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中学生におすすめ!名作・純文学

純文学のすすめ

皆さんは「純文学」と言うと、どういった印象を持ちますか?
堅苦しい、小難しい、眠くなる・・・以前勤めていた学校の生徒さんは、私の力量不足ということもあって、どうやらそんな感想を抱いていたようです。
そもそも、「純文学とは何ぞや」から説明が必要な人もいるかも知れません。
今回は、中学生が敬遠しがちな純文学作品について、「何ぞや」から出来るだけ嚙み砕いて説明して、皆さんに興味を持ってもらえるように司書として頑張りたいと思います。
また、後半は、そんな純文学の中から中学生の皆さんにおすすめの作品を紹介したり、純文学に限らず、昔から名作と言われている海外の作品からも数冊おすすめを紹介しているので、ぜひ、本選びの参考にしてみてください。

純文学と対象となる文学として、「大衆文学」というものがありますが、実はこの二つの境界線はとても曖昧で主観に委ねられるところも多く、現代のものは特に「これは純文学?それとも大衆文学?」と判断が難しい作品があったりします。
一般的に言われている純文学とは次のようなものです。

【1】純文学とは

人を楽しませたり、感動させたりすることを目的とした大衆文学に対して、純文学は、文章の美しさなどの芸術性に重きを置いています。
例えば、大衆文学と純文学を声に出して読んでみてください。どちらが読んでいて心地良いか、文の調子が良いか、一目瞭然だと思います。芥川龍之介や夏目漱石など、日本の文豪といわれている作家の作品は、音読した時のリズムがとても心地良いものです。これは、ストーリー展開よりも文章の美しさそのものに磨きをかけたが故の結果です。
最近では、自分で読む読書以外にもオーディブルなど、耳で聞く読書アプリもありますから、活字が苦手な人は、こういったアプリで純文学の美しい文章を聞くのも良いかもしれませんね。
大衆文学のようなハラハラドキドキのストーリー展開はありませんが、その分、登場人物の心情や、情景が丁寧に描かれているので、落ち着いて物事を考えたい人に純文学はピッタリです。

そもそも、英語に「純文学」という言葉はありませんから、これは日本だけの独自なジャンルです。よって、「反抗精神を歌っているから、これはロックだ!」というような、誰もが納得できる明確な目印がなく、芸術という主観的でどこか曖昧なジャッチのみで分けられているのが、冒頭でも言った、素人目で見て判断が難しい理由となっているのかも知れませんね。

【2】現代にも純文学はある

普段小説をあまり読まない人の中には、純文学というものは、ひと昔前の作品で、作者はすでに死んでいて・・・なんて思っている人がひょっとしたらいるかも知れません。
ところがそれは大きな間違いです。
おそらくその考え方は、「近代文学」と「純文学」という言葉が、ごちゃ混ぜになってしまったが故の誤りだと思います。近代文学は、近代(日本に限定すれば明治維新以後)に成立して発達してきた文学のことを言うので、ひと昔前という考え方は間違いではありませんが、純文学にこういった時代の括りは一切ありません。
近代であろうと、現代であろうと、芸術性に重きを置いている作品は、全て「純文学」と呼んで良いのです。
近代文学は、現代の小説を読み慣れている人からしてみれば、難しく感じる言い回しがあるかと思いますが、現代の文体で現代の作家が書いているのであれば、それだけで、取っ付きにくさは大分無くなるのではないでしょうか。

現代文学における、純文学作家といえば、まず頭に思い浮かぶのが村上春樹さんです。
ノーベル文学賞の時期になると「今年は授賞なるか?!」と、毎度、騒がれているあの作家さんですよ。
純文学入門としては、とても読みやすい作家さんだと思いますので、ぜひ、挑戦してみてください。
セリフ回しが少しキザに感じたり、文章からその場面がありありと思い描けたり、大衆文学とは一味違う文体に気づけたら、ぜひ、自分を褒めてあげてくださいね。

【3】中学生に純文学を進める理由

私が純文学を中学生の皆さんにおすすめする理由は、大きく分けて二つあります。

➀味わい深い人になれる

最近はどこの学校も、朝の10分間読書なるものがあって、普段本を読む習慣のある生徒さんも、そうでない生徒さんもこぞってその10分間は読書タイムを取ります。子どもたちの読書離れを止める策として、司書としてとても良い習慣だと思ってはいるのですが、普段本を読まないものからしてみれば、この10分は残念ながら苦痛でしかなく、生徒さんは何とかその10分間を乗り切るために、短い時間でどんでん返しが気楽に楽しめる本を血眼になって探しに図書館へやってきます。
そんな生徒さんが決まって言うセリフが、
「短い話でストーリーが分かりやすくて、どんでん返しがあるようなやつ!」
です。
残念なことに10分間という、短い読書タイムにすっかり慣れてしまっているのです。
本来、読書は時間を忘れてのびのびと読むことが醍醐味の一つであったはず。この10分間の読書タイムがきっかけとなって、本来の楽しみ方までたどり着けた生徒さんは良いですが、これを読書の楽しみ方と思って常に「起承転結」、「どんでん返し」だけが読書の面白さであると、はき違えてしまうのは、とても残念でなりません。
純文学は、物語を読む側に衝撃や感動を与えることが目的ではないために、ストーリー展開は至って緩やかです。緩やかな中に、主人公の思考が丁寧に描かれていたり、情景が美しく描かれていたりというような味わい深さがあります。
直ぐに結論が出てしまう本が良くないとは言いませんが、短い時間で結論を求めがちな中学生にこそ、こういった結論を急がない読書に挑戦して小説の味わい深さに触れてほしいと思います。
その経験を重ねることで、物事にある奥行きに気づき、知的で味わい深い人になれるのです。

➁受験や社会に出る上で役立つ

何度も言いますが、純文学は文章の美しさが特徴の一つとしてあります。それ故に、沢山の作品を読んでいくうちに、自ずと自分自身の文章能力も身についていくのが嬉しいおまけかも知れません。
例えば極端な話ですが、巷で人気の携帯小説ばかりを読んでいる生徒さんの文章は、文体がおかしなことになっていて、作文の文章の末尾に平気で「♡(ハート)」を付けるのだと国語科の先生が頭を抱えていたことがありました。
これは少し極端すぎたかもしれませんが、早い話がそういうことなのです。美しくないものを見たり聞いたりして育った人は、それを素晴らしいものだと認識するしかありませんが、長く本物に触れていれば、何が本物か目利き出来るようになり、自ずと自分自身も影響を受けるというわけです。
どのような文章が美しいと言えるのかを知っておくことは、今後、小論文などを書く際にも大いに役に立つことでしょう。
また、受験対策として純文学作品を読むこともおすすめしたいです。受験で初めて純文学に触れて、その分かりづらさに「意味が分からない」と頭を抱えることがないように、普段から「純文学とはこういうもの」と理解して、起承転結が緩やかな純文学の持つ曖昧さに事前に触れておけば、当日になって「なんだこれは」と慌てる心配がありませんね。

中学生におすすめ!名作・純文学

それでは、ここからはいよいよ中学生の皆さんにおすすめしたい名作・純文学について紹介していきたいと思います。
冒頭でも述べた様に、純文学に限らず、昔から名作と言われ、世界中の人たちに読み継がれてきた作品も紹介していますので、ぜひ、この機会に挑戦してみてくださいね。

【純文学のおすすめ】

人の心の内を丁寧に描き切った作品。

『こころ』夏目 漱石/著 新潮社

こちらは、「先生と私」、「両親と私」、「先生と遺書」の三部構成からなる、人の心の内を丁寧に描いた夏目漱石の代表作の一つです。タイトルにもなっている「こころ」が、「いったい誰の心なんだろう?」と読む前から読み手の心をくすぐります。
この物語の核となっているのは、主人公である「私」が「先生」と呼ぶ男の過去であり、「先生」は、過去の出来事に長い間囚われ続け、やがて、「私」に書いた遺書で、全てを告白します。友情ではなく、恋を取って友人を出し抜いたことにより、起こってしまった最悪の結末。それをずっと内に秘めてきた「先生」の寂しさが文章からは垣間見えます。その「先生と遺書」の中で描かれた細かい心理描写がこの小説の旨みの一つであり、タイトルの所以となっているのではないでしょうか。読んでいると、人間の弱さや寂しさが深く心に染み渡ります。
人の心の内を丁寧に描き切っているので、感受性が高い時期に、ぜひ一度読んでほしい作品です。

 

まるで寓話集のようなわかりやすさ。

『蜘蛛の糸・杜子春』芥川 龍之介/著 新潮社

「年少者向け」とあとがきにもある通り、こちらは芥川龍之介の作品の中でも比較的読みやすい10作品を集めた短編集です。「名前は聞いたことがあるけど、難しそう」。そんな風に思って、これまで遠ざけてきた人にこそ、読んでほしいと思います。
古典、宗教、寓話など、様々な要素が物語の中に感じられ、未就学児にすら読み聞かせ出来そうな「わかりやすさ」や「読みやすさ」があります。文章がとても美しいので、(私の中で)声に出して読みたい小説ナンバー1と言っても過言ではありません。芥川龍之介と言えば、洗練された高雅な文体。美しい言葉で語られる情景に、ぜひ、酔いしれてみてください。

★『蜘蛛の糸・杜子春』は、株式会社KADOKAWAの児童書レーベル角川つばさ文庫からも出版されています。こちらは小学生でも読むことが出来ますよ。

 

 

人間の心理やエゴイズムが描かれた表題作。

『羅生門・鼻』芥川 龍之介/著 新潮社

お次も芥川龍之介の短編集です。表題作である『羅生門』は、文章から醸し出されるおどろおどろしさが何とも不気味で惹きつけられる作品です。『鼻』は、『今昔物語集』の「池尾禅珍内供鼻語」や、『宇治拾遺物語』の「鼻長き僧の事」を題材としていて、コンプレックスによる人間の心理やエゴイズムなどが掘り下げて書かれている芥川龍之介の出世作です。芥川は学生時代、夏目漱石にこの作品を評価されて作家デビューしたらしいですよ。
先にご紹介した『蜘蛛の糸・杜子春』よりは、人間のねたみや非情さが目立つ作品が多く、少し小難しく感じる人もいるかもしれません。後の三好行雄さんの解説までじっくりと読むことで、納得できることも多くあるかと思いますので、『蜘蛛の糸・杜子春』の次に腰を据えて読む芥川作品として、ぜひチャレンジしてもらいたいです。

 

虎となってしまった男の話。

『李陵・山月記』中島 敦/著 新潮社

こちらは、『山月記』、『名人伝』、『弟子』、『李陵』の4作品が収まった短編集です。
『山月記』は教科書にも載っているので知っている人も多いのではないでしょうか。自尊心や羞恥心が心の奥底で膨らんで虎となってしまった男の話ですが、中国の古典を元に書かれているので、難しい言い回しが多かったり、物語の途中に漢詩が出てくることもあり、普段、漢詩に触れることがない私たち日本人は少し身構えてしまうところもある作品かも知れません。ただ、それでも、高校生の頃にこの話を読んだ私は、難解な文章以上に、虎になった男の話が衝撃的過ぎて、最後までどうなるものかと読み進めることが出来たのです。まるで、カフカの『変身』の舞台を中国に置き換えたような変身譚で、ぐいぐいと読者を引き込んでくれる作品です。

★『李陵・山月記』は、株式会社KADOKAWAの児童書レーベル角川つばさ文庫からも出版されています。こちらは小学生でも読むことが出来ますよ。

 

 

雪国の風景が目に浮かぶ。

『雪国』川端 康成/著 新潮社

物語冒頭の、「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」という一文が有名すぎて、『雪国』を読んだことがなくてもこの一文を知っている人は多いのではないでしょうか。
この一文からもわかるように、この作品は、これぞ純文学と思わずため息をついてしまうほどに自然描写が美しい作品です。内容は大人の恋愛物語なので、学生の皆さんに合うかどうかは正直何とも言えませんが、まるで一つの映画を見ているように情景が鮮明でとにかく素晴らしいので、ぜひ、そんな文章表現の美しさに酔いしれていただきたいです。

 

二人の主人公の物語。

『海辺のカフカ』村上 春樹/著 新潮社

こちらは、村上春樹の小説には珍しく10代の少年が主人公となっている作品なので、春樹作品の中でも中高生の皆さんにとって、特に読みやすい作品なのではないでしょうか。他の純文学作品に比べて、難解な文体というわけでもないので、初めて純文学に挑戦する人も比較的読みやすい作品だと思います。
この作品の面白いところは、家出をした15歳の少年、田村カフカが主人公である話と、知的障害の老人、ナカタサトルが主人公である話、この二つの物語が同時進行で進んでいくところです。読み進めていくうちに、この二つの物語が実は無関係ではないのかも?と感じ始めると、ページをめくる手がもう止まりません。
読み進めながらいろいろな気づきを得ていただきたいので、詳しいあらすじについては触れませんが、沢山の仕掛けが散りばめられている作品です。噛めば噛むほど味が出るといったような、一度ならず何度も読むことで深みを増していく小説なので、ぜひ、結末を焦らずじっくりと読んでほしいと思います。

【海外名作のおすすめ】

年老いても現役を貫く男の生きざま。

『老人と海』ヘミングウェイ/著 新潮社

こちらは、老漁師と大物マカジキとの二日間もの死闘を描いたヘミングウェイの作品です。
静かに、ただ静かに、大海原でひとり格闘する老人サンチャゴを見ていると、老いや自然の力に屈することなく、今の自分が持つ全力でマカジキに挑む姿に心を持っていかれます。死闘後の話を読んでいると心にぽっかりと穴が開いたような虚無感に襲われそうになりますが、何事もなかったかのように淡々とまた漁へ出る老人に精神力の強さを感じて救われたような気持ちになる人も多いのではないでしょか。老人と少年との関係性も素敵で、海の上での孤独な戦いの最中に何度も「あの子がいてくれたら」と思う老人の様子から、きっと少年が思っている以上に少年の存在は老人にとって大きなものであったように思います。
ヘミングウェイはこの作品で、ピューリッツア賞を受賞し、1954年にはノーベル文学賞も受賞しました。ヘミングウェイの代表作の一つなので、ぜひ一度読んでみてください。

『老人と海』は、他の記事でも紹介しています。
司書が選んだ読書感想文におすすめの25冊

 

 

物事の不条理さを描いた名作。

『変身』カフカ/著 新潮社

こちらは、主人公の青年が、ある朝起きたら巨大な害虫になっているという物語で、虫嫌いの私はぞわぞわしながら読み進めていった記憶がありますが、読めば読むほど、この害虫があまりにも哀れで、なんとか最後は人間に戻らせてあげたいと、いつしかこの害虫に感情移入している自分がいました。
青年が害虫となってしまったことで、青年に対する家族の接し方がそれまでと違うものとなってしまった理不尽さが読んでいて胸に突き刺さる作品です。
自分の家族が、もし、これまでの家族とは違うものになってしまったら、自分だったらどう行動するか・・・。ありえない物語を現実世界と照らし合わせながら読んでみるのも面白いかもしれませんね。

 

多種多様な人々が紡ぐ、暖かい物語。

『種をまく人』ポール・フライシュマン/著 あすなろ書房

物語は、ごみ溜めのようになってしまった土地に、一人の少女が豆の種を植えるところから始まります。
やがて、年齢や人種も違う、多種多様な人々がそこに種をまくようになり、いつしかごみ溜めは立派な菜園となっていきました。菜園を通して紡がれていく13人それぞれの物語がそこにはあり、最初の少女のひと植えが、幸せの連鎖に繋がっていく過程が読んでいて何ともハートフルで心を動かされる作品です。
とても短く、読みやすい小説なので、何かの合間や就寝前などに、ぜひ、手に取って読んでもらいたいと思います。

 

短編の名手が届ける、極上の短編集。

『最後のひと葉』オー・ヘンリー/著 岩波書店

オー・ヘンリーを知らずとも、どこかしらでオー・ヘンリーの作品に触れている人は少なくないのではないでしょうか。
クリスマスに互いのことを思い、プレゼントを選び合う夫婦の物語『賢者の贈物』、病気の女画家と老画家の心温まる物語『最後のひと葉』などは絵本にもなっている有名な作品です。
14編が収録された短編集ですが、どの話もただオチがあるだけの作品ではない、深い感動やしみじみとした余韻の残る話ばかりであり、英米で短編の名手と呼ばれていたオー・ヘンリーの手腕を感じられます。
朝のわずか10分間の読書に、このような深みある短編集に挑戦してみるのもおすすめですよ。

★株式会社KADOKAWAの児童書レーベル角川つばさ文庫には、「賢者の贈りもの」「最後の一葉」「警官と聖歌」など、よりすぐりの10編が収録されています。こちらは小学生でも読むことが出来ますよ。

 

まとめ ~就寝前の読書に。~

「なかなか読む時間がない」と、日頃から読書に消極的な人は、まずは、就寝前の1時間を読書の時間にしてみてはいかがでしょうか。
布団に入って、本を開く。誰にも邪魔されないその1時間にピッタリなのが、今回紹介した純文学であったり、海外の名作であったりします。想像力掻き立てられるファンタジーや、ハラハラドキドキのストーリー展開の冒険物も良いですが、就寝前に読むには少し目が覚めてしまいそうですよね。就寝前だからこそ、美しい日本語から登場人物の心情や情景を思い浮かべながら、「起承転結」に囚われない読書をぜひ楽しんでみてください。

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【番外編】胸キュン必至!少女漫画のおすすめはコレだっ!

胸キュンするなら、小説より漫画?!

いつもは小説や絵本の紹介をしているこのサイトですが、今回はバレンタイン(過ぎましたが)ということで、番外編として少女漫画の紹介記事を書いています。
小説でも恋愛小説と言った括りはありますが、私は「ときめき」だけを求めるのであれば、どちらかというと恋愛小説より少女漫画の方が向いているような気がします。思わず、「ふふふ・・・」と微笑んでしまうような漫画を集めてみましたので、勉強の息抜きに、良ければときめいてください。

胸キュン必至!おすすめ少女漫画 10選

 

とにかく甘すぎる恋物語!

『なのに、千輝くんが甘すぎる』亜南くじら/著 講談社

こちらは、ずっと片思いをしていた相手にフラれた上にバカにされた女の子が、「好きにならないこと」を条件に、学校一のイケメンとひょんなことから「片思いごっこ」をすることになってしまうお話です。
巻が進むごとに、イケメンの心情がなんとなく透けて見えてくるので、思わず「はやく告白しろよ~^^*」とニヤニヤしますよ。

 

「好き」が駄々洩れている!

『お嬢と番犬くん』はつはる/著 講談社

こちらは、こわ~い裏稼業を生業とする家のお嬢(高校生)と、その家の若頭(26歳イケメン)のお話です。
お嬢の高校生活が心配でならない若頭は、年齢を偽ってお嬢と同じ高校に入学して学園ライフを送りますが、美人でほっとけないタイプのほんわかしたお嬢だけに、近づいてくる男子はたくさんいます。普段は冷静で落ち着いた物腰柔らかめの若頭ですが、そんな男子たちには容赦ありません。
お嬢への気持ちを我慢している若頭(ダダ洩れだけれど)や、若頭への気持ちが恋だと気づいたお嬢・・・これもまた、両想いのくせに互いの気持ちを口に出せないもどかしさがたまらない作品です。
 

爽やかでこれぞ青春!

『恋のはじまり』蒼井まもる/著 講談社

「あいつは好きなのか、どうなのか~?」というキラキラした期間、恋の始まりを丁寧に描いている作品です。
読んでいると学生時代に戻りたくなりますね・・・。
こういう恋愛は学校ならではで、うらやましいです。
主人公の性格が愛嬌があって、表情もどこか小動物を思わせるので、見ていて「ふふ・・・」と笑えて癒されますよ。
 

作品の空気感がとにかく良い!

『マイ・ボーイフレンド』蒼井まもる/著 講談社

上の作品と同じく、友達から恋に変わっていく様子がきゅんきゅんに描かれています。
いいですね~。癒されます。笑
私は蒼井まもるさんの作品がどうやら好きなようです。蒼井さんの作品は、どれも雰囲気が優しくて、どの作品もほんわかとしています。登場人物のふとした表情がとても良いです。こういう漫画を読んでいると、こういうところが恋愛小説には無い少女漫画の良さだよな~と思わずにはいられません。(もちろん、恋愛小説には恋愛小説の良さがあるとは思いますが。)
 

健気な主人公が応援したくなる!

『さくらと先生』蒼井まもる/著 講談社

またまた蒼井さんの作品ですが、こちらは生徒と先生ものです。
ぎりぎりまで先生の気持ちがよくわかりませんが、最後の方できゅんならぬ、ズドンと雷が落ちる感じ、「おおっ!」と思わず心の中で叫んでしまいます。健気なさくらを応援したくなる作品です。
 

男子の切ない片思いがグッとくる!

『シンデレラ クロゼット』柳井わかな/著 集英社

男勝りな女子、春香が、女装趣味の男子と知り合い、友達になり、どんどんきれいになっていくお話ですが、真っ直ぐな主人公を次第に好きになっていく女装趣味男子の気持ちがなんとも切ないです。
この作品は女装男子が可愛らしいのですが、時折見せるカッコイイ男性バージョンにきゅんと来ない人はいないのではないでしょうか。なかなか実らない男性の片思いが読んでいて「胸キュン」です。
 

懐っこ男子と奥手女子の恋愛模様!

『1センチよりも近く』石沢うみ/著 講談社

こちらは、お互いのことを知っていくうちに、自分の中で相手の存在が特別なものになっているということに気づいていく過程が丁寧に描かれている作品です。ついつい距離が近くなってしまう男子と、それに戸惑う女子は、見ているこっちがくすぐったくなります。
恋に一生懸命な女子と、屈託のない笑顔が素敵な男子のきゅんきゅんなラブストーリーです。
 

先生を好きになった女の子の奮闘が良い!

『I Love Her』いくえみ陵/著 集英社

こちらは、人当たりのいい愛されキャラな女の子・花が、アパートの隣に住む学校の先生「しんちゃん」を好きになってしまうお話です。
誰とでも仲良くなってしまう花のことを、先生としてリスペクトするしんちゃんですが、花は、先生への好きが隠し通せなくなくなってしまいます。
この話は、女の子の性格がさっぱりしていてドロドロうだうだしていないところがよく、先生も大人としての分別をわきまえているのが現実的でいいです。
しんちゃんは自分の気持ちを見せることなく、ずっと「先生」を貫きますが、最後の巻では、「なんだよ~。やっぱり、そうだったのかよ~。」と思わずニヤニヤが止まりません。
先生の告白の仕方に、読んでいてきゅんと来ない人はいないでしょう。
 

鈍感アラサー女子と、素直になれない高校生男子の年の差ラブコメ!

『プロミス・シンデレラ』橘 オレコ/著 小学館

最初は退屈しのぎで、面白半分に早梅にちょっかいを出していた壱成ですが、早梅の真っ直ぐな言葉や態度に知らず知らずのうちに魅かれている自分に気づいてからは、素直になれない性格が災いしてなかなか思うようにいきません。恋愛に鈍感な早梅と、素直になれない壱成の恋愛模様は、時に笑え、時にこっぱずかしく、くっつきそうで、くっつかない二人は読んでいてドキドキします。
思うより先に行動してしまう壱成に、度々、「胸キュン」させられてしまう作品です。
 

王子の色気が!

『うるわしの宵の月』やまもり 三香/著 講談社

こちらは、2021年2月17日現在、まだ一巻までしか出ていないので、これからどんどん話が膨らんでいくと予想される作品ですが、一巻ですでに市村先輩の色気(?)が駄々洩れとなっていて、今後の展開が期待されます。
市村先輩に女子として扱われた宵の表情もとても可愛らしくて、女子ながら「胸キュン」しました。
おそらく、話数が進むごとに、市村先輩の宵が「気になる」気持ちが「好き」に変化していき、これからもっともっと宵と読者をときめかせてくれるのかな~と踏んで、今回おすすめ作品に加えさせていただきました。
 

 

中高生から大人まで楽しめる、少女漫画

小説にさまざまなジャンルがあるように、少女漫画にも、部活もの、ファンタジーもの、年の差ものなど、いろいろなパターンがあり、好みや気分によって楽しむことが出来ますよね。現実とのギャップは多少(結構?)ありますが、このような少女漫画が高校生活への期待であったり、活力になることだってあることを思えば、漫画だって、捨てたものではありません。
何歳になっても、少女漫画から、ときめきを、癒しをもらいたいものです☆彡

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中学生・高校生必見!司書が選ぶ、10代が読むと心に響く本 10選

「10代のうちに読んでおけば良かった~!」と思う、大人の読書

大人になると、家事や仕事が一日の大半を占めてしまう為、なかなか読書の時間が持てませんが、だからこそ、読書をしている時間が貴重な息抜きの時間であり、楽しみであったりします。
そんな、気ままな読書人生を送っている大人から、10代である皆さんに言っておきたいことがあります。
それは、10代の今だからこそ、心に響く、心を揺さぶられる本があるのだということです。児童文学でも大人が楽しめる本は沢山ありますが、同じ本でも、多感な時期に読むのと、ある程度を経験した大人になってから読むのとでは、読んだ印象が全く違います。私自身、「この本、10代のうちに出会っておきたかったな~。」と思う本の多いこと多いこと。
日中はまだまだ温かく、冬がそこまで来ていることを忘れがちですが、暦の上ではすっかり秋になりました。
普段読書をしない人でも、ふらっと書店に立ち寄り、カフェや自宅で読書を楽しんでしまうのが、この季節の凄いところ。

この機会に、ぜひ、10代だからこそ、楽しめる読書をしてほしいと思います。

10代が読むと、心に響く本 10選

 

社会の荒波に揉まれる前に、読んでほしい!

『裏庭』梨木 果歩/著 新潮社

こちらは、「バーンズ屋敷」の秘密の裏庭に迷い込んでしまった少女の物語です。
後でご紹介する『西の魔女が死んだ』が、悩める少女の成長を描いたヒューマンドラマ的な作品なら、こちらの作品は、少女が抱える現実世界の問題とファンタジーの世界が交錯しながら、少女の成長を描き上げた、冒険ファンタジーの要素が強い作品です。
ファンタジーですが、13歳の主人公が抱える悩みや葛藤する姿が丁寧に描かれていたり、現実世界と裏庭世界との繋がりが物語に奥行きを与えていたりと、美しいだけではない重厚感のある話になっています。
『はてしない物語』『ナルニア国物語』など、外国のファンタジー文学が好きな人は、読み進めやすいでしょうし、物語後半、この作品で著者が伝えたいことが見え隠れするようになった頃には、すっかり梨木ワールドに引き込まれてしまっているのではないでしょうか。
同年代なら、きっと、読んでいて辛くもありますが、だからこそ、ずっと心に残る作品となるはずです。

せいとさんの声
せいとさんの声

がっつり「ファンタジーもの」で思ってた話と違ったけど、裏庭世界が現実とちゃんと関りを持つ部分があって面白かった。

 

せいとさんの声
せいとさんの声

ただ、わくわくするだけの冒険ファンタジーではないところが良かった。

 

悩める少女の再生物語

『西の魔女が死んだ』梨木 果歩/著 新潮社

こちらは、学校を不登校になってしまった少女が、自然に囲まれた祖母の家で、「魔女修行」として、ひと月余りを過ごすお話です。
自然と共存したり、規則正しい生活を送ることは、日々丁寧に過ごすことと直結しています。少女は「西の魔女」こと祖母とそうやって過ごしていく中で、生きるヒントを沢山学んでいくのです。
この物語の中には、精神的に張りつめている時に、心の支えとなる言葉が沢山散りばめられているので、ぜひ、悩み多き10代の皆さんに読んでもらって、それらの言葉を、忙しない世の中を生きていく上でのお守りにしてほしいと思います。

せいとさんの声
せいとさんの声

すごく、ためになることがたくさん書いてある話だった。
おばあさんとの別れは、読んでいて切ない・・・。

 

『西の魔女が死んだ』は、他の記事でも紹介しています。
司書が選んだ読書感想文におすすめの25冊

 

風のように過ぎ去るからこそ、全力疾走!

『一瞬の風になれ』佐藤 多佳子/著 講談社

こちらは、長年サッカー部に所属していた新二が、幼馴染みであり天才的スプリンターの一ノ瀬と一緒に陸上部に入ってインターハイを目指していく物語です。
スポーツものは苦手という人も、読まず嫌いはやめて、ぜひ、一度読んでみてください。どの登場人物もキャラが立っていて、読み進めていくうちに、まるで少年漫画を見ているようにサクサクと読め、どんどん面白くなっていきますよ。
たくさんある「中高生の部活もの」の中でも、この物語は、特に主人公の思いが前面に出ていて、読んでいると、まるで、新二がすぐそばにいるような感覚になります。一文一文が短い文章で構成されていることも、新二の独り言を聴いているようです。
社会人になると、学生の頃と同じような仲間を作るのはなかなか難しいものです。苦楽を共にして、同じ高みを目指して打ちこんできたからこその、友情なんですよね。
社会人になるとなかなか手に入らないからこそ、学生のうちに読んでほしい作品です。

せいとさんの声
せいとさんの声

せっかく部活に入っているから、心を入れ替えて頑張りたい!

 

せいとさんの声
せいとさんの声

とても読みやすく、3巻ともあっという間に読めた。

 

読むとわかる、「いちご同盟」の意味。

『いちご同盟』三田 誠広/著 集英社

こちらは、生きることを悩んでいた主人公・良一が、野球部のエースである徹也を通して、余命幾ばくもない少女・直美と知り合うことで生と死について深く考えるようになる作品です。
「可能性がある人がうらやましい。自殺のことを考えるなんて、贅沢だわ」読んでいると、直美のセリフが胸に突き刺さります。3人の若者たちが互いに「生きること」について一生懸命考え、関わり合う様子から、15歳の危うさであったり、煌めきを感じずにはいられません。
大人になると、どうしても親目線になって読んでしまうので、一度は10代のうちに読んでおいてほしいです。主人公たちと同じ10代だからこその、読んでいて溜め息が出るあの感じを、ぜひ、味わってください。
そして大人になって再読すると、きっとまた違った印象を抱くのではないでしょうか。
悲しくもあるけれど心が洗われる、そんな小説です。

せいとさんの声
せいとさんの声

とても考えさせられた話だった。
生きることを自分から投げてはいけない。

 

この物語に、桐島という人物は登場しません。

『桐島、部活やめるってよ』朝井 リョウ/著 集英社

こちらは、バレー部のキャプテンである桐島が部活を辞めたことをきっかけに、同じ高校の生徒たちへ静かに波紋が広がっていく様子を描いた作品です。ですので、桐島君は名前だけの登場であり、物語上では姿を現しません。
学校という狭い世界でのお話なので、大人が読むと、「懐かしいな~」で終わってしまうところ、現役10代が読めば、きっと感じることは多いはず。細かい心理描写が多く、スクールカースト的なものだったり、それぞれが抱く悩みであったりと、著者の視点が高校生そのものです。著者が10代の時に書いただけあって、高校生たちの心の内がとてもリアルに描かれているあたり、さすがだな~と思いました。
10代だからこその面白さがある作品です。

せいとさんの声
せいとさんの声

まるで、どこかの学校の日常を盗み見ているようなリアリティーだった。

 

せいとさんの声
せいとさんの声

高校生が書いた話と聴いて、驚いた。
でも、「だからかっ!」とも思った。

 

スポーツって、いいですね!

『バッテリー』あさの あつこ/著 角川書店

父親の転勤を機に、天才ピッチャーの巧は、祖父のいる田舎に引っ越すことになります。そこで心優しいキャッチャー豪と出会い、互いに認め合った二人はバッテリーを組むことに。
一巻には、自らの才能に対する自信に満ち溢れている、大人びた少年・巧と、優しさが溢れている少年・豪、この二人の出会いが描かれています。シリーズはまだまだ続くので、この一巻は物語のほんの序章に過ぎません。
物語を通して、巧の心が少しずつ変わっていく様子や、巧の周りにいるとにかく温かい人たちが、読んでいて心地よさを感じます。野球のことはさっぱりわかりませんし、学生時代にスポーツに魂を燃やした経験は一切ありませんが、それでも、「スポーツを通した友情ってなんかいいな~」と思う自分がいました。前の本の紹介でも言いましたが、やはり、苦楽を共にした友情は揺るぎないですね。

せいとさんの声
せいとさんの声

スポーツものは気が向かなかったけど、読むと、たちまちハマってしまった。
豪のような友達が欲しい。

 

杉原、あなたの青春はかっこいい!

『GO』金城 一紀/著 角川書店

こちらは、在日三世である主人公・杉原の青春を描いた作品です。
差別にもやもやしながらも、恋愛に悩み、仲間と青春を謳歌する様子がテンポよく描かれているので、読んでいて重過ぎず、爽快感すら覚えます。「暗闇を知らない奴に光の明るさは語れない」など、喧嘩が得意で、小賢しい主人公から繰り出される熱いセリフは、どれもはっとさせられるものばかりです。
メディアやSNSばかりに踊らされず、杉原の目や心を通して、10代のうちから広い世界を見てほしいと思います。
ちなみに、映画化もしていて、こちらも小説の世界観を崩すことのない良作なので、おすすめですよ。

せいとさんの声
せいとさんの声

この話をきっかけに、金城一紀さんの本を読破!
この爽快感は、クセになる!

 

剣道がしてみたくなる!

『武士道シックスティーン』誉田 哲也/著 文藝春秋 

勝ちにこだわる香織と、マイペースな早苗。こちらは、そんな、剣道に対する姿勢が正反対の二人が織りなす青春物語です。
剣道をやったことのない人が読んでも、出てくる登場人物や展開の面白さで、あっという間に武士道の世界へ引き込まれてしまいます。ライバル関係であった二人が、互いの思いを知ってわかり合っていく中で、心身ともに成長していく様は、とても爽やかに読むことができ、読後感も心地よいです。
大人になると、こういう青春がとにかく羨ましいので、まだ可能性のあるうちに、10代の皆さんには、ぜひ、わくわくしながら読んでいただきたいです。

せいとさんの声
せいとさんの声

二人の関係だけじゃなく、二人を取り巻く、周りの人たちのキャラも好き。

 

今、この時の友情を大切に。

『スタンド・バイ・ミー』スティーブン・キング/著 山田 順子/訳 新潮社

こちらは、12歳の少年たちが、それぞれの思いを胸に、死体探しの冒険に繰り出す物語です。
親から虐待を受けていたり、世間からの風当たりが強い境遇にあったり、実に重い悩みを抱える少年たちが、悪友の前ではただの馬鹿になれるのを見ていると、彼らにとってこの仲間は、とても貴重な存在なんだな、と思わずにはいられません。特に、主人公にとってのクリスの存在は大きかったのだろうと思います。主人公の小説を書く才能を褒め、自分たちと同じ職業訓練コースへ行くべきではないとクリスが説得するシーンは何度見ても心打たれます。
汽車に追われて線路を走る映像であったり、ベン・E・キングのテーマ曲であったり、今は亡きリバーフェニックスの熱演であったり・・・映画の印象がなにかと強すぎるこちらの作品ですが、小説は少年たちの心情が細かく描かれているので、また別の良さがあっていいですね。
わたしはこの十二歳のときの仲間たちのような友人は、その後ひとりももてなかった。」大人になった主人公の言葉がとても印象深いです。振り返ると、確かに、この時期の友達は特別であり、必ずしもずっと続いていくものではないのかも知れません。
歩む進路が違うだけで、休みが合わせずらくなり、そのうち疎遠になってしまうなんていうことは、よくあることです。
だからこそ、人は、戻れないあの頃に思いを馳せ、ノスタルジックに浸るのではないでしょうか。

せいとさんの声
せいとさんの声

こういう友情に憧れる。自分も友達と旅に出たい・・・。

 

張り巡らされた伏線を回収する時の、爽快感を味わって!

『穴HOLES』ルイス・サッカー/著 幸田 敦子/訳 講談社

こちらは、無実の罪で、強制収容所のような施設に放り込まれ、毎日ひたすらに穴掘りをさせられている少年スタンリーの物語です。穴を掘っている理由や、明らかになって行く過去など、物語が進むにつれてわかってきた頃には、もうページをめくる手が止まりません。様々なことが絡み合って伏線が張り巡らされているので、この場で多くは語れませんが、10代のうちに読めば、この小説が読書好きのきっかけになるなんてことも、あるかも・・・と思える秀逸な作品です。
後半の伏線回収のたたみかけが素晴らしいですよ。

せいとさんの声
せいとさんの声

と、とにかく凄いっ!読んだ後の読後感が半端なく爽快!

 

 

10代だからこそ、本を読もう

いかがでしたか?
どの本も、思春期の不安定に揺れ動く感情や、がむしゃらに走る10代を丁寧に描いているので、主人公に共感しやすく、大人が読むより感情移入出来るかと思います。
言葉にできない胸の高鳴りを、これらの本を通して感じて頂けたら嬉しいです。

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中学生に利用してほしい、使える年鑑7選

調べ学習で積極的に年鑑を活用しましょう。

皆さんは、調べ学習をする時、どういった資料を活用していますか?
最近ではインターネットの普及により、学校でもiPadを使った調べ学習が盛んに行われ、紙媒体の資料の使い方に慣れていない生徒さんが多く見受けられます。調べ学習の時こそ、学校の図書室を利用してほしいと思うのが司書の性ですが、調べ学習にかける時間や、先生たちの都合上、残念なことに、なかなかそうは行かないようです。
以前書いた記事「小・中学生職業調べにおすすめ20選」の中でも言いましたが、ネットはあくまでもは本であり図書館です。本は、ネットとは違い、私たちの手元に渡るまで、色々な人の目を通して誤りがないか確認をし、より正確な情報を私たちに発信してくれます。
そして、そんな紙媒体の資料の中で、特に信頼おける資料が「年鑑」です。
あまり、聴きなれない人もいるかも知れませんが、年鑑は、調べている事柄を、信頼度の高い統計データで裏付け出来る救世主と言っても過言ではありません。
ぜひ、この機会に、だまされたと思って、色々な年鑑を手に取ってみてください。
その時間は、きっと充実したものとなるに違いありません。

 

 

「年鑑」とは?

そもそも、年鑑という言葉を初めて聞いたという人も、中にはいるかも知れませんね。 そんな人のために、年鑑についてどういうものなのかを、少し説明をしておこうと思います。 私が愛してやまない『新明解国語辞典 第四版』よると、「年鑑」とは、

[一定範囲の事柄について]一年間の動きを図や表を使って解説した、年刊の本。

とだけ、説明が載っていました。これだけでは少し分かりづらいので他もいろいろ見てみると・・・『大辞林 第三版』と『日本大百科全書』(小学館)に、丁寧な解説を発見しました。

ある分野の一年間の出来事・統計などを収録・解説した、年刊の刊行物。イヤーブック。(『大辞林 第三版』)

ある国を中心として、政治、経済、社会、文化などを網羅する「総合年鑑」と、理科年表など特定の分野についての「専門年鑑」がある。(『日本大百科全書』)

つまり、簡潔に言えば、年鑑とは、「ある分野や組織、国や自治体などの、一年間の様々な出来事や統計をまとめた紙媒体の資料集のようなもの」と捉えてもらえれば良いかと思います。
年鑑を、調べ学習に取り入れることで、調べている事柄の裏付けとして根拠あるものとなり、信頼度の高いものになるのです。

 

中学生に利用してほしい年鑑7選

それでは、ここからは実際に、中学生に調べ学習等で利用してほしい年鑑をご紹介していきたいと思います。使い方によっては、大活躍する年鑑ばかりなので、ぜひ、参考にしてみてください。

 

平和学習に使える年鑑

『沖縄年鑑』 日本図書センター

こちらの年鑑の特徴は、写真と詳細な統計資料が豊富で、沖縄基地・返還問題など、沖縄戦後史を正確に知るための資料といった側面をもっていることです。 出版社のHPには、著名人から推薦の言葉が次のように並べられています。

ジャーナリストの筑紫哲也さん→「当時の様々な状況を知る上で極めて貴重な資料」
明治大学助教授の山田朗さん→「時代の臨場感を伝える「読める」データ集成である」
沖縄大学教授の新崎盛暉さん→「今では珍しくなった写真とともに、米軍支配当時の沖縄の時代的雰囲気を伝えてくれる

この年鑑が、いかに資料として価値の高いものであるかがわかっていただけるのではないでしょうか。

★この年鑑の使い道
写真や統計資料から、沖縄の基地問題について学ぶことができ、平和学習の授業に役立てることが出来ます。

 

受験対策に使える年鑑

『朝日ジュニア学習年鑑』 朝日新聞出版

こちらは、様々な分野の統計や資料を網羅した、小中学生向けに出版された年鑑です。 特徴としては、年鑑を見慣れていない人でも、写真やカラー、かみ砕いた説明により、わかりやすく情報を得られるという点が挙げられるでしょう。

★この年鑑の使い道
統計や資料から、その年のニュースをわかりやすく学ぶことが出来るので、受験対策に役立てられる年鑑です。今さら聞けない、あのニュースのあれやこれやを、この年鑑で理解することも出来ます。

 

各都道府県の統計を調べたいのなら、この年鑑

『〇〇県統計年鑑』 

どの都道府県も、それぞれの都道府県の土地や人口、経済、教育、文化などのあらゆる分野にわたり、データ収集をして統計を出している年鑑が存在しています。一つの県について、多方面から詳しいデータが必要な場合に、これらを利用するのも一つの手です。

★この年鑑の使い道
都道府県の詳しい情報を統計から得られる他に、それぞれの全国的地位などが載っている場合もあるので、例えば、その県の交通事故件数が都道府県内で何位であるかなど、自分が住んでいる自治体のことを客観的に知ることが出来ます。

 

福祉について学ぶなら、この年鑑

『世界の社会福祉年鑑』 宇佐見耕一/小谷眞男 旬報社

毎年特集テーマが組まれ、社会福祉や社会保障について、国際機関の実践や、様々な基本データから世界基準の福祉を学ぶことが出来ます。また、経済、政治、社会、保健衛生など、いろいろな分野で活躍されている専門家が、社会福祉を分析・考察しているページもあり、読み物としても興味深く読める年鑑です。

★この年鑑の使い道
福祉について、世界に視野を広げて理解を深められるので、福祉サービスやユニバーサルデザインなどの調べ学習に活用することが出来ます。

 

子ども関連の統計なら、この年鑑

『日本子ども資料年鑑』 母子愛育会愛育研究所 KTC中央出版

こちらは、人口動態と子どもに関するデータや、子どもの生活に関するデータなど、子どもが関わる様々なデータを収録した年鑑です。特徴としては、子どもに関する巻頭特集が一年ごとに組まれていて、基本データ以外の情報も充実しています。例えば、2020年の巻頭特集は、「子どもとメディア」。
子どものインターネット依存や、ゲーム障害に関する概説などが掲載されていました。

★この年鑑の使い道
子どもに関する統計を探しているのであれば、一度は開いてみることをお勧めしたい年鑑です。こういった、関係省庁や関係団体などから収集してきたデータを集めた年鑑を客観的に見て、身の回りの情報だけに縛られず、調べ学習に取り組むことはとても大切です。

 

国際情勢を調べたいなら、この年鑑

『世界年鑑』 一般社団法人共同通信社 共同通信社

こちらは、共同通信社の海外全支局、編集局外信部などの記者が取材してきた情報から、一年の世界各国の情勢をまとめあげた年鑑です。

★この年鑑の使い道
様々な国別データを見ることが出来るので、国際問題の理解を深める基礎資料として、調べ学習に活用することが出来ます。

 

星の位置や動きを調べるなら、この年鑑

『天文年鑑』 天文年鑑 編集委員会 誠文堂新光社

こちらは、一年間の主な天文現象、太陽と月の出没時刻、太陽系の星の位置や動きなどのデータが収録されている、天文に関する年鑑です。

★この年鑑の使い道
その年の注目すべき天文現象は、こちらの年鑑を見れば一目瞭然。過去の観測結果と、これから起こるであろう天文現象の予報が解説されているので、主な天文イベントを事前に知っておきたい時に役立ちます。

 

【おまけ!】マニアックな年鑑

最後に、おまけとして、マニアックな年鑑をこっそりご紹介します。
これまでご紹介してきたような、自治体主体のものや、記者が取材を重ねてまとめ上げた、一般的な統計データが載った年鑑ではなく、ある一つの分野だけに焦点を当てた専門的な年鑑は、とことん奥が深いです・・・。

 

ひたすらキノコな年鑑

『きのこ年鑑』 日本図書センター

こちらは、キノコに関する一年ごとの統計・資料の他に、キノコ生産と流通動向、生産に関する制度からキノコそのものの成分に関するデータまで、あらゆるキノコ情報が収集されています。 キノコのことを調べる境遇にある方は、きっと、はずせない年鑑でしょう。
作ったキノコを売る勢いで、本格的にキノコ作りをされる際は、ぜひ、ご参考になさってみては??

調べれば調べるほどに、世の中には、本当にいろいろな年鑑があるのだと痛感させられました。
使い道はご自分でお考え下さい。

 

 

年鑑に慣れることから始めてみよう。

いかがでしたか? この記事を読んで、少しでも年鑑に興味を持っていただけたら、司書として、とても嬉しいです。
まずは、気になる年鑑を実際に手に取ってみて、目次を参考に、特に気になる項目のページだけを眺めてみると良いかも知れません。データがただひたすらに羅列しているタイプの年鑑よりは、ランキング形式で載っていたり、読み物として楽しめるタイプの年鑑の方が慣れるまでは見やすいかも知れませんね。
見ることに慣れさえすれば、年鑑は、調べ学習の心強い味方になってくれること間違いありません。

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中学生におすすめのファンタジー小説10選

ファンタジー好きにお勧めしたい名作たち

ファンタジー物の中には、昔から愛されてきた、いわゆる「名作」と呼ばれる物が数多くあります。
ところが、読みやすい話題の作品にばかり注目する傾向の強い昨今、こういった名作が中学生の目に触れる機会が最近は少なくなってきたように思います。
名作には、やはり、名作と言われるだけの理由があるわけで・・・
ぜひ、尻込みせずに、一度は読んでみてほしいジャンルの一つです。
ファンタジー小説から、想像することの楽しさを知ってもらえれば、読書の幅も広がると思います。

今回、ファンタジー小説の中から、世界で「名作」とうたわれているものや、私が個人的に「名作」と感じたものを10冊選んでみましたので、興味を持っていただけると、これ幸いです。

中学生におすすめのファンタジー小説10選

 

忠実に再現された日本版に、エンデも感動?!

『はてしない物語』ミヒャエル・エンデ/著 岩崎書店

 

せいとさんの声
せいとさんの声

本と現実がシンクロしていくところが面白い!
・・・でも、長すぎて、返却期限までに読めません。(生徒談)

 

日本のファンタジー作家と言えば、この方!

『獣の奏者』上橋 菜穂子/著 講談社

 

せいとさんの声
せいとさんの声

スラスラ読めた。頭の中で、闘蛇を想像するのが楽しい。(生徒談)

 

洋服ダンスの向こう側に広がる異世界!

『ナルニア国物語シリーズ』C.S.ルイス/著 岩崎書店

 

ジブリのやつより、原作が断然面白い!

『床下の小人たちシリーズ』/著 岩崎書店

 

主人公は、神と人間のハーフ!

『パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々シリーズ』リック・リオ-ダン/著 ほるぷ出版

 

せいとさんの声
せいとさんの声

ラノベより、最近こっちにハマってきました。
自分がこんなに読めるとは思わなかったです。(生徒談)

 

自分勝手な神様が人間になったら?!

『アポロンと5つの神託』リック・リオーダン/著 ほるぷ出版 

 

ダークファンタジーの世界へようこそ!

『ダレン・シャン』ダレン シャン/著 小学館

 

せいとさんの声
せいとさんの声

けっこう怖い。でも読む手がとまらない。(生徒談)

 

ハラハラもありつつ、ドキドキもある、恋愛ファンタジー!

『トワイライト』ステファニー・メイヤー/著 ヴィレッジブックス

 

せいとさんの声
せいとさんの声

エドワードが、とにかくイケメン。恋してます!(生徒談)

 

「もしも、死んでしまったら…」を小説で体感!

『青空のむこう』アレックス・シアラー/著 求龍堂

 

100年以上前から読み継がれる名作は、やはり凄い!

『タイムマシーン』H・Gウェルズ/著 偕成社

 

 

ファンタジー小説の魅力

いかがでしたか?少しでもファンタジー小説に興味を持っていただけたでしょうか。
本を読むメリットで、一般的に言われているものとして思い当たることをざっと挙げるとするならば、

〇客観的に物事が考えられるようになる
〇語彙力が身につく
〇色々な価値観に触れることができる
〇疑似的な経験を得られる

などがありますが、ファンタジー小説は、特にこの中で「疑似的な経験を登場人物と共に得られる」ことが大きいように思います。
実際には絶対に起こりえない現象や、体験できない冒険を、主人公と共に体験していくことで、世界観を存分に味わえることがファンタジー小説の魅力の一つであり、優れたファンタジー小説であればあるほど、読み手は想像力を掻き立てられ、物語の世界を楽しむことが出来るのです。

これを機に、ファンタジーの世界へ足を踏み入れて、どっぷりとその世界観を味わってみてはどうでしょうか。

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好きな漫画の傾向から、ハマりそうな小説を選びました‼

 

◆ 自分の好みを知るところから始まる、「読活」。

 

ある日、滅多に図書館へ来ない子に、「本はあまり読まないの?」と尋ねると、なんとも嫌そうな顔をして「漫画は読むけど、本は読まん。」「活字は嫌い。」と話してくれたことがありました。「なんで漫画は読むん?」と更に聞いてみると、「絵で、すぐ読めるし・・・。面白い話が多いから。」だそうです。確かに、漫画ならではの面白さってありますよね。例えば、学校図書館で漫画を置くことが禁止だからと、変わりとして漫画のノベライズ本を置くところがあったりしますが、漫画大好きな私としては、それでは漫画の良さが損なわれているように感じてなりません。漫画は、ストーリーと同じくらい作画が重要であるだけに、その漫画の変わりをノベライズ小説に全て託してしまうのは見当違いです。つまりは、漫画には漫画の良さがあって、小説には小説の良さがあるのです。
では、漫画は漫画で堪能しつつ、漫画好きの情熱を少しだけ小説にも向けてもらうことは出来ないのでしょうか。
これは、学校司書の永遠のテーマであり、課題なのかも知れません・・・。

これまで、読書とは無縁の生活を送ってきて、小説を小難しいものだと認識してしまっている中学生の固定観念を覆すには、「漫画ばかり読まんと、本を読め!」ではなく、「漫画って面白いよね~!いいよね~。」と、まず、漫画を肯定することにあると私は思います。嘘でもなんでもなく、実際に漫画は面白いのですから。
「どんなの読むん?何系?」と漫画トークに花を咲かせ、相手の好みを聞き出せたら、してやったり。心の中で私はガッツポーズをします。「この漫画のここが好きなんよ。」と、キラキラした瞳で語ってくれる子どもたちに癒されながら、頭の中では、同じジャンルの小説を、無い脳みそをフル回転させて探します。
そして、「その漫画が好きなら、絶対この本ハマるわ~。だまされたと思って読んでごらん。」と、一冊の本を手渡し、何なら、大まかなストーリーや見どころを漫画トークと同じ熱量で、子どもたちと同じキラキラの瞳で語ってしまいます。

本選びは、絵本も小説も、自分の好みを知っておくことがとても大事です。
読書初心者で、その物差しとなる「好み」がわからないのであれば、好きな漫画をその代わりとして、小説選びの基準にしてみてはどうでしょうか。小説の面白さに気づき、新しい扉が開けるかも知れません・・・。

 

 

◆ この漫画が好きな人は、あの小説にハマる?!

前置きが長くなってしまいましたが、それでは、実際に、漫画と小説を紐づけて、お勧めの小説を紹介していきます。小説初心者にしては、少し長い本もありますが、ハマれば長さは関係ないということで載せておきましたので、ぜひ、挑戦してみてください。

★あの疾走感を小説でも味わいたいなら・・・

 

運動音痴ですら、バスケにハマった漫画

『スラムダンク』井上 雄彦 集英社

こちらの漫画が好きな人に、お勧めしたい小説はこちら!

本当の強さとは何かを考えられる作品!

『風が強く吹いている』三浦 しをん/著 新潮社 

 

★得体の知れないものから恐怖を味わいたい人には・・・

 

まっすぐな少年と、それに憑く化け物の妖怪退治

『うしおととら』藤田 和日郎 小学館

こちらの漫画が好きな人に、お勧めしたい小説はこちら!

その声に、答えてはいけない!

『ぼぎわんが、来る』澤村 伊智/著 KADOKAWA 

 

この世のものではないモノを見通す眼を持つ、青年探偵の物語

『心霊探偵八雲』神永 学/著 KADOKAWA 

 

★痛快な青春エンターテインメント!ハマったならば・・・

 

今日から不良になった2人がおくる、ドタバタ劇

『今日から俺は!!』西森 博之 小学館

こちらの漫画が好きな人に、お勧めしたい小説はこちら!

落ちこぼれ高校生たちのおバカ青春ストーリー!

『レヴォリューションNo.3』金城 一紀/著 KADOKAWA 

 

★仲間っていいよね!人生は冒険だ!カッコイイ生き方がしたいなら・・・

 

ひとつなぎの大秘宝を探して大海原へ!

『ワンピース』尾田 栄一郎 小学館

こちらの漫画が好きな人に、お勧めしたい小説はこちら!

秘密組織にスカウトされ、人生が180度変わった少年の物語

『英国情報局秘密組織チェラブ』ロバート・マカモア/著 ほるぷ出版 

 

仲間と一緒に正義を貫く!

『ぼくらのシリーズ』宗田 理/著 ポプラ社 

 

★爽やかな少女漫画好きには、極上な青春モノを・・・

 

恋愛だけでなく、一人の女の子の成長も感じられる少女漫画

『君に届け』椎名 軽穂 集英社

こちらの漫画が好きな人に、お勧めしたい小説はこちら!

多感な時期に、何を思い、何に悩むか・・・高校生の心の成長を描いた名作

『夜のピクニック』恩田 陸/著 新潮社 

 

★物語のヒロインらしからぬ主人公は、小説にも!

 

王道を行かない主人公

『ヒロイン失格』幸田 もも子 集英社

こちらの漫画が好きな人に、お勧めしたい小説はこちら!

こじらせOLの恋物語

『勝手にふるえてろ』綿矢 りさ/著 新潮社 

 

◆ きっかけは何だっていい。「読活」のすすめ

いかがでしたか?漫画、小説ともに、まだまだ紹介したい本があったので、いつかまた、第二弾もやれたら・・・と思います。
漫画で描かれた伝記モノ、映画のノベライズ本、アイドルが書いた私小説・・・読書をするきっかけは、何だっていいのです。そこがスタートとなって、守備範囲を広げていけば、自ずと、自分が面白いと思える小説にたどり着けるのではないでしょうか。
冒頭にも書きましたが、まずは、自分の好みを知っておくこと。自分がどのようなジャンルが好きで、どういった作品を読みやすく感じるのか知っておくことが大切です。又、読活を続けていけば、「この作家さんの書く小説が好き」と、更なる気づきがあるかも知れません。
そこまでいけば、「ちょっと冒険してみよう」と、普段は手に取らないジャンルに挑戦し、新たな発見を楽しむ余裕も生まれていることでしょう。

本を毛嫌いしている子どもたちが、少しでも、読書の楽しさ、小説の面白さに気づいてくれればいいな~と、心から思います。

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読んでみよう。吉野彰さんの人生を変えた一冊

ノーベル化学賞受賞、吉野彰さんの人生の転機となった本

 

2019年10月9日、吉野彰さんにノーベル化学賞の受賞が決定しました。

全てが小型化し、持ち運びが便利となった現代、軽量小型で長寿命、しかも何度も使うことの出来るリチウム電池を発明した、吉野彰さん達の功績は大変輝かしいものです。

そんな吉野さんの人生の転機となったのは、一冊の本との出会いだったのだそうです。これが、イギリスの科学者である、マイケル・ファラデーが書いた『ロウソクの科学』という本。

科学への熱い愛がひしひしと伝わる・・・

『ロウソクの科学』マイケル・ファラデー/著・竹内 敬人/訳 岩波書店

こちらは、ロウソクが燃える不思議や、炎の特性について書かれている本で、当時小学4年生であった吉野さんは、担任の先生にこの本を進められ、子ども心に科学の魅力を知ったのだそうです。

内容は、難しいことが書いてあるわけではなく、小中学生の理科の授業で行う実験ばかりで子ども向けではありますが、絵が少ないので、小学生には少し読みづらいかも知れません。しかし、本書を読むと、著者の科学への愛がひしひしと伝わってきて、著者が子どもたちに伝えたい”科学の面白さ”を、詰め込めるだけ、沢山詰め込んでいることを感じられずにはいられません。

ロウソクの科学の話から始まり、最後は人間の呼吸の話にまで行き幕を閉じる・・・やはり、科学は何歳になっても好奇心を擽りますね。

小~中学生に読んでほしい、科学の本

 

ファラデーの本が読みづらいのであれば、このような本もお勧めです。

身の回りにあふれる不思議にわくわく

『好奇心をそだて考えるのが好きになる 科学のふしぎな話365』日本科学未来館

 

 

マンガを読みながら、身近な不思議に迫るシリーズ

『ドラえもん科学ワールド(既19巻)’19年度』藤子プロ・真鍋 真/監修 小学館

どちらも、科学への好奇心を掻き立てられる内容となっているので、勉強の合間の息抜きや、科学に興味を持つきっかけとして、良いかも知れません。ある現象が起こる仕組みを知ることは、普段何と無しにそこにある物事の奥深さを知ることに繋がります。そもそも、「科学(science)」の語源は、ラテン語の「scientia (知識)」から来ているのだとか。
科学の本を開けば、知りたい「知識」に、きっと出会えると信じて、この記事を終わりとしたいと思います。

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司書がおすすめする、障害・福祉関係の絵本&読み物

身近なユニバーサルデザインを見つめて

 

今回は、障害や福祉のお薦めな絵本や読み物を紹介していきたいと思います。

その前に、福祉の点で切っても切り離せないユニバーサルデザインのことについて少し触れておきます。ユニバーサルとは、「普遍的な」、「全体の」という意味で、これに「設計」の意味の「デザイン」を付けて「ユニバーサルデザイン」と呼んでいますが、要は、国籍や年齢、性別等の違いであったり、障害の有無等を問わずに、全ての人の為に考えられたデザイン(設計)をそのように呼んでいるわけです。学校の授業では、こうした自分たちの身近にあるユニバーサルデザインを見つめ、生活に生かすことを通して生徒が積極的に社会に参画していくことまでを目標としているようです。

小学校や中学校でユニバーサルデザインの授業が行われている昨今、私自身、学校現場や公共図書館で仕事をしてきて、福祉について考えたり、様々な障害についての理解を深める授業を行なっている学校が増えてきたように感じています。そこで、今回は障害や福祉のお薦め本を細かいカテゴリーごとに分けて紹介することにしました。絵本も沢山紹介していますので、様々な障害や福祉の事について、この機会に知識を深めてみてはどうでしょうか。

 

 

障害や福祉関係のおすすめな絵本

 

視覚障害

『もうどう犬べぇべ』 セアまり/さく 平澤 朋子/え ほるぷ社

最初にご紹介する絵本は、盲導犬のべぇべと視覚障がい者であるメグの物語です。
メグは目がどんどん見えなくなっていく病気になり、部屋に引きこもりがちになっていました。そんなメグの笑顔を取り戻してくれたのは、いつも困り顔の盲導犬べぇべでした。べぇべの動きからメグは周りの様子を理解できるようになり、ハーネスを外した時のべぇべのおかしなしぐさによってメグに再び笑顔も戻るようになります。やがて2人(1匹と1人)は、外出中に起こってしまった事故から、困ったときには遠慮せずに周囲の人に手助けをしてもらっても良いのだと気づき、これを機に前向きに色々なことに挑戦していくのです。
この絵本の作者である、セアまりさん自身、メグと同じ視覚障がい者です。だからこそ、絵本の最後に載っている作者の言葉には、伝えたいメッセージが沢山散りばめられているように感じます。町で盲導犬を見かけた時に気を付けてほしいこと、目の不自由な人が困っている場面に遭遇したらどうしてほしいか等、この絵本から沢山感じ取ることが出来るのではないでしょうか。

 

小1むすこ
小1むすこ
こまっている人がいたら、声をかけてあげようと思ったよ。(息子談)

 

 

視覚障害

『6この点 点字を発明したルイ・ブライユのおはなし』 ジェン・ブライアント/著 ボリス・クリコフ/絵 岩崎書店

こちらは、点字を発明したルイ・ブライユの物語です。わずか15歳の少年がたった一人で完成させた点字が、現在でも図書館や空港、銀行のATM等で使われているって凄いことですよね。
どうやって点字が生まれたのか、点字を生んだ少年の人生とはどういったものだったのか、この絵本を読めば、この少年のひた向きな努力と諦めない気持ちを感じ取ることが出来ます。ルイの周りには、目の見えないルイに対して「きのどくだ・・・」と声を掛ける人たちが多くいました。けれども、ルイはただ、ほかの子と同じように、自分で読んだり書いたりしたいだけであって、「かわいそうなルイ・ブライユ」と同情されることに違和感を覚えていたことでしょう。目が見えない自分を悲観することなく、どうすれば良い状況になるのか、先だけを見つめて努力を怠らない、この絵本の通りのルイ・ブライユを想像すると、「きのどく」や「かわいそう」等という言葉は違和感のほかありません。目が見えないけれど本が読みたいから、目が見えない人でも読むことの出来る本を作ろうと考える精神は、とても前向きなのですから。

 

小1むすこ
小1むすこ
目が見えなくても、本が読めることにビックリした。(息子談)

 

 

視覚障害

『雨のにおい 星の声』 赤座 憲久/著 鈴木 義治/絵 小峰書店

こちらは、盲目の子どもたちの心を写した絵本です。雨のにおい、星の声、風のうごき、足の裏からもあたりの景色がひろがっています。普段、私たちが目で見て、当たり前に過ごしていることが、この子たちの心を通して感じれば全くの別世界へと姿を変えるのです。見えないことで分からないこともありますが、見えないことをハンデとせず、研ぎ澄まされる感性から得られるものも沢山あるのだということに気づかされる一冊です。

 

 

いろいろな障害

どんなかんじかなあ』 中山 千夏/さく 和田 誠/絵 自由国民社

「みえないって」、「きこえないって」、どんなかんじかなあ・・・。ひろくんは目を閉じてみたり、耳を塞いでみたりして、友達がどんなかんじか考えてみます。ひろくんの様に自分以外の人のことを考えて、歩み寄ってみることで、これまで全く気が付かなかったことに気づくことが出来るのかも知れません。
誰かと繋がりたければ、その人のことを知ることにつきます。その人に自分のことを知ってもらいたい場合も同様に、相手のことを知ろうとすることで互いの壁がなくなるのです。又、誰かのことを知ろうとすればするほど見えてくるのが、普段何てことなく過ごしている「自分自身」だったりします。同じ人間でも、誰一人として、同じ身体や考えの人はいないわけで、自分以外の誰かを知ろうとすることは、これまで自分が見落としてきた自分自身の良いところや凄いところをも気づかせてくれることだってあるのですよね。

 

 

聴覚障害

ローラのすてきな耳』 エルフィ・ネイセ/著 エリーネ・ファンリンデハウゼ/絵 朝日学生新聞社

このお話は、幼少期の頃に耳が聞こえにくかった作者の実体験に基づいて書かれたものです。自分のせいではないのに、耳が聞こえにくいが故に起こってしまう様々なこと・・・この絵本には、そんな少女のつらさや苦しさが語られていると共に、後半からは補聴器を着けたことによって彼女の前に広がった新たな世界のことが、希望に満ちた様子で描かれています。耳が聞こえづらい人にとって、補聴器がただの「機器」ではなく、いかに重要な「耳」となりえるのか・・・「私にもようやく居場所が見つかったの!」この絵本の最後で少女の口から出た言葉が、全てを物語っているような気がします。

 

 

聴覚障害

『ぼくのだいじな あおいふね』 ピーター=ジョーンズ/著 ディック=ブルーナ/絵 偕成社

こちらは、耳が聞こえづらい男の子の毎日がディック・ブルーナの絵で分かりやすく語られています。聴覚障害児をもつお母さんや先生方の助言から誕生した絵本ということで、外見だけでは分かりにくい聴覚障害の悩みや不安が小さな男の子の目線で丁寧に描かれています。ブルーナの明るい色調とシンプルにまとめられた文は、とても暖かく、愛情をもって理解を示してくれる人達の存在がどれほど心強いか、気づかせてくれます。

 

 

聴覚障害

わたしたち手で話します』 フランツ=ヨーゼフ・ファイニク/著 フェレーナ・バルハウス/絵 あかね書房

生まれつき耳が聞こえないリーザという女の子と、手話が得意なトーマスという男の子の出会いが微笑ましいお話です。リーザは同い年くらいの子どもたちとなかなか仲良くなることができませんでした。リーザにとって、声を出して話をすることは、自分が話す声も聞くことができないのでとても難しいのです。リーザが耳が聞こえないことを手話でいくら話しても、子どもたちには通じません。そんな一人ぼっちのリーザに手で話しかけてくれたのがトーマスでした。トーマスの両親も耳が聞こえないので、トーマスの家では手話が日常で使われていたのです。そして、リーザとトーマス、二人の出会いは他の子どもたちにも素敵な効果をもたらすことになりました。
読んでいて、心にふっと暖かい灯りがともる、そんな絵本です。この絵本によって、思わず手話を覚えたくなる、そんな子供たちもきっと出てくるのではないでしょうか。

 

小1むすこ
小1むすこ
学校で、手話の本を借りてきたよ! 「手伝いましょうか?」を覚えたんだ。(息子談)

 

聴覚障害

わたしの妹は 耳がきこえません 』 ジーン=W=ピーターソン/著 デボラ=レイ/絵 偕成社

こちらは、耳の聞こえない妹を持つ作者が、詩のような優しい文で妹について書き綴っている絵本です。友達に「耳がきこえないって、耳がいたいの?」と聞かれて、”わたし”は「耳はいたくないの。でも、むねがいたくなるの。みんなに自分の気持ちをわかってもらえないときにね。」と答えます。妹のことを本当によく見ているお姉さんで、妹のことがとても大切で可愛いのだろうなあ、と、読んでいて愛情が伝わってきます。例え耳が聞こえていなくても、誰かに愛されているだけで、世界はこんなにも光に満ちてみえるのだということがよくわかる一冊です。

 

 

染色体異常

『わたしたちのトビアス』 セシリア・スベドベリ/さく 偕成社

こちらは、子どもたちの無邪気な絵と文で、障害児である弟のトビアスのことが書き綴られている絵本です。トビアスが産まれた時にちっとも嬉しそうではなかったママの声や、周囲の反応・・・それらを目の当たりにして、トビアスの兄弟たちは「とくべつ」や「ふつう」について考えます。パパとママは、トビアスを施設へ預けることを検討しますが、兄弟は大反対。「トビアスに手がかかるなら、わたしたちみんなで、てつだうのがあたりまえ」とかんかんに怒るのです。ある時、ママが言いました。「みんな、いっしょにくらさないから、おたがいに、わかりあったり、すきになったりできないんだわ。」そこで兄弟たちはこう考えます。「わたしたちに、ふつうでない弟がいてよかった」、「わたしたちは、ふつうでない人といっしょにくらすことをおぼえるし、ふつうでないとはどういうことかが、わかるようになるから」と。
弟への愛にあふれた絵本であり、社会全体で”知ること”が”支援に繋がる”ということをこの絵本は教えてくれます。

 

 

染色体異常

『わたしのおとうと、へん・・・かなあ』 マリ=エレーヌ・ドルバル/さく スーザン・バーレイ/え 評論社

こちらは、フランスの≪幼年期と染色体異常を考える21世紀の会≫の提唱で創られた絵本です。
うさぎのリリには、どんなときでも、にこにこ笑顔のドードという弟がいます。「目は、どろーん」、「耳は、だらーん」、「口から、よだれが、だらだらだら」そんなドードを見て、「わたしの、おとうと、へん……かなあ。」と、リリは時々心配しています。そして、ドードがスープを零しても、床にお漏らしをしても、ちっともドードを怒らないパパとママのせいで、このままではドードが赤ちゃんのままだと心配が止まりません。「いくら、しんぱいでも、きみがひとりで、なにから、なにまで、してあげることはできないよ。」とリリに助言をしてくれるふくろうのおじさんや、大風の日に家を建てた野ネズミの話を聞いて、リリは一番大切なことを思い出すのです。スーザン・バーレイさんの温かい絵のタッチが素敵な一冊です。

 

 

肢体不自由(両足麻痺)

『わたしの足は車いす』 フランツ=ヨーゼフ・ファイニク/著 フェレーナ・バルハウス/絵 あかね書房

アンナは、生まれた時から両足が麻痺している女の子です。自分の足では動くことが出来ないので、車いすがアンナの足となって行きたい場所へ連れて行ってくれます。ある日、お母さんにお使いを頼まれたアンナは、初めて自分一人で外へ出かけることになりますが、なかなか思うようには行きません。じろじろ見てくる人がいたり、「気のどくだね。」と言われたり、お店の店員に変に気を使われたり・・・そんなアンナに対して声を掛ける男の子、ジギーの優しい言葉は、アンナの張りつめた気持ちをどんなに楽にしてくれたことでしょう。「ふつうとはちがってる」、「ちがってもいいのさ。ちがってるのって、ほんとうは、とくべつなことなんだから。」よく考えてみれば、”ふつう”って何を基準に言っているのかわからないですよね。大多数の人が”ふつう”で、少数派の人が”ちがう”と弾かれているのであるならば、ジギーの言葉は的を得ているようにも思えます。この絵本から、ぜひ、いろいろなことを感じ取ってみてください。

 

小1むすこ
小1むすこ
車いすに、ちょっとだけ乗ってみたいな。 アンナに友達が出来て良かった。(息子談)

 

 

肢体不自由(脳性麻痺)

『ぼくたちのコンニャク先生』 星川 ひろ子/著 小学館

「幼い子に向けて障害をメッセージする本を作りたい———」こちらは、母であり写真家である著者がずっと温め続けてきた思いによって生まれた写真絵本です。保育園に勤めだして直ぐに「コンニャク」と言うあだ名を付けられて、園児たちから洗礼を受けた近藤先生と純真無垢な園児たちの日常を垣間見ることが出来ます。生後8か月の時に脳性まひと診断された近藤先生は、ごはんの時に手が震えたり、話すことが苦手だったり、手先ならぬ足先を器用に使って折り紙を折ったり・・・子どもたちの目には、それら全てが新鮮に映って、興味の対象となるのです。「偏見」など微塵も持たず、近藤先生の色々なことを純粋に「知りたい」と思う、この園児たちのように、”いろんな人がいて、あたりまえ”なのだと、多くの子どもたちがこの絵本から感じ取っていくのではないでしょうか。

 

小1むすこ
小1むすこ
足の指でいろんなことが出来るのがすごい!ぼくにも出来るかな・・・。(息子談)

 

 

肢体不自由(先天性四肢欠損)

『さっちゃんのまほうのて』 たばた せいいち/さく 偕成社

田畑精一さんと先天性四肢障害児父母の会によって作られた、生まれつき右手の指がない女の子のお話です。ままごとあそびでお母さんになりたいさっちゃんは、お母さんに訊ねます。「しょうがくせいになったら、さっちゃんのゆび、みんなみたいに はえてくる?」お母さんはさっちゃんが期待通りの答えはしてくれませんでした。「さっちゃんは おかあさんには なれないよ!だって、てのないおかあさんなんて へんだもん」友達から言われた、こんな心ない言葉もあって、やがて、さっちゃんは幼稚園を休むようになってしまいました。
子供は純粋であるが故に、その言葉によって人が傷ついてしまうということを深く考えずに、言葉を発してしまうことがあります。一度、口から出てしまった言葉は「無し」にすることは出来ません。でも、その言葉が正しくなかったと気づいた時、その言葉を違う言葉や態度で上書きすることは出来ると思います。さっちゃんの友達は、ハートの形をしたチョコレートを渡すことで、さっちゃんに対して謝りたい気持ちを態度で表しました。さっちゃんにとっては、それだけで、「なんだか ふうーっと おかしくなって」前向きになれるのです。自分と違う体の人を、つい、ジロジロ見てしまうこともあるとは思います。無知ほど残酷なものは無いのかも知れません。この絵本は、先天異常と子どもたちを取り巻く問題をこれからも広く社会に語りかけていくことでしょう。

 

小1むすこ
小1むすこ
指がない人だけじゃなくて、指の数が多い人もいるって聞いてビックリした。 いろんな人がいるんだな~。(息子談)

 

 

自閉症

『ふしぎなともだち』 たじま ゆきひこ/さく くもん出版

続いてご紹介する絵本は、転校先の小学校で、自閉症の男の子と初めて出会う少年の目線で描かれている絵本です。先ほど、「無知ほど残酷なものは無いのかも」と言いましたが、こちらは「知っていること」の大切さがよく描かれているように思います。初めて自閉症の子と出会い、その行動や、それを当然として日々を過ごす子どもたちに衝撃を受けたおおたくん。おおたくんにとって、初めのうちは、自閉症のやっくんは「きんちょう」の対象だったり、一緒にいると「いらいら」してしまう、近づきたくない相手だったりします。ですが、長い年月を共に重ねていく中で、やっくんの存在はおおたくんにとって、心でわかりあえる、不思議な友達となるのです。
このお話には、実は実在するモデルとなった二人がいるようで、作者である田島さんが淡路島の自閉症の青年とその同級生に取材を重ねて絵本になったのだそうです。その為か、読んでいて周囲の反応もとてもリアルに感じました。私が小学生の時にも同じような子がいて、よくクラスでからかわれていましたが、彼も今思えば、なんらかの障害を持っていたのだと思います。当時の自分にこの絵本を読ませたい・・・「知っている」からこそ、見えてくることって、本当に沢山あるのではないでしょうか。

 

 

学習障害

『ありがとう、フォルカーせんせい』 パトリシア・ポラッコ/著 岩崎書店

知的発達に目立った遅れがないのにも関わらず、学習面で、読み書きが出来なかったり、算数が苦手だったりと、つまずきや習得の困難さを示す子どもを「学習障害」と言いますが、この絵本の主人公であるトリシャも、字をくねくねした形としか捉えることが出来ず、読み書きが一切できません。トリシャが、隣の子の読んでいることを丸暗記して本を読めるふりをしたり、先生が読んだ後に同じことを繰り返して読めるふりをしていたことで、先生たちには気づかれないまま、学校生活は過ぎていきます。子供たちはその点敏感で、自分たちとは違うトリシャを笑ってばかにし、からかいます。そんなトリシャの苦しみにいち早く気が付いたのが、フォルカー先生でした。「きみには 字や すうじが みんなとは ちがってみえるのに、らくだいしないで ここまで きた」、「きみは かしこくて、それに とっても ゆうかんだ」フォルカー先生はトリシャに優しく言葉を投げかけます。
これは、作者の自伝的な物語であり、30年後、トリシャがフォルカー先生と再び会った時に、どんな仕事をしているのか尋ねられ、彼女は先生にこう言うのです。「しんじられますか?こどもの本を かいているんですよ。」学習障害を持っている子どもたちにとって、これほど勇気をもらえる絵本はないのではないでしょうか。トリシャにとって、フォルカー先生との出会いが人生を変えたのです。この絵本は、個性にあった教育の大切さを再認識させてくれます。

 

 

学習障害

『算数の天才なのに計算ができない男の子のはなし 算数障害を知ってますか?』 バーバラ・エシャム/著 マイク・ゴードン/絵 岩崎書店

まず、このタイトルを見て、「どういうこと??」と疑問に思う人は少なくないかも知れません。算数が得意ならば、計算も簡単に出来るのでは?と。これが、算数障害の誤解を招きやすい部分で、この絵本ではこういった分かりづらいケースをウィットに富んだ絵と文で、分かりやすく伝えてくれています。算数障害の子どもにとって、この絵本のマックスの様に、数の概念を理解出来ても、九九を機械的に覚えることは出来ません。また、その反対に、計算が出来ても、計算の意味が理解出来ないというケースもあるそうです。傍から見ると大変分かりづらいですが、当の本人にしてみれば、「どうして自分は出来ないのだろう」と自暴自棄になる、とても深刻な状況です。障害を認識されることなく、間違った方法での指導が続くことになれば、ますます悪い方向へ進んでしまいます。教師も親も、子どもたちをよく観察して、その子に寄り添った支援をすることが大切なのだということをこの絵本を読んで改めて実感しました。

 

 

発達障害

『ボクはじっとできない』 バーバラ・エシャム/文 小学館

表紙にも小さく書かれてある通り、こちらは、自分で解決法をみつけたADHDの男の子のお話です。この絵本の素晴らしいところは、なんといっても、デイヴィッド自身が自分の特性のどこが問題であるかに気づき、解決方法を探って、解決策を先生に提案したことでしょう。昨今、日本では社会に出ていく上で問題解決能力が重要視されていますが、デイヴィッドに備わっていたのは、まさしく、この問題解決する力であったのです。ADHDの特性として、落ち着きがなかったり、モノをすぐ失くしてしまったりと、ネガティブな面だけがクローズアップされがちですが、頭の回転の速さや、アイデアの豊富さなど、強みとなる部分もこちらでは頼もしく描かれています。

 

小1むすこ
小1むすこ
自分でいろいろ考えて、デヴィッドって凄い。(息子談)

 

障害や福祉関係のおすすめな読み物

 

続いて、障害や福祉関係のおすすめな読み物についてご紹介します。

視覚障害

『目の見えない人は世界をどう見ているのか』(新書) 伊藤 亜紗/著 光文社

こちらは、生物学者を目指していた著者によって書かれた本です。視覚障害者やその関係者達に対して行ったインタビュー、その人達とともに行ったワークショップ、日々の何気ないおしゃべり等から「世界の別の顔」の姿を柔らかな読みやすい文体でまとめています。「世界の別の顔」とは、見えない世界しか知らない人から言えば、「見える世界」のことで、見える人から言えば、逆に「見えない世界」のことです。本文にも書かれてありますが、実はこの本は、「いわゆる福祉関係の問題を扱った書物ではなく、あくまで身体論であり、見える人と見えない人の違いを丁寧に確認しようとするもの」(p.7)です。「視覚障害者がどんなふうに世界を認識しているのかを理解すること」(p.23)がこの本の大きなテーマとなっています。決して支援の観点から書かれている本ではありません。もちろん、必要とされた時に、差し伸べる手は大切ですが、この本を読めば、きっと全く違った印象を持つはずです。著者である伊藤さんの解説がとても丁寧で分かりやすく、どの話もストンと入ってきて読んでいて心地良かったです。
そして、余談ですが、この本を基にして描かれた絵本があります。こちらは未就学児に見せても楽しむことが出来ますし、小学生に物事を違う視点で見たり考えたりするきっかけを与えられる絵本だと思います。絵本作家のヨシタケシンスケさんがストーリーを考え、伊藤亜紗さんに相談しながら作ったそうですよ。こちらもお勧めです。

 

 

視覚障害

『暗やみの中のきらめき 点字をつくったルイ・ブライユ』 マイヤリーサ・ディークマン/著 汐文社

こちらは、ルイ・ブライユのただの伝記ものではなく、現代のフィンランドに住む盲目のレオ少年の話と、まだ幼いながらも200年前に点字を発明したルイ・ブライユの話が交互に進んでいきます。よくある伝記ものは、事実を語ることに忠実になりすぎて内容が浅くなってしまいがちですが、二人の人生が交互に語られることで、ルイがやり遂げたことが如何に凄いことであるのかがよくわかり、物語に厚みが加わっています。当時のフランスの時代背景や、フィンランドの学校での様子なども物語の端々に描かれているところも興味深い作品です。「そこに書いてあることを知りたい、物語を聞きたい」熱い思いを抱いていた幼い盲目の少年が点字を発明するまでを、現代のフィンランドの男の子レオの目を通して見つめている、とても読み応えのある一冊です。

 

 

聴覚障害

ろう者の祈り 心の声に気づいてほしい』 中島 隆/著 朝日新聞出版

こちらは、新聞での連載が加筆されて本になったものだそうで、インタビューのような形で話が進んでいきます。聴覚障害者の方が悩んでいることや、どのような助けを必要としているのかがよくわかる本です。手話は、聴覚障害者の方にとって言語の一つですが、私自身、お恥ずかしながら、この本を読むまで手話と日本語がこれほどまでに違う言語であるとは思っていませんでした。こういった聴者の認識のズレが聴覚障害の方に対する誤解を生み、聴覚障害者の方を苦しめているのかも知れません。聴覚障害について知るきっかけとして良い一冊です。

 

 

聴覚障害

『犬たちがくれた音 聴導犬誕生物語』 高橋 うらら/著 金の星者

こちらは、小学校高学年ぐらいから読める児童書です。捨てられたり、震災などで帰る場所を失った犬がどのようにして聴導犬となるのかがこの本を読めばよくわかります。聴導犬は聴覚障害者にとって、生活に必要な音を伝える大切な存在です。しかし、中には、聴導犬がいなくても、機械を使えば音を知らせることは可能だと考える人もいるでしょう。この本は、そういった声に対して疑問を感じた著者が、動物保護や聴導犬の育成に取り組んでいる団体へ取材を重ねていく上で出会った、ある一頭の犬と、その犬を育てた人たちを主人公にしたお話です。日本で認定されている聴導犬はまだ数少なく、盲導犬に比べてあまり世間に知られてはいません。この本によれば、アメリカやイギリスでは沢山の聴導犬が活躍していますが、聴導犬の歴史の浅い日本では(この本が出版された2007年時点で、)約数十頭しかいないそうです。
この本を読めば、聴導犬がもっと社会に浸透してほしいと願わずにはいられません。

 

 

聴覚障害

あなたの声がききたい―聴覚障害の両親に育てられて』 岸川 悦子/著 岡本 順/絵 佼成出版社

こちらもノンフェクションの一冊です。著者の岸川悦子さんが入院先の病院で出会った、看護師の加奈子さんのこれまでの人生が丁寧に描かれています。加奈子さんのご両親は聴覚障害者で、幼いころから加奈子さんは友達の親と自分の親との違いにもどかしさを感じながら育ったそうです。心無い人たちからの偏見や差別が、読んでいて何とも言えない気持ちにさせますが、加奈子さんのご両親の前向きな生き方や、「将来は、弱い立場の人たちのために、なにか役立つ仕事をしよう」という、加奈子さん自身の気持ちの変化は読んでいてとても「強さ」を感じました。加奈子さんのご両親がまだ若かった頃、日本は今よりもっと、障害者に対して偏見や差別があったこと、手話が禁止され、ほとんどの聾学校で「口話法」が教育されていたこと・・・この本から知った事実が沢山ありました。そして、「手話」が聴者と聴覚障害者を繋ぐ重要な手段であることを改めて認識させられました。感動だけではない、色々なことを、ぜひ、この本から感じていただければと思います。

 

 

肢体不自由(難病ALS)

『わたしは目で話します』 たかお まゆみ/著 偕成社

こちらは、難病ALS患者である著者が「言葉の力」について書いた本で、全篇、文字盤を使って目で書かれています。言葉を発することは奇跡であり、孤独の中で言葉は育たず、言葉が人を人間にする・・・この本の中に散りばめられている言葉の数々は、どれも核心的で、読んでいて、はっとさせられます。第一章でALSという病気についての説明が詳しくなされていますが、ここで、著者にとって「身体が動かなくなるより、おいしいものが食べられなくなるより、言葉をうしなっていくことのほうが、十倍も百倍もつらかった」 (p.53)ことが書かれています。普段何も考えずに、ごく自然に使っている言葉ですが、失って初めてわかる、言葉の可能性や力をこの本から感じられるのではないでしょうか。話すことさえ出来れば、あらゆる困難を解決できることだってあるでしょう。最後に、人と話すことに悩みを抱えている人へ、著者からメッセージが書かれていました。その中の一つに、「友だちの言葉を大切に。」という内容のものがあります。私は、闘病生活や話せない苦しみだけを綴った本ではなく、この本がコミュニケーションできる喜びがどんなに深いものなのか、人と言葉を交わすことの尊さについて書かれている本であることが、このメッセージに凝縮されているように思いました。難病ALSについてはもちろんのこと、普段の何気ない言葉のやり取りに対しても考えることの出来る良書です。

 

 

肢体不自由(両下肢弛緩性マヒ)

車イスから見た街 』(岩波ジュニア新書) 村田 稔/著 岩波書店

こちらは、生まれて一年半で、せき髄性小児マヒで両足が動かなくなり、車いす生活を余儀なくされた著者の目線から見た、日本の街や社会についてのことが書かれた本です。この本は今から約25年前に書かれたものなので、この頃から言えば、日本は随分変わりましたが、「福祉の視点で街を見る」きっかけに良い本ということで、今回選ばせていただきました。今でこそ、商業施設のトイレには必ずと言っていいほど障害者用トイレがありますが、この本によると、これが書かれた頃の日本には、まだあまりメジャーではなかったようです。又、歩けないからという理由で高校側から入学を拒否された話なども載っていて幾分内容に古さも感じますが、著者が25年前に、車イスの目線で「おやっ」と思っていたことが、残念なことに令和になった現代の街でもまだ見られる光景であることを私たちは知っておかなければならないと思います。例えば、車イスマークのついた駐車区間に、平気で止める一般車や、同じく車イスマークのついた駐車区間に設けられた、鎖の付いた柵、これは現代でも見かける光景です。歩道橋、駅の階段、地下鉄の入り口、バス、電車・・・誰にとっても使いやすい街になるために、誰かの目線で物事を見たり、考えたりすることはとても大切ですね。

 

 

発達障害

拝啓、アスペルガー先生』 奥田 健次/著 飛鳥新社

タイトルに小さく「支援記録」とありますが、小難しい話は一切なく、とても読みやすい一冊です。こちらは、臨床心理士、行動分析学者で知られる奥田健次先生が書いた支援記録で、過去の支援から著者が思い出に残っている子どもたちのエピソードが紹介されています。著者が20年間の中で出会った子どもや家族たちで、実際に出会ったその時々の問題と乗り越えた記録に基づいて書かれていて、発達障害の子どもはこんなに変わることが出来るんだという事実を、読み物として楽しみながら、多くの人に知ってもらうことを目的として書かれたそうです。色々なケースで著者の所に訪れる子どもとその家族たちの様子や、課題を乗り越えて成長する子どもたちの姿に心揺さぶられ、この本から、子育てのアドバイスを沢山いただきました。正直、この先生の本を読み漁りたい・・・そんな衝動に駆られました。発達障害があるなしに関わらず、子どもたちの一人一人の特性を見極めて、それぞれに合わせた適切な教育の必要性を改めて感じた一冊でした。

 

 

自閉症

自閉症の僕が跳びはねる理由』 東田 直樹/著 角川学芸出版

こちらは、自閉症者である13歳の少年が、自閉症者の心の中を誰にでも理解できるように、自分自身の言葉でわかりやすく説明したものです。言葉についてや、感覚の違いについて等、様々な「謎」に一つ一つ丁寧に答えていくことで、自閉症者やその家族の助けになることが出来たらという願いを込めて、執筆されたのだそうです。本書の中の「僕たちの世界を旅してください」という一文にその思いが込められているのではないでしょうか。著者はこの本の中で、コミュニケーション手段の一つである筆談について、「書いて伝えることではなく、自分の本当の言葉を分かってもらうための手段」(p.15)であると述べ、「自分の気持ちを相手に伝えられるということは、自分が人としてこの世界に存在していると自覚できること」(p.31)だと説明しています。心と行動がイコールでないこと、その行動には全て理由があるということ・・・自閉症者の苦しさや心の声に気づかされる一冊です。

最後に、ユニバーサルデザインについて書かれてある本でお薦めの本をご紹介します。 今や、学校の授業自体もユニバーサルデザインを唱える時代です。当事者でなければ、その障害を「理解する」ことは出来ないかも知れませんが、「知らない」より「知っている」だけで、誰かが救われることだってあるかも知れません。どうすれば、全ての人々にとって、この世の中が生きやすくなるのか・・・「知っている」だけで、イメージしやすくなり、それはやがて、行動を起こすことに繋がるのではないでしょうか。自分さえ良ければいいという自己中心的な考えではなく、人のことを思いやれる優しい心を持ちたいものですね。

 

 

ユニバーサルデザインにおすすめな本

車イスが必要な生活を知ろう

ドラえもんの車いすの本 (バリアフリーブック―体の不自由な人の生活を知る本)』 共用品推進機構/編集 小学館

こちらの本の構成は、前半は、四肢機能障害で歩行困難となり、車イス生活を余儀なくされた北斗君という男の子の小学校での様子が沢山の実際の写真と共に紹介されていて、後半は、車いすに乗ったまりちゃんという転校生が出てくる漫画、『ドラえもんの空飛ぶ車いす』がメインとなっています。どちらの話も、読んでいる側に、「誰もが”不便さ”や”危険”を感じずに生活をするには、どうすれば良いのか」を考えさせてくれる内容になっていて、普段気が付かないことに目を向けられるきっかけとなる一冊です。自分の住む街や学校は、誰もが住みやすい、通いやすい場所となっているのか、この本をきっかけとして、身の回りのバリア(障壁)の有無をチェックしてみてはどうでしょうか。

 

 

自分以外の人の視点で見ることの大切さ

弱視の人に出会う本 (バリアフリーブック―見えにくいってどんなこと?)』 共用品推進機構/編集 小学館

こちらは、『弱視のおばあちゃん まちを行く』という漫画がメインとなっていて、最後の方に少し弱視について理解を深めることの出来るコラム等が載っています。漫画部分では、弱視であるおばあちゃんから見た社会が描かれていて、おばあちゃんと一日一緒に街を歩いた孫は、誘導ブロックの上に止められた自転車や、見えにくい料金表、ふちがはっきり見えない階段などを初めて危険なものだと認識します。そして、帰宅後、みんなのことを考えて工夫をしていけば、もっとよくなると思うことがいっぱいあったと両親に伝えるのです。障害のある人にとって住みやすい街は、障害のない人にとっても住みやすい街であるのだと気づくことができ、このお話は終わります。自分以外の別の人の視点に立ってみることで、「あれ?」と、何気ない光景を疑問に感じ、気づける人になりたいという気持ちが芽生えることが出来る本です。

 

 

バリアフリーを考える

新しい 心のバリアフリーずかん きみの「あたりまえ」見直そう! (見る知る考えるずかん)』 中野 泰志/監修 ほるぷ出版

タイトルにもなっている「心のバリアフリー」とは、「私たちのなかにある、”気づかない”という心のバリアを取りはらい、バリアフリーの社会を実現するために行動すること」(p.4)を言い、この本には、そういった「心のバリアフリー」によって、みんなが同じようにいきいきと活動できる社会を目指していくためのヒントが沢山載っています。町の中の色々なシーンを切り取って、そこからそれぞれのシーンに見られる問題点や解決策を探っていき、周囲の人はどのようなアクションを起こすことが出来るのかまでも詳しく書かれています。又、外からは分かりづらい、発達障害についても沢山触れられていて、学校の中での「心のバリアフリー」についても理解を深めることが出来る内容になっています。絵も豊富で、小学生にも十分理解できる、バリアフリーの知識を深められる図鑑です。
 

 

 

ユニバーサルデザインを分かりやすく解説!

トコトンやさしいユニバーサルデザインの本(第2版) (今日からモノ知りシリーズ)』 宮入 賢一郎/著 日刊工業新聞社

中学生や高校生が、ユニバーサルデザインについて調べるときに、必ず読んでいただきたい本がこちらです。今日からモノ知りシリーズは、どの本も、とても詳しく一つのことについて調べ上げて書かれてあるので、調べ学習に最適です。内容としては、バリアフリーとの違いについてや、「障がい」への誤解と理解、導入のプロセスと開発手法、各機関・各企業の取組み事例などが載っています。ユニバーサルデザインに対して、正しい理解と豊富な実例を沢山紹介してくれているので、これを基にして自分たちの身近にあるユニバーサルデザインを見つめて生活に生かすことへと繋げられるのではないでしょうか。

 

 

日常の中から考えよう!

くらしのユニバーサルデザイン (知る! 見る! 考える! ユニバーサルデザインがほんとうにわかる本)』 小石 新八/監修 六耀社

こちらは、シリーズ全3巻で、「もののユニバーサルデザイン」、「まち・施設のユニバーサルデザイン」、「くらしのユニバーサルデザイン」と、様々な場面でのユニバーサルデザインについて考えられる作りになっています。ただUD製品を紹介するだけではなく、ユニバーサルデザインについて色々な角度からみることで、今後の課題を考えようというわけです。又、頁の最後の方には、ユニバーサルデザインを調べて学ぶことの意味についても触れていて、日本人も福祉の心をもっともっと高めていかなければならないと、再認識させられました。

 

 

考え方から社会への広がりまで!

よくわかるユニバーサルデザイン (楽しい調べ学習シリーズ)』 柏原士郎/監修 PHP研究所

こちらの本では、まずはユニバーサルデザインを知るところから始まり、暮らしの中や、街の中のユニバーサルデザインについて知って知識を深めていけるようになっています。最後の章では、心とコミュニケーションのユニバーサルデザインについても触れられており、「考え方から社会への広がりまで」、しっかりと書かれています。
2020年のオリンピック・パラリンピック開催国として、社会全体で、ユニバーサルデザインの考え方を根付かせようとしている日本・・・誰もがわかるピクトグラムや、UDトークなど、誰にとっても理解しやすく、全ての人のために考えられたものは、例え言葉が通じなくてもコミュニケーション出来る大切なアイテムとなることでしょう。

 

 

4つのテーマに分けて、ユニバーサルデザインを紐解く!

ユニバーサルデザインがわかる事典』 柏原 士郎/監修 PHP研究所

こちらも先ほど紹介した本と同じく、「ユニバーサルデザインとは何ぞや」から始まり、次の章から、より詳しく、「いろいろなかたちのユニバーサルデザイン」、「いろいろな使い方のユニバーサルデザイン」、「まちのユニバーサルデザイン」、「サービス・情報のユニバーサルデザイン」と、4つに分けて説明されています。かたちを少し変えるだけで、使い勝手が断然に良くなったもの、機能やかたちを工夫することで、身体に障害がある人にも利用しやすくなったもの等、ユニバーサルデザインの製品は、実は、私たちの身の回りにさりげなくあるのです。これからの社会は、色々な人の立場に立って、「利用しづらい場所」や「使いづらいもの」を見つけ、みんなの声からユニバーサルデザインに作り替えていかなければいけませんね。

 

 

みんなが利用するからこそ、誰もが安全安心に使える建物を!

みんながつかうたてものだから』(絵本) サジ ヒロミ/著 偕成社

最後は、ユニバーサルデザインの建物を物語仕立てで解説している、絵本をご紹介したいと思います。市民合唱団の発表会へ行くことになった、まあちゃんは、その会場となっている建物で、お父さんからいろいろなことを教えてもらいます。車イスマークの話、みんなが使えるスロープのこと、点字ブロックを必要とする人がいることなど、まあくんにとって、それらは初めて聞くことばかりでした。障害がある人、無い人、様々な年代の人・・・みんなが使う建物だからこそ、誰もが便利で安全であることを意識して建てられたのだということが丁寧に描かれており、ユニバーサルデザインの考え方がよくわかる絵本です。

 

 

まとめ ~障害を知ることからユニバーサルデザインを考える~

 

いかがでしたか?この中で、気になる本はありましたか?

障害について書かれていて、小学生でも理解しやすい本は沢山あります。

中学生や高校生が知識を深めるために活用できる、ユニバーサルデザインの本も、意識して探せば沢山見つけることが出来ます。

少しでも気になった方は、書店や図書館で、ぜひ、現物を開いて内容をご確認してみてください。私がこれらの本から得た”気づき”以外にも、きっと、様々なメッセージを作品から感じ取って頂けるのではないかと思います。

この記事が、本を必要としている全ての人にとって、役立つものとなりますように・・・。

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平和学習におすすめな本

「平和学習」とは

 

日本では、小学生の高学年くらいから少しずつスタートをし、中学生になると本格的に学校で学ぶこととなる平和学習。主に、第二次世界大戦、日本でいうと太平洋戦争における戦争被害を学ぶのが一般的で、中でも特に広島と長崎の原子爆弾による被害、地上戦の舞台となった沖縄の被害などを中心に学習しています。最近は戦争の悲惨さばかりに注目をしてしまっているように感じますが、本来は、過去に犯した過ちについて学び、それがどうして起こったのかを理解することによって、同じことを繰り返さないようにすることが目的であるべきであり、生徒の皆さんには、この機会に、現代の日本や世界の国々が、戦争を起こさないためにはどうしていくべきなのかまでを具体的にしっかり考えて討論してもらえたらと思います。

まずは、歴史上の客観的な事実を学び、この時代に生きた人々の生の声に耳を傾けてみてください。今回は第二次世界大戦の資料に限らず、あえて、忘れ去られつつある第一次世界大戦や、つい最近になって収束宣言されたばかりのイラク戦争の資料も少し紹介しています。これらの資料が、どうすることで戦争を回避することが出来るのかを考えるきっかけになればと願います。

 

 

 

平和学習におすすめな資料

 

 

第二次世界大戦

『オバマ大統領がヒロシマを訪れた日』 広島テレビ放送/編 ポプラ社 

2016年5月27日、現職のアメリカ大統領として初めて広島を訪れたオバマ大統領の歴史的スピーチを、付属DVDの映像と文章で収録。大統領と抱擁を交わした森重昭の手記と、外交ジャーナリスト手嶋龍一の解説も掲載。【「TRC MARC」の商品解説】

全文が収められているので、価値ある一冊です。

 

第二次世界大戦

『戦争体験を「語り」・「継ぐ」』 大石 学/著 学研プラス

戦争を知らない世代が、「どうやって戦争体験を語り継いでいくか」ということを考えるための本。広島、長崎、沖縄をはじめとする日本各地の「戦争体験を「語り」・「継ぐ」」活動や、平和を訴える世界の活動を紹介する。【「TRC MARC」の商品解説】
これから私たちに何が出来るのかを考えるきっかけになる本です。

 

第二次世界大戦

『戦争とくらしの事典』 ポプラ社 

赤紙、出征、学童疎開、教育勅語、国民報、隣組、防空ごう・・・。1935年から46年ごろまでの日本のくらしを理解することば72とコラム12を収録。豊富な写真をながめるだけでも、戦時中のくらしを感じることができます。【「TRC MARC」の商品解説】

写真や解説文から戦時中の市民のくらしがよくわかる一冊です。

 

第二次世界大戦

『学級日誌 瀬田国民学校五年智組』 偕成社 

戦時中、瀬田国民学校5年生の女子生徒が描いた学級日誌の全記録。鮮やかな色彩の絵日記に、日誌中の原文を書きおこした文章と当時の思い出を添えて収録。1944年~1945年の国民学校の生活を雄弁に語る資料。【「TRC MARC」の商品解説】

戦時中、子どもたちがどういった心持ちでいたのか、また、学校での生活ぶりを知ることが出来ます。

 

第二次世界大戦

『被爆者 60年目のことば』 会田 法行/著 ポプラ社 

被爆から60年。広島・長崎に生きる6人の被爆者のことばを、彼らの写真とともに紹介する。そのことばは、被爆体験が歴史上の出来事などではなく、いまもなお深い悲しみが消えることなく彼らを包んでいることを教える。【「TRC MARC」の商品解説】

時は流れても決して風化させてはならない、「戦争の怖さ」は、同じ過ちを繰り返さないためにもずっと語り継いでいかなければなりませんね。

 

第二次世界大戦

『絵で読む広島の原爆』 那須 正幹, 西村 繁男/著  福音館書店 

生存者の証言をもとに再現された広島の町とそこに暮らす人々の様子を描いた絵本。現実の光景と50年前とを見較べることができる。核兵器の原理や放射線障害など被爆50年間の核に関する基本的な知識も盛り込んでいる。【「TRC MARC」の商品解説】
絵本というよりは絵が豊富な資料集という感じです。絵によって当時の様子や核について解説されているので、小学生でも読みやすいと思います。

 

第二次世界大戦

『10代がつくる平和新聞ひろしま国』 中国新聞社/編 

公募で選ばれた広島のジュニアライターが平和について取材を重ね、記事を書いた、『中国新聞』の特集企画「ひろしま国」50号分のダイジェストを収録。取材生活を小説風に書き下ろした物語なども併録。【「TRC MARC」の商品解説】
子どもが調べてきたことといっても、侮ることなかれ。戦時中の広島の様子がよく調べられていて、資料集としても十分使える一冊です。学習したことを新聞等にまとめる学校ならば、得た情報をまとめる上で参考にもなると思います。

 

第二次世界大戦

『知らなかった、ぼくらの戦争』 アーサー・ビナード/著  小学館 

「敵性語」を習い、「毒ガス島」で働き・・・。もと「敵国の詩人」が耳をすまし、つかみとった「生きつづける体験」。文化放送「アーサー・ビナード「探しています」のうち、23名の戦争体験談を採録し、加筆・修正して再構築。【「TRC MARC」の商品解説】
加害者であり被害者であった戦争当事者たちの体験談が読みやすくまとめられています。

第二次世界大戦

『わたしたちの戦争体験』 日本児童文芸家協会/監修 学研教育出版 

戦争体験を伝え、戦争について考えるきっかけとなる本。10は、戦後の成長・発展に関する体験者の証言や、当時の様子などを物語で紹介する。用語の解説や写真、資料ページも充実。【「TRC MARC」の商品解説】
シリーズ1~10まで出ており、戦場の様子から家族や学校での様子、そして戦争の終わりまでがこのシリーズで学べます。

第二次世界大戦

『アンネのこと、すべて』 アンネ・フランク・ハウス/編 ポプラ社 

アンネが生きたのはどのような世界だったのか?ユダヤ人は、なぜ迫害されなければならなかったのか?「アンネの日記」の著者アンネ・フランクの誕生から死、アンネの関係者の現在までをたどる。ミニページあり。【「TRC MARC」の商品解説】
日本でもよく知られる『アンネの日記』ですが、こちらは写真や様々な資料からアンネの生きたドイツのことが良くわかります。

イラク戦争

『ぼくの見た戦争』 高橋 邦典/写真・文 ポプラ社 

戦場では人の死がとてもすぐそばにある。2003年3月。イラクが大量破壊兵器をもっているという理由で、戦争になるかもしれない緊張感が高まりつつあった。アメリカ軍に従軍した日本人カメラマンの記録。【「TRC MARC」の商品解説】
戦争が「過去」のものではないこと、日本だっていつ戦争が起こっても不思議ではないことが、いくら平和ボケしていても、この本を見れば気づくことでしょう。日本人カメラマンの撮った写真はそれほど生々しく戦争を捉えています。

第二次世界大戦

『沖縄の戦争遺跡』 吉浜 忍/著 吉川弘文館

米軍との激しい地上戦が行われた沖縄。司令部壕、砲台、トーチカ、住民避難壕(ガマ)、収容所など、今も残っている数千件の戦場遺跡から厳選し、豊富な写真と現地調査に基づく平易な解説で、沖縄戦の実態に迫る。戦跡めぐりに最適。【「TRC MARC」の商品解説】
修学旅行で沖縄に行く学校の生徒さんは必見です!

第二次世界大戦

『沖縄戦を生きぬいた人びと』 吉川 麻衣子/著 創元社 

戦中戦後、言葉にはできなかったけれどずっと想い続けていたこと・・・。これまでに500名を超える、「沖縄戦」を体験した人びとと対話してきた臨床心理士が、語り手の揺れ動く想いを、数々のエピソードをもとに記す。【「TRC MARC」の商品解説】
先程と違い、こちらは沖縄の戦争を体験された方々の話です。涙なしには読めません・・・。

 

平和学習におすすめな読み物

 

太平洋戦争

『あんずの木の下で-体の不自由な子どもたちの太平洋戦争-』 小手鞠 るい/著 原書房 

昭和7年、日本で初めて設立された、手足の不自由な子どもたちのための「光明学校」。戦時中、学童疎開の対象外にされた生徒たちを自力で疎開させた校長先生の苦労や、生徒たちの長く辛い疎開生活を描いたノンフェクション。【「TRC MARC」の商品解説】

戦時中、体の不自由な子どもたちがどのように生きていたのかを知ることができる読み物です。

第二次世界大戦

『永遠の0―ゼロ―』 百田 尚樹/著 講談社 

生への執着を臆面もなく口にし、仲間からさげすまれたゼロ戦パイロット。「生きて帰る」という妻との約束にこだわり続けた男は、なぜ特攻を志願したのか?はるかなる時を超えて結実した、苛酷にして清冽なる愛の物語。【「TRC MARC」の商品解説】
フィクションですが、当時はあちこちでこういった悲劇が起こっていたのですよね。物語の時代背景を見つめるきっかけとなる一冊です。

第二次世界大戦

『ヒトラーと暮らした少年』 ジョン・ボイン/著 あすなろ書房 

ドイツ人の父とフランス人の母親との間に生まれ、パリで暮らしていた少年ピエロは、両親の死によりベルクホーフの叔母に引きとられる。ヒトラーと出会ったピエロは、彼の強いリーダーシップに惹かれ、変わりはじめた・・・。【「TRC MARC」の商品解説】

フィクションですが、時代背景が良くわかり、教科書でヒトラーを知るよりも身近なこととして捉えられる小説です。

第二次世界大戦

『アンネの日記』 アンネ・フランク/著 文藝春愁 

新しい冗談とか悪戯などを思いつく張本人。いつもお山の大将で、不機嫌になることがなく、けっしてめそめそ泣いたりしない。等身大のアンネがよみがえる。未発表の日記を追加し、ルビを増やして中学生から読める、増補新訂版。【「TRC MARC」の商品解説】
迫害されたユダヤの人たちが当時どのような生活を送っていたのかが、アンネの日記を通して知ることが出来ます。

平和学習におすすめな絵本

 

第一次世界大戦

『世界で一番の贈りもの』 マイケル・モーパーゴ/作 評論社 

 

第二次世界大戦

『さがしています』 アーサー・ビナード/作 童心社 

 

太平洋戦争

『かわいそうなぞう』 土屋 由岐雄/作, 武部 本一郎/絵 金の星社 

 

第二次世界大戦

『ちいちゃんのかげおくり』 あまんきみこ/上野紀子 あかね書房 

 

第二次世界大戦

『一つの花』 今西 祐行/作, 伊勢 英子/絵 ポプラ社 

 

第二次世界大戦

『だれにも話さなかった祖父のこと』 マイケル・モーパーゴ/作 あすなろ書房 


 

 

いかがでしたか?

気になる本がありましたら、近隣の図書館や書店で現物を手に取って、ページを捲ってみられることをお勧めします。二度と「戦争」という悲劇をもたらさない為にも、自分の頭で考えて学習してみてください。

 

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中学生が勉強にやる気を出したい時に、司書がおすすめする15冊

自分でモチベーションを上げよう

しなければならないことは沢山あるのに、どうしても気分が乗らない・・・そんなことってありますよね。大人にもあるんです。食べた後の食器の片づけ、取り込んだ洗濯物を畳むこと、家中に掃除機をかけること、疲れている時に終わりの見えない子どもの話を聞くこと、全て放り出したくなることがあるんです。そんな時、大人はどうしていると思いますか?ずっと放り出したままでいたとして、誰かが変わってやってくれますか?・・・そんなことはありませんよね。それらは自分がやらないとそのままの状態で何も変わらないです。ひょっとしたら、気の利く誰かが気づいて、それらを変わりにしてくれることもあるかも知れませんが、それは「絶対」ではありません。大体の場合、その、しなければならないことは、どんどん膨れ上がって更に大掛かりなことになっていくのです。

大人はこのような、気分が乗らない時をどう切り抜けるのか。思い切って、「これはまとめて土日に必ずする!」と決めてしまうなど、いろいろ方法はありますが、中でも多いのは、自分の好きな曲を掛けたり、コーヒータイムを取る時間を決めたりと、自分自身のモチベーションを上げることで気分を変えて切り抜ける方法です。

みなさんも、勉強をしなければならないけれど、気が乗らない・・・そんな時、ぜひ、この方法を実践してみてください。

モチベーションを上げる方法は色々ありますが、実は読書もその一つです。今回は、中学生が勉強にやる気を出したい時におすすめできる本を15冊紹介しますので、これらを読んで、ぜひ、自分自身のモチベーションを上げてください。

紹介する本の中には、目からうろこの勉強方法や、今からでも取り入れやすい勉強方法が載っていたりするものもあるので、参考にもなるのではないかと思います。

 

中学生が勉強にやる気を出したい時に、おすすめの15冊

 

インテリ芸人から勉強方法を学んで、やる気UP!

『京大芸人』菅 広文/著 講談社

「芸人になったとき売りになる」。たったそれだけの理由で、相方(宇治原)に京大を受けるよう勧めたロザン菅さんのエッセイです。しかし、ただの芸人のエッセイだと侮ることなかれ。この本には、「高性能勉強ロボ」と菅さんが呼ぶ、相方宇治原さんの学生時代の勉強の仕方についての発言がいろいろと載っていて、読むとかなりタメになります。例えば、歴史に関しては「ひと続きのドラマやと思ったらええねん」。「平安の貴族が自分の土地を守るために農民に武器を持たせたら、強くなって武士になり、立場が逆転して鎌倉に幕府を開いたという流れ」で覚える…など、歴史は問題を解かずに教科書をただひたすらに読むという勉強方法に納得してしまいます。もちろん歴史以外の勉強方法も沢山載っていて実践してみたくなりますが、学生時代の宇治原さんの勉強スケジュール、年間計画もぜひ、参考にしてみてはどうでしょうか。
 

せいとさんの声
せいとさんの声

地味な表紙で気が進まなかったけど、お勧めされて読んだら意外に面白かった。
考え方や勉強の仕方が面白くて、モチベーションが上がる!(生徒さん談)

 

正しい勉強方法を身につけて、やる気UP!

『中学の勉強のトリセツ』梁川 由香/著 学研プラス

こちらはマンガ部分と解説部分に分かれています。マンガ部分は某通信教材の宣伝チラシのマンガのようですが、解説部分で、勉強の心構えから各教科の攻略法、定期テスト対策など、かなり具体的な勉強方法を教えてくれています。解説部分はページを開いて、右ページに文で詳しい説明、左ページに右ページの内容を絵や図でかみ砕いて分かりやすく説明がしてあり、とても分かりやすいです。長く塾講師・家庭教師として働いてきた著者が、実際にこれまで担当してきた生徒さんたちの悩みや頑張りを思い出しながら作ったということもあり、読み手である学生の皆さんの「知りたい」をピンポイントに押さえられている参考書です。
 

せいとさんの声
せいとさんの声

中1でこれに出会いたかった・・・。(生徒さん談)

 

できることから始めて、やる気UP!

『受験生すぐにできる50のこと』中谷 彰宏/著 PHP研究所

まずは(目次より前にある)最初の数ページに、タイトルにもある「受験生すぐにできる50のこと」が箇条書きのような形でサラッと載っています。見ると、「過去問を先にやろう」、「英単語を先に増やそう」といった勉強に直結したものから、「朝日を浴びよう」、「二度寝しない」といった、生活面でのこと等、内容はいろいろですが、見れば確かに、どれもすぐに実行に移せるものばかりです。内容を読んでいくにあたって、これらの意図するところが分かる仕組みになっています。

また、ページの最後の方には「受験生こんなときはどうしたらいい?」という質問一覧が載っていて、例えばQ1「勉強の敵は何ですか?」の下にこの質問に対する答えとなるページ数が明記されていて、ここを開けば「ストレスをためないことが大切」だと教えてくれます。そしてこのページの最後に「受験生すぐにできること01:親とも、きょうだいとも、先生とも喧嘩しない」と書かれていて、つまりは前(50の箇条書き)からも後ろ(質問一覧)からも読むことが出来るので、自分の得たい情報から知ることが出来ます。
 

せいとさんの声
せいとさんの声

出来ることから始められそう。朝読書の時間にいつも読んでいる。(生徒さん談)

 

誰かに知ったかぶって、やる気UP!

『似ている英語』おかべたかし/文 東京書籍

人気シリーズが5作目で英語バージョンになりました。『目でみることば』シリーズや『似ていることば』等、これまで日本語の「ことば」に注目してきたシリーズですが、今回は日本人が疑問に思う、2つの英語の違いが写真と補足説明で大変わかりやすく説明されています。

例えば、牛は英語でCOWですが、このCOWとOXの違いが本書では紹介されています。日本語では牛は「牛」…ただその呼び名に限りますが、英語で牛は、メスの牛はCOW、肉牛として飼育されやすいよう去勢されたオス牛のことをOXと呼ぶのだそうです。日本語ではどちらも「牛」ですが、英語圏の人々にとって牛はとても身近な家畜であったために、細かく呼び名が分けられていて、言葉から文化の違いを知ることが出来ます。この他にも、日本人からすると違いが曖昧であったりする英語の違いに、本書では的確な説明文を添えて写真で比較したものが沢山載っていて、見ると、誰かにうんちくを語りたくなるのではないでしょうか。物事は人に話したり、口に出したりすることで忘れなくなると言います。覚えたての知識を誰かに知ったかぶって語り、自分のものにしてしまいましょう。
 

せいとさんの声
せいとさんの声

写真で単語の違いがわかるところが良い。
テスト勉強で役立ちはしないが、見てるだけで面白い。(生徒さん談)

 

内容を理解すれば面白さに気づいて、やる気UP!!

『発見!古典はおもしろい』面谷 哲郎/文 偕成社

こちらは絵本です。絵本ですが侮ることなかれ、『平家物語』や『今昔物語』等の古典文学を基にしていたり、『方丈記・徒然草』、『日本霊異記』等を参考文献として挙げていたりと、古典文学の話をかみ砕いて小学生でもわかるような内容にしたものが本書です。文法に苦しめられ、敬遠されがちな古典文学ですが、楽しみながら内容を理解すること、物語に興味を持つことに重点を置くと古典がもっと身近に感じられます。シリーズ3巻共に、落語や民話の基になった話ばかりなので、「似た話を聞いたことがあるな」と思う人もいるかもしれません。案外、古典文学は私たちのすぐそばに「昔話」としてごろごろ転がっているのかも知れませんね。

授業やテストに出る古典文学を既に知っているか、いないかが、やる気UPに大きく関係してくることは言うまでもないでしょう。
 

せいとさんの声
せいとさんの声

絵本だったら、妹に読み聞かせて自分も覚えられる気がする。(生徒さん談)

 

成功体験を読んで、やる気UP!

『バカヤンキーでも死ぬ気でやれば世界の名門大学で戦える』鈴木 琢也/著 ポプラ社

やる気を出すのであれば、成功者の話を聞くのが一番手っ取り早く、効果的です。同時に勉強のノウハウも得ることが出来、一石二鳥です。こちらの著者である鈴木琢也さんは、元はヤンキーからのとび職人でしたが、ある時、外資系に勤めていた父親が仕事で表彰され、周囲から尊敬される姿を目の当たりにして人生を変えることを決意されたそうです。一から勉強をし直してIT企業へ再就職後、UCバークレー校を目標に米国留学を決意されました。その間の、沢山の物語・・・本書に収められているのは、そういった著者がしてきた経験や模索してきた勉強方法です。ただ勉学に励むのではなく、その先に何を見て、何を目指して勉強をするのか、一皮むけるための心構えをぜひ、本書で感じ取ってみてください。
 

せいとさんの声
せいとさんの声

表紙の人がカッコイイ。
ストーリーに入り込むまで時間がかかるけど、一度入り込むと面白くてサクサク読める。(生徒さん談)

 

しっかり学習計画を立てて、やる気UP!

『中学生からの勉強法―未来を切り開く学力シリーズ―』小河 勝(ほか)/著 文藝春秋

小学生と中学生とでは色々と変わること、変えていかなければならないことがありますが、勉強もその一つです。意識をして勉強方法を変えていかなければ、後々、大変な目に遭うことになるでしょう。こちらの本はそういった中学生からの勉強方法が沢山紹介されていて、「どう変えていけばいいのかわからない」、そんな新中学生たちに大いに参考にして頂きたい一冊です。本書のカバーには、本書の4つの特長として次のように説明書きがあります。「大人になっても通用する」、「社会の求める学力から各教科の最新の勉強方法がわかる」、「学校生活の悩みにすべて答える」、「『未来を切り開く学力シリーズ』の先生が執筆」。これらの特長を前面に出して、毎日の勉強の仕方から高校入試までを解説している本作品。中学三年間の学習計画にも役立つので、読んでやる気UPに繋げてください。

読んで実践すれば、やる気UP!

『高校受験すぐにできる40のこと』中谷 彰宏/著 PHP研究所

こちらは、少し前に紹介した『受験生すぐにできる50のこと』と同じ作りになっていて、(目次より前にある)最初の数ページに、タイトルにもある「高校受験すぐにできる40のこと」が箇条書きのような形でサラッと載っています。そこから気になる項目ページにとんでみるも良し、目次からページを捲ってみるも良しですが、今回は目次から捲って本書を紹介したいと思います。

まず、目次で見ると、第一章は「やる気を高めるには」となっていて、今回の記事にピッタリの内容です。第一章の項目は全部で9つ。「伝記を読むと、やる気がわいてくる」、「具体的な目標を壁に張ると、一皮むける」等、目次だけを見てもどれも面白そうな興味深い内容です。どれもすぐに実行出来そうなことばかりなので、読みながら行動に起こしてみてください。何事にも行動するがごとしです。受験までに、やれることは全てやってみましょう。

社会科は歴史漫画を読めば攻略できると知って、やる気UP!

『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』坪田 信貴/著 角川書店

こちらは有村架純さん主演で映像化したので、ご存知の方も多くいるのではないかと思います。もちろん、これまで勉強してこなかった一人の少女が凄い目標を達成したストーリーとして楽しむことも出来る作品ですが、忘れてならないのは、この作品を書いたのが敏腕塾長であるということです。本書には、歴史漫画をひたすら読むことで歴史の流れを理解する等、これまで何度も生徒の偏差値を短期間で上げることに成功してきた著者が、物語の中に、受験に向けた勉強の仕方を沢山散りばめています。更に、目標・計画の立て方やモチベーションの上げ方についても詳しく綴られています。

著者は目標とする夢がない子にこんな聞き方をするそうです。

「君の目の前に、神様が現れたとする。そして、キラキラ光る銀色のプラチナチケットを渡してくれる。そこに、君のしたいことを書けば、①どんな大学でも学部でも必ず合格させてくれる、➁その実力をつけてくれる、③環境も用意してくれる、とする。こんなすごいチケットをもらったら、君は何をしたい、と書く?」(『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』より)

こう質問すれば、これまで夢も目標も持たなかった子からも、色々な答えが出てくるのだそうです。色々な縛らみが外れると、人は本来の純粋な気持ちと向き合えるのかもしれませんね。多くを得られる本だと思うので、ぜひ、一度読んでみてください。
 

せいとさんの声
せいとさんの声

これを読んで、クリスマスプレゼントに歴史漫画セットを全巻買ってもらった!(生徒さん談)

 

「わからない」ところが「わからない」が無くなって、やる気UP!

『わけがわかる中学理科―わけがわかるシリーズ―』学研プラス/編者 学研プラス

こちらは、問題をクイズ感覚で解いていくだけで、わからないことが払拭されていくので、友達と遊びながら問題を出し合うことにより共にやる気を高めていくことが出来ます。解説ページでは、できごとや現象の「理由」と一緒に関連事項も抑えることが出来るので、いつも暗記作業で行き詰ってしまう人に、ぜひ、お勧めしたいシリーズです。難しい言葉だけを丸暗記しようとしても、知識を得ることには繋がりません。それは何の意味があるのでしょうか。この本は、言葉を丸暗記ではなく、物事の本質を理解することに重点を置いています。まずはクイズ感覚で問題を解いてみて、自分の知らない知識に気づけたら、なぜそういった答えになるのか、解説ページでぜひ理解を深めてみてください。

ノートが変わったら、やる気UP!

『東大合格生のノートはかならず美しい』太田 あや/著 文藝春秋

こちらは、なかなか新しい形の参考書です。”新しい”と言っても、シリーズは既に第3弾(H31.3現在)まで出ていますが・・・どちらを読んでもテンションが上がります。特に受験生であれば尚のこと、やる気UPに繋がるのではないでしょうか。

株式会社ベネッセコーポレーションで「進研ゼミ」の編集に携わっていた著者が、その後フリーランスになり、東大合格者である高校生のノートの共通点を分析して本にしたのが本書です。なんと、その為に集めたノートは175冊。分析を重ねた結果、本書では沢山の東大生のノートを原寸大でそのまま載せて、科目別、性格別に分けてそれぞれ紹介しています。

上手な情報のまとめ方、自分に向いていると思うノートの取り方を見つけるなど、勉強の参考にしてみてはどうでしょうか。家庭学習だけでなく、授業を受ける心構えもきっと変わるはずです。
 

せいとさんの声
せいとさんの声

本物のノートのような作りで、眺めるだけで面白かった。(生徒さん談)

 

やる気を持続させる術を学んで、やる気UP!

『勉強のやる気が持続できるモチメンの教科』池末 翔太/著 広陵社書店

こちらは、カバーにも記載されていますが、これまで紹介してきた「やる気UP」の本とは少し違い、勉強のやる気が持続する本です。タイトルにもある「モチメン」とは、「モチベーション・メンテナンス」のことであり、著者曰く、「それ(モチベーション)を持続できるようなメンテナンスをしているか、していないかで、勉強の成果は大きく変わってくる」のだそうです。本書にはこういった、やる気を長続きさせるためのノウハウが色々な観点から書かれています。著者自身、学生時代に勉強の仕方を追及し、「勉強の才能がなくても、小さな工夫は誰でもできるんだ」と、自分にあった勉強スタイルを探してきた経験が本書の中にも見え隠れしています。

自分は勉強を始めようと決心しても、いつも長続きしないと感じている人は、ぜひ、一読してみてください。

工夫一つで、やる気UP!

『今すぐできる!中学生の勉強法』親野 智可等/著 PHP研究所

こちらの本では、家庭学習がうんと楽になる工夫や、学力アップの裏技等、勉強の悩みを解決するための様々な工夫が提案されています。もちろん、タイトルの通り、今すぐできるちょっとした工夫ばかりなので、大掛かりなことは何一つ必要ありません。この中から自分のやりやすいものを試して、自分独自のやり方を工夫して見つけていってください。

時間管理のワザの一つに、「模擬時計」の工夫が紹介されていますが、大人でも様々な場面で応用が利きそうです。このような大人になってから使えそうな工夫も沢山載っているので、学生時代に工夫をすることで乗り越えられる経験を沢山積んで、勉強だけでなく、社会に出た時に工夫一つで問題解決出来る力を備えていてほしいです。

 

ルールを守って、やる気UP!

『13歳からの勉強ノート 必ず成績が良くなる40のルール』小野田 博一/著 PHP研究所

こちらは、前書きによると、やる気のない人がやる気を出す為の本ではなく、元々「やってやるぜ!」と勉強に対する意欲をメラメラと燃やしている人に向けて書かれた本だそうです。しかし、読んでみると「これだったら自分でも出来るかも」と勉強を苦手としてきた子たちのモチベーションも上げるに違いない言葉でひしめき合っています。例えば、「暗記をする必要は無い」、「学習マンガを読もう」、「友人と勉強の話をしよう」、「宿題は必ずしよう」等です。これなら誰だって気楽に取り組めるはずです。ルールと言われると少し堅苦しく感じてしまいがちですが、ここに書かれていることは決して無理難題ではありません。勉強に意識を向け始めた人はぜひ、読んでみてください。
 

せいとさんの声
せいとさんの声

これをやってこなかったから、今、成績が悪いのか・・・と思った。(生徒さん談)

 

読めば自然と英語の語彙が増えて、やる気UP!

『英単語の語源図鑑 見るだけで語彙が増える』清水 健二(ほか)/著 かんき出版

最後に紹介するのは、英語に関する参考書です。これまで、やる気UPややる気を持続させる方法、いわゆる勉強の方法が書かれた本を多く紹介してきましたが、こちらは英単語の覚え方が載った、実際の勉強に利用して頂きたい一冊です。

日本語にも語源があるように、英語にも多くの言葉の基本となった言葉が存在します。本書はこういった語源を学んで英単語を沢山覚えてしまおうというものです。前書きの著者の言葉を借りて言えば、本書の特長は「より少ない時間でより多くの単語を身につけることができる」ということであり、勉強以外にも色々な事に時間を使いたい中高生にとっては興味を引く参考書の一つなのではないでしょうか。

著者自身、大学時代にどうしても「lavatory(トイレ)」と「laboratory(実験室)」の区別がつかず、苦労した経験があったそうです。そんな時、改めてじっくりと単語を見比べてみると、「laboratory」の中に「labor」という「労働」を意味する単語が隠れていることに気づき、語源辞典を調べてみると「labor(労働)」+「ory(場所)」という記述があり、「”労働する場所”だから実験室なのか・・・」と、目からうろこの体験をしたそうです。このように、語源から英単語を覚えると、似た単語を誤って覚えることも無くなり、連想的に語彙を増やすことも出来ます。英語を苦手とする人は、ぜひ、この参考書の語源学習を取り入れてみてはどうでしょうか。

 

 

 

 

大切なのは、モチベーションを保つこと

いかがでしたか?参考になりそうな本、モチベーションの上がりそうな本はありましたか?

しかし、ここからが大切です。

これらの本を読んで、やったつもりで終わらせることがくれぐれもないようにしてくださいね。何事も継続は力なりです。一日数十分の勉強が、気づけばあなたの武器になっているはずです。何も受験だけのことを言っているのではなく、長い目で見て社会で生きていく上での武器となるのです。学生時代に勉強をすることにより、教養が付くことはもちろんですが、正しい勉強方法をマスターすることは人生のいろいろな場面で役に立つことでしょう。

今回紹介した本の何れかを読んで、「これなら、自分も出来るかもしれない」と思った人は、実際に踏み出す一歩が大変重要です。モチベーションをしっかりキープしたまま、自分にあった方法で受験勉強を頑張ってください。