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花の絵本特集♪

春にぴったり、花の絵本

近所の桜は全て葉桜となりましたが、チューリップ、ラベンダーにクレマチス・・・春はまだまだ沢山の花を咲かせてくれる季節です。
我が家でも黄色のモッコウバラが色鮮やかに咲き乱れて楽しませてくれていますが、花には人の気持ちを朗らかにする不思議な力がありますよね。今回は、この季節に合わせた素敵な花の絵本を集めてみましたので、ぜひ、春の陽気に身を任せ、ご家族で絵本を眺めてみてください。

花の絵本15選

春の読み聞かせには欠かせない!

『さくら』長谷川 摂子/作 矢間 芳子/絵 福音館書店

こちらは桜の木(ソメイヨシノ)の一年を通した様子がよくわかる一冊です。
桜と言えば、満開に咲いている春の様子だけに注目しがちですが、夏、秋、冬の桜も表情が違い、それぞれの良さがあってとても素敵です。四季折々の桜が美しい絵と文章で一つの物語としてまとまっているので、春の読み聞かせにピッタリですね。
 

小3むすこ
小3むすこ

すごい絵がリアル!
見てると花見に行きたくなるんだよね~。

 

じいじとちびすけの関係にジーンとくる!

『じいじのさくら山』松成 真理子/作・絵 白泉社

天気が晴れた日、じいじに誘われて、よく、さくら山を登ったちびすけ。それは、じいじが嬉しいことがあるたびに、こっそりと植えてきたじいじの大事なさくらの木々からなる山でした。
「ちょうしのわるいところはないかいな」
「ぐあいのわるい木はおらんかな」
じいじは、ひとつひとつの木に触って木の具合を確かめます。ちびすけも真似をして触ってみますが木は何も答えてはくれません。やがて、じいじは病気になり、ちびすけは一人で山に行き、じいじの回復を願います。

よく、子どもは親の背中を見て育つと言いますが、この物語は
じいじとちびすけの関係がとても素敵で、ちびすけは、きっと、じいじの生き方を見て、じいじとの思い出を胸にこの先成長していくのだろうなあ…と読んでいて暖かい気持ちに包まれました。じいじの「なんも なんも」という口癖に、すべてのことを受け入れてくれるような安心感を覚えるのは私だけではないはずです…。
 

小3むすこ
小3むすこ

このじいじ、うちのじいじによく似てるよね。

 

わたし
わたし

確かに。

 

5才むすめ
5才むすめ

じいじだ、じいじだぁ~♡(ハート)

 

知らなかった!菜の花の秘密がわかる絵本。

『なのはなみつけた』ごんもり なつこ/作・絵 福音館書店

我が家の庭に植えた葉牡丹から、するすると茎が伸び、ちょうどこの本の裏表紙の絵のような、見事な菜の花が咲きました。菜の花って、白菜やキャベツ、小松菜などの葉野菜からも咲くんですね。恥ずかしながら、この絵本を読むまで全く知りませんでした。
菜の花に最大限のスポットを当てて、菜の花についてのあれこれを丁寧な言葉で紹介してくれているので、未就学児でも興味深く楽しめる絵本です。我が家では新小学3年生も「へ~。知らんかった~。」と新しい発見があったようで、興味深げに絵本を眺めていましたよ。
 

小3むすこ
小3むすこ

え!菜の花って、野菜からも咲くん?
知らんかった~!

 

たんぽぽに詳しくなれる、どこかお洒落な一冊。

『たんぽぽ』荒井 真紀/文・絵 金の星社

たんぽぽを主役とした作品は他にも数冊思い浮かびますが、私はこの上から見たような構図で描かれているたんぽぽや、色遣いが好きで、荒井真紀さんの絵本をチョイスしがちです。
荒井真紀さんの作品は、どれも丁寧にそのものを捉えていて、それでいてお洒落。『まどのむこうの くだもの なあに?』(2019年月刊絵本「こどものとも年中向き」7月号)では、その魅力が爆発していますので、ぜひ、そちらも合わせてみていただきたいのですが、どの作品も、書店や図書館で他の沢山の本と一緒に並んでいても、荒井さんの絵本は
表紙からグッと引き寄せられる魅力があります。
こちらは、たんぽぽの観察に役立つ情報がこの一冊に沢山詰まっているので、科学絵本としても申し分ありません。
 

小3むすこ
小3むすこ

絵がすごくきれいだと思う。
どうやったらこんなに本物そっくりに描けるんだ!

 

身近な果物、バナナの全てがわかる絵本。

『バナナのはなし』井沢 尚子/作 おいかわ けんじ/絵 福音館書店

こちらは、この一冊でバナナのことがまるっと全てわかってしまう絵本です。
バナナはスーパーなどで簡単に手に入る果物ですが、この絵本を読むと案外バナナのことを知らなかった自分にきっと気づくはずです。
バナナを冷蔵庫に入れるとどうして黒くなるの?
バナナはどうやってなっているの?
そんな疑問に丁寧に答えてくれているのがこの絵本です。
今回、花の絵本を特集するにあたって、なぜかこの絵本が頭をよぎりました。なぜだろう?と、久しぶりにページを開いてみると、そこにはこんな一文が。

「これが、はな?」
つぼみのようにみえるけれど、はなではない。(中略)しろい はなびらが みえた!これが はなだ。

どう見てもバナナの花のように思われるものは、花ではなくて、本当の花はその花のようなものの内側にびっしりと並んでいるのだという驚き。これが、ずっと私の中に残っていて、花の絵本を思い浮かべた時に頭の中にこの絵本がよぎったのでしょう。
普段食べているバナナへのリスペクトが感じられる絵本なので、バナナ好きにも嫌いなお子さんにも読んでほしい一冊です。
 

5才むすめ
5才むすめ

バナナって私だいすき!

 

小3むすこ
小3むすこ

バナナの生り方がよくわかって面白いよね。
知ってるようで何も知らなかったんだな~。

 

表紙の秘密を裏表紙でこっそり種明かし!

『さいた さいた』とりごえ まり/作・絵 金の星社

こちらは「わくわく」や「ひゅーひゅるる~」など、絵に添えられた短い文章が楽しい作品なので、0歳さんから楽しめる絵本です。絵は全て朱色に近い、鮮やかなオレンジ色で縁どられているので赤ちゃんも目を引くかもしれません。
絵本のカバーで作者のとりごえまりさんがこの作品が出来たエピソードを語っておられますが、日常の中でふと見た光景からこんな楽しい絵本を作ってしまう絵本作家さんってやっぱり素敵だなぁと思わずにはいられませんでした。
また、ここでの小ネタが表紙と裏表紙の仕掛けに気づかせてくれるきっかけとなり、物語が一層深いものとなったようで子どもたちは嬉しそうでした。
 

小3むすこ
小3むすこ

子供向けかと思ったけど、意外に楽しめた。

 

わたし
わたし

あんたも子供や。

 

5才むすめ
5才むすめ

待って待って!これって、もしかして、ぞうさんがいた場所って・・・。

 

わたし
わたし

おおっ!娘ちゃんも気づいたか~。

 

とにかく全てが美しい絵本!

『花のうた』シャンナ・オーテルダール/作 エルサ・ベスコフ/絵 文化出版局

エルサ・ベスコフさんの絵本が個人的に大好きなので、花の本を特集するにあたって一番に飛びついたのがこちらの絵本。やはり、エルサ・ベスコフさんの絵は、美しくて心に優しいですね。
この絵本は、詩人であり作家でもある、シャンナ・オーデルダールの詩にエルサさんが絵を付けたものです。当時は新しさがあることで受け入れられたようですが、現在は古典的で、そこがまた趣があって美しい詩であると親しまれています。
読み聞かせには少し難易度高めな作品ですが、それでも子どもの横で、そっと声に出して読みたい絵本です。
布団に入った子どもに寄り添って、こんな美しい詩を読んであげられる母親になるのが理想です。

エルサ・ベスコフさんの描いた絵本は、他の記事でも紹介しています。
【2021年干支】ウシが出てくるおすすめの絵本15選
 
芸術の秋‼ 絵が美しい絵本10冊

 

5才むすめ
5才むすめ

絵はかわいいけど、よくわかんない・・・。

 

小3むすこ
小3むすこ

タイトルどおり、花の歌が絵本になってるんだよ。
ね。そうだよね?

 

わたし
わたし

そうそう。そんな感じ。
素敵な絵本だけど、ちょっと読み聞かせ向きではないかもねえ。

 
 

母を思う、けろの願い。

『はなのしずく』椿 宗介/作 高畠 純/絵 フレーベル館

けろのお母さんが病気になって、けろは、お母さんの病気に効く薬を探す旅に出ることを決心します。
ところが誰に聞いてもなかなか有力な情報は得られないまま。ようやく、ふくろうおじいさんから「夜の間につゆ草のしずくを集めて飲む」という方法を教えてもらいますが、いくら探してもつゆ草の花は見つかりません。そんな時、野原の向こうに真ん丸な月が登ってきて・・・。

高畠純さんの絵が大好きで、知らず知らずのうちに手に取っている自分がいます。こちらは『うし』(内田麟太郎/作・高畠純/絵)とはまた一味違ったタッチのゆるさで、見ていて和みますね。
作者のあとがきを読んで、「青い月の光」は、真っ暗な夜を照らしてくれる唯一の希望であるような気がしてなりませんでした。

『うし』(内田麟太郎/作・高畠純/絵)は、他の記事で紹介しています。
【2021年干支】ウシが出てくるおすすめの絵本15選

 

小3むすこ
小3むすこ

この絵本、話的にも面白いけど、なんてったって、かえるの表情が面白いよ。

 

5才むすめ
5才むすめ

つゆ草の青いしずくって、ほんとうにあるん?

 

わたし
わたし

娘ちゃん見つけたら、お母さんの花粉症を治してね。

 

あったらいいなが形となった物語。

『サナのゆめのにわ』なりた まさこ/作・絵 ポプラ社

タイトルに「ゆめのにわ」とある通り、こちらは、現実には到底あり得ない、けれどもこんなことがあったらいいなを形にした、子どもたちのワクワクが詰まったファンタジーな作品です。
もしも、自分だけの庭があって、好きなお花を植えられて、そこで自由に遊ぶことが出来たら?
大きく伸びたお花の茎のトンネルをくぐったり、お花の妖精と知り合って一緒に遊んだり、きっと子どもたちの想像する世界はこの絵本のような楽しいことばかりのはずです。
ぜひ、想像を膨らませて、お子さんと一緒に「ゆめのにわ」で、沢山遊んでください。
 

5才むすめ
5才むすめ

楽しそう~!!こんな庭があったら、ぜったいぜったい水やりする~!!

 

正直な心が一番。

『皇帝にもらった花のたね』デミ/作 武本 佳奈絵/絵 徳間書店

皇帝がおよつぎを選ぶことになって、くにの子どもたちに少し変わったおふれを出しました。
それは、皇帝が渡す花の種を大切に育てて、一年後、再び皇帝に見せに来るようにというものでした。花を育てるのが大好きなピンもこのおふれ通り、皇帝からいただいた花の種を大切に育てるのですが、いっこうに目が出てきません。そうこうしているうちに、とうとう約束の一年後がやってきてしまいました。困ってしまったピンは・・・。

目先の利益に囚われ、嘘をつくことを選んだ大多数の子どもたちの目に、誠実でいることを選んだピンの勇気はどう映ったのでしょうか。嘘を平気でつく子にはなってほしくないな~と思い、子どもに読み聞かせた絵本ですが、何度も読んでいるところを見ると、子どもの心にちゃんと響いたようです。
 

小3むすこ
小3むすこ

最初は「どうして?」って、意味が分からなかったけど、そういうことだったのか~!
この話、おもしろーい!!

 

5才むすめ
5才むすめ

また読んで、読んで~!
お父さんにも読んであげようよ。

 

「春の種」という発想が素敵。

『はるねこ』かんの ゆうこ/作 松成 真理子/絵 講談社

〈春の種〉がつまった、きんちゃくぶくろを落としてしまった〈はるねこ〉の話を聞いて、あやのは折り紙で春を作ろうと提案します。花や、ちょうちょや小鳥・・・折り紙で作った沢山の〈春〉は、やがて本物の春のように心を温かくしてくれます。
折り紙大好きな娘なら絶対よろこぶに違いない。そんなよこしま(?)な考えから読み聞かせした絵本ですが、案の定、この絵本は、娘の好奇心をくすぐりまくったようでした。折り紙で〈春の種〉を作っては、私にプレゼントしてくれ、自分なりに絵本の世界を楽しんでいました。このお話には他にも、『なつねこ』、『あきねこ』、『ふゆねこ』もあるようなので、季節を通して読んでみるのもいいですね。
 

5才むすめ
5才むすめ

お母さん、これ。

 

わたし
わたし

ん?なあに、この折り紙のグシャッとなったやつ?

 

5才むすめ
5才むすめ

はるの、た、ね♪

 

わたし
わたし

いただきます。
もう10年分ぐらいは、春の種に困らないです。

 

ふんわりとした雰囲気の不思議なお話。

『なかないで なかないで』あまんきみこ/作 黒井 健/絵 ひさかたチャイルド

えっちゃんと猫のミュウは、よもぎのはらでちょうちょを追いかけました。
二匹のちょうちょが上になったり下になったりしている様子が笑っているように見えたので、えっちゃんとミュウは、ついちょうちょに夢中になってしまい、どっちから来たのかわからなくなってしまいました。
堪え切れなくなったえっちゃんが涙を流した、その時、
「なかないで なかないで」
やさしい声が聞こえてきて・・・。

こちらの作品は決して花が主役な訳ではありませんが、たんぽぽの花や、白い花が咲き誇っているよもぎのはらが印象的だったり、紫色の花が咲いた木々が風に揺れる様子で、迷子になった不安な気持ちを表現していたりと、殆どのページに花が描かれています。ふんわりとした絵は温かみがありますが、えっちゃんが迷子になった時には、これが不思議と、霧に包まれたような、ぼんやりとした印象に変わり、不安な気持ちを掻き立てられます。
自分が小さい頃、迷子になった時もこんな感じだったよなあ…と遠い昔に思いを馳せることができた一冊でした。
 

5才むすめ
5才むすめ

ねえ。えっちゃん、ほんとうに私に似てるかなあ?

 

わたし
わたし

似てる似てる。クリソツ。

 

5才むすめ
5才むすめ

え~、ほんとに?

 

小3むすこ
小3むすこ

似てる似てる。モデルになってんじゃない?

 

その辺を散策したくなる!

『野の花えほん 春と夏の花』前田 まゆみ/作・絵 あすなろ書房

こちらは春と夏の野原に咲いている花を紹介した絵本ですが、まず、持った正直な感想は、「あの雑草、食べられるのか!」、「あの雑草、役に立つのか~!」という驚きでした。特に、庭の手入れを怠るとすぐに生えてくる忌々しい雑草の名前がわかり、実は銅などのさび掃除に役立つと知った時は目からうろこでした。
一ページごとに一つの花の詳しい情報が載っているのですが、どの花も道端に咲いているものばかりの上、描かれている絵が可愛らして、それぞれの豆知識も楽しくて、終始興味をそそられた、収穫の多い一冊でした。
食べられるものは料理方法まで載っているので、子どもと一緒に野草取りに出かけたくなります。
 

小3むすこ
小3むすこ

見たことある花がたくさん載ってた!
庭にもいっぱい咲いてるよね~。

 

わたし
わたし

抜いても抜いても生えてくるからねえ。
決して好きで植えてる訳ではないよ。

アサガオの全てが丸裸に!

『アサガオ たねからたねまで』佐藤 有恒/写真 中山 周平/文 あかね書房

こちらはアサガオの写真絵本です。種をまいてから花が咲き、しぼんで再び種が取れるまでの様子を普通の観察では見えない土の中まで写真で丁寧に紹介してくれているので、大人でも沢山の気づきを得ることが出来ます。
肉眼では動かないように見える花も、実は土の中でぐんぐん根を伸ばして一生懸命生きているその様を目の当たりにすると、どこか別の生き物の成長過程を見ているようで、アサガオに愛着すら芽生えます。
種をまいた日付けや、花が咲いて枯れ、種になった日付も刻まれているので、大体の時期を知ることが出来るのもいいですね。本の最後にはアサガオの植え方も載っているので、自由研究や、お子さんと一緒に観察するのにも楽しめる絵本です。
 

小3むすこ
小3むすこ

アサガオ、学校で植えたことあるから(読んでて)面白かった!
また育ててみたくなった~。

 

5才むすめ
5才むすめ

いいなあ~。私も植えてみたい・・・。

 

花の色って奥深い!

『花の色のふしぎ』佐藤 有恒/写真 あかね書房

こちらは、花自体が持つ役目や仕組みの話から始まり、花の色に関するいろいろな知識を得ることが出来る写真絵本
です。
特に、花の色と関わる虫たちの話が面白くて、思わず誰かに話したくなります。紫外線を感じ取る目を持ち、花にやってくる虫たちの見ている花の色に合わせて体の色を変えるクモがいたり、紫外線が見える虫と見えない人間とでは花の色が全く違って見えたりと、その内容は大人が読んでも楽しめますよ。
未就学児のお子さんにはまだ少し難しいかもしれませんが、昆虫写真家である著者が撮った、美しいカラー写真がたくさん載っているので見ているだけで良い刺激になるかも知れません。
 

小3むすこ
小3むすこ

虫と人間、花の色が違って見えるなんて知らなかった。
人間には見えないものが虫には見えているんだね。

 

花の絵本から新たな発見

いかがでしたか?
一冊の絵本で一つの花の様々な知識が身に付くものから、物語の中で花を美しく描いたものまで、花の絵本は本当にいろいろな作品がありますね。
絵本を子どもに読み聞かせていると様々な気づきがありますが、特に、作者が実際に一つの花をよく観察して描かれているのではないかと思われる、繊細なタッチで花の細部まで描き上げているような絵本を読んでいると、そこには沢山の情報が詰まっており、子どもだけでなく、大人ですら、(大人だからこそ?)普段見慣れている花に新たな気付きを得ることが出来ます。
たんぽぽって、さくらって、近くで見るとこんな感じだったっけ、
そんな新たな発見を楽しみながら、読み聞かせをするのもいいですね。

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春の陽だまりのように、心が温かくなる絵本

「絵本」を身近に感じられる喜び

皆さんは、春を感じる瞬間ってありますか?
大きな窓に振り込む日差しが、心地よくて、ほっとしたり、蝶が庭をひらひらと横切れば、「春だな~」と呟いたり・・・。
お天気の良い昼過ぎ、私は、ふっと「春」を感じる瞬間があります。
朝も夜もまだまだ寒くて、ジャケットを羽織らないと凍えてしまいますが、一日の中でたまに顔を出してくれる春を、今は楽しみにして過ごしています。

冬、ストーブの近くに腰かけて、肩寄せ合って読み聞かせていた絵本を、春には、庭のベンチに腰かけて、気持ち良い空気を吸いながら、読み聞かせられるという、贅沢。
せっかくだから、そんな時に読んであげる絵本は、春の陽だまりのように、心が温かくなれるものがいいですよね。

春本番はまだまだですが、心がほっこりとする絵本を集めてみましたので、ぜひ、優しい声で、お子さんに読み聞かせてあげてください。

春の陽だまりのように、心が温かくなる絵本

 

ラブラブな二匹の好き好き比べ。

『どんなにきみがすきだか あててごらん』 サム・マクブラッドニィ/さく アニタ・ジェラーム/え 小川 仁央/やく 評論社

こちらは、チビウサギとデカウサギのやり取りが微笑ましいお話です。
タイトルの通り、お互いがお互いを大好き過ぎて、「どれだけ相手のことを好きか」言い合い合戦が始まるのです。そのやり取りが何とも愛らしくて、読んでいてくすぐったくなります。
チビウサギとデカウサギの関係性は、物語の中には描かれていませんが、おそらく、親子ではないでしょうか。
優しい気持ちで満たされて、読み聞かせ後は、親子でラブラブになれる作品です。
 

小1むすこ
小1むすこ

とってもいい話。デカウサギが優しいところがいいね。チビウサギはかわいらしかった。(息子談)

 

母の深い愛を感じる絵本。

『いいこってどんなこ?』 ジーン・モデシット/さく ロビン・スポワート/え もき かずこ/やく 冨山房

「いいこってどんなこ?」ウサギのぼうやがお母さんに訊ねます。
それに対するお母さんの受け答えが、愛に溢れすぎていて、思わず、わが身を顧みてしまいました。
ついつい、我が子に多くを求めすぎてしまい、イライラ言いがちの私。本当は、ありのままの我が子が大好きなのに怒ってばかり。この絵本のお母さんのようになれたら・・・とは思っても、なかなか現実は思うようにいきません。
だからこそ、絵本を読む時間はたっぷり甘えさせてあげたいものです。

ド直球な質問を投げかけてくるウサギのぼうやを見ていると、子どもは親のことをよく見ているな~と思わずにはいられません。きっとウサギのぼうやは、この返しを待っていたんだろうな、なんて思いながら、ぼうやのお母さんの秀逸な受け答えに感心すらしてしまいます。
 

小1むすこ
小1むすこ

絵が暗いから、最初はこわい話かと思ったけど、いいお話だった!(息子談)

 

名曲が絵本になりました。

『はじまりの日』 ボブ・ディラン/さく ポール・ロジャース/え アーサー・ビナード/やく 岩崎書店

ボブ・ディランの曲は聞いたことがありませんが、この絵本を読んだことで、とても聞いてみたくなりました。
こちらは、ボブが息子に宛てて書いた「Forever Young」という歌の歌詞が絵本になったものです。絵を描いたポール・ロジャースも彼の大ファンということで、絵の中にボブ・ディランゆかりの人物や、ゆかりのものが沢山描きこまれているので、元々詳しい人はテンションが上がるのではないでしょうか。
日本語訳は、アーサー・ビナードさんで、以前、彼の書いたエッセイのようなものを読んだことがあった私は、「こんな素敵な訳詩をされる方だったのか!」と正直驚きました。
歌で言うサビの部分の詩も素敵ですが、「ひとりをたのしめ」とか、「星空へのぼる はしごをみつけますように」とか、親の思いが詰まっていて、声に出して何度も読みたい、むしろ、覚えて朗読したいと思える絵本です。
 

小1むすこ
小1むすこ

絵が面白い。
ボブ・ディランという人は、優しいお父さんということがわかった。(息子談)

 

無性にハグがしたくなる。

『しゅくだい』 いもと ようこ/ぶん・え 宗正 美子/原案 岩崎書店

今日の学校の宿題は、なんと、おうちの人に、だっこされてくること。
モグの家では、モグが一生懸命だっこをしてもらおうとしますが、小さな赤ちゃんのお世話に忙しいお母さんはなかなか気づいてくれません。読んでいると、モグに同情してしまいますが、最後の笑顔に全て持っていかれます。
読んだ後で、息子に、「こんな宿題、出てほしい?」と訊ねると、元気のいい「うん!」を頂きました。そして思わず、息子をギュッとはぐ。息子は「ふふふ~。」と、とても嬉しそうに微笑んでいました。
そんな、スキンシップが出来る素敵な絵本です。
 

小1むすこ
小1むすこ

たまには、こんな宿題がいい。ほかの宿題が出なくてこれだけなら、すごく嬉しいのに。(息子談)

 

故人を思う気持ちが温かい。

『わすれられない おくりもの』 スーザン・バーレイ/さく・え 小川 仁央/やく

ある日、アナグマは、動物たちに「長いトンネルの むこうに行く」とだけ手紙を残し、死んでしまいました。
残された動物たちは、冬の間中、悲しみますが、やがて、春が来てアナグマからの「おくりもの」に気づくのです・・・。

大切な人の死の乗り越え方という、子どもが読む絵本には、いささか重いテーマの絵本ですが、子どもなりにいろいろ考えるようで、とても真剣な表情で聞いてくれました。
今回、この「春の陽だまりのように・・・」のテーマで本を紹介しようと思った時、一番に思い浮かんだのが、実はこちらの絵本。
春の温かな日差しを思い浮かべた時、ふっと、このアナグマのことを思い出したのです。
故人の思い出を語ることで動物たちの「悲しみ」が溶けたと同時に、訪れた春。
いろいろなことを優しく教えてくれたアナグマは、動物たちにとって、まさしく、春の日差しのような存在だったのではないでしょうか。
 

小1むすこ
小1むすこ

かわいそうな話。アナグマは優しいな~と思った。
動物たちを、かわいそうだと思ったけど、春になってアナグマのことを思い出すところが良かった。(息子談)

 
 

 

読書に適した、春の気候

いかがでしたか?ご紹介した絵本の中で、気になる絵本があった方は、ぜひ一度、書店や近隣の図書館で現物に触れてみてください。
読書=秋だと思いがちですが、最も読書に適した気候が、本当は春であると、私は確信しています。
一番丁度良い気候で、何をするにも過ごしやすい季節なのですから、読書だって、当然、春が一番気持ちが良いのです。
ストーブで温まって、クーラーをガンガンに効かせて、
そんなことをしなくても、のほほんと読書の出来る春。

本当に、待ち遠しいですね!