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本の中でも癒し系の動物たち
家族の一員として受け入れたその日から、我が子のように可愛がってきたペット。
愛くるしいその姿に毎日癒されて、励まされている人も少なくないのではないでしょうか。
わが家もネコを一匹飼っていますが、母性であったり、生命の尊さであったり、いろいろなことを日々、彼から学ばせてもらっています。子どもたちも沢山の刺激を受けているようです。
今回は、そんなペットと共に過ごしている人だからこそ、心動かされる物語を6冊ご紹介したいと思います。
ペットを飼っている方だけでなく、飼いたくても飼えない事情をお持ちの動物好きの方も、きっと、グッとくる6作品です。本の中の動物たちに癒されたり、感動をもらったり、物語を通して、ペットをもっと身近な存在に感じられるといいですね。
動物が出てくるおすすめ本 6選
『ルドルフとイッパイアッテナ』斉藤 洋/著 講談社
こちらは、飼いネコだったネコのルドルフが、ひょんなことから、家から遥か遠い地でノラネコとして生きることになり、多くを学び、成長を遂げていく物語です。
ノラネコであるイッパイアッテナとの出会いによって、字が読めるようになり、知性を身に付け、ノラネコとしての生き方を学んでいくルドルフの姿は、まるで独り立ちしていく我が子を見ている様です。
ルドルフやイッパイアッテナが語る、別れた飼い主への強い想いを読んでいると、すぐ隣で気持ちよさそうに寝ているうちの子(飼いネコ)を思わず抱きしめたくなります。
この物語の影響で、飼うネコが黒ネコなら「ルドルフ」、トラ模様なら「イッパイアッテナ」なんて、子どもたちと話していましたが、飼ったネコはグレイと白のウシ模様。結局別の名前になりましたが、この本はわが家にとって、そんな飼い始めの頃を思い出す、思い出のシリーズでもあるのです。
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『旅猫リポート』有川 浩/著 村上 勉 講談社
こちらは、5年間を一緒に過ごしてきた、カギしっぽのナナとサトル青年の最後の旅を描いた物語です。
ナナを飼うことが出来なくなったサトルは、ナナと共に次なる飼い主候補を探す旅に出るのですが、これが、サトルのこれまで生きてきた過去を辿る旅にもなっており、読んでいて感じることが多くある作品です。
おかしい・・・以前読んだ時は、あまり感情が揺さぶられなかったはずなのに、ネコを飼うようになってから、改めて読んでみると涙腺が崩壊しました。ネコって、媚びることなく、自分のしたいようにするという感じで、一緒に過ごしていると、「私なんて、おいしいものをくれる人間くらいにしか思っていないんだろうな」と感じる時が多々あるので、例え嘘でも、こういうネコの思考に触れられる話は心に沁みますね。
『ティンブクトゥ』ポール・オースター/著 柴田 元幸/訳 新潮社
こちらは、犬であるミスター・ボーンが、最初の主人への思いを胸に抱いたまま、生きるために更なる主人を探し歩く物語で、『旅猫リポート』がネコ目線なら、こちらは犬目線で書かれた作品です。
語りが犬という斬新さに、読み始めはいささか気が引けますが、読み進めるに連れ、ひたむきに飼い主を思う犬の姿に引き込まれていきます。忠誠心は犬そのものですが、こうありたいと考えながら動く、その意志ある様は、犬ながら人間味に溢れており、思わず感情移入してしまいます。
犬を飼っている方は、ミスター・ボーンの忠誠心と(犬だけれど)人間味溢れるところを、きっと、愛犬と重ねて読んでしまうのではないでしょうか。愛犬家にはぜひ、読んでいただきたい作品の一つです。
『遠い海から来たCOO(クー)』景山 民夫/著 KADOKAWA
こちらは、赤ちゃんの頃から育てて自分に懐いてくれる、という、動物好きの願望を惜しげもなく詰め込んだ作品です。
海洋生物学者の父とフィジー島に住む12歳の少年、洋助は、絶滅したはずのプレシオザウルスの赤ちゃんクーと出会い、こっそり育てる決意をします。今では、恐竜を育てることはもちろん、恐竜そのものが、すっかりファンタジーとなってしまいましたが、この小説での描かれ方は、あくまでも動物の赤ちゃんです。主人公の少年が、悩みながら育てていく様子がまるで動物の赤ちゃんを育てているようにリアルで、動物好きの心はわし掴みにされてしまいます。
物語前半は、そんな子育て奮闘記や島での穏やかな生活が綴られていて想像力が掻き立てられますが、後半は、軍隊や自然保護団体が登場し、クーをめぐる攻防戦が主に描かれています。
思い返せば、小説を読み、場面を想像して鳥肌が立った作品は、後にも先にもこれだけのような気がします。この物語の全ては、そんな最後のあの情景、圧巻のラストのためにある、と言っても過言ではないです。
『犬と私の10の約束』川口 瞳/著 文藝春秋
こちらは、子犬と交わした10の約束を胸に刻み、家族の一員として大切に育てることを誓った少女のお話です。
やがて少女は初恋を経験し、将来の目標に夢中になるにつれ、愛犬ソックスの存在を疎ましく思うようになってしまいます。その反面、犬はどこまでも一途に飼い主を思い、健気で、読んでいると何とも言えない気持ちになります。
10の約束。これは、どんなペットを飼っているお家にも言えることなのではないでしょうか。中でも、『あなたには学校もあるし友達もいます。でも、私にはあなたしかいません』という言葉に、いつも尻尾をふりふり愛想を振りまいてくれる、姉のワンちゃんを思い出し、ギュッと胸が締め付けられました。ペットを飼うということは、命に責任を持つということ。家族の一員として迎え、変わらぬ愛情を与え続け、最後までちゃんと見取ってあげるということ。そんな命を預かる責任の重たさについて、改めて気づかせてくれる作品です。
ペットと過ごせる、今この時を大切に、後悔ないように存分に愛してあげたいですね。
『デューク』江國 香織/著 山本 容子/絵 講談社
こちらは、江國香織さんの短編集『つめたいよるに』の中に収録されていた短編小説「デューク」が、絵本として出版された作品です。
愛犬デュークが死んでしまい、悲しみでいっぱいになっている女性が知り合ったハンサムな男の子。彼と過ごした少しの時間は、悲しみで濡れていた彼女の心を癒し、満たしてくれるのでした。
なぜ、男の子は女性の前に姿を現したのか、デュークにとって女性はどのような存在だったのか、そんなことを考え始めると、胸の奥が熱くなります。
愛犬と死別した女性の元に訪れる、奇跡の物語に、短い文ながらも、じわりじわりと目頭が熱くなるのは、年の功か、ペットを思う気持ちからか・・・。
やがては訪れる別れの日を思うと、こんな奇跡が起きないかと願わずにはいられません。
ペットを飼うと、感情移入してしまうのが動物の出てくる本
いかがでしたか?
これは紹介しながら思ったことなのですが、動物が出てくる本は、可愛い表紙のものが多くて癒されますね。
ペットを飼い始める前に読んだことがあった作品も、飼い始めてから、こうして改めて読むと、また違った捉え方ができ、新たな発見がありました。
動物が出てくる本を読むと、ついつい、飼っているペットを思い出して感情移入してしまうのが、飼い主あるあるなのかも知れないですね・・・。