヒントに出あえると思います。(『あこがれ仕事百科』NHKラジオ第1「きらり10代!」制作班/編 実業之日本社 P.4)

将来を考え始めた時に、ぜひ、手に取ってもらいたい一冊です。

 

楽しみながら仕事のイメージを膨らませたい人は、これ!

『こどもおしごとキャラクター図鑑』 給料BANK/著 宝島社

こちらは日本の職業をゲームキャラクターのように紹介しています。職業のイメージから能力や装備を説明しており・・・と、ここまでの説明では何のことやら分かりづらいかも知れませんが、要は、視覚と短い文章で端的にどのような職業であるか分かるようになっています。

例えば、個人的に気になる図書館司書のページを見てみると、「図書館司書」の前にキャッチフレーズが付いていました。「10万冊読んでも人生は変わらなかったけど生き方は変わりました 図書館司書」。

この本によれば、司書の能力は、

  • 獲得できる平均報:220000G
  • まほう:ブックサーチ(すぐさま探している本を見つけることができる)、ブックリターン(たくさんの読まれた本を棚に一気に戻すクリア魔法)

装備は、

  • 検索の魔導書
  • 司書のエプロン
  • カテゴライズ樹形図

となっています。これらの説明の一番下に、「図書館司書のおしごと」という欄があり、詳しい仕事内容やなり方について具体的な説明が載っています。それぞれの職業のキャッチフレーズが見ていて楽しいですね。本を普段読む習慣がない人にはもってこいな一冊かも知れません。

仕事に就いた時のタイムスケジュールが知りたい人は、これ!

『大人になったらしたい仕事 「好き」を仕事にした35人の先輩たち』 朝日中高生新聞/著 幻冬舎

こちらの本は、下のような「好きなこと」から職業を調べることができます。

  • 機械やしくみが好き
  • のりものが好き
  • 自然や動物が好き
  • 食べることが好き
  • 人と話すのが好き
  • 人を助けるのが好き
  • 絵をかいたり物をつくったりするのが好き
  • 本を読むのが好き
  • 人を楽しませるのが好き

思い当たる自分の「好き」のページを捲ると、その「好き」を仕事に結びつけた先輩たちのインタビューが載っています。(一つの「好き」項目につき、職業は2~6個ほど紹介。)その仕事に就こうと思った理由や、仕事の楽しさ、大変なことなどが事細かに話されていて、その仕事の本質がとてもイメージしやすいです。特に、その職業に就く人の一日を大まかな時間に区切って紹介しているので、これを働き方の目安とすることが出来ます。具体的なイメージを膨らませやすいので、見ていてワクワクしてくる一冊です。

小学生にもおすすめなのは、これ!

『好きなモノから見つけるお仕事』シリーズ 藤田 晃之/監修 学研プラス

こちらは4冊からなるシリーズで、それぞれ、

  1. あそびから見つける
  2. 家の中で見つける
  3. 家の外で見つける
  4. 学校で見つける

と各巻でテーマごとに職種を分けて紹介しています。一巻の「あそびから見つける」を見てみると、

  • テレビ
  • サッカー
  • 絵本
  • 音楽
  • ゲーム

に更に分けられていて、それに関係した職業が数種類載っています。

例えば、この中の「テレビ」だと、章の表紙に、テレビに関係する職種を「番組を考える」側と「番組をとる」側に括って図(絵)で簡単に把握出来るようになっています。ここで気になった職業があれば、記載ページにとんで確認が出来ます。それぞれの職業ページは、仕事の様子をカラーの写真で紹介し、実際にその職業に就いている人達に「仕事をはじめたきっかけ」や「仕事の魅力」を聞いて載せています。こちらも大まかなタイムスケジュールが載っていたり、その職業に就くためのモデルコースが簡単に図で表されていたりとイメージがしやすくなっています。1ページの中に多くの情報がとても分かりやすく載っているので小学生にもおすすめです。

掲載職種655種類!あの百科事典から特化シリーズ!

『ポプラディアプラス仕事・職業 職業図鑑 上・下』ポプラ社

キャリア教育の資料として、絶対に外すことのできないシリーズがこちら。百科事典『ポプラディア』の「仕事」に特化したシリーズです。掲載職種は655種類。これを30のジャンルに分けて紹介しています。これまで紹介してきた資料と同じように仕事内容や、やりがい、その職業に就く方法、インタビューなどが載っていますが、違う点をいえば、職業紹介ページの右上に「興味・関心マーク」というものが表示されています。可愛らしい絵で描かれたマークの種類は、機械、チーム、コツコツ等、全部で10種類あって、このマークを見て自分の興味や性格に合った職業を探すことが出来ます。職業調べの参考にしてください。ちなみにそれぞれのマークの意味をいくつかご紹介しておくと・・・

  • ものづくりマーク→自分で何かをつくりだすことが好き
  • 人と接するマーク→人と話したりかかわったりすることが好き
  • チーム→チームで役割を分担して何かをすることが好き
  • コツコツ→コツコツと何かにとりくむことが好き 等

この図鑑で気になる職業をみつけて、大体のイメージを掴んでおくと、後の調べ学習がスムーズに進んでいきますね。

職業調べで、学習のモチベーションも高まってしまう?!

『5教科が仕事につながる!』シリーズ 松井 大助/著 ぺりかん社

最初に紹介した『新 13歳のハローワーク』のような、中学生に馴染みのある「科目」から職業を調べる本が他にもあります。こちらの『5教科が仕事につながる!』シリーズは、丸々一冊、一つの科目に注目して、この科目が職業でどのように役立っているのかを紹介しています。職業調べとしてももちろん効果ある一冊ですし、学習のモチベーションを高めることにも繋がります。『5教科が仕事につながる!社会の時間』を例に見ると、

  • 「公民」を活かす仕事
  • 「地理」を活かす仕事
  • 「歴史」を活かす仕事
  • こんな分野でも「社会」が活きている

の4章からなり、例えば、このうちの「公民」を活かす仕事としては、保育士や警察官、シナリオライター等が挙げられています。中身を見て感じることとしては、この本はこれまで紹介してきた本とは少し違い、見やすさ重視ではなく、完全なる「よみもの」であるということです。興味深い体験談が沢山載っているので、普段から活字に慣れている人はもちろん、読み慣れていない人にもチャレンジしてもらいたい一冊です。

働く姿勢を学ぶなら、これ!

『きらり10代!ワークメッセージ』 NHK「GOOD JOB!プロジェクト」/編 旬報社

同じく、楽しく読んでその職業の魅力を知れるのがこちら。いろいろな分野で活躍している8人のプロフェショナルな方たちが、自分の仕事について、ただひたすらに語っている一冊です。俳優、映画監督、映像人類学者、元プロ野球選手、ジャーナリスト、ダンサー、医師、写真家といった、ジャンルが全く違う8人の人達の話は、どれも仕事への情熱で溢れています。着実に歩んできた成功ストーリーではなく、失敗談もあるからこそ、ためになるのではないでしょうか。本気で語ってくれているからこそ、胸を打つものがあります。こちらを読んで、あなたの中に「こんな生き方がしたいなあ」という気持ちがメラメラと燃え上がってきたら、ぜひ、そのモチベーションのままで職業調べをしてみてください。

「仕事」そのものについて考えを深められる本

『子どもだって哲学⑤ 仕事ってなんだろう』 矢崎 節夫(ほか)/著 佼成出版社

こちらの本は、「収入を得る」ためだけではない、「仕事」における人の概念がいろいろと書いてあります。童謡詩人である矢崎節夫さん、絵本作家の五味太郎さん、女流棋士の石橋幸緒さん、探検家で医師でもある関野吉晴さん、専修大学教授(哲学)の神崎繁さん、この5人の方々の言葉によって構成され、前半に紹介したような「世の中にはどのような職業があるのか」を書かれたものとは少し違い、もっと深いところで、「仕事」そのものについて考えを深めることが出来る本です。一見、仕事とは無縁に思える、幼い頃の記憶であったり、感情が、実は今の職業に繋がっていたり、仕事をする上でのモチベーションになっていたりするんですよね。もちろん、この本で語っている方々と同じ職種に就きたいと思っている人にとっては、それぞれの職業に就くために参考にもなるとは思いますが、それよりも、仕事は、その人の生き方なのだということこの本を通して学ぶことが出来るのではないでしょうか。「収入を得る」、そのために働くことはとても大事ですが、どうせ働くなら、「就けてよかった」と思える仕事に就けたらいいですよね。

仕事にかける、プロフェッショナルたちの意気込みを学ぼう!

『NHK プロフェッショナル 仕事の流儀』シリーズ NHK「プロフェッショナル」制作班/編 ポプラ社

こちらは、NHKで放送された番組『プロフェッショナル 仕事の流儀』を書籍にまとめなおしたシリーズです。全8巻で、どの巻も「働く心得」のようなもので溢れています。それぞれの巻は、次のようにサブタイトルが付けられています。

  1. 革新をもとめるプロフェッショナル
  2. 技をきわめるプロフェッショナル
  3. 創造するプロフェッショナル
  4. 命と向き合うプロフェッショナル
  5. くらしをささえるプロフェッショナル
  6. 食をささえるプロフェッショナル
  7. 表現するプロフェッショナル
  8. 信念をつらぬくプロフェッショナル

大体、一つの巻で5人のプロの仕事を見ることが出来るように収まっています。その仕事内容を詳しく理解できるようになるばかりか、仕事に臨む姿勢や考え方を通して、仕事の奥深さを感じることが出来ます。職場体験を前に、仕事への意識を高めるのに良いシリーズですね。

知りたいことがすぐに見つかる!

『キャリア教育に活きる!仕事ファイル』シリーズ 小峰書店編集部/編著 小峰書店

こちらのシリーズは写真や絵もカラーで見やすく表示されていて、その職業に就いている方に質問→解答という形で分かりやすい構成になっています。質問の内容は、

  • どんな仕事か
  • やりがい
  • 仕事上で大事にすることは何か
  • 仕事上で難しいと感じる部分はどこか
  • なぜこの仕事を目指したのか
  • 今までどんな仕事をしたか
  • 普段の生活で気をつけていることはあるか
  • これからどんな仕事をしていきたいか

といった感じです。分かりやすくまとまっているので、「仕事のこういうことを知りたい」と思う気持ちに答えてくれるシリーズです。シリーズは今のところ第2期まで出ていて、

  1. ITの仕事
  2. サイエンスの仕事
  3. 学校の仕事
  4. 住まいの仕事
  5. メディカルの仕事
  6. 動物の仕事

 (※第1期)

このように仕事内容で巻が分かれていて、一つの巻で6つの職業が紹介されています。小学生でも十分理解できる内容になっているので、小学生の職業調べにも活躍が期待出来そうなシリーズですね。

仕事現場の様子が、沢山の写真で伝わる!

『現場写真がいっぱい 現場で働く人たち』 こどもくらぶ/編著 あすなろ書房

こちらは、様々な現場を支える人たちにスポットをあてたシリーズです。現在、

  1. 事故現場
  2. 災害現場
  3. 救急医療現場
  4. 報道現場

この全4巻からなり、4つの現場で働く人たちを紹介しています。1巻の「事故現場」一つをとってみても、警察官、救急隊、山岳救助隊、海上保安官、フライトドクター等、一つの現場で多くの職業の人達が関わり合っていたり、場所によって出動する職業の人が違っていたり、現場の様子をいろいろ知ることが出来ます。職場体験では実際にこういった現場へ行ってお世話になるわけですから、どの現場で働く人であっても、信念を持って働いているということを忘れないでいてほしいです。沢山の写真で仕事現場の様子が伝わってきますよ。

生き残るための精神を大企業から学ぼう!

『見学!日本の大企業』シリーズ こどもくらぶ/編 ほるぷ出版

このシリーズは、日本の大企業を取り上げて、その成功の背景に見える生産、販売、経営の工夫などを紹介しています。現在、「大企業」と呼ばれるまでになった企業は、最初から山頂で胡坐をかいていたわけではありません。むしろ、大きく成長した後も、胡坐などかかず、様々な工夫をして今日に至っているわけです。そういった大企業の成長物語をこのシリーズで詳しく見ていくことは、働く姿勢であったり、精神論を学んでいるような気がします。「ローマは一日にしてならず」という言葉を思い出しますが、現在の姿になるまでの道のりは平たんなものでは決してなく、だからこそ、そこからは沢山のことが学べるのです。

結婚、出産、育児…先を見越した職業選びを考える!

『一生困らない 女子のための「手に職」図鑑』 華井 由利奈/著 光文社

こちらは、将来多くの人が通るであろう道を想定した職業調べの本となっています。ずっと自分ひとりだけの未来であれば、自分とさえ向き合えていればいいわけで、さほど職業選びに苦労はしません。ところが、人生の旅の途中で気の合う相手と出会い、結婚をし、出産、育児…となると、自分中心から一変、他人中心の生活が始まります。それはとても幸せに満ち足りたものであると同時に、これまでの生活サイクルは捨てなければいけないと言うことです。働く女性が多く活躍するこのご時世であっても、残念なことですが、女性はまだまだこの影響を受けやすく、結婚や出産を機に、退職や転職をする人が多くいるのが現状です。

この本は、育児や職場の両立に悩んで仕事を辞める前に、働く女性の現実を知っておくこと、そして、それを知った上で将来の計画を予め練っておくことの大切さに気付かせてくれます。まだまだ先の未来だと思っていますか?綺麗ごとではない現実を知っておくことは必ず自分のプラスになりますよ。

ちなみにこの本では、主に次のようなことに触れています。

  • どのような仕事内容か
  • 子育て中はどういう働き方に変わるのか
  • 大体の仕事データ(勤務場所、多い勤務形態等)
  • どのような人にあう職業か 等

各職業ページに、「資格が必要か」、「自宅で出来る仕事か」等が分かるサインも分かりやすく付いているので、とても見やすい作りになっています。女性には、もちろん読んでもらいたい本ですが、いづれ、大切なパートナーと共に人生を歩むであろう男性にも、ぜひ、読んで色々な事を感じてほしいと思います。

 

職場体験学習に特化した本の構成!

『職場体験学習に行ってきました。』シリーズ 全国中学校進路指導連結協議会/監修 学研教育出版

こちらのシリーズは、中学校で行なっているキャリア教育(生徒のみなさんがどのように生きていくかを学ぶ学習)として多くの学校で行なわれている職場体験学習に、スポットを当てています。1冊に2つの職場体験を紹介していて、沢山の写真や体験が見やすく載っています。本の構成を簡単に説明すると、

  1. 仕事内容の説明
  2. 受け入れ先の事業所での1日の仕事スケジュール
  3. 中学生の職場体験学習の紹介(体験したことによる、発見等)
  4. 職場体験に行く前に、事前に知っておくと理解が深まる事柄
  5. 体験した生徒の感想
  6. 体験先の責任者や働いている人のインタビュー
  7. 将来、その職場で働くための進路やポイント等
  8. 職場体験の事前学習・事後学習のポイントを解説

という流れになっています。職場体験学習に参加をする前に太字の部分に目を通しておくだけでも、ためになりますね。次々新しい巻が出ているので、自分が職場体験で参加する業種があるか、ぜひチェックをしてみてください。

仕事内容を分かりやすく説明した本は、これ!

『職場体験完全ガイド』シリーズ 小原 解子(ほか)/編 ポプラ社

先程とタイトルこそ似ていますが、こちらの本は、生徒さんが体験する様子ではなく、働いている人の一日や仕事内容にスポットを当てています。こちらも次々と新しい巻が出ているので、シリーズの中から自分の興味ある職業名を探してみてください。この本の構成は、

  1. 仕事内容
  2. 一日の流れ
  3. インタビュー
  4. インタビューに答えてくれた方の先輩や上司からの言葉
  5. この職業に就く方法

という感じです。この本が他の本に比べて特化している所は何と言っても、4ページに渡って(※一日の流れのページも入れると6ページ)詳しく解説されている仕事内容です。例えば看護師の仕事内容を紹介しているページでは、診察の準備から説明が始まり、治療や手術の準備・補助に関する細かい説明、患者さんへの対応、入院患者さんに対する看護の説明が写真と共に本当に事細かに載っています。仕事内容を詳しく知りたい人は、必ず開いてみるべき資料です。

動物園の獣医に興味があるなら、これ!

『どうぶつ園のじゅうい』シリーズ 上田 美弥/監修 金の星社

「動物園で獣医の仕事がしたい」、「動物園での獣医の仕事に興味がある」、そんな人におすすめしたいのが、この『どうぶつ園のじゅうい』シリーズ全3巻です。

  1. びょうきや けがをなおす しごと
  2. 赤ちゃんをまもる しごと
  3. ぜつめつから すくう しごと

となっていて、1巻では、動物への採血についてや、採った血を調べて病気がないか検査をする様子、色々な種類の動物たちへ手術をする様子等、動物の病気やけがを治療する内容が載っています。続く2巻では、動物の出産に立ち会う様子、人工哺育等について、動物の出産や赤ちゃんとの関わり方が載っていて、3巻は絶滅が心配されている動物たちの人工哺育や妊娠、手術、絶滅から動物を救う国境を越えた作戦についての紹介等、動物保護の観点から解説しています。この本の監修が長年、獣医として動物園に勤めてきた方というだけあって、この全3巻を通して見れば動物園の裏方でもある獣医の仕事の大部分が分かります。また、それぞれの巻のタイトルを見ても分かる通り、この本はおそらく小学生向けに書かれたものです。その為、1ページに沢山の写真が載っていて、その横に説明が加えられている構成となっています。見やすい作りになっているので、動物園の獣医に関心があるのであれば、ぜひ、手に取ってみてください。

仕事に熱中する姿が、働く楽しさを語ってくれる

『障がい者の仕事場を見に行く』シリーズ 小山 博孝/著 童心社

少し前までは、障害者は福祉施設で過ごすことが多く、社会に出て働く人の方が少なかったそうですが、現在では色々な障害を持っている人の多くがハンディキャップに負けることなく仕事に熱中していきいきと働いています。この本は、そういった障害のある方々の仕事場を40年近く取材をしてきた著者が、最近の10年間に見てきた仕事場の中から選りすぐって、全4巻に分けて紹介しています。1巻の「ひとのために働く」では、保育や介護など人と関わる仕事、2巻の「学校で働く」では、学校に関わる仕事、3巻の「伝統や先端の世界で働く」では、伝統に触れる仕事や先端技術を用いる仕事、4巻の「私たちのこと、もっと知ってほしいな」では、仕事場に収まらず、障害者の方たちの働き実例を紹介しながら、社会のあり方そのものを考えています。ひとつの巻には4つの職場で障害者の方が働く様子が収められていて、沢山の写真に紹介文が添えられています。

自分の存在が誰かに認められたり、誰かの助けになることは、誰にとっても嬉しいものです。「幸せ」の定義について考えた時、それはお金や地位ではなくて、誰かに必要とされることではないかと私は思います。本書の中で紹介されている方々の障害を持ちながらも、いきいきと働く様子を通して、誰かの助けになって必要とされることから得られる幸福感や、働く楽しさを見出してもらいたいです。

気になる職業について調べ倒したい人は、これ!

『なるにはBOOKS』シリーズ ぺりかん社

こちらは、ひとつの巻につき、ひとつの職業についてが紹介されているシリーズです。どの巻も、それぞれの分野にたけた方々が著者として名を連ね、仕事の魅力・現実から、なり方まで幅広く紹介しています。なんとこのシリーズ、発行元のぺりかん社さんのサイトには、「少年少女の夢を応援することを目的に刊行を開始し、現在150点刊行。現代社会のほとんどの職種をカバーする最大の職業ガイドシリーズ。」と謳われています。また、刊行したのは1971年ですが、以前出版されたものを最新の情報に改めた改訂版も多く出版されていて、常に時代の流れに沿った内容になっています。(※例えば言い回しも、看護婦→看護師、スチュワーデス→キャビンアテンダントへ変更等)

例えば、私の職業である『司書になるには』(森 智彦/著)を見てみると、構成はこのような感じです。

  1. ドキュメント:本と人をつなぐ仕事
  2. 司書の世界
  3. なるにはコース

1章の「ドキュメント」は、司書としてどこかの学校や図書館に、実際に勤めている方達の話、2章の「司書の世界」では、図書館の種類やあゆみ、詳しい仕事内容、生活と収入のこと等、幅広い情報を紹介、3章の「なるにはコース」では、適性や資格の取得方法、就職の実際等、司書になる為のかなり具体的な方法が載っています。

本書を読んで、これからの自分の進路と照らし合わせながら、どのような生き方がしていきたいかよく考えてみてください。

 

なかなか人に聞けない、給料(目安)の話が知りたい人は、これ!

『日本の給料&職業図鑑』 給料BANK/著 宝島社

最後に紹介する本は・・・実は、私が以前勤めていた学校で、「一年間で最もよく借りられた本ランキング」3位にまで登りつめた本です。生徒にとって一番手に取りやすかった職業調べの本として、今回紹介の20冊に加えることにしました。

日本の職業が271種紹介されていますが、職業の解説ページに描かれた豪華イラストに思わず突っ込みを入れずにはいられません。拳から炎(?)のようなものを出して鋭い眼差しでこちらを睨む海上保安官、弓矢に手紙をつけて、今まさに射ろうとしている郵便局員、背後にネコのスタンドのようなものを従えた劇団四季団員、トラック運転手の絵に至っては、改造人間みたいになっている始末・・・。思わず、「こんな世界で仕事がしてみたい」とつぶやいてしまいそうです。

肝心な、職業調べに役立つかどうかですが、仕事内容や採用に関する小ネタが各ページに載っています。また、タイトルにもなっている通り、その職業に就いた場合に得られる平均給料が年代別に載っているので、目安にしてください。(※ただ、手取りではないと思うので実際に自分の好きに使えるお金はこれより少ないと思ってくださいね。)

 

書籍を使った調べ学習のすすめ

なるべく、伝えたいことや伝え方の違う資料等、バランスを考えて20冊選んだつもりですが、いかがでしたか?この中から皆さんの将来に役立つ、人生を歩むガイドラインのような本が見つかることを願います。

冒頭にも書きましたが、昨今、インターネットの普及でiPadやパソコンのみに頼った調べ学習が増えてきたように感じます。学校の図書室へ生徒を移動させる手間や、本を探す時に騒がしくなって注意・・・そんなやり取りを考えて先生たちは、本を使った「調べ学習」よりも、iPadで手軽に「情報集め」を生徒にさせてしまうのかも知れません。ただ、情報収集能力をまだ鍛えている段階である皆さんには、覚えていてもらいたいのです。ネットはあくまでもは本であり図書館です。ネットの情報はその殆どが無料で手に入りますが、本は、図書館ならば図書館が、一般の人ならば書店を通して、お金を払って購入します。有料であるということは、その裏には責任があるということです。これは、お金を払って本を購入してくれた人に対して、本を書いた著者や出版社が負う責任です。この為、誤った情報ではないか、信ぴょう性があるか、色々な人の目を通して確認をし、本の品質は保たれています。

また、図書館は調べ学習の場に最適です。これは、本で調べられるから等という単純なことではなく、図書館の棚の並び、つまり本の並びから言えることです。日本にある図書館の殆どは、日本十進分類法に基づいて、本を分類ごとに細かく分けて並べられているので、目的とする本の辺りに行けば、芋づる的に調べたい事柄と関連した本に出会えることになります。ネットであればこうはいきませんよね。ネットの世界は沢山の情報が断片的に散らばっています。ネットで気になる記事を見つけて、調べ学習の突破口を開くことは良いかも知れませんが、全てをネットに頼ることは大変危険です。

一冊手に取って読んでみることで、一連の流れが理解でき、得たい情報がまとまって手に入る・・・やはり調べ学習で本に勝るものは無いと声を大にして言いたいです。

 

 

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朝読書におすすめの15冊



■ 読書は心の安らぎ ■



 

最近、朝の会前の10分を使って朝読書をしている学校が増えているようです。毎朝のことなので、何を読むか頭を悩ませている生徒さんもいるのではないでしょうか?私が学生の時にもこんな取り組みがあれば良かったのに・・・と羨ましく思う反面、学級文庫を手に取って、毎朝、嫌々ページを捲って読んだつもりになっている生徒さんを見ると何とも言えない気持ちになります。

みなさん、読書は心の安らぎですよ!学生の今だからこそ、朝なんて清々しい、すてきな時間に読書が出来るんですよ!

読みたくもない本を手に取って、ペラペラとページだけを捲る10分間は苦痛以外のなにものでもないでしょう。それで「読書が嫌い」、「向いてない」と読むことから避けるようにならないでほしいです。

朝読書の本選びの極意をここにお知らせします。

 



■ まずは10ページ読んで「合う」、「合わない」を見極める ■



なんの興味もそそられない本を嫌々手に取る前に、例えば、学校の司書さんや、先生、本をよく読んでいる大人に

「おすすめの本はありますか?」

と聞いてみてください。

そして、自分はどんなことが好きか、何に興味を持っているかなど、自分について話してみてください。担任の先生や自分に近い大人であれば、あなたの性格が良くわかっているので、あなたが好きそうな本を考えておすすめしてくれるはずです。そのおすすめしてもらった本の表紙が、例え地味であっても、

ページを開いて10ページは読んでみることをおすすめします。

10ページ読んでみて「合わない」と思ったら、読むのをやめていいのです。先程も言いましたが、無理をして読むのは、苦痛以外のなにものでもありませんから。

これから、朝読書の10分間にピッタリの本を15冊ご紹介します。皆さんの本選びのご参考になれば幸いです。まずは公共図書館や学校図書館で本を借りて、10ページ読んでみてください。その10ページでは物語の掴みにもならないかもしれませんが、自分の「読みやすい文体」か「そうでない文体」かは、10ページ読めば大体わかります。

ただし、間違ってもその10ページで、「面白くない本」とは判断しないでくださいね。ページ半分は読まないと「面白い」、「面白くない」の判断はつきません。

公共図書館にも学校図書館にも、「貸出期限」というものがあります。大体、二週間程度でしょうか。朝の10分間だけの読書であれば、この期限内に読み切れるか心配ですよね。今回紹介する15冊は、どれも読みやすい本ばかりです。おそらく、二週間あれば読み終えることが出来ます。

朝読書の時間を使って読んでみて、「面白かった!」「また読み返したい!」と感じられる本に出会えたなら、あなたも読書好きの仲間入りです。

↓  ↓  ↓  ↓  ↓



■ 朝読書におすすめの15冊 ■



SF、ファンタジー、ミステリーなど、全てのジャンルが詰まった名作!

『ボッコちゃん』星 新一/著 新潮社

短編集といえば、星 新一さん。「エヌ氏は・・・」と、物語の中に固有名詞は一切出てきません。出てくる登場人物はイニシャルで書かれています。一つ一つの話は5~6ページ程度でとても短いのですが、この短い話の中に起承転結がちゃんと収まっていて、大人になって読んで改めて凄いな~と思いました。最近は、「意外な結末」ブームで、少ないページで「そうきたかっ!」と思わず声が漏れてしまうような小説を店頭でよく目にしますが、星 新一さんの作品はそれの元祖といえるのではないでしょうか。

そういえば、一昔前にどこかのテレビ局で『東京ストーリーランド』という、面白いストーリーを募集して優れている作品はアニメにして採用する素人参加型の番組をやっていて、その番組にしょっちゅう星 新一さんの作品が採用されていたような…。『ボッコちゃん』の中にも収められている『殺し屋ですのよ』なども採用されていて…あれって、著作権とかどうだったのでしょうね。

せいとさんの声
せいとさんの声

意外に読みやすかった。小説をあまり読まない自分でも読めた。(生徒さん談)

 
 
いろんな登場人物の視点から物語が見えてくる!

『きみの友だち』重松 清/著 新潮社

この小説は、最後まで読むとその構成の素晴らしさにもう一度読み返したくなる作品です。恵美という少女とその周りの子どもたちを主人公に10の話に分けられていて、章ごとに主人公が違うので短い朝読の時間に読みやすく、内容も中学生にドンピシャです。「いなくなっても一生忘れない友だちが一人いればいい」というフレーズが印象的で、心揺さぶられます。いろいろな「友だち」の形があっていいんですよね…。

重松さんの小説は、堅苦しくない、とても読みやすい文体なので、分厚く見えても一度その世界に入ってしまえばサクッと読めてしまうものが殆どです。朝読の時間に『きみの友だち』を読破して、他の作品にもチャレンジしてみると良いかも知れません。

 

まるで「現代版アラビアンナイト」のような隠れた名作!

『不思議を売る男』ジェラルディン・マコーリアン/著 偕成社

エイルサは母親と二人で暮らしていますが、図書館で出会った男がひょんなことから母親の古道具店で働くことになり、生活は一変します。最初は怪しいこの男を不審に思っていたエイルサ達ですが、この男の巧みな話術が、客を古道具店にある品物のとりこにする様子を目の当たりにして、エイルサ達自身も男の話に引き込まれていきます。

連作短編小説であり、古道具店の品物の名前がそれぞれの章についています。

男が語るそれぞれの品物にまつわる物語は、嘘か真か…。品物によって、ファンタジーな話であったり、ホラーな話であったりと、章ごとの印象はがらりと変わります。世間では、この小説を『アラビアンナイト』の現代版と言われているとかいないとか。

 

美しい言葉が随所に散りばめられたファンタジーの世界!

『雨ふる本屋(シリーズ)』日向 理恵子/著 童心社

ルウ子が雨に降られてやってきた図書館で出会った不思議なカタツムリ。その動きはどこかルウ子を道案内しているようで…。

2018年11月現在、シリーズ4作品が出ているファンタジー小説です。これまで紹介してきた作品のように章ごとに話の内容が区切られているわけではありませんが、柔らかな文体で、頭の中でこの世界を想像しやすく、短い時間でも物語に入り込みやすい作品です。また、全シリーズ、吉田 尚令さんが挿絵を担当されていて、物語ととても合っていて可愛らしいです。

 

手短に騙されたい人はこのシリーズ!

『5分後に意外な結末(シリーズ)』学研プラス ※著者はシリーズにより異なる

この『5分後に・・・』から始まり、『5秒後に・・・』や『5億年後に・・・』なんていうシリーズまで出てしまっている人気シリーズです。タイトルの『意外な結末』の部分もシリーズによっては『恋の結末』であったりします。5分後という、そのタイトルからして朝読にはもってこいな匂いがプンプンしますが、ゴシック体のような自体で書かれているので明朝体で書かれた小説に読み慣れている人は若干読みづらさがあるかも知れません。どの話もちゃんとオチが付いていて、騙されたと感じる人もいるでしょう。手短に騙されたい人は、このシリーズを読むことをおすすめします。

 

読みだしたら癖になる、不思議な世界の入り口!

『ショートショート千夜一夜』田丸 雅智/著 小学館

現実世界から引き離されたい人にはこちらがおすすめ。

多魔坂神社で開かれるお祭りは、不思議なことだらけ。欲しいと念じたものが出てくる「ヒモくじ屋」、夜店ですくった人魚がどんどん成長していく「人魚すくい」、降り注ぐ雨を自分のものにする「雨ドーム」等、現実世界を一歩踏み外した先にある妖の不思議な世界の入り口。全20編のショートストーリーが収められています。

作者の田丸雅智さんは、2012年に『海酒』で樹立社ショートショートコンテスト最優秀賞を受賞している新世代ショートショートの旗手です。現在ではショートショート大賞の審査員長を務めるなどの活動もされている凄い方なのです。ショートショートでありながら、読み始めた途端に、魅惑的であり幻想的な世界に連れて行ってくれる作品ってそう無いと思います。この世界、読み出したら癖になります。

 

絵本では語り切れなかった二人の心情に涙!

『小説 あらしのよるに』きむら ゆういち/著 小学館

幼い頃読んだ絵本って、大人になってもずっと思い出の中にあって、大人になってからその絵本に出会ってページを捲ると、幼少の頃の思い出だったり、読んでもらった時のくすぐったい様な温もりだったり、その頃の空気感のようなものが一緒に思い出されたりしませんか?そんな絵本の小説版が出たとしたら、きっと一度は読んでみたいですよね。

絵本は絵で情報が伝わるので、文で多くを語る必要は無いですが(むしろ多く語ると面白くなさそう)、小説は語らなければ読み手に何も伝わりません。そんな、絵本ではあえて語らなかったエピソードであったりガブとメイの心情であったりがこの作品には溢れています。絵本を小説にした必要性に納得の一冊です。元が絵本なので、とても読みやすいです。

せいとさんの声
せいとさんの声

表紙に魅かれて借りました。まさか、動物が主人公の話とは思わず・・・。
絵本が基なので、文章がとても読みやすかった。(生徒さん談)

 
 
小説で読むことの良さにも気づいてほしい!

『小説 注文の多い料理店』宮沢 賢治/著 新潮社

都会から来た若い紳士が、山奥で一軒の西洋料理店を見つけます。その名も「山猫件」。彼らはそこで休憩をすることにしますが、何やらこの店様子がおかしいのです。やたらめったら、札で客に対して注文ごとが書いてあるのです。

『注文の多い料理店』は、宮沢賢治が生前に刊行した唯一の童話集です。絵本でも様々な出版社から多くの絵師によって描かれてきた作品ですが、中学生の方にはぜひ小説で読んでほしいです。絵本には絵によって感じ方が変わるところが面白かったりしますが、小説で読むと色々な気づきがあります。例えば、「色」。「い瀬戸の煉瓦で・・・」、「文字でこう・・・」、「いろのペンキ・・・」、「すぐ横にい台が・・・」、「い瀬戸の塩壺・・・」、「いろのフォークと・・・」この物語には沢山の色が出てきます。この作品における、この「色」の効果は絶大で、文字だけを追って読み進める小説だからこそ、この「色」を読み手それぞれが想像でき、物語にぐっと奥行きが生まれるのではないでしょうか。都会から来た若い紳士が滑稽に見えて笑えて、でも、この作品を通して実は宮沢賢治が伝えたいことがあるんですよね。

ぜひ、小説にチャレンジしてみてください。

せいとさんの声
せいとさんの声

先生に絵本と一緒に勧められた。小説はちょっと読みづらかった・・・。(生徒さん談)

 
 
読後感が良い!日常の中のミステリー

『晴れた日は図書館へいこう』緑川 聖司/著 ポプラ社

読書が大好きなしおりは、憧れのいとこである美弥子さんの働く図書館へ通うことが日課です。その図書館で起こる、本が絡んだ様々な事件が章ごとに綴られているこの作品。それらは大きな事件ではなく、日常の中に潜む謎ですが、どの話も本を通して人の温かさが伝わってきます。特に、60年も前に貸し出されていた本を少年が返却に来る話が、本と人のつながり、人と人のつながりを感じられて素敵でした。「どういうことかな?」と読み進めていくうちに、気づけば暖かな木漏れ日の中にいる。そんな作品です。近所にこんな図書館があったらいいのにな~なんて、読書後思いました。

せいとさんの声
せいとさんの声

図書館が好きなので、図書館が舞台の、この物語の柔らかい雰囲気そのものが好き。(生徒さん談)

 
 
昔話のあの人が法廷で裁かれる?!

『昔話法廷』NHK Eテレ「昔話法廷」制作班/編 金の星社

こんな裁判が未だかつてあったでしょうか。この物語の裁判で今まさに裁かれようとしているのは、三匹の子ブタの三男であるトン三郎です。裁判員の目線で話は進み、彼が有罪か無罪か現代の法律で裁きが下されようとしています。争点は正当防衛かどうか―・・・。章ごとに裁かれる被告人が変わりますが、昔話の登場人物が被告人であることはどの章も同じです。

NHKのEテレの人気番組が小説になったものですが、出てくる登場人物たちにププッと笑いながら、裁判員制度について理解を深めることが出来る、なかなか他にない小説です。朝読書の短い10分という時間で知識が深まればこの上ないですよね。2018年11月現在、シリーズは3巻まで出版されています。どの巻から見ても楽しめるので、目次を見て好きな昔話から選んでみるのも面白いかも知れません。

せいとさんの声
せいとさんの声

ブックトークで聞いて、借りてみた。視点を変えて見ることって大事!(生徒さん談)

 
 
まるで、味わい深い寓話集を読んでいるよう?!

『キノの旅』時雨沢 恵一/著 KADOKAWA

ライトノベルの中で一番朝読向けなのがこの作品ではないでしょうか。

キノと喋る二輪車エルメスの旅の物語です。一人と一台(?)は旅の途中で摩訶不思議ないろいろな国に立ち寄ります。「人の痛みが分かる国」、「多数決の国」、「大人の国」、「平和な国」など、それぞれ国名と呼べるものは無く、国の持つ性質で「〇〇の国」と表現されています。これらの中には、社会風刺したものなどもあり時にドキリとさせられますが、どの国でもキノが深入りすることなく次の国へと旅を続けているので、読み手側も色々な感情を持ったまま次の話(章)へ進むことになります。国と国の間には貿易や繋がりは一切なく、国の周りは城壁で覆われていて、先にも述べた通り、国はそれぞれ独自の性質を持っています。その為、例え前章の気持ちを引きずったまま、次の章へ進んでも、次が全くタイプの違った国だったりするので、いつの間にか先程の気持ちは払拭し新たな話(章)にのめり込んでいけるわけです。一話完結型なので何話から(何巻から)読んでも楽しめる作品です。

せいとさんの声
せいとさんの声

この世界観が好き!挿絵も可愛い。(生徒さん談)

 
 
3分間に一回、騙されよう!

『ラストで君は「まさか!」と言う(シリーズ)』PHP研究所/編集 PHP研究所

朝読書のために作られた?と思うほど短時間で読めるのがこちら。30話収まっていて、1話が3分程度で読み切れるように作られています。内容はゾクッと来る話があったかと思うとユーモアのきいたものやSF物もあり、この一冊でいろいろなジャンルの話が楽しめます。2018年11月現在、このシリーズは6巻まで出ていて、それぞれ収められている作品のタイトルがそのままサブタイトルになっています。自分の好きなジャンルがまだよくわかっていなかったり、短い時間で物語のオチを知ってスッキリしたい方におすすめです。自称「読書嫌い」の方は、小学校高学年や中学一年生の間にこういった、オチのあるショートストーリーからスタートして、中学三年生になる頃にはもっと深みのある作品を読められるようになるのが理想かな~と思います。

短編集なのでこちらも、どの話、どの巻から読んでも楽しめます。

 

児童書だと侮れない!全ての物語に、深みのある短編集

『タイムストーリー(シリーズ)』日本児童文学者協会/編 偕成社

5分間、1時間、1日、1週間といった、どの巻も時間にまつわる物語で構成されています。「どの時間にしようかな~」などと、中身を見ないで選んでも楽しいですね。先に紹介した『意外な結末』シリーズや『ラストで君は・・・』シリーズで書かれている字体(ゴシック体?)が慣れなくて読みづらい方は、明朝体なのでこちらの方が読みやすいかも知れません。一巻に5話程度物語が収められていますが、どの話もストーリーがちゃんとしていて、昨今の「衝撃的なオチばかりを求め過ぎている学生」にいい意味で媚びていない短編集だな~と感じました。最後の著者紹介ページを確認したところ納得致しました…書き手の方々、なかなかすごい方が揃っていらっしゃいます。どうりで・・・。

巻によって、表紙の絵は描いた方が異なるので、印象がガラリと違いますよ。

 

読むときっと胸が熱くなる!

『心に響く小さな5つの物語』藤尾 秀昭/著 致知出版社

泣けます。淡々と実話を綴っている文体が、なぜでしょう、余計じわっときます。本の薄さや1ページの字数から言って10分程度で読み切れる作品ですが、何度も読み返したくなる為、10分では読めません。特に5話目の小学生とその担任の物語である「縁を生かす」は、読んでいて心が洗われるようでした。イチローが小学生の時に書いた作文、一話の「夢を実現する」も、本気になることってこういうことを言うんだな…と読後、何とも言えない感情になりました。同著者の『小さな人生論』シリーズの中から、選りすぐって選び抜いた5話がこの中に収められているので、他の話もとても胸が熱くなる実話ばかりです。

 

一話ごとでも楽しめて、全話通して読めば、じんわり余韻も楽しめる!

『死神の精度』伊坂 幸太郎/著 文藝春秋

最後はがっつり小説です。近々死ぬ予定の人を「可」(予定通り死亡させる)であるか「見送り」(予定を変更して天命を全うさせる)であるか判断していく死神(千葉)の物語です。連作短編集ということで、どの話も一貫して「死神が死神という事実を隠して、死ぬ予定の人に接触する」という点は変わらないのですが、一話ごとに、恋愛要素がはらんでいたり、まるで推理小説を読んでいるかのような回があったり、話の軸は変わっていないのに全く別の物語を読んでいるような感覚にさせてくれます。しかし、そこは伊坂さんの作品。この作品も最後の「死神対老女」を読んで驚かせてもらいました。あまり言うとネタバレになってしまうので控えますが、「死神」だけに、時間の流れが人間と違うのです…。

この作品をきっかけに、他の伊坂作品にもチャレンジしてみてはどうでしょう。伊坂さんの作品は、Aの作品の重要人物がBの作品ではちょい役だったり、「あれ?この人、あれにも出てた!」なんて身内にあったような感覚になれて楽しいですよ。(この作品の主人公である死神、千葉も別の作品に出てきます。ぜひ、他の作品の中から見つけてみてください。)



この中に気になる作品はあったでしょうか?興味を持った本があれば、学校の図書室や近隣の図書館で、ぜひ、探してみてください。

(※記事を書きながら、あれもこれもと思い浮かんだこともあり、紹介した順番は特に意味ありません。)

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司書が選んだ読書感想文におすすめの25冊

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読書感想文が一番書きやすい本は? 

夏休み前になると「助けてくれ~」と言わんばかりに、図書館に駆け込んでくる子供たち。「なんか面白い本ないですか?」「泣ける本ないですか?」「一日で読める本ないですか?」待って、待って。何をそんなに慌てているの?聞けば、読書感想文を書く為に、本を探しに来たと言います。思い起こせば、自分が学生の頃は夏休みの宿題の中で一番、読書感想文が好きでした。なぜなら、読書感想文を書くことを口実に、好きな本を買ってもらえたり、読んだ感想を誰かに伝えられることが嬉しかったからです。

読書感想文が一番書きやすい本って、やはり一番は、そういう、自分自身でワクワクしながら選んだ(買ってもらった)本ではないかと私は思います。

もちろん、携帯小説やラノベは向かない、などの縛りはあります。これらは、作品にもよりけりですが、読書感想文向けとは言えません。(理由は後程説明します)

 

 

普段、本を読む習慣のない人へ

普段、本を全く読まない人にも試練はやってきます。冒頭で言ったような、ギリギリに図書館に駆け込んでくる子たちですよね。自分の中に読みたい本がない人、そもそもどんな本が自分に合うか分からない人たち。そんな人たちに向けて、読書感想文に合う本について、少しお話しておきます。

◆読書感想文を書くことに向いている本の条件

  • 著者が伝えたいことが明確なもの
  • 戦争もの
  • 世界で広く読まれてきた名作
  • 主人公の歳が自分に近い
  • 「生きること」を題材にした小説   など

上に挙げたような点が、一つでも当てはまる本であれば、読書感想文に最適と言えます。また、読書感想文に合わない本というものも一緒に挙げておきます。

◆読書感想文を書くことに向いていない本

  • ページ数が極端に少ない本
  • 携帯小説(主人公の恋愛事だけがダラダラ書いてあるようなもの、文章がおかしい、素人が書いたようなもの)
  • ライトノベル(転生したりゲームの世界に入ったりする類)  など

携帯小説やラノベが好きで好きでどうしても書きたい作品がある!ということなら仕方がありませんが、少女漫画やゲームの延長にあるような作品(※文学的に優れたものもあるかも知れませんが、学校側のイメージです。)を、わざわざ読書感想文を書く為の本として選ぶことはお勧めできません。

では、先ほど挙げた「読書感想文に合う条件」に、当てはまる本を具体的に紹介していきたいと思います。今回は25冊の本を選んでみました。

 

 

読書感想文におすすめの25冊

 

進路について考えながら、生き方の参考になる!

『いつかすべてが君の力になる』梶 裕貴/著 河出書房

数々のアニメ主人公吹き替えを担当してきた、人気声優である著者が、自らの苦悩した下積み時代の経験や仕事に対する思いを綴っています。特に「こうしなさい!」という押しつけがましい感じではなく、なりたいものを探していたり、夢に向かっている14歳へ優しく語りかける一冊です。自分の夢について真剣に向き合って、これからを考えていきたい人は参考になると思います。読書感想文を書くにあたっては、自分の夢や進路と絡めて書くと独自性のあるものになっていいかも知れませんね。

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せいとさんの声

いろいろ進路とか考えている時期に、梶さんファンじゃない人にも読んでほしい!(生徒さん談)

 

教科書を読むより、ヒトラーの恐ろしさがわかる本!

『ヒトラーと暮らした少年』ジョン・ボイン/著 あすなろ書房

純真無垢であった優しい少年が、どんどんヒトラーに心酔していく様子が何とも恐ろしく、悲しい小説です。

7歳の少年ピエロは、暴力を嫌い、近所のユダヤ人で耳が聞こえない少年と遊ぶことが好きな、とても優しい少年でした。しかし、ある時父親が失踪、その後母親も病気で死んでしまい、父親の妹に引き取られることになり、ピエロの人生は一変します。引き取り先の父親の妹が働く別荘がある、オーバーザルツベルクの山で日々を過ごすことになるのですが、ここであのヒトラーと出会い、可愛がられ、いつしかヒトラーに憧れを抱くようになっていきます。教科書でヒトラーを知るより、身近なこととして捉えられる小説です。読書感想文では、閉鎖された環境故に無知であることの怖さや、ピエロを変えてしまった力がどういったものなのかに注意を置いて、「現代の社会では?」と自分のことに置き換えて考えてみるといいかも知れません。

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分厚い本で、貸し出し延長してもらって読み切った!
この時代の日本に生まれて良かった~と、読んだ後、平和な日常に幸せを感じた。(生徒さん談)

 

人生において、人には分岐点となる瞬間がある!

『本当にあった15の心あたたまる物語』キャサリン・バーンズ/編 東洋経済新報社 

ニューヨークを拠点にした「ザ・モス」は、著名人や一般人が聴衆を前にして自らの体験を物語の一つのように語り聞かせるトークイベントです。本作にはその中から選りすぐりの15の話が収められています。聴衆を惹きつけてやまないトークイベントであるだけに、どの話も自分の弱さや過ちをさらけ出していて、それ故に心打たれます。彼らが語っているのは、自分の人生で一番の出来事、つまり、自分の人生において、分岐点となった部分です。「自分の分岐点はいつだったろう?」、「いつだろう?」と考えながら、「ザ・モス」の聴衆になったつもりで物語を読んでみてください。また、聴衆を魅了する話術とはどんなものであるか、読書感想文で触れてみるのも面白いですね。

同年代の人とは違う生き方を選んだ、少年の物語

『15歳のコーヒー屋さん 発達障害のぼくができることからぼくにしかできないことへ』岩野 響/著 KADOKAWA

アスペルガー症候群と診断を受けた少年が、中学に通えなくなったことをきっかけに自分の生き方と向き合い、家族で出した答えは、「ぼくができること」ではなく、「ぼくにしかできないこと」をすることでした。彼が選んだ道は高校進学ではなく、自ら焙煎したコーヒー豆を販売すること。この本は、この少年のことを誰よりも考えてきた両親の目線でも語られていて、発達障害の子どもが社会でどういう苦労を背負うことになるのか、周りは何がしてあげられるのか、考えを深めることが出来る一冊です。又、自分自身のこれからを一生懸命考えて、それを行動に移すことがいかに大切であるかも気づくことが出来るので、読書感想文の中でも、ぜひ、自分のこれからと真摯な姿勢で向き合って考えてみてください。

主人公と一緒に命の重みについて考えよう

『小説 透明なゆりかご』橘 もも/著(沖田×華/原作) 講談社 

高校三年生の看護師見習いアオイの目(経験)を通して、命についてのこれまで意識してこなかった部分に改めて気づかされます。人の死因第一位は「癌」ではなく、「中絶」であるという事実を知った上でアオイが臨む中絶の現場や、生まれて一度も光を見ることなく業務的に片付けられていく赤ちゃんたち…。一方、感動する出産の現場も沢山描かれています。これらは全て産婦人科という同じ場所で起きることなのですよね。性に興味を持ち始めた10代の若い子はこれを見てどう感じるのでしょうか。出産は命懸けだということ、「中絶」は一人の命を絶つということが本当によく分かる小説です。

読めばきっと、大切な人を抱きしめたくなる

『そして、バトンは渡された』瀬尾 まいこ/著 文藝春秋

主人公は、度重なる離婚再婚により五人の父と母がいる17歳の優子ですが、親がコロコロと変わっても真っ直ぐで明るいその性格は、その全員から大事にされ、愛情をいっぱい注がれているからではないでしょうか。「家族の絆」が必ずしも「血縁」だけを指さないことや、自分にとっての大切な人について考えさせられます。暖かな優しい気持ちになれる作品ですが、特に最後の父親である森宮さんとのやり取りは読んでいて楽しく、自然と笑顔になりますよ。最後まで読んで、読書感想文では、ぜひ、タイトルの「バトン」とは、何を言っているのか、考えてみてください。

離れていても互いを思い合う、少年とキツネの物語

『キツネのパックス 愛をさがして』サラ・ペニーパッカー/著 評論社

戦争によって引き裂かれたキツネのパックスと少年ピーターの物語です。家出をしてパックスを探す旅に出たピーターと、ピーターが絶対に迎えに来てくれると信じているパックス、彼らは離れても常にお互いのことを考えています。再会までいろいろな出来事が起こり、そんな中で二人(一人と一匹)はそれぞれ成長していき、パックスに至っては同じキツネの仲間も出来ました。この物語の面白いところは、キツネの視点と少年の視点で物事がそれぞれ語られている点です。その為、パックスとピーター、両方の思いを読み手は知ることが出来るので、感情移入しやすかったです。戦争や誰かによって引き裂かれるのではなく、成長した自分たちの意思で決断した最後は、涙なしでは読むことが出来ません。

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動物好きは、泣いてしまう。(生徒さん談)

 

16歳が語る、あの日の記憶

『16歳の語り部』雁部 那由多(ほか)/著 ポプラ社

東日本大震災当時、小学五年生であった子どもたちが五年経って語る、生々しい悲劇。身近な友だちが次の日には忽然といなくなったことの悲しみや、あの時、手を指し伸ばせなかった自分への後悔等、そこで見てきたものをありありと語っています。思い出すのも辛いはずの出来事を今起こっていることであるかのように語るのは、彼らの持つ生き残ったものの「使命感」のようなものでしょうか。同じ悲劇が繰り返されない為にも、経験したことを一つの記録として後世に伝えていく為に、彼らは語っているのです。読後、とても複雑な気持ちになりました。子どもたちの目線で書かれた避難所の様子や大人たちの行動は、ニュースで見たものよりリアルで、被災した子供たちの心情を知ることが出来るとても価値ある一冊だと思います。

戦争が奪うものの大きさを改めて感じる物語

『だれにも話さなかった祖父のこと』マイケル・モーパーゴ/著 あすなろ書房 

第二次世界大戦中に、顔に大やけどを負って一命を取り留めた祖父と、「おじいちゃんの顔をじっとみてはいけない」と言う母の言葉を信じて祖父の顔を見ようとしなかった孫が心を通わせる物語です。孫である主人公は夏休みに島へ遊びに行き、そこで祖父から淡々と戦争での体験を打ち明けられることになります。それは耳を覆いたくなるほどの、辛く、とても悲しい物語でした。戦争によって奪われるものの大きさを思う、大人向け絵本です。戦争で大事な人を亡くして傷ついて戻ってきても、帰還後の周囲の反応で更に心に深い傷を負う…戦争が人を変え、孤独にする様子がよくわかる一冊です。

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せいとさんの声

絵本で読みやすかった。戦争は終わってからも、悲劇を生み続けているのだと、改めて感じた。(生徒さん談)

 

80年間、語り継がれてきた歴史的名著!

『君たちはどう生きるか』吉野 源三郎/著 マガジンハウス

主人公コペル君とおじさんの対話によって話が進んでいきます。どういう生き方がしたいか考えさせられる哲学書のような本です。コペルくんと一緒になって様々な視点から自分はどう生きるか考えてみてください。なんとこの本が出版されたのは1937年で今から80年も前のことなんですよね。これ程昔の作品が、新装版や漫画版も出て、現代でも読み継がれてきているのは、生き方のヒントがこの本の中に散りばめられているからではないでしょうか。ぜひ、この機会に名作を読んでみましょう。

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せいとさんの声

思った以上に、話が難しかった・・・。漫画版を読んだ後に、もう一度チャレンジしようと思う。(生徒さん談)

 

生きづらさを抱える人たちの優しい物語

『曲がり木たち』小手鞠 るい/著 原書房

事故などで体や心に障害を負った人たちの人生が、小さな公園で交差する連作短編小説です。「人の幸・不幸は、それを見ている人の幸・不幸の反映」とあるように、人は自分の鏡であって、心の中のわだかまり等がそのまま誰かに投影されているのではないか、ふとそんな風に思いました。収録されている5話全て、生きづらさを抱える人たちへの讃歌のように感じられます。読書感想文ではタイトルの「曲がり木」の意味することが何にあたるのか、自分なりの考えをぜひ書いてみてください。

もしも隣に難民が引っ越して来たら、あなたはどうしますか?

『ようこそ、難民!-100万人の難民がやってきたドイツで起きたこと―』今泉 みね子/著 合同出版 

ドイツ在住の著者が、多くの難民を受け入れているドイツで実際に起こったことを見聞きし、物語仕立てにまとめた作品です。とても読みやすいので、現代の「難民問題」について理解することが出来、ドイツが難民をなぜ受け入れるのかがよくわかります。もし、隣の家に難民が引っ越して来たら、様々な問題を前に自分だったらどうするか、自分さえよければいいのか、手を差し伸べられるのか・・・正しい知識や価値観を持つことはとても大切だと感じられる一冊です。

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せいとさんの声

ニュースでよく耳にする難民問題が、少しだけわかった気がする。
物語になっているので、とても読みやすかった。(生徒さん談)

 

少年と老人のかけがえのない夏休みを描いた物語

『夏の庭 the friend』湯本 香樹実/著 新潮社

死んだ人を見たいという好奇心に駆られた少年たちは、町外れに住む老人の観察を始めます。全ては老人の死ぬ瞬間に立ち会うために。ところが老人は少年たちと出会って日に日に元気になっていき、老人も少年たちも共に過ごす時間を心地よく感じ始めます。いつしか少年たちの老人観察は老人との深い交流へと形を変えていき、それはやがて、少年と老人のかけがえのない夏休みとなっていきました。

少年と老人の関係が素敵で、最後は胸が熱くなります。大人になっても夏はやって来るけれど、子ども時代は基調で、いろいろなことが吸収出来る「学び」の夏ですよね。この夏、少年たちが学んだことは、とても大きいものであったのだと思います。

膨大な年月をかけて辞書を作る人たちの「本気」が見える作品

『舟を編む』三浦 しをん/著 光文社

「大渡海」という国語辞典が完成するまでの物語です。

名前の通りいかにも真面目そうで、どこか頼りなさそうな主人公の「馬締さん」を筆頭に、この辞書に携わる人たちは皆一癖も二癖もある個性的な人たちで、読んでいて「ふふふ…」と笑えるところもあったりします。タイトルにある「舟を編む」とは「辞書を作る」という意味がありますが、辞書を作る作業ってとても根気のいるものなのですね。とても長い年月をかけて沢山の人達の思いも乗せて、ようやく一つの辞書が完成するのです。この本を読むと、自分の手元にある国語辞典がきっと愛おしく、宝物に思えてくるのではないでしょうか。

自分の道は自分で切り開く、アニーの強さにぐいぐい惹かれる作品!

『アニー』トーマス・ミーハン/著 あすなろ書房

赤ん坊の時に自分と一緒に孤児院の前に置かれていた「すぐにむかえにまいります」という手紙を信じて、アニーは日々を孤児院で過ごしていました。その手紙の言葉はアニーにとって、辛い時、悲しい時の心の支えでした。そして、待って待って11年間。ついにアニーは自分から両親を探し出すと決心し、孤児院を抜け出します。どんな時でも真っ直ぐで強くて明るいアニーの魅力がいっぱい詰まった作品です。ミュージカルを基にした小説ですが、こちらはミュージカルの脚本家が、ミュージカルでは入りきらなかったエピソードを入れて完全版として出版されています。アニーのようなポジティブな人間になりたいものですね。

正しいことって、「正義」って、何だろう?

『ヒーロー HERO』白岩 玄/著 河出書房新社

「面白いことがあれば、みんなそっちに注目する」という考えから、いじめゼロを目指して、ヒーローバカの男子とひねくれ女子が休み時間ごとに大仏マスクを被ってパフォーマンスショーを始めます。チアダンス部や校長先生をも巻き込んで、学校中の「いじめ」の基となる負の関心を断ち切ろうと奮闘する青春小説です。この物語を通して、「正しいこと」がどういうことか、「正義」について考えるきっかけになればいいですよね。校長先生が放った、「生徒ひとりひとりの居場所があることが学校という社会で一番大切だ」という言葉がいじめを無くす条件の一つのように私は思います。この本を通して、自分が思うところの「正義」や、いじめを無くす条件や方法を考えられるといいですね。

前を向いて生きることの大切さ、人生の希望が見えてくる!

『ワンダー』R.J.パラシオ/著 ほるぷ出版

主人公オーガストは十歳の普通の男の子です。ただし、生まれつき顔に「頭蓋顔面異常」という障害を持っていて、そのせいでいじめの対象になってしまいます。「病気がうつる」と罵ったり、顔をじろじろ見て悲鳴を上げたり、避けられたり、周囲はオーガストにとって冷たいものでした。しかし、家族から愛され、ユーモアと賢さの備わっているオーガストの話は面白くて、やがて、周囲にも変化が訪れます。

この本の良いところは、物語がオーガストだけの視点で進んでいくのではなく、章ごとに語り手が変わるところにあると思います。オーガストを取り巻く子どもたちの気持ちがわかることで、いじめている側の問題(家庭環境など)がよくわかり、彼らの心の成長も見ることが出来ます。希望をもって生きることの大切さを学べる作品です。

爽やかで心が洗われる青春物語!

『くちびるに歌を』中田 永一/著 小学館

中学校合唱部の青春物語です。合唱部の顧問である先生が産休に入ってしまい、一年間の期限付きで代わりにやってきたピアニストの柏木先生は、少し風変わりな美人でした。この新顧問に魅せられて不純な動機で入部する男子たちと、女子部員たちとの間に生まれる溝により、事態はどんどん悪化してしまいます。

一方で柏木先生は部員たちにNコン(NHK全国学校音楽コンクール)の課題曲にちなみ、15年後の自分へ手紙を書くという宿題を課していました…。

少しずつ部が一つにまとまっていく様子が、これぞ青春という感じで爽やかな作品です。大人になって読んでも良いと思えますが、ぜひ、青春真っただ中で読んで何か熱いものを感じてもらいたいです。

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せいとさんの声

アンジェラ・アキの歌が、頭から離れなくなった。
読んでいた時、自分も合唱部メンバーのうちのひとり。(生徒さん談)

 

本当の強さとは何かを考えられる作品!

『風が強く吹いている』三浦 しをん/著 新潮社 

素人10人が箱根駅伝を目指す、こちらも青春ストーリーです。厚みのある本で「読めるかな?」と心配になるかも知れませんが、大丈夫です。心配ご無用です。とても疾走感のあるお話で、駅伝本番の盛り上がりは、一つの少年漫画を見ているようでした。物語前半は主人公を中心に進み、後半は他の登場人物たちの話も入ってきて、それぞれの思いや姿勢に込み上げてくるものがあります。「速くではなく強くなれ。」という、物語にしばしば出てくるメッセージは、この作品全体の一つのテーマなのではないでしょうか。箱根駅伝のシーンは走る情景が浮かんできて、とても爽やかな読後感でした。なにかスポーツをやっている人であれば、この小説の持つワクワク感に共感できるでしょうし、文科系の人でも小説で共にスポーツの感動を味わえるなんて素敵ですね。

全ては一つに繋がっている、時の流れが感じられる美しい物語。

『100年の木の下で』杉本 りえ/著 ポプラ社

樹齢100年の栗の木とお地蔵さんがある農家で育った五人の少女たちの物語です。この物語に大きな山場と言えるものはなく、終始穏やかな雰囲気で田舎の日常が語られていますが、100年という長い年月を一冊に収める中で、「なぜ家の前にお地蔵さんがあるのか?」、「屋根裏にあったブローチにはどんな物語があるのか?」など、話がどんどん昔に遡っていくことで少しずつ明らかになっていきます。読み手側からしてみると、タイムマシーンに乗って時間の旅をしてきたような感覚です。時代が後退していることに気づくまでは頭がこんがらがってしまうかも知れませんが、読んでいるうちに5人の少女たちがそれぞれ別の時代で一生懸命生きていることに気づくと思います。自分という存在のバックグラウンドについて、ふと考えてみたくなる、そんな小説です。

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表紙が綺麗で惹かれた。
時代が変わったりするので、最初は少し読みづらかったけど、話が繋がっていることに気づいてからは楽しく読めました。(生徒さん談)

 

どんな困難にぶつかっても、ひとつひとつ乗り越えていく。

『見えないから見えたもの』竹内 昌彦/著 

※こちらの本はhttps://masahikonohon.stores.jpで購入が可能です。学校図書館に寄贈されている場合もあるので学校司書さんに尋ねてみてください。

こちらは著者である竹内さんが、幼少期から現在に至るまでの自らの体験を綴った手記です。竹内さんは小学二年生の頃に網膜剥離で両目ともに失明をしました。全盲となった自分を見守ってくれた家族や友人への思いや、ひとつひとつ困難を乗り越えてきた波乱の人生について、綴られています。読書感想文では、盲学校の元教頭でもあった著者の言う「見えないから見えたもの」がなんであるのか、ぜひ、考えてみてほしいと思います。

 

 

 

善悪がはっきりしない世の中だから・・・

『こんとんじいちゃんの裏庭』村上 しいこ/著 小学館

ある日、認知症のおじいちゃんが交通事故に巻き込まれて意識不明となり、損害賠償を請求される事態になってしまいます。主人公は中3で反抗期真っただ中、現在不登校を決め込む悠斗という少年。この事態に納得がいかない少年は真実を突き止めるべく立ち上がります。事件を調べるためにあちらこちらへ走り回る中、いろいろな大人と出会い、やがて少年は、世の中は一方的に誰かが正しい世界ではないということを知ることになります。きれいごとだけではない大人の世界が、多感な時期の少年の目にどう映り、やりきれない現実とどう向き合っていくのかが丁寧に描かれている作品です。この本を読むと、視野を広げて物事が見られるようになる為には、先生や親のような限られた大人だけに留まらず、もっと様々な大人と出会って色々な意見に触れることが大切なのだと気づかされます。教科書や学校の授業だけでは得られないことって沢山ありますよね。

あなたは、どんな親になりたいですか?

『笑顔でいたい 子どもは親を選べない』川浪 唯/著 文芸者

子を持つ親として、読んでいて気持ちがズンと重くなる小説です。正直、涙なしでは読めません。

真由子という少女が幼少時代から社会人になるまでの出来事を、ただつらつらと書き綴っている小説ですが、そのエピソード一つ一つがあまりにも苦しく、重く、「子どもは親の所有物ではないぞっ!」と読みながら何度も心の中で叫びました。この作品の大きなテーマは作者があとがきに二、三行で書いた、「子どもは親の持ちものではない。子どもには子どもの人生がある」ということであり、作者からの「子どもの心を大切に受け止めてほしい」というメッセージがひしひしと伝わってきます。小さな子どもが「自分は望まれて産まれてきたのか…」と悩んでいるなんて、読んでいて本当に胸が痛いです。真由子にはお兄ちゃんがいて、それが幼い頃の真由子にとっては唯一の希望でした。幸せになろうと兄妹で近い合う、その姿に、あなたは何を思いますか?ぜひ、読書感想文に思いのたけをぶつけてください。

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生い立ちが過酷過ぎて、読んでいて辛かった。(生徒さん談)

 

アメリカの純文学を読んでみよう。

『老人と海』ヘミングウェイ/著 新潮社 

老人と大魚との84日間の海での死闘を描いたアメリカの純文学です。この物語は(老人に寄り添う)少年と、老人の関係も温かくていいですし、何と言っても、広い海で大魚を吊り上げようと静かに孤独な闘いを繰り広げる老人サンチャゴの”強さ”に魅かれる作品です。サンチャゴがこれまでどういう人生を歩んできたのか、多くを語らない物語だけに想像が膨らんでしまいます。例え過去に捕らわれたとしても、先の見えない未来が怖いと感じたとしても、サンチャゴのように、今、この時を懸命に生きることが大事だとこの物語は教えてくれます。老いや性別等を理由に諦めるのではなく、今生きているこの時を大事にしていきたいですね。

不登校の少女と西の魔女(祖母)の物語

『西の魔女が死んだ』梨木 香歩/著 新潮社

中学を不登校になってしまった女の子が、「魔女」こと、祖母の元でひと月あまりを過ごす様子が暖かく描かれた物語です。自分が魔女の家系だと知って祖母から魔女修行を受けることになりますが、祖母からの教えは、自然と共存する、規則正しい生活を送る等、全て丁寧に日々を過ごすことと繋がっていました。季節は初夏・・・読書感想文を書く少し前から読み始めると時期的にも調度良くて、涼しい木陰や、外の空気に触れられるデッキ等に出て、どっぷり物語の世界に浸かって読んで頂きたい作品です。日々の喧騒から離れて、ぜひ、穏やかな気持ちで読書をしてください。

せいとさんのアイコン
せいとさんの声

タイトルからファンタジーかと思っていたので、最初はがっかりしたけど、諦めずに読んだらいい話だった。(生徒さん談)

 


さて、いかがだったでしょうか?

戦争物、青春物、語り継がれる名作・・・なるべく色々な角度から本を集めてみたつもりですが、この中に手に取ってみたいと思える本はありましたか?読書は心の安らぎです。あなたが「出会えた」と思える本と、巡り合えますように・・・。