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トイレトレーニング期間中や、トイレ嫌いの子どもに読み聞かせたい絵本

トイレに行きたい!と思わせることが大事?!

今回は、トイレトレーニング中のお子さんや、一人でトイレに行くのを怖がるお兄ちゃんお姉ちゃんに、ぜひ、読み聞かせて頂きたい絵本を7冊ご用意致しました!
なぜ、人はトイレに行かなければならないのかが丁寧に描かれている絵本や、トイレそのものに興味を持つことのできる絵本など、子どもたちに、トイレへ行こうという気を起こさせてくれるものを中心に選んだので、ぜひ、この機会にお子さんに読み聞かせをして「苦手なトイレ」を克服させてあげてください。

トイレ嫌いを克服できるかもしれない絵本 7選

食べたものがうんこになるまでの旅の話

『うんこのできるまで―食べものの旅』作・絵:佐藤 守 出版社:岩崎書店

こちらは、口から食べたものが体の中でどのように形を変え、お尻から排泄物として出ていくのかまでが、可愛らしいイラストで説明されている絵本です。
説明とは言っても、体の中に住む三角帽子を被った小人たちが食べ物を運んでいる旅の様子が描かれているだけなので、未就学児でも仕組みが捉えやすく、最後まで飽きずに見ることが出来ます。

また、この絵本にはおすすめの読み方がありますので、絵本にあまり興味がなさそうなお子さんに読み聞かせする時などに、ぜひ、試してみてください。
食べ物を運ぼうとしているたくさんの小人たちの中から、「この小人の旅を追いかけよう!」と決めて、ぜひ、その小人だけに注目してページを捲ってみてください。目的地は一緒でも、小人によって道中の出来事はいろいろ。小人それぞれの旅を楽しむことができ、子どもたちの注目度もグッと高まります。
「次はどの小人さんの旅を追いかけてみる?」なんて言いながら、お子さんと一緒に、うんこのできるまでの旅をお楽しみください。
 

わたし
わたし

2、3歳の子に読んであげるときには、「小人さん、こうなったよ~、ああなったね~。」なんて言いながら絵をしっかり楽しませてあげてください。
必ずしも、文の通りに読まなくてもいいと思います。

 

 

おまるでいい気持ち!

『いっしょにうんち ―あかちゃんといっしょ0・1・2―』作・絵:福田岩緒 出版社:フレーベル館

こちらは、おまるに座らないお子さんに読み聞かせてあげてほしい、0歳さんから2歳さんまでの読み聞かせシリーズです。
うんちがきらいな男の子のところに、いろいろな動物さんがやってきて、「使わないトイレなら、ぼくにかして!」とトイレを借りにやってくるお話です。みんなが喜んで使っていくうちに、男の子も段々とトイレ(おまる)を使いたくなってくるので、「〇〇ちゃんのトイレはどんなトイレかな~?」なんて言いながら、トイレを使うことに興味を持ってもらえればいいですよね。
 

わたし
わたし

男の子の名前を自分の子に置き換えて読むと、食いつきが違いますよ。

 

 

トイレのありがたみが分かる!

『もっちゃうもっちゃうもうもっちゃう』作・絵:土屋富士夫 出版社:徳間書店

トイレのありがたみが分かる絵本と言えば、こちら。
とにかくトイレに行きたいけど、やっと見つけたトイレが工事中だったり、人間用ではなかったり。デパートの中でトイレを必死に探し回る男の子のお話です。最後のオチは、けっこう現実に「あるある」だったりするかも知れません。

寝る前にごぶごぶと何杯も水を飲んでいたうちの息子(現三年生)に、「もっちゃうもっちゃうの、ひで君みたいになるぞ~。」と言うと、かなりの効果がありました。また、寝る前にトイレに行こうとしない娘(年長児)にも効果はてきめんです。子どもたち自ら「読んで!」と持ってくる、とても楽しいお話なので、ぜひ、トイレ嫌いなお子さんに読み聞かせてあげてください。
 

 

トイレを怖がらなくなる、画期的な方法とは?!

『トイレさくせん(すえっこななちゃんシリーズ)』作:梅田佳子・絵: 梅田夕海 出版社:新日本出版社

こちらは、トイレが怖くて、ひとりで行くことが出来ない女の子のお話です。
何を隠そう、このお話には、ひとりでトイレに行けないという同じ悩みを持つご家庭にとって、「なるほど。取り入れてみようかな」と思えるちょっとした秘策が載っています。トイレトレーニングの絵本は世の中にたくさん出回っていますが、「おお!試してみよう!」と、思わず実践したくなる方法が載っているものとはなかなか出会えませんよね。
妹の為にお姉ちゃんが編み出した、トイレ克服法。この絵本を読んで、ぜひ、取り入れてみてはいかがでしょうか。
 

わたし
わたし

我が家では、
「ねねちゃん(赤ちゃんの人形)が、トイレの仕方わからないんだって~。」
「(娘)ちゃん、お手本見せてあげて~。」
何て言いながら、トイレに誘導してました。

 

 

「なぜ、うちの子は間に合わない?」と思ったら読んでほしい絵本

『はるちゃんトイレ』作:中川ひろたか・絵: 田中靖夫 出版社:文渓堂

こちらは、はるちゃんがトイレに行きたくなってから、トイレにたどり着くまでの様子を描いた、着眼点がとてもユニークな絵本です。はるちゃんの表情もなんとも言えない感じでクセになります。

作者である中川さんは、元保育士さんというだけのことあって、子ども心というものを本当によく分かっているのだな~と感心してしまいます。思い起こせば、我が子もしょっちゅうトイレに間に合わず、失敗していました。「トイレに行きたくなったら、我慢せずにすぐ行くようにしなさい!」と、何度言って聞かせたことか・・・。どうしてギリギリまで危うくなるまで我慢してしまうのだろうかと、親から見ると子の行動はなぞばかりでしたが、「いろいろなことに対する好奇心が、トイレに行くことを上回ってしまう」のだと、この絵本を読んで妙に納得致しました。
子どもの視点で見ることって、大切ですね。
 

 

あなたのうんちお元気ですか?

『うんち(はじめての絵本たいむ)』作・絵: いもとようこ 出版社:金の星社

こちらは、動物や昆虫の色や大きさが違ううんちがたくさん出てくるので、生き物は誰しもが皆うんちをするのだということが小さなお子さんでも理解できる絵本です。うちの子たちは、この絵本から、自分のうんちにも興味を持って、色を見たり、形を見たり・・・うんち観察をはじめました。
どんなうんちが出るかな~?」なんて言いながら、トイレへ誘導できればしてやったりですね。
うんちばかりで、うんちが前面に出た絵本ですが、いもとようこさんの手にかかれば、うんちもこの可愛さです。いもとさんの絵本は温かみがあって、読み聞かせしていると親子共に和みますね。
 

 

しーしーしーは何の音?

『ノンタンおしっこしーしー(赤ちゃん版ノンタン)』作・絵:キヨノサチコ 出版社:偕成社

こちらは、赤ちゃん版ノンタンのシリーズで、ぶたさんがおむつで、たぬきさんがおまるで、くまさんはトイレでのしーしーが成功する中、残念ながらノンタンがやらかしてしまうお話です。読んだ後に、「失敗をしてしまっても大丈夫、ノンタンたちみたいに楽しみながら練習していこうね~。」なんて素敵な声掛けが出来るといいですね。
ノンタンのお話はどれも言葉の調子が良くて、歌うように読み聞かせが出来るので、何度も読んでいると親子共々まるっと覚えてしまいます。そのうち、トイレに行きたくなると、「しーしーでる」なんて可愛い2語が飛び出すかもしれませんね。
 

わたし
わたし

赤ちゃん版ノンタンシリーズは手ごろな大きさと価格で、
外出先であやす時や、おうちでの子育てに大いに役立ちましたよ。

 

 

子育てに絵本をどんどん取り入れよう

いかがでしたか?
ぜひ、この機会に実物を図書館や書店で手に取って、お子さんに試し読みをしてみてあげてください。
絵本には、読み聞かせをしてもらっている側だけでなく、読んでいる側も、癒す効果があるように私は思います。
お父さん、お母さんがゆったりとした気持ちでお子さんの笑顔に癒されながら子育てが出来るように、これからもたくさんの絵本をご紹介できればと思います。

このブログが本を必要としている、皆様のお役に立ちますように・・・。

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芸術の秋‼ 絵が美しい絵本10冊

絵画として楽しむ絵本

 

突然ですが、魅力的な絵本とは、どのような絵本でしょうか。
絵本の素晴らしさとしては、絵に対して程良い量の文で、小説ほど、くど過ぎない、丁度良い”心地良さ”を表現できることが一つとして挙げられるかも知れません。
しかし、絵だけで、見るものをグッと引き込んでしまう絵本が世界にはあります。声に出して読んだ時、”言葉のリズムが美しい絵本”が存在するように、”絵から目が離せなくなる絵本”もまた、沢山存在しているのです。
そこで今回、食欲の秋に続く、”〇〇の秋”第二弾、”芸術の秋”として、絵が美しい絵本を10冊集めてみました。

絵本を美しい絵画として、今一度楽しんでみてはいかがでしょうか。

 

 

絵が美しい絵本10冊

 

 

幻想的なだまし絵に魅了される

『終わらない夜』サーラ・L・トムソン/ぶん・ロブ・ゴンサルヴェス/え ほるぷ出版

 

 

大自然と空の表情に圧倒される

『川はどこからながれてくるの』トマス・ロッカー/ぶん・え みうら まりこ/やく 偕成社

 

 

描きこまれた森にうっとり

『もりのこびとたち』エルサ・ベスコフ/ぶん・え おおつか ゆうぞう/やく 福音館書店

 

 

サイレント映画のような、鉛筆画に引き込まれる

『アライバル』ショーン・タン/ぶん・え 河出書房新社

 

 

トリックアートのような世界!

『アザー・サイド』イシュトバン・バンニャイ/ぶん・え 復刊ドットコム

 

 

いろいろな青色で表現された世界

『あおのじかん』イザベル・シムレール/ぶん・石津 ちひろ/やく 岩波書店

 

 

物語の雰囲気そのままの優しい挿絵

『ピーター』バーナデット・ワッツ/ぶん・福本 友美子/やく BL出版

 

 

ビーズ刺繍の挿絵が物語を彩る

『銀河鉄道の夜』宮沢 賢治/ぶん・清川 あさみ/え リトル・モア

 

 

版画で描かれた花が幻想的

『花さき山』斎藤 隆介/ぶん・滝平 二郎/え 岩崎書店

 

 

美しい海の世界!

『スイミー』レオ・レオニ/ぶん・谷川 俊太郎/やく 好学社

 

 

まとめ ~絵本から得る心地よさ~

 

 

いかがでしたか?

美しい表紙や挿絵の絵本を眺めるていると、さっきまでのイライラは何のその、
ぬるま湯につかっているかのような穏やかな気持ちに包まれます。
たまには、日常の中で、
美術館で絵画をじっくりと眺めているような
心地よさを感じてみませんか?

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食欲の秋!あの物語の味を再現できるレシピ集を集めました!

夢のようなレシピ集があるのです。

もしも、あの絵本や小説に出てくる美味しそうな食べ物が、本当に食べられるとしたら、想像しただけで幸せな気持ちになりませんか?
今回は、物語を読んで、これまで想像することしか出来なかった食べ物が、実際に作れて味わえるレシピ本をたくさんご用意してみました。
絵本から現実世界に飛び出したレシピは、作り方も比較的簡単なものばかりなので、お子さんと一緒にチャレンジもしやすいですし、デザイン性も高いので、写真集のような感覚で見て楽しむことも出来ます。
季節は、読書と食欲の秋
どれもこれも、食欲の秋にピッタリな、美味しそうなレシピばかりなので、普段あまり料理やお菓子作りをしない方も、ぜひ一度、手に取ってみてはいかがでしょうか。

 

あの物語の味を再現できるレシピ集を集めました!

 

小学生高学年ぐらいなら、ひとりでチャレンジできる!

『わかったさんとおかしをつくろう!(全3巻セット)』永井 郁子・寺村 輝夫/著 あかね書房

長年、子どもたちに愛され続けてきた『わかったさんシリーズ』がレシピ本になって帰ってきました!なんと、30周年を記念して作られたということです。あの頃読み漁っていた少女が、今は3、40代となっている事実に驚愕・・・。
シリーズは、クッキーやドーナツ、アップルパイなどのレシピが載っている『わかったさんのこんがりおやつ』、クロカンブッシュやカッサータなど冷たいお菓子のレシピが載っている『わかったさんのひんやりスイーツ』、マドレーヌやクレープなどが載っている『わかったさんのふんわりケーキ』の全部で3作品となっています。全てカラーなのでお子さんでも見やすく、高学年ぐらいであれば、大半がひとりで出来るものばかりなので、親は補助に回ってお子さんにお菓子作りをチャレンジさせてあげるのも良いかも知れませんね。
 

食卓に並べば、お子さん大喜び間違いなし!

『こまったさんのレシピブック』寺村 輝夫/著 岡本 颯子/イラスト さわの めぐみ/監修 あかね書房

同じく、寺村輝夫さんのシリーズですが、なんと、「こまった、こまった」が口癖の『こまったさんシリーズ』も、レシピ本が出ています。
こちら、児童書だからと侮っていては、痛い目を見るかも知れない、なかなか本格的な料理レシピ本です。思えば本編に出てくるレシピも、手間を省かない本格派でした。小学生だった自分にはハードルが高かった料理の数々ですが、大人になった今ならレシピを見ながら難なく作れそうなものばかりです。
ぜひ、『こまったさんシリーズ』を読み聞かせてあげた後で、お子さんに作って喜ばせてあげてください。
 

眺めるだけで思わず笑顔になれるレシピ集。

『バムとケロのおいしい絵本 絵本のなかのとっておきレシピ集』島田 ゆか/監修 八木 佳奈/料理 文溪堂

『バムとケロ』のシリーズを読んだことがある人ならば、一度は食べてみたいと思うに違いない、あのドーナツが作られるレシピ本です。やまもりドーナツ、ふわふわのオムレツ、パンケーキ・・・魅力的なレシピの数々に子どもも目を輝かせます。
こちらの本にはステンシルシートの付録も付いているので、バム、ケロ、おじぎちゃんの3つの絵柄をいろいろなお菓子に描くことも可能です。バムケロ好きにはたまらない一冊ですね。
 

このシリーズは、絵本を読み返したくなる!

『だいすき!絵本からうまれたおいしいレシピ』きむら かよ・Backe 晶子・伊能勢 敦子/著 宝島社

まずは表紙の『ちびくろ・さんぼ』のホットケーキに見とれてください。絵本を読んだ時の「食べてみたい!」という、子どもの頃の願いが思い起こされるのではないでしょうか。
こちらのレシピ本は、累計34万部の人気シリーズから内容を抜粋、加筆により、新装改訂された最新版で、名作ぞろいのレシピがぎっしり詰まっています。
物語のどこで登場した食べ物であったか気になれば、もう一度再読してみるのも楽しいですね。
 

読者の夢を形にしたレシピ集!

『夢の名作レシピ マンガ・絵本・アニメのあの料理がつくれる!』星谷 菜々/監修 日本図書センター

こちらは、フルカラーで可愛らしいレシピが盛りだくさんのレシピ本です。
第一巻が『マンガに出てくるお菓子とごはん』、二巻が『絵本に出てくるお菓子とごはん』、三巻が『アニメに出てくるお菓子とごはん』となっていて、どの巻も作ってみたくなる魅力的なレシピが載っています。知っているお話を懐かしく感じたり、知らないお話は物語に立ち返って読んでみたりと、ぜひ、思い思いの方法でこの本を楽しんでみてください。
 

低学年女子に大人気の児童書がレシピ本に!

『ルルとララのかわいいデザートレシピ』あんびる やすこ/監修 ぴあ

こちらは、メープル通りにある小さなお菓子屋さんの小学生店長、ルルとララの作る美味しそうなお菓子が簡単な手順で作られるレシピ本です。レシピは写真が掲載されているので、完成品がイメージしやすく、モチベーションが上がります。ゼリーやいちごデザート、カップケーキなどのお馴染みレシピはもちろんのこと、物語には出てこないレシピも含まれていたり、アレンジレシピも載っているので、新しい発見もある一冊です。
今風に言えば、彩りが良い「映える」レシピのオンパレードですよ。
 

小さなお子さんもきっと笑顔に!

『絵本『からすのパンやさん』のパンをつくろう!Have Fun with Breab!』文化出版局/著 いとう みな(自家製酵母パン研究家)/パン製作・監修 文化出版局

こちらは、全部で84種類の造形パンが作れてしまうレシピ本ですが、もちろん、ただのパンではありません。
なんと、全てがあの「からすのパンやさん」が作って売っているパンなのです。基本の生地作りと成形のコツさえ押さえれば、お子さんと粘土感覚でパン作りを楽しむことが可能です。
パンが完成したら、ぜひ、絵本を読んで、完成したパンを眺めながら、物語の世界にどっぷりと浸かってください。
 

懐かしい世界の名作に出てくる、あのお菓子!

『今だから読んでほしい 物語に出てくる楽しいお菓子の作り方』吉田 菊次郎/著 朝文社

こちらは、12の作品から12のお菓子のレシピが紹介されているレシピ本です。有名な作品ばかりですが、改めて見てみると「あれ?この物語にこんな食べ物出てきたかなぁ?」と記憶は曖昧だったりするものです。
そんな私でも、記憶に残っていた食べ物が、『ナルニア国物語』の中で、次男が女王(魔女)からもらった「ターキッシュ・デライト」。日本人にはあまり馴染みのないお菓子ですが、トルコのお菓子だそうですね。女王から欲しいものはないかと訊ねられ、数ある食べ物の中から次男がチョイスしたのが、このターキッシュ・デライトでした。
この本には、そんな、これまで文字を追ってイメージしてきた魅惑的なお菓子が、写真とレシピで存分に味わえます。
 

美しい写真集のようなレシピ本。

『食堂かたつむりの料理』小川 糸・オカズデザイン/著 ポプラ社

こちらは、『食堂かたつむり』の中で、倫子がお客さんのために作った料理を再現したレシピ本です。
本編での倫子の丁寧なおもてなし料理の通り、手の込んだ料理の数々がレシピとして収まっています。一主婦が作るには、いささかハードルが高い気もするので、物語の裏側を知られる番外編のひとつとして楽しんでみてはいかがでしょうか。物語のその先を想像するように、物語で語られていない細かい部分も妄想してみると、小説の世界観も広がりを見せてくれる気がします。
料理の写真の盛り付け方が美しくて素敵なので、写真集を見ている感覚にもなるレシピ本ですよ。
 

小説の中の料理を完全再現!

『食べ物語る』BUNDANCOFFEE&BEER/著・編集 主婦の友社

こちらは、日本近代文学館の中の文学カフェ「BUNDAN」の料理やスイーツのレシピをまとめたレシピ本で、向田邦子、角田光代、太宰治、芥川龍之介など、その料理の元となった文学作品も一緒に紹介されています。
作品の料理そのままというよりは、例えば、梶井基次郎の『檸檬』を檸檬パフェにするといったようなアレンジが加わっているので、作品への忠実さを心がけるより実際の食べやすさを考えて考案されたレシピ集といった感じです。
表紙を見てもわかる通り、レシピの写真がとても美味しそうなので、見ているだけで癒されます。
 

七字さんのイラストにほっこり癒される。

『四十九日のレシピのレシピ』伊吹 有喜・なかしま しほ/著 七字 由布/イラスト ポプラ社

こちらは、小説『四十九日のレシピ』の中で、乙美さんの残した料理レシピや家事のコツが、物語の雰囲気そのままに手書き風な温かいイラストと共にまとめられている一冊です。
原作を読んだことのある方は、物語の余韻に浸れますが、読んでいない人でも冒頭に書かれている「当たり前に続くと思っていた日常。ずっとそばにいるはずだった人。」という言葉から、レシピの背景にあるものを何となく感じ取れるのではないでしょうか。幸せに暮らすために書き残されたレシピカード、それは紛れもなく、家族への愛そのものです。
小説から飛び出したレシピ集に、心の奥が温かくなります。

 

まとめ

いかがでしたか?
見ているだけで、よだれが出てきそうなレシピがたくさん載っているので、ごはん時に眺めるには注意が必要です。
思わず、「なつかしい!」と叫んでしまったり、物語の余韻を味わえるメニューもちらほらあったのではないかと思います。
物語の中の食べ物が実際に作れるなんて、夢のようなレシピ本ですね。

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”もしもの時”を考えよう!司書が選んだ、ためになる防災の本特集

”もしもの時”を考えよう

 

日常生活の中で、異常気象や大地震など、いつ、自分の身に降りかかってくるかわからない自然災害の恐怖に備えておくことは、とても大切です。常日頃から、こうした災害に遭遇した時のことを考えたり、知識を深めておけば、いざという時にスムーズに動けたり、得ていた知識が思いもよらない形で役に立つことがあります。
今回、”もしもの時”を考えるきっかけとなる、防災に関する本を15冊厳選して集めました。
中には、小さな子でも理解できるような、災害時の絵本も数冊あります。
これを機会に、”もしもの時”、我が家ではどうするか、家族で話し合ってみてはどうでしょうか。ぜひ、本を通して、いざという時の身の守り方をお子さんに教えてあげてください。

防災に役立つ、絵本6冊

 

 

必死に避難をする、子どもたちの様子が伝わる絵本

『つなみてんでんこ はしれ、上へ!』指田 和/ぶん・伊藤 秀男/え ポプラ社

 

小1むすこ
小1むすこ

こわい話だと思う。みんな上に登っていたから助かったのかなぁ。(息子談)

 

 

津波から村を守った男の話

『津波!!命を救った稲むらの火』小泉八雲/原作・高村 忠範/ぶん・え 汐文社

 

 

地震がおきたら、どうすれば良い?

『地震がおきたら』谷 敏行/原案・畑中 弘子/ぶん・かなざわ まゆこ/絵 BL出版

 

小1むすこ
小1むすこ

避難訓練で、同じような話をきいたことを思い出したよ!(息子談)

 

 

地道な避難訓練が、自分を守ってくれる

『はなちゃんの はやあるき はやあるき』宇部 京子/さく・菅野 博子/え 岩崎書店

 

 

備えることの重要性

『ガタガタ村と大ナマズ』山王三・四丁目自治会/ぶん・寺田 順三/え Z会

 

小1むすこ
小1むすこ

アリとキリギリスのお話に似てるっ!(息子談)

 

 

地震がおきたら、どうなるの?

『あっ!じしん』金子 章/ぶん・鈴木 まもる/え 学習研究社

 

小1むすこ
小1むすこ

あ!「せんろはつづく」(の絵)を書いた人でしょ!

 

 

防災に役立つ、読み物9冊

 

 

自分の身を守れるのは、自分自身

『新装版 親子で学ぶ防災教室 身の守りかたがわかる本』今泉 マユ子/著 理論社

 

いざという時、危機管理のプロのノウハウが役立つ!

『自衛隊防災BOOK』 マガジンハウス

 

気楽に、防災知識を手に入れられる本

『4コマですぐわかる みんなの防災ハンドブック』草野 かおる/著・渡辺 実/監修 ディスカヴァー・トゥエンティワン

 

 

クイズを解きながら、防災知識がUP!

『ぼくらの災害サバイバルBOOK』主婦の友社/編者 主婦の友社

 

知恵と力と勇気をたよりに、72時間を生き抜こう!

『子どものための防災BOOK 72時間生きぬくための101の方法』夏 緑/著・たかおか ゆみこ/え 童心社

 

 

サバイバルマスターへの道!

『もしときサバイバル術Jr. 災害時に役立つスキルを手に入れろ!』片山 誠/著・高橋 未来/イラスト 太郎次郎社エディタス

 

 

イツモしていることが、モシモの時に役に立つ!

『親子のための地震イツモノート』地震イツモプロジェクト/編・寄藤 文平/絵 ポプラ社

 

 

実際の体験を元に、防災を考える

『被災ママに学ぶ ちいさな防災のアイディア40』アベ ナオミ/著 学研プラス

 

 

いろいろな状況の”生き延びる術”が、この一冊に!

『SURVIVE!「もしも」を生き延びる サバイバル手帖』ガイ・キャンベル/著・間芝 勇輔/イラスト 文響社

 

 

まとめ ~イメージを持つことの大切さ~

 

いかがでしたか?どの本も、知っておいて得する情報が、柔らかく、わかりやすい文体で、沢山載っています。
絵本に至っては、災害が起きた時の取るべき行動が、物語仕立てでイメージしやすくなっているので、小さなお子さんでも”もしもの時”を一緒に考えやすいかも知れません。
「備えあれば患いなし」という言葉があるように、あらかじめ、知識や心の準備をしてイメージを持っておけば、災害時に迅速な対応ができ、結果として自分の身を守ることに繋がるのかも知れませんね。

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中学生におすすめ!名作・純文学

純文学のすすめ

皆さんは「純文学」と言うと、どういった印象を持ちますか?
堅苦しい、小難しい、眠くなる・・・以前勤めていた学校の生徒さんは、私の力量不足ということもあって、どうやらそんな感想を抱いていたようです。
そもそも、「純文学とは何ぞや」から説明が必要な人もいるかも知れません。
今回は、中学生が敬遠しがちな純文学作品について、「何ぞや」から出来るだけ嚙み砕いて説明して、皆さんに興味を持ってもらえるように司書として頑張りたいと思います。
また、後半は、そんな純文学の中から中学生の皆さんにおすすめの作品を紹介したり、純文学に限らず、昔から名作と言われている海外の作品からも数冊おすすめを紹介しているので、ぜひ、本選びの参考にしてみてください。

純文学と対象となる文学として、「大衆文学」というものがありますが、実はこの二つの境界線はとても曖昧で主観に委ねられるところも多く、現代のものは特に「これは純文学?それとも大衆文学?」と判断が難しい作品があったりします。
一般的に言われている純文学とは次のようなものです。

【1】純文学とは

人を楽しませたり、感動させたりすることを目的とした大衆文学に対して、純文学は、文章の美しさなどの芸術性に重きを置いています。
例えば、大衆文学と純文学を声に出して読んでみてください。どちらが読んでいて心地良いか、文の調子が良いか、一目瞭然だと思います。芥川龍之介や夏目漱石など、日本の文豪といわれている作家の作品は、音読した時のリズムがとても心地良いものです。これは、ストーリー展開よりも文章の美しさそのものに磨きをかけたが故の結果です。
最近では、自分で読む読書以外にもオーディブルなど、耳で聞く読書アプリもありますから、活字が苦手な人は、こういったアプリで純文学の美しい文章を聞くのも良いかもしれませんね。
大衆文学のようなハラハラドキドキのストーリー展開はありませんが、その分、登場人物の心情や、情景が丁寧に描かれているので、落ち着いて物事を考えたい人に純文学はピッタリです。

そもそも、英語に「純文学」という言葉はありませんから、これは日本だけの独自なジャンルです。よって、「反抗精神を歌っているから、これはロックだ!」というような、誰もが納得できる明確な目印がなく、芸術という主観的でどこか曖昧なジャッチのみで分けられているのが、冒頭でも言った、素人目で見て判断が難しい理由となっているのかも知れませんね。

【2】現代にも純文学はある

普段小説をあまり読まない人の中には、純文学というものは、ひと昔前の作品で、作者はすでに死んでいて・・・なんて思っている人がひょっとしたらいるかも知れません。
ところがそれは大きな間違いです。
おそらくその考え方は、「近代文学」と「純文学」という言葉が、ごちゃ混ぜになってしまったが故の誤りだと思います。近代文学は、近代(日本に限定すれば明治維新以後)に成立して発達してきた文学のことを言うので、ひと昔前という考え方は間違いではありませんが、純文学にこういった時代の括りは一切ありません。
近代であろうと、現代であろうと、芸術性に重きを置いている作品は、全て「純文学」と呼んで良いのです。
近代文学は、現代の小説を読み慣れている人からしてみれば、難しく感じる言い回しがあるかと思いますが、現代の文体で現代の作家が書いているのであれば、それだけで、取っ付きにくさは大分無くなるのではないでしょうか。

現代文学における、純文学作家といえば、まず頭に思い浮かぶのが村上春樹さんです。
ノーベル文学賞の時期になると「今年は授賞なるか?!」と、毎度、騒がれているあの作家さんですよ。
純文学入門としては、とても読みやすい作家さんだと思いますので、ぜひ、挑戦してみてください。
セリフ回しが少しキザに感じたり、文章からその場面がありありと思い描けたり、大衆文学とは一味違う文体に気づけたら、ぜひ、自分を褒めてあげてくださいね。

【3】中学生に純文学を進める理由

私が純文学を中学生の皆さんにおすすめする理由は、大きく分けて二つあります。

➀味わい深い人になれる

最近はどこの学校も、朝の10分間読書なるものがあって、普段本を読む習慣のある生徒さんも、そうでない生徒さんもこぞってその10分間は読書タイムを取ります。子どもたちの読書離れを止める策として、司書としてとても良い習慣だと思ってはいるのですが、普段本を読まないものからしてみれば、この10分は残念ながら苦痛でしかなく、生徒さんは何とかその10分間を乗り切るために、短い時間でどんでん返しが気楽に楽しめる本を血眼になって探しに図書館へやってきます。
そんな生徒さんが決まって言うセリフが、
「短い話でストーリーが分かりやすくて、どんでん返しがあるようなやつ!」
です。
残念なことに10分間という、短い読書タイムにすっかり慣れてしまっているのです。
本来、読書は時間を忘れてのびのびと読むことが醍醐味の一つであったはず。この10分間の読書タイムがきっかけとなって、本来の楽しみ方までたどり着けた生徒さんは良いですが、これを読書の楽しみ方と思って常に「起承転結」、「どんでん返し」だけが読書の面白さであると、はき違えてしまうのは、とても残念でなりません。
純文学は、物語を読む側に衝撃や感動を与えることが目的ではないために、ストーリー展開は至って緩やかです。緩やかな中に、主人公の思考が丁寧に描かれていたり、情景が美しく描かれていたりというような味わい深さがあります。
直ぐに結論が出てしまう本が良くないとは言いませんが、短い時間で結論を求めがちな中学生にこそ、こういった結論を急がない読書に挑戦して小説の味わい深さに触れてほしいと思います。
その経験を重ねることで、物事にある奥行きに気づき、知的で味わい深い人になれるのです。

➁受験や社会に出る上で役立つ

何度も言いますが、純文学は文章の美しさが特徴の一つとしてあります。それ故に、沢山の作品を読んでいくうちに、自ずと自分自身の文章能力も身についていくのが嬉しいおまけかも知れません。
例えば極端な話ですが、巷で人気の携帯小説ばかりを読んでいる生徒さんの文章は、文体がおかしなことになっていて、作文の文章の末尾に平気で「♡(ハート)」を付けるのだと国語科の先生が頭を抱えていたことがありました。
これは少し極端すぎたかもしれませんが、早い話がそういうことなのです。美しくないものを見たり聞いたりして育った人は、それを素晴らしいものだと認識するしかありませんが、長く本物に触れていれば、何が本物か目利き出来るようになり、自ずと自分自身も影響を受けるというわけです。
どのような文章が美しいと言えるのかを知っておくことは、今後、小論文などを書く際にも大いに役に立つことでしょう。
また、受験対策として純文学作品を読むこともおすすめしたいです。受験で初めて純文学に触れて、その分かりづらさに「意味が分からない」と頭を抱えることがないように、普段から「純文学とはこういうもの」と理解して、起承転結が緩やかな純文学の持つ曖昧さに事前に触れておけば、当日になって「なんだこれは」と慌てる心配がありませんね。

中学生におすすめ!名作・純文学

それでは、ここからはいよいよ中学生の皆さんにおすすめしたい名作・純文学について紹介していきたいと思います。
冒頭でも述べた様に、純文学に限らず、昔から名作と言われ、世界中の人たちに読み継がれてきた作品も紹介していますので、ぜひ、この機会に挑戦してみてくださいね。

【純文学のおすすめ】

人の心の内を丁寧に描き切った作品。

『こころ』夏目 漱石/著 新潮社

こちらは、「先生と私」、「両親と私」、「先生と遺書」の三部構成からなる、人の心の内を丁寧に描いた夏目漱石の代表作の一つです。タイトルにもなっている「こころ」が、「いったい誰の心なんだろう?」と読む前から読み手の心をくすぐります。
この物語の核となっているのは、主人公である「私」が「先生」と呼ぶ男の過去であり、「先生」は、過去の出来事に長い間囚われ続け、やがて、「私」に書いた遺書で、全てを告白します。友情ではなく、恋を取って友人を出し抜いたことにより、起こってしまった最悪の結末。それをずっと内に秘めてきた「先生」の寂しさが文章からは垣間見えます。その「先生と遺書」の中で描かれた細かい心理描写がこの小説の旨みの一つであり、タイトルの所以となっているのではないでしょうか。読んでいると、人間の弱さや寂しさが深く心に染み渡ります。
人の心の内を丁寧に描き切っているので、感受性が高い時期に、ぜひ一度読んでほしい作品です。

 

まるで寓話集のようなわかりやすさ。

『蜘蛛の糸・杜子春』芥川 龍之介/著 新潮社

「年少者向け」とあとがきにもある通り、こちらは芥川龍之介の作品の中でも比較的読みやすい10作品を集めた短編集です。「名前は聞いたことがあるけど、難しそう」。そんな風に思って、これまで遠ざけてきた人にこそ、読んでほしいと思います。
古典、宗教、寓話など、様々な要素が物語の中に感じられ、未就学児にすら読み聞かせ出来そうな「わかりやすさ」や「読みやすさ」があります。文章がとても美しいので、(私の中で)声に出して読みたい小説ナンバー1と言っても過言ではありません。芥川龍之介と言えば、洗練された高雅な文体。美しい言葉で語られる情景に、ぜひ、酔いしれてみてください。

★『蜘蛛の糸・杜子春』は、株式会社KADOKAWAの児童書レーベル角川つばさ文庫からも出版されています。こちらは小学生でも読むことが出来ますよ。

 

 

人間の心理やエゴイズムが描かれた表題作。

『羅生門・鼻』芥川 龍之介/著 新潮社

お次も芥川龍之介の短編集です。表題作である『羅生門』は、文章から醸し出されるおどろおどろしさが何とも不気味で惹きつけられる作品です。『鼻』は、『今昔物語集』の「池尾禅珍内供鼻語」や、『宇治拾遺物語』の「鼻長き僧の事」を題材としていて、コンプレックスによる人間の心理やエゴイズムなどが掘り下げて書かれている芥川龍之介の出世作です。芥川は学生時代、夏目漱石にこの作品を評価されて作家デビューしたらしいですよ。
先にご紹介した『蜘蛛の糸・杜子春』よりは、人間のねたみや非情さが目立つ作品が多く、少し小難しく感じる人もいるかもしれません。後の三好行雄さんの解説までじっくりと読むことで、納得できることも多くあるかと思いますので、『蜘蛛の糸・杜子春』の次に腰を据えて読む芥川作品として、ぜひチャレンジしてもらいたいです。

 

虎となってしまった男の話。

『李陵・山月記』中島 敦/著 新潮社

こちらは、『山月記』、『名人伝』、『弟子』、『李陵』の4作品が収まった短編集です。
『山月記』は教科書にも載っているので知っている人も多いのではないでしょうか。自尊心や羞恥心が心の奥底で膨らんで虎となってしまった男の話ですが、中国の古典を元に書かれているので、難しい言い回しが多かったり、物語の途中に漢詩が出てくることもあり、普段、漢詩に触れることがない私たち日本人は少し身構えてしまうところもある作品かも知れません。ただ、それでも、高校生の頃にこの話を読んだ私は、難解な文章以上に、虎になった男の話が衝撃的過ぎて、最後までどうなるものかと読み進めることが出来たのです。まるで、カフカの『変身』の舞台を中国に置き換えたような変身譚で、ぐいぐいと読者を引き込んでくれる作品です。

★『李陵・山月記』は、株式会社KADOKAWAの児童書レーベル角川つばさ文庫からも出版されています。こちらは小学生でも読むことが出来ますよ。

 

 

雪国の風景が目に浮かぶ。

『雪国』川端 康成/著 新潮社

物語冒頭の、「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」という一文が有名すぎて、『雪国』を読んだことがなくてもこの一文を知っている人は多いのではないでしょうか。
この一文からもわかるように、この作品は、これぞ純文学と思わずため息をついてしまうほどに自然描写が美しい作品です。内容は大人の恋愛物語なので、学生の皆さんに合うかどうかは正直何とも言えませんが、まるで一つの映画を見ているように情景が鮮明でとにかく素晴らしいので、ぜひ、そんな文章表現の美しさに酔いしれていただきたいです。

 

二人の主人公の物語。

『海辺のカフカ』村上 春樹/著 新潮社

こちらは、村上春樹の小説には珍しく10代の少年が主人公となっている作品なので、春樹作品の中でも中高生の皆さんにとって、特に読みやすい作品なのではないでしょうか。他の純文学作品に比べて、難解な文体というわけでもないので、初めて純文学に挑戦する人も比較的読みやすい作品だと思います。
この作品の面白いところは、家出をした15歳の少年、田村カフカが主人公である話と、知的障害の老人、ナカタサトルが主人公である話、この二つの物語が同時進行で進んでいくところです。読み進めていくうちに、この二つの物語が実は無関係ではないのかも?と感じ始めると、ページをめくる手がもう止まりません。
読み進めながらいろいろな気づきを得ていただきたいので、詳しいあらすじについては触れませんが、沢山の仕掛けが散りばめられている作品です。噛めば噛むほど味が出るといったような、一度ならず何度も読むことで深みを増していく小説なので、ぜひ、結末を焦らずじっくりと読んでほしいと思います。

【海外名作のおすすめ】

年老いても現役を貫く男の生きざま。

『老人と海』ヘミングウェイ/著 新潮社

こちらは、老漁師と大物マカジキとの二日間もの死闘を描いたヘミングウェイの作品です。
静かに、ただ静かに、大海原でひとり格闘する老人サンチャゴを見ていると、老いや自然の力に屈することなく、今の自分が持つ全力でマカジキに挑む姿に心を持っていかれます。死闘後の話を読んでいると心にぽっかりと穴が開いたような虚無感に襲われそうになりますが、何事もなかったかのように淡々とまた漁へ出る老人に精神力の強さを感じて救われたような気持ちになる人も多いのではないでしょか。老人と少年との関係性も素敵で、海の上での孤独な戦いの最中に何度も「あの子がいてくれたら」と思う老人の様子から、きっと少年が思っている以上に少年の存在は老人にとって大きなものであったように思います。
ヘミングウェイはこの作品で、ピューリッツア賞を受賞し、1954年にはノーベル文学賞も受賞しました。ヘミングウェイの代表作の一つなので、ぜひ一度読んでみてください。

『老人と海』は、他の記事でも紹介しています。
司書が選んだ読書感想文におすすめの25冊

 

 

物事の不条理さを描いた名作。

『変身』カフカ/著 新潮社

こちらは、主人公の青年が、ある朝起きたら巨大な害虫になっているという物語で、虫嫌いの私はぞわぞわしながら読み進めていった記憶がありますが、読めば読むほど、この害虫があまりにも哀れで、なんとか最後は人間に戻らせてあげたいと、いつしかこの害虫に感情移入している自分がいました。
青年が害虫となってしまったことで、青年に対する家族の接し方がそれまでと違うものとなってしまった理不尽さが読んでいて胸に突き刺さる作品です。
自分の家族が、もし、これまでの家族とは違うものになってしまったら、自分だったらどう行動するか・・・。ありえない物語を現実世界と照らし合わせながら読んでみるのも面白いかもしれませんね。

 

多種多様な人々が紡ぐ、暖かい物語。

『種をまく人』ポール・フライシュマン/著 あすなろ書房

物語は、ごみ溜めのようになってしまった土地に、一人の少女が豆の種を植えるところから始まります。
やがて、年齢や人種も違う、多種多様な人々がそこに種をまくようになり、いつしかごみ溜めは立派な菜園となっていきました。菜園を通して紡がれていく13人それぞれの物語がそこにはあり、最初の少女のひと植えが、幸せの連鎖に繋がっていく過程が読んでいて何ともハートフルで心を動かされる作品です。
とても短く、読みやすい小説なので、何かの合間や就寝前などに、ぜひ、手に取って読んでもらいたいと思います。

 

短編の名手が届ける、極上の短編集。

『最後のひと葉』オー・ヘンリー/著 岩波書店

オー・ヘンリーを知らずとも、どこかしらでオー・ヘンリーの作品に触れている人は少なくないのではないでしょうか。
クリスマスに互いのことを思い、プレゼントを選び合う夫婦の物語『賢者の贈物』、病気の女画家と老画家の心温まる物語『最後のひと葉』などは絵本にもなっている有名な作品です。
14編が収録された短編集ですが、どの話もただオチがあるだけの作品ではない、深い感動やしみじみとした余韻の残る話ばかりであり、英米で短編の名手と呼ばれていたオー・ヘンリーの手腕を感じられます。
朝のわずか10分間の読書に、このような深みある短編集に挑戦してみるのもおすすめですよ。

★株式会社KADOKAWAの児童書レーベル角川つばさ文庫には、「賢者の贈りもの」「最後の一葉」「警官と聖歌」など、よりすぐりの10編が収録されています。こちらは小学生でも読むことが出来ますよ。

 

まとめ ~就寝前の読書に。~

「なかなか読む時間がない」と、日頃から読書に消極的な人は、まずは、就寝前の1時間を読書の時間にしてみてはいかがでしょうか。
布団に入って、本を開く。誰にも邪魔されないその1時間にピッタリなのが、今回紹介した純文学であったり、海外の名作であったりします。想像力掻き立てられるファンタジーや、ハラハラドキドキのストーリー展開の冒険物も良いですが、就寝前に読むには少し目が覚めてしまいそうですよね。就寝前だからこそ、美しい日本語から登場人物の心情や情景を思い浮かべながら、「起承転結」に囚われない読書をぜひ楽しんでみてください。

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ペットを飼っている人なら、ハマる!動物が出てくるおすすめ本特集

本の中でも癒し系の動物たち

家族の一員として受け入れたその日から、我が子のように可愛がってきたペット。
愛くるしいその姿に毎日癒されて、励まされている人も少なくないのではないでしょうか。
わが家もネコを一匹飼っていますが、母性であったり、生命の尊さであったり、いろいろなことを日々、彼から学ばせてもらっています。子どもたちも沢山の刺激を受けているようです。
今回は、そんなペットと共に過ごしている人だからこそ、心動かされる物語を6冊ご紹介したいと思います。
ペットを飼っている方だけでなく、飼いたくても飼えない事情をお持ちの動物好きの方も、きっと、グッとくる6作品です。本の中の動物たちに癒されたり、感動をもらったり、物語を通して、ペットをもっと身近な存在に感じられるといいですね。
 

動物が出てくるおすすめ本 6選

 

主人公は、ネコ!登場人物も、ネコ、ネコ、ネコ!

『ルドルフとイッパイアッテナ』斉藤 洋/著 講談社

こちらは、飼いネコだったネコのルドルフが、ひょんなことから、家から遥か遠い地でノラネコとして生きることになり、多くを学び、成長を遂げていく物語です。
ノラネコであるイッパイアッテナとの出会いによって、字が読めるようになり、知性を身に付け、ノラネコとしての生き方を学んでいくルドルフの姿は、まるで独り立ちしていく我が子を見ている様です。
ルドルフやイッパイアッテナが語る、別れた飼い主への強い想いを読んでいると、すぐ隣で気持ちよさそうに寝ているうちの子(飼いネコ)を思わず抱きしめたくなります。

この物語の影響で、飼うネコが黒ネコなら「ルドルフ」、トラ模様なら「イッパイアッテナ」なんて、子どもたちと話していましたが、飼ったネコはグレイと白のウシ模様。結局別の名前になりましたが、この本はわが家にとって、そんな飼い始めの頃を思い出す、思い出のシリーズでもあるのです。

『ルドルフとイッパイアッテナ』は、他の記事でも紹介しています。
◆小学3、4年生◆ 中学年に司書がおすすめする、児童書10選

 

この旅は、ネコと主人公の気持ちを思うと切なすぎます。

『旅猫リポート』有川 浩/著 村上 勉 講談社

こちらは、5年間を一緒に過ごしてきた、カギしっぽのナナとサトル青年の最後の旅を描いた物語です。
ナナを飼うことが出来なくなったサトルは、ナナと共に次なる飼い主候補を探す旅に出るのですが、これが、サトルのこれまで生きてきた過去を辿る旅にもなっており、読んでいて感じることが多くある作品です。

おかしい・・・以前読んだ時は、あまり感情が揺さぶられなかったはずなのに、ネコを飼うようになってから、改めて読んでみると涙腺が崩壊しました。ネコって、媚びることなく、自分のしたいようにするという感じで、一緒に過ごしていると、「私なんて、おいしいものをくれる人間くらいにしか思っていないんだろうな」と感じる時が多々あるので、例え嘘でも、こういうネコの思考に触れられる話は心に沁みますね。

犬が語る物語。

『ティンブクトゥ』ポール・オースター/著 柴田 元幸/訳 新潮社

こちらは、犬であるミスター・ボーンが、最初の主人への思いを胸に抱いたまま、生きるために更なる主人を探し歩く物語で、『旅猫リポート』がネコ目線なら、こちらは犬目線で書かれた作品です。
語りが犬という斬新さに、読み始めはいささか気が引けますが、読み進めるに連れ、ひたむきに飼い主を思う犬の姿に引き込まれていきます。忠誠心は犬そのものですが、こうありたいと考えながら動く、その意志ある様は、犬ながら人間味に溢れており、思わず感情移入してしまいます。
犬を飼っている方は、ミスター・ボーンの忠誠心と(犬だけれど)人間味溢れるところを、きっと、愛犬と重ねて読んでしまうのではないでしょうか。愛犬家にはぜひ、読んでいただきたい作品の一つです。

大事に思う気持ちは、どんな生き物も一緒。

『遠い海から来たCOO(クー)』景山 民夫/著 KADOKAWA

こちらは、赤ちゃんの頃から育てて自分に懐いてくれる、という、動物好きの願望を惜しげもなく詰め込んだ作品です。
海洋生物学者の父とフィジー島に住む12歳の少年、洋助は、絶滅したはずのプレシオザウルスの赤ちゃんクーと出会い、こっそり育てる決意をします。今では、恐竜を育てることはもちろん、恐竜そのものが、すっかりファンタジーとなってしまいましたが、この小説での描かれ方は、あくまでも動物の赤ちゃんです。主人公の少年が、悩みながら育てていく様子がまるで動物の赤ちゃんを育てているようにリアルで、動物好きの心はわし掴みにされてしまいます。
物語前半は、そんな子育て奮闘記や島での穏やかな生活が綴られていて想像力が掻き立てられますが、後半は、軍隊や自然保護団体が登場し、クーをめぐる攻防戦が主に描かれています。
思い返せば、小説を読み、場面を想像して鳥肌が立った作品は、後にも先にもこれだけのような気がします。この物語の全ては、そんな最後のあの情景、圧巻のラストのためにある、と言っても過言ではないです。

 

この約束は、ペットを飼う上での十か条でもある!

『犬と私の10の約束』川口 瞳/著 文藝春秋

こちらは、子犬と交わした10の約束を胸に刻み、家族の一員として大切に育てることを誓った少女のお話です。
やがて少女は初恋を経験し、将来の目標に夢中になるにつれ、愛犬ソックスの存在を疎ましく思うようになってしまいます。その反面、犬はどこまでも一途に飼い主を思い、健気で、読んでいると何とも言えない気持ちになります。
10の約束。これは、どんなペットを飼っているお家にも言えることなのではないでしょうか。中でも、『あなたには学校もあるし友達もいます。でも、私にはあなたしかいません』という言葉に、いつも尻尾をふりふり愛想を振りまいてくれる、姉のワンちゃんを思い出し、ギュッと胸が締め付けられました。ペットを飼うということは、命に責任を持つということ。家族の一員として迎え、変わらぬ愛情を与え続け、最後までちゃんと見取ってあげるということ。そんな命を預かる責任の重たさについて、改めて気づかせてくれる作品です。
ペットと過ごせる、今この時を大切に、後悔ないように存分に愛してあげたいですね。

最愛のペットとの別れは悲しいけれど・・・。

『デューク』江國 香織/著 山本 容子/絵 講談社

こちらは、江國香織さんの短編集『つめたいよるに』の中に収録されていた短編小説「デューク」が、絵本として出版された作品です。
愛犬デュークが死んでしまい、悲しみでいっぱいになっている女性が知り合ったハンサムな男の子。彼と過ごした少しの時間は、悲しみで濡れていた彼女の心を癒し、満たしてくれるのでした。
なぜ、男の子は女性の前に姿を現したのか、デュークにとって女性はどのような存在だったのか、そんなことを考え始めると、胸の奥が熱くなります。
愛犬と死別した女性の元に訪れる、奇跡の物語に、短い文ながらも、じわりじわりと目頭が熱くなるのは、年の功か、ペットを思う気持ちからか・・・。
やがては訪れる別れの日を思うと、こんな奇跡が起きないかと願わずにはいられません。
 

ペットを飼うと、感情移入してしまうのが動物の出てくる本

いかがでしたか?
これは紹介しながら思ったことなのですが、動物が出てくる本は、可愛い表紙のものが多くて癒されますね。
ペットを飼い始める前に読んだことがあった作品も、飼い始めてから、こうして改めて読むと、また違った捉え方ができ、新たな発見がありました。
動物が出てくる本を読むと、ついつい、飼っているペットを思い出して感情移入してしまうのが、飼い主あるあるなのかも知れないですね・・・。

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中学生・高校生必見!司書が選ぶ、10代が読むと心に響く本 10選

「10代のうちに読んでおけば良かった~!」と思う、大人の読書

大人になると、家事や仕事が一日の大半を占めてしまう為、なかなか読書の時間が持てませんが、だからこそ、読書をしている時間が貴重な息抜きの時間であり、楽しみであったりします。
そんな、気ままな読書人生を送っている大人から、10代である皆さんに言っておきたいことがあります。
それは、10代の今だからこそ、心に響く、心を揺さぶられる本があるのだということです。児童文学でも大人が楽しめる本は沢山ありますが、同じ本でも、多感な時期に読むのと、ある程度を経験した大人になってから読むのとでは、読んだ印象が全く違います。私自身、「この本、10代のうちに出会っておきたかったな~。」と思う本の多いこと多いこと。
日中はまだまだ温かく、冬がそこまで来ていることを忘れがちですが、暦の上ではすっかり秋になりました。
普段読書をしない人でも、ふらっと書店に立ち寄り、カフェや自宅で読書を楽しんでしまうのが、この季節の凄いところ。

この機会に、ぜひ、10代だからこそ、楽しめる読書をしてほしいと思います。

10代が読むと、心に響く本 10選

 

社会の荒波に揉まれる前に、読んでほしい!

『裏庭』梨木 果歩/著 新潮社

こちらは、「バーンズ屋敷」の秘密の裏庭に迷い込んでしまった少女の物語です。
後でご紹介する『西の魔女が死んだ』が、悩める少女の成長を描いたヒューマンドラマ的な作品なら、こちらの作品は、少女が抱える現実世界の問題とファンタジーの世界が交錯しながら、少女の成長を描き上げた、冒険ファンタジーの要素が強い作品です。
ファンタジーですが、13歳の主人公が抱える悩みや葛藤する姿が丁寧に描かれていたり、現実世界と裏庭世界との繋がりが物語に奥行きを与えていたりと、美しいだけではない重厚感のある話になっています。
『はてしない物語』『ナルニア国物語』など、外国のファンタジー文学が好きな人は、読み進めやすいでしょうし、物語後半、この作品で著者が伝えたいことが見え隠れするようになった頃には、すっかり梨木ワールドに引き込まれてしまっているのではないでしょうか。
同年代なら、きっと、読んでいて辛くもありますが、だからこそ、ずっと心に残る作品となるはずです。

せいとさんの声
せいとさんの声

がっつり「ファンタジーもの」で思ってた話と違ったけど、裏庭世界が現実とちゃんと関りを持つ部分があって面白かった。

 

せいとさんの声
せいとさんの声

ただ、わくわくするだけの冒険ファンタジーではないところが良かった。

 

悩める少女の再生物語

『西の魔女が死んだ』梨木 果歩/著 新潮社

こちらは、学校を不登校になってしまった少女が、自然に囲まれた祖母の家で、「魔女修行」として、ひと月余りを過ごすお話です。
自然と共存したり、規則正しい生活を送ることは、日々丁寧に過ごすことと直結しています。少女は「西の魔女」こと祖母とそうやって過ごしていく中で、生きるヒントを沢山学んでいくのです。
この物語の中には、精神的に張りつめている時に、心の支えとなる言葉が沢山散りばめられているので、ぜひ、悩み多き10代の皆さんに読んでもらって、それらの言葉を、忙しない世の中を生きていく上でのお守りにしてほしいと思います。

せいとさんの声
せいとさんの声

すごく、ためになることがたくさん書いてある話だった。
おばあさんとの別れは、読んでいて切ない・・・。

 

『西の魔女が死んだ』は、他の記事でも紹介しています。
司書が選んだ読書感想文におすすめの25冊

 

風のように過ぎ去るからこそ、全力疾走!

『一瞬の風になれ』佐藤 多佳子/著 講談社

こちらは、長年サッカー部に所属していた新二が、幼馴染みであり天才的スプリンターの一ノ瀬と一緒に陸上部に入ってインターハイを目指していく物語です。
スポーツものは苦手という人も、読まず嫌いはやめて、ぜひ、一度読んでみてください。どの登場人物もキャラが立っていて、読み進めていくうちに、まるで少年漫画を見ているようにサクサクと読め、どんどん面白くなっていきますよ。
たくさんある「中高生の部活もの」の中でも、この物語は、特に主人公の思いが前面に出ていて、読んでいると、まるで、新二がすぐそばにいるような感覚になります。一文一文が短い文章で構成されていることも、新二の独り言を聴いているようです。
社会人になると、学生の頃と同じような仲間を作るのはなかなか難しいものです。苦楽を共にして、同じ高みを目指して打ちこんできたからこその、友情なんですよね。
社会人になるとなかなか手に入らないからこそ、学生のうちに読んでほしい作品です。

せいとさんの声
せいとさんの声

せっかく部活に入っているから、心を入れ替えて頑張りたい!

 

せいとさんの声
せいとさんの声

とても読みやすく、3巻ともあっという間に読めた。

 

読むとわかる、「いちご同盟」の意味。

『いちご同盟』三田 誠広/著 集英社

こちらは、生きることを悩んでいた主人公・良一が、野球部のエースである徹也を通して、余命幾ばくもない少女・直美と知り合うことで生と死について深く考えるようになる作品です。
「可能性がある人がうらやましい。自殺のことを考えるなんて、贅沢だわ」読んでいると、直美のセリフが胸に突き刺さります。3人の若者たちが互いに「生きること」について一生懸命考え、関わり合う様子から、15歳の危うさであったり、煌めきを感じずにはいられません。
大人になると、どうしても親目線になって読んでしまうので、一度は10代のうちに読んでおいてほしいです。主人公たちと同じ10代だからこその、読んでいて溜め息が出るあの感じを、ぜひ、味わってください。
そして大人になって再読すると、きっとまた違った印象を抱くのではないでしょうか。
悲しくもあるけれど心が洗われる、そんな小説です。

せいとさんの声
せいとさんの声

とても考えさせられた話だった。
生きることを自分から投げてはいけない。

 

この物語に、桐島という人物は登場しません。

『桐島、部活やめるってよ』朝井 リョウ/著 集英社

こちらは、バレー部のキャプテンである桐島が部活を辞めたことをきっかけに、同じ高校の生徒たちへ静かに波紋が広がっていく様子を描いた作品です。ですので、桐島君は名前だけの登場であり、物語上では姿を現しません。
学校という狭い世界でのお話なので、大人が読むと、「懐かしいな~」で終わってしまうところ、現役10代が読めば、きっと感じることは多いはず。細かい心理描写が多く、スクールカースト的なものだったり、それぞれが抱く悩みであったりと、著者の視点が高校生そのものです。著者が10代の時に書いただけあって、高校生たちの心の内がとてもリアルに描かれているあたり、さすがだな~と思いました。
10代だからこその面白さがある作品です。

せいとさんの声
せいとさんの声

まるで、どこかの学校の日常を盗み見ているようなリアリティーだった。

 

せいとさんの声
せいとさんの声

高校生が書いた話と聴いて、驚いた。
でも、「だからかっ!」とも思った。

 

スポーツって、いいですね!

『バッテリー』あさの あつこ/著 角川書店

父親の転勤を機に、天才ピッチャーの巧は、祖父のいる田舎に引っ越すことになります。そこで心優しいキャッチャー豪と出会い、互いに認め合った二人はバッテリーを組むことに。
一巻には、自らの才能に対する自信に満ち溢れている、大人びた少年・巧と、優しさが溢れている少年・豪、この二人の出会いが描かれています。シリーズはまだまだ続くので、この一巻は物語のほんの序章に過ぎません。
物語を通して、巧の心が少しずつ変わっていく様子や、巧の周りにいるとにかく温かい人たちが、読んでいて心地よさを感じます。野球のことはさっぱりわかりませんし、学生時代にスポーツに魂を燃やした経験は一切ありませんが、それでも、「スポーツを通した友情ってなんかいいな~」と思う自分がいました。前の本の紹介でも言いましたが、やはり、苦楽を共にした友情は揺るぎないですね。

せいとさんの声
せいとさんの声

スポーツものは気が向かなかったけど、読むと、たちまちハマってしまった。
豪のような友達が欲しい。

 

杉原、あなたの青春はかっこいい!

『GO』金城 一紀/著 角川書店

こちらは、在日三世である主人公・杉原の青春を描いた作品です。
差別にもやもやしながらも、恋愛に悩み、仲間と青春を謳歌する様子がテンポよく描かれているので、読んでいて重過ぎず、爽快感すら覚えます。「暗闇を知らない奴に光の明るさは語れない」など、喧嘩が得意で、小賢しい主人公から繰り出される熱いセリフは、どれもはっとさせられるものばかりです。
メディアやSNSばかりに踊らされず、杉原の目や心を通して、10代のうちから広い世界を見てほしいと思います。
ちなみに、映画化もしていて、こちらも小説の世界観を崩すことのない良作なので、おすすめですよ。

せいとさんの声
せいとさんの声

この話をきっかけに、金城一紀さんの本を読破!
この爽快感は、クセになる!

 

剣道がしてみたくなる!

『武士道シックスティーン』誉田 哲也/著 文藝春秋 

勝ちにこだわる香織と、マイペースな早苗。こちらは、そんな、剣道に対する姿勢が正反対の二人が織りなす青春物語です。
剣道をやったことのない人が読んでも、出てくる登場人物や展開の面白さで、あっという間に武士道の世界へ引き込まれてしまいます。ライバル関係であった二人が、互いの思いを知ってわかり合っていく中で、心身ともに成長していく様は、とても爽やかに読むことができ、読後感も心地よいです。
大人になると、こういう青春がとにかく羨ましいので、まだ可能性のあるうちに、10代の皆さんには、ぜひ、わくわくしながら読んでいただきたいです。

せいとさんの声
せいとさんの声

二人の関係だけじゃなく、二人を取り巻く、周りの人たちのキャラも好き。

 

今、この時の友情を大切に。

『スタンド・バイ・ミー』スティーブン・キング/著 山田 順子/訳 新潮社

こちらは、12歳の少年たちが、それぞれの思いを胸に、死体探しの冒険に繰り出す物語です。
親から虐待を受けていたり、世間からの風当たりが強い境遇にあったり、実に重い悩みを抱える少年たちが、悪友の前ではただの馬鹿になれるのを見ていると、彼らにとってこの仲間は、とても貴重な存在なんだな、と思わずにはいられません。特に、主人公にとってのクリスの存在は大きかったのだろうと思います。主人公の小説を書く才能を褒め、自分たちと同じ職業訓練コースへ行くべきではないとクリスが説得するシーンは何度見ても心打たれます。
汽車に追われて線路を走る映像であったり、ベン・E・キングのテーマ曲であったり、今は亡きリバーフェニックスの熱演であったり・・・映画の印象がなにかと強すぎるこちらの作品ですが、小説は少年たちの心情が細かく描かれているので、また別の良さがあっていいですね。
わたしはこの十二歳のときの仲間たちのような友人は、その後ひとりももてなかった。」大人になった主人公の言葉がとても印象深いです。振り返ると、確かに、この時期の友達は特別であり、必ずしもずっと続いていくものではないのかも知れません。
歩む進路が違うだけで、休みが合わせずらくなり、そのうち疎遠になってしまうなんていうことは、よくあることです。
だからこそ、人は、戻れないあの頃に思いを馳せ、ノスタルジックに浸るのではないでしょうか。

せいとさんの声
せいとさんの声

こういう友情に憧れる。自分も友達と旅に出たい・・・。

 

張り巡らされた伏線を回収する時の、爽快感を味わって!

『穴HOLES』ルイス・サッカー/著 幸田 敦子/訳 講談社

こちらは、無実の罪で、強制収容所のような施設に放り込まれ、毎日ひたすらに穴掘りをさせられている少年スタンリーの物語です。穴を掘っている理由や、明らかになって行く過去など、物語が進むにつれてわかってきた頃には、もうページをめくる手が止まりません。様々なことが絡み合って伏線が張り巡らされているので、この場で多くは語れませんが、10代のうちに読めば、この小説が読書好きのきっかけになるなんてことも、あるかも・・・と思える秀逸な作品です。
後半の伏線回収のたたみかけが素晴らしいですよ。

せいとさんの声
せいとさんの声

と、とにかく凄いっ!読んだ後の読後感が半端なく爽快!

 

 

10代だからこそ、本を読もう

いかがでしたか?
どの本も、思春期の不安定に揺れ動く感情や、がむしゃらに走る10代を丁寧に描いているので、主人公に共感しやすく、大人が読むより感情移入出来るかと思います。
言葉にできない胸の高鳴りを、これらの本を通して感じて頂けたら嬉しいです。

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ハロウィンに読みたいおすすめ絵本

ハロウィンは子どもも大人も楽しめる行事

 

この時期(10月)になると、子どもの頃、百科事典にハロウィンのことが載っていて、外国にはこんな楽しそうなお祭りがあるのかと、うらやましく思ったことを思い出します。事典に載っていた写真には、子どもたちが魔女やおばけ等、思い思いの仮想をして、近所の家の人からお菓子を沢山もらっていた様子が写っていました。

あれから、うん十年・・・日本も変わりました。ドン・キホーテではコスプレ衣装が大量に売られ、テレビには、渋谷のスクランブル交差点で大人がお祭り騒ぎをする様子が・・・。あれ?ちょっと待てよ。子どもたちはどれくらいこの雰囲気を楽しめているの?どうせなら、大人も子どもも一緒になって、このワクワクする行事にどっぷり浸かって、目一杯楽しみたいですよね。

今回は、ハロウィンに、子どもに読み聞かせたい絵本を18冊ご紹介します。秋の夜長にお子様と少しドキドキしながら絵本でハロウィンを楽しんでみてください。

 

 

ハロウィンに読みたい、絵本18冊

 

 

タイトルが気になって気になって・・・

『まじょのかんづめ』佐々木 マキ/さく・え 福音館書店

 

小1むすこ
小1むすこ

かんづめの中から、思ったより大きいのが出てきて笑った。(息子談)

 

 

子どもが目を輝かせてくれる絵本

『かぼちゃひこうせん ぷっくらこ』レンナート・ヘルシング/ぶん・スベン・オットー/え アリス館

 

小1むすこ
小1むすこ

すごく楽しいお話だった!こんな、空飛ぶ家があったらいいのにな~。(息子談)

 

 

あの作品のオマージュです

『おおきなかぼちゃ』エリカ・シルバーマン/さく・S.D.シンドラー/え 主婦の友社

 

小1むすこ
小1むすこ

「おおきなかぶ」に似てるって、すぐ気が付いたよ!いろいろな化け物がひっぱるのが面白い!(息子談)

 

 

ハロウィンの夜を絵本で体験

『きょうはハロウィン』平山 暉彦/さく・え 福音館書店

 

小1むすこ
小1むすこ

かぼちゃのちょうちんは作ったことがないので、作ってみたくなった。(息子談)

 

 

友達を魔女から救い出さなくっちゃ!

『ハロウィーンのおきゃくさま』みうら なお/さく・え 国土社

 

小1むすこ
小1むすこ

最後がホッとして、良かった。(息子談)

 

 

あなたも魔女になれるかも

『魔女図鑑 魔女になるための11のレッスン』マルカム・バード/さく・え 金の星社

 

 

秋の夜空を見上げてみよう

『ハロウィーンの星めぐり「夜に飛ぶものたち」』フォルター・デ・ラ・メア/詩・カロリーナ・ラベイ/え 岩崎書店

 

 

やっぱり、今回もジョージは・・・

『おさるのジョージ ハロウィーン・パーティーにいく』M.&H.A.レイ/原作・福本 友美子/訳 岩波書店

 

小1むすこ
小1むすこ

ジョージの話は、いつも「だいじょうぶかな?」と心配になる。(息子談)

 

4才むすめ
4才むすめ

おさるが元気いっぱいで、面白い。(娘談)

 

 

何が何でも行きたいうさぎは・・・

『まじょまつりにいこう』せな けいこ/さく・え ポプラ社

 

 

とんでもない屋敷に迷い込んでしまったら・・・

『ハロウィーンのおばけ屋敷』エリカ・シルバーマン/ぶん・ジョン・エイジー/え セーラー出版

 

 

健気な黒ねこを応援したくなる

『しつれいですが、魔女さんですか』エミリー・ホーン/さく・パヴィル・パヴラック/え・江國 香織 小峰書店

 

 

ラスト数ページの恐怖

『おかしな?ハロウィン』ザ・キャビンカンパニー/さく・え ほるぷ出版

 

小1むすこ
小1むすこ

めちゃくちゃ怖かった。びっくりした!(息子談)

 

 

どうして、かぼちゃのランプを飾るの?

『ハロウィンのランプ』小林 ゆき子/さく・え 岩崎書店

 

 

好きでいてくれなきゃ、イタズラするぞ!

『あくたれラルフのハロウィン』ジャック・ガントス/さく・ニコール・ルーベル/え PHP研究所

 

 

種が撒かれ、収穫されてから、おばけランタンになるまでの物語

『パンプキン』ケン・ロビンズ/写真&文 BL出版

 

小1むすこ
小1むすこ

見たことない大きさのカボチャだった!(息子談)

 

 

民話「石のスープ」のハロウィン版

『大食いフィニギンのホネのスープ』カンブリア・エバンズ/さく・え BL出版

 

小1むすこ
小1むすこ

とっても面白かった!フィニギン、頭いいな~。(息子談)

 

 

頑張るおばけたちが、可愛く見えてくる

『おばけやしきへようこそ!』キッキ・ストリード/さく・エヴァ・エリクソン/え 偕成社

 

小1むすこ
小1むすこ

自分じゃ、絶対にムリ!女の子が凄すぎて笑えた!(息子談)

 

 

開いて、触って、おばけやしきを感じよう

『おばけやしき (大型しかけえほん)』ジャン ピエンコフスキー/著・ Jan Pien´kowski/原著 大日本絵画

 

 

まとめ ~四季を意識した読み聞かせ~

 

いかがでしたか?魔女やおばけが出てくる物語は、少しドキドキ・・・。現実では体験できないこのドキドキを、いとも簡単に体験できるのが、やはり絵本の魅力ですよね。

又、『きょうはハロウィン』のような絵本を通して、どのような行事なのか理解したり、『パンプキン』のような写真絵本で、秋は収穫の時期であるということを知ることが出来るのも良いですね。子どもに絵本を読み聞かせする時は、そういった季節感も意識しながら、絵本選びをしていきたいです。

 

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食欲の秋‼ 食べたくなるくらい、美味しそうな絵本特集

絵本から感じる「美味しそう」

 

大人も子供も、最初に絵本を手に取るきっかけの一つとして、「魅力的な表紙である」ということがありますよね。
特に、美味しそうな表紙だったりすると、思わず手に取って、食べる真似をお子さんとしながら読み聞かせをされる方も多いのではないでしょうか。私自身も子どもに良く美味しそうな絵本を読み聞かせします。子どもが拒否感なく、見てくれる絵本という理由もありますが、単純に私自身がこういった絵本が好きで、見たいことの方が大きいです。
本屋さんや図書館で、美味しそうな絵や文の絵本を見つけると、ページを捲らずにはいられないのです。

夜も段々と涼しくなってまいりました。秋は、もうすぐそこまで来ております。何をするにも心地よい気候から、「〇〇の秋」と言われますが・・・私は、やっぱりこれ。

絵本で感じてください。「食欲の秋」。

 

 

食べたくなるくらい、美味しそうな絵本10冊

 

 

音も絵も美味しそう!

『おいしいおと』三宮 麻由子/ぶん・ふくしま あきえ/え 福音館書店

 

 

パン好きには、たまらない!

『おじいちゃんとパン』たな/ぶん・え パイインターナショナル

 

小1むすこ
小1むすこ

今度、マネして作ってみようと思った。このおじいちゃん、優しいな。(息子談)

 

4才むすめ
4才むすめ

同じの、お母さん作って。(娘談)

 

 

日本人の心!

『ごはん』平野 恵理子/ぶん・え 福音館書店

 

 

絵本の世界に入って食べたい!

『ぐりとぐら』中川 李枝子・大村 百合子/ぶん・え 福音館書店

 

小1むすこ
小1むすこ

最後に卵のカラも、ちゃんと使っているところが面白かった!(息子談)

 

4才むすめ
4才むすめ

お母さん、同じの作って。(娘談)

 

 

夜ごはんは、カレー率アップ!

『ぼくんちカレーライス』つちだ のぶこ/ぶん・え 佼成出版社

 

 

絵から匂いが伝わってきそう!

『きょうのごはん』加藤 休ミ/ぶん・え 偕成社

 

小1むすこ
小1むすこ

いただきま~す!って、言いたくなるわ~。(息子談)

 

 

読めば、必ずお腹が減る?!

『おなかがへった』マメイケダ/ぶん・え WAVE出版

 

 

昔ながらのアイスクリンが無性に食べたくなる!

『王さまのアイスクリーム』フランセス・ステリット/ぶん・光吉 夏弥/やく 大日本図書

 

小1むすこ
小1むすこ

この本に出てくる、冷えたクリームが食べてみたい!(息子談)

 

 

「作ってみたい!」が聞ける絵本

『よもぎだんご』さとう わきこ/ぶん・え 福音館書店

 

 

ホカホカ焼けた、巨大なパン!

『ノラネコぐんだんパンこうじょう』工藤 ノリコ/ぶん・え 白泉社

 

小1むすこ
小1むすこ

このシリーズ大好き!「ドッカーン」のあとが面白い。(息子談)

 

 

まとめ ~食育にも良い絵本~

 

いかがでしたか?

記事を書いていて、いささかお腹が空いてきました。
優しい声で聞く絵本は、真心こめて作られた晩御飯の様に、
温かくて、ホッとするものです。

皆さんも、ぜひ、絵本で「食べることの素晴らしさ」をお子さんに教えてあげてくださいね。