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トイレトレーニング期間中や、トイレ嫌いの子どもに読み聞かせたい絵本

トイレに行きたい!と思わせることが大事?!

今回は、トイレトレーニング中のお子さんや、一人でトイレに行くのを怖がるお兄ちゃんお姉ちゃんに、ぜひ、読み聞かせて頂きたい絵本を7冊ご用意致しました!
なぜ、人はトイレに行かなければならないのかが丁寧に描かれている絵本や、トイレそのものに興味を持つことのできる絵本など、子どもたちに、トイレへ行こうという気を起こさせてくれるものを中心に選んだので、ぜひ、この機会にお子さんに読み聞かせをして「苦手なトイレ」を克服させてあげてください。

トイレ嫌いを克服できるかもしれない絵本 7選

食べたものがうんこになるまでの旅の話

『うんこのできるまで―食べものの旅』作・絵:佐藤 守 出版社:岩崎書店

こちらは、口から食べたものが体の中でどのように形を変え、お尻から排泄物として出ていくのかまでが、可愛らしいイラストで説明されている絵本です。
説明とは言っても、体の中に住む三角帽子を被った小人たちが食べ物を運んでいる旅の様子が描かれているだけなので、未就学児でも仕組みが捉えやすく、最後まで飽きずに見ることが出来ます。

また、この絵本にはおすすめの読み方がありますので、絵本にあまり興味がなさそうなお子さんに読み聞かせする時などに、ぜひ、試してみてください。
食べ物を運ぼうとしているたくさんの小人たちの中から、「この小人の旅を追いかけよう!」と決めて、ぜひ、その小人だけに注目してページを捲ってみてください。目的地は一緒でも、小人によって道中の出来事はいろいろ。小人それぞれの旅を楽しむことができ、子どもたちの注目度もグッと高まります。
「次はどの小人さんの旅を追いかけてみる?」なんて言いながら、お子さんと一緒に、うんこのできるまでの旅をお楽しみください。
 

わたし
わたし

2、3歳の子に読んであげるときには、「小人さん、こうなったよ~、ああなったね~。」なんて言いながら絵をしっかり楽しませてあげてください。
必ずしも、文の通りに読まなくてもいいと思います。

 

 

おまるでいい気持ち!

『いっしょにうんち ―あかちゃんといっしょ0・1・2―』作・絵:福田岩緒 出版社:フレーベル館

こちらは、おまるに座らないお子さんに読み聞かせてあげてほしい、0歳さんから2歳さんまでの読み聞かせシリーズです。
うんちがきらいな男の子のところに、いろいろな動物さんがやってきて、「使わないトイレなら、ぼくにかして!」とトイレを借りにやってくるお話です。みんなが喜んで使っていくうちに、男の子も段々とトイレ(おまる)を使いたくなってくるので、「〇〇ちゃんのトイレはどんなトイレかな~?」なんて言いながら、トイレを使うことに興味を持ってもらえればいいですよね。
 

わたし
わたし

男の子の名前を自分の子に置き換えて読むと、食いつきが違いますよ。

 

 

トイレのありがたみが分かる!

『もっちゃうもっちゃうもうもっちゃう』作・絵:土屋富士夫 出版社:徳間書店

トイレのありがたみが分かる絵本と言えば、こちら。
とにかくトイレに行きたいけど、やっと見つけたトイレが工事中だったり、人間用ではなかったり。デパートの中でトイレを必死に探し回る男の子のお話です。最後のオチは、けっこう現実に「あるある」だったりするかも知れません。

寝る前にごぶごぶと何杯も水を飲んでいたうちの息子(現三年生)に、「もっちゃうもっちゃうの、ひで君みたいになるぞ~。」と言うと、かなりの効果がありました。また、寝る前にトイレに行こうとしない娘(年長児)にも効果はてきめんです。子どもたち自ら「読んで!」と持ってくる、とても楽しいお話なので、ぜひ、トイレ嫌いなお子さんに読み聞かせてあげてください。
 

 

トイレを怖がらなくなる、画期的な方法とは?!

『トイレさくせん(すえっこななちゃんシリーズ)』作:梅田佳子・絵: 梅田夕海 出版社:新日本出版社

こちらは、トイレが怖くて、ひとりで行くことが出来ない女の子のお話です。
何を隠そう、このお話には、ひとりでトイレに行けないという同じ悩みを持つご家庭にとって、「なるほど。取り入れてみようかな」と思えるちょっとした秘策が載っています。トイレトレーニングの絵本は世の中にたくさん出回っていますが、「おお!試してみよう!」と、思わず実践したくなる方法が載っているものとはなかなか出会えませんよね。
妹の為にお姉ちゃんが編み出した、トイレ克服法。この絵本を読んで、ぜひ、取り入れてみてはいかがでしょうか。
 

わたし
わたし

我が家では、
「ねねちゃん(赤ちゃんの人形)が、トイレの仕方わからないんだって~。」
「(娘)ちゃん、お手本見せてあげて~。」
何て言いながら、トイレに誘導してました。

 

 

「なぜ、うちの子は間に合わない?」と思ったら読んでほしい絵本

『はるちゃんトイレ』作:中川ひろたか・絵: 田中靖夫 出版社:文渓堂

こちらは、はるちゃんがトイレに行きたくなってから、トイレにたどり着くまでの様子を描いた、着眼点がとてもユニークな絵本です。はるちゃんの表情もなんとも言えない感じでクセになります。

作者である中川さんは、元保育士さんというだけのことあって、子ども心というものを本当によく分かっているのだな~と感心してしまいます。思い起こせば、我が子もしょっちゅうトイレに間に合わず、失敗していました。「トイレに行きたくなったら、我慢せずにすぐ行くようにしなさい!」と、何度言って聞かせたことか・・・。どうしてギリギリまで危うくなるまで我慢してしまうのだろうかと、親から見ると子の行動はなぞばかりでしたが、「いろいろなことに対する好奇心が、トイレに行くことを上回ってしまう」のだと、この絵本を読んで妙に納得致しました。
子どもの視点で見ることって、大切ですね。
 

 

あなたのうんちお元気ですか?

『うんち(はじめての絵本たいむ)』作・絵: いもとようこ 出版社:金の星社

こちらは、動物や昆虫の色や大きさが違ううんちがたくさん出てくるので、生き物は誰しもが皆うんちをするのだということが小さなお子さんでも理解できる絵本です。うちの子たちは、この絵本から、自分のうんちにも興味を持って、色を見たり、形を見たり・・・うんち観察をはじめました。
どんなうんちが出るかな~?」なんて言いながら、トイレへ誘導できればしてやったりですね。
うんちばかりで、うんちが前面に出た絵本ですが、いもとようこさんの手にかかれば、うんちもこの可愛さです。いもとさんの絵本は温かみがあって、読み聞かせしていると親子共に和みますね。
 

 

しーしーしーは何の音?

『ノンタンおしっこしーしー(赤ちゃん版ノンタン)』作・絵:キヨノサチコ 出版社:偕成社

こちらは、赤ちゃん版ノンタンのシリーズで、ぶたさんがおむつで、たぬきさんがおまるで、くまさんはトイレでのしーしーが成功する中、残念ながらノンタンがやらかしてしまうお話です。読んだ後に、「失敗をしてしまっても大丈夫、ノンタンたちみたいに楽しみながら練習していこうね~。」なんて素敵な声掛けが出来るといいですね。
ノンタンのお話はどれも言葉の調子が良くて、歌うように読み聞かせが出来るので、何度も読んでいると親子共々まるっと覚えてしまいます。そのうち、トイレに行きたくなると、「しーしーでる」なんて可愛い2語が飛び出すかもしれませんね。
 

わたし
わたし

赤ちゃん版ノンタンシリーズは手ごろな大きさと価格で、
外出先であやす時や、おうちでの子育てに大いに役立ちましたよ。

 

 

子育てに絵本をどんどん取り入れよう

いかがでしたか?
ぜひ、この機会に実物を図書館や書店で手に取って、お子さんに試し読みをしてみてあげてください。
絵本には、読み聞かせをしてもらっている側だけでなく、読んでいる側も、癒す効果があるように私は思います。
お父さん、お母さんがゆったりとした気持ちでお子さんの笑顔に癒されながら子育てが出来るように、これからもたくさんの絵本をご紹介できればと思います。

このブログが本を必要としている、皆様のお役に立ちますように・・・。

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電車好きに読んであげたい、電車の絵本7選

電車好きに読んであげたい「電車の絵本」

ある程度お子さんが大きくなってくると、図鑑のような「見る」絵本ではなく、ストーリー性のある絵本も読み聞かせてあげてみてはいかがでしょうか。
中には、絵本になかなか興味を示さないお子さんもおられるかも知れません。そんなお子さんには、ぜひ、お子さんの「好き」に焦点を当てて絵本選びをしてあげてください。たとえ絵本という媒体に興味がなかったとしても、大好きなものの写真や絵が載っているページがあれば、子どもはずっと眺めていられます。
我が子が今、何に興味を持っているか・・・子どもと触れ合いながら、たくさん発見できるといいですね。

さて、今回は「電車」にスポットライトを当てて素敵な絵本を7冊集めましたよ。
電車好きのお子さんに、ぜひ、読み聞かせてあげてください!

電車の絵本7選

行きも帰りも楽しめる絵本

『でんしゃでいこうでんしゃでかえろう』間瀬 なおかた/著 ひさかたチャイルド

こちらは字が少ないので2歳ぐらいの子でも飽きずに見ることのできる、電車のしかけ絵本です。
雪の降り積もる村から始まり、トンネルを抜けるごとに外の風景が変化していきますが、景色だけでなく、真っ暗なトンネルの中では乗客たちの行動にも少しずつ変化が見られます。間違い探しの本ではないですが、お子さんと一緒にどこが変わったか乗客たちのそういった変化を楽しむのもいいですね。
トンネルの入口と出口の部分が切り抜かれていて、トンネルの中から外の景色(次のページの絵)が見える仕掛けがあるので、我が家の小学生も前後のページを何度もめくって楽しんでいました。
通る場所によって、電車の音が微妙に変化するのがうちの6歳児は面白かったようですよ。全部読んだ後で、この絵本のもう一つのからくりに気づき、思わずもう一度読んでしまいましたが・・・それは読んでのお楽しみと言うことで詳しくここでは触れません。

間瀬さんは他にも、電車やバス、はしご車など、たくさんの乗り物の絵本を出版されています。どのお話も子どもの好奇心がくすぐられるちょっとした仕掛けが施されているので、ぜひ、他のお話も読みきかせしてあげてください。
 

 

電車旅行に出かけよう

『いろんなでんしゃ はっしゃしまーす』岡本 雄司/著 アリス館

こちらは、電車好きならば、この表紙から絶対食いつくであろう一冊です。
載っているのは関東のいろいろな電車たち。関東圏でなければあまり馴染みがないかも知れませんが、こちらの絵本には本編に出てくる電車のイラストと名前が一覧にしてある小冊子が付いているのでその辺は心配いりません。お子さんに電車名を聞かれた時にはさっとそれを出して答えてあげればいいのです。
実物そっくりに描かれた電車に、電車好きのお子さんは大興奮間違いなし。
いろいろな電車でお父さんやお母さんたちと旅をするぼくと一緒に、電車の旅に出かけた気分が味わえますよ。
 

 

空飛ぶ電車みたい!

『モノレールの たび (かがくのとも絵本)』みねお みつ/著 福音館書店

こちらは、湘南モノレールをモデルにして、ターミナル駅から海のある町まで運行するモノレールの旅を描いた絵本です。細部まで忠実に描かれたモノレールはもちろんのこと、その下の町並や道路、下にいる人々の様子までもがリアルに描かれていて、まるで体感しているかのような錯覚すら起こします。
モノレールの車庫内部の様子なども載っているので、大人も読み聞かせながら「へ~っ」と思わず声を漏らしてしまいました。私も子どもたちもモノレールには乗ったことがないので、この絵本を読んだことにより、まるで空を飛んでいるような感覚を味わってみたくなりましたよ。
 

 

世界中で愛されるロングセラー絵本

『いたずらきかんしゃちゅうちゅう』バージニア・リー・バートン/ぶん・え むらおかはなこ/やく 福音館書店

こちらは、ある程度長いお話でも落ち着いて聞けるようになったら、ぜひ、読んであげてほしい機関車が主役の絵本です。
色彩豊かな絵本に慣れているお子さんは、読み始めは慣れない白黒に戸惑うかもしれませんが、読み進めていくうちにすぐに引き込まれていくはずです。トーマス大好きだった我が子も、この絵本の虜になった内の一人。地味な色味などすぐに気にならなくなるほどの躍動感に目をキラキラさせ、読み終えると「もう一回!(読んで)」が何度も聞けた思い出の絵本です。
自分勝手に暴走してしまう機関車がどうなるのか、気になる内容もさることながら、文章の配置にユーモアがあったり、リズムの良い文体が読んでいて心地よいです。
物語に引き込まれて、そのうち、その白黒の色使いすら、舞い上がる石炭の煙を表現しているのではないかと思えてしまったのは私だけではないはず・・・。
 

 

機関車の逃避行

『小さなきかんしゃ』グレアム・グリーン/文 エドワード・アーディゾーニ/絵 阿川弘之/訳 文化出版

こちらは、いつも同じ道ばかり走らされていた小さな機関車が、それに飽き飽きして逃避行をしてしまうお話です。
この絵本の作者グレアム・グリーンは『第三の男』などで有名なイギリスの小説家です。その名を知っている人は「こんな絵本を書いていたのか・・・」と驚くことと思いますが、ストーリーは全く難しくなく、先に紹介した『いたずらきかんしゃ ちゅうちゅう』と通ずるところがあるような気がします。
我が子は、冒険した範囲が地図で記されているところが面白かったようで、食い入るように見ていました。
小さな機関車の冒険が最後にはどうなるのか、楽しく読める一冊ですよ。
 

 

ホームの一日。

『でんしゃがまいります』秋山とも子/さく 福音館書店

こちらは、1987年頃の、中央線新宿駅の1日を描いた絵本です。まるでその時代の一部を切り取ったかのようなリアルな絵が見ていて懐かしさあふれます。1ページ、1ページの描き込みが素晴らしく、「この人、何してる?」「靴、拾ってるねえ。」と、親子共に思わず見入ってしまいました。
ホームの一日と言うことで、乗客の様子だけでなく、事務所の中で駅員さんが休憩を取っている様子なども描かれているのが、普通なら見られない部分が知られて面白いです。
 

 

テレビでおなじみシリーズの原作絵本

『汽車の絵本 機関車トーマス』ウィルバート・オードリー/著 ポプラ社

こちらは、テレビでおなじみの「きかんしゃトーマス」の原作本シリーズです。レトロ可愛いイラストとともに、テレビの元となったトーマスの4つのお話を楽しめます。少し生意気でお調子者のトーマスがとても子どもらしくて可愛い作品です。
なんと、トーマスの絵本が出版されてから2020年で75周年を迎えたそうです。ウィルバート・オードリーが毎晩2歳のお子さんに話して聞かせていた、自分が好きな鉄道を題材にしたお話が元となり、『汽車のえほんシリーズ』が誕生したということですが、オードリーが想像した機関車たちの世界を形に出来たのには、画家であるレジナルド・ドールビーの力も大きかったそうですよ。このような個性豊かな絵になったからこそ、心躍る機関車たちの世界が、世界中の子どもたちに愛されるようになったのかも知れませんね。
 

 

電車好きをリスペクトした絵本たち

電車が登場する絵本はたくさんありますが、今回は特に、電車の絵が丁寧に描かれているものを中心に集めてみました。文は少し長いものもありますが、どの絵本も電車を主役に描いた楽しい作品ばかりです。
ここから、お子さんの絵本の世界が広がるといいですね。

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司書がおすすめする、障害・福祉関係の絵本&読み物

身近なユニバーサルデザインを見つめて

 

今回は、障害や福祉のお薦めな絵本や読み物を紹介していきたいと思います。

その前に、福祉の点で切っても切り離せないユニバーサルデザインのことについて少し触れておきます。ユニバーサルとは、「普遍的な」、「全体の」という意味で、これに「設計」の意味の「デザイン」を付けて「ユニバーサルデザイン」と呼んでいますが、要は、国籍や年齢、性別等の違いであったり、障害の有無等を問わずに、全ての人の為に考えられたデザイン(設計)をそのように呼んでいるわけです。学校の授業では、こうした自分たちの身近にあるユニバーサルデザインを見つめ、生活に生かすことを通して生徒が積極的に社会に参画していくことまでを目標としているようです。

小学校や中学校でユニバーサルデザインの授業が行われている昨今、私自身、学校現場や公共図書館で仕事をしてきて、福祉について考えたり、様々な障害についての理解を深める授業を行なっている学校が増えてきたように感じています。そこで、今回は障害や福祉のお薦め本を細かいカテゴリーごとに分けて紹介することにしました。絵本も沢山紹介していますので、様々な障害や福祉の事について、この機会に知識を深めてみてはどうでしょうか。

 

 

障害や福祉関係のおすすめな絵本

 

視覚障害

『もうどう犬べぇべ』 セアまり/さく 平澤 朋子/え ほるぷ社

最初にご紹介する絵本は、盲導犬のべぇべと視覚障がい者であるメグの物語です。
メグは目がどんどん見えなくなっていく病気になり、部屋に引きこもりがちになっていました。そんなメグの笑顔を取り戻してくれたのは、いつも困り顔の盲導犬べぇべでした。べぇべの動きからメグは周りの様子を理解できるようになり、ハーネスを外した時のべぇべのおかしなしぐさによってメグに再び笑顔も戻るようになります。やがて2人(1匹と1人)は、外出中に起こってしまった事故から、困ったときには遠慮せずに周囲の人に手助けをしてもらっても良いのだと気づき、これを機に前向きに色々なことに挑戦していくのです。
この絵本の作者である、セアまりさん自身、メグと同じ視覚障がい者です。だからこそ、絵本の最後に載っている作者の言葉には、伝えたいメッセージが沢山散りばめられているように感じます。町で盲導犬を見かけた時に気を付けてほしいこと、目の不自由な人が困っている場面に遭遇したらどうしてほしいか等、この絵本から沢山感じ取ることが出来るのではないでしょうか。

 

小1むすこ
小1むすこ
こまっている人がいたら、声をかけてあげようと思ったよ。(息子談)

 

 

視覚障害

『6この点 点字を発明したルイ・ブライユのおはなし』 ジェン・ブライアント/著 ボリス・クリコフ/絵 岩崎書店

こちらは、点字を発明したルイ・ブライユの物語です。わずか15歳の少年がたった一人で完成させた点字が、現在でも図書館や空港、銀行のATM等で使われているって凄いことですよね。
どうやって点字が生まれたのか、点字を生んだ少年の人生とはどういったものだったのか、この絵本を読めば、この少年のひた向きな努力と諦めない気持ちを感じ取ることが出来ます。ルイの周りには、目の見えないルイに対して「きのどくだ・・・」と声を掛ける人たちが多くいました。けれども、ルイはただ、ほかの子と同じように、自分で読んだり書いたりしたいだけであって、「かわいそうなルイ・ブライユ」と同情されることに違和感を覚えていたことでしょう。目が見えない自分を悲観することなく、どうすれば良い状況になるのか、先だけを見つめて努力を怠らない、この絵本の通りのルイ・ブライユを想像すると、「きのどく」や「かわいそう」等という言葉は違和感のほかありません。目が見えないけれど本が読みたいから、目が見えない人でも読むことの出来る本を作ろうと考える精神は、とても前向きなのですから。

 

小1むすこ
小1むすこ
目が見えなくても、本が読めることにビックリした。(息子談)

 

 

視覚障害

『雨のにおい 星の声』 赤座 憲久/著 鈴木 義治/絵 小峰書店

こちらは、盲目の子どもたちの心を写した絵本です。雨のにおい、星の声、風のうごき、足の裏からもあたりの景色がひろがっています。普段、私たちが目で見て、当たり前に過ごしていることが、この子たちの心を通して感じれば全くの別世界へと姿を変えるのです。見えないことで分からないこともありますが、見えないことをハンデとせず、研ぎ澄まされる感性から得られるものも沢山あるのだということに気づかされる一冊です。

 

 

いろいろな障害

どんなかんじかなあ』 中山 千夏/さく 和田 誠/絵 自由国民社

「みえないって」、「きこえないって」、どんなかんじかなあ・・・。ひろくんは目を閉じてみたり、耳を塞いでみたりして、友達がどんなかんじか考えてみます。ひろくんの様に自分以外の人のことを考えて、歩み寄ってみることで、これまで全く気が付かなかったことに気づくことが出来るのかも知れません。
誰かと繋がりたければ、その人のことを知ることにつきます。その人に自分のことを知ってもらいたい場合も同様に、相手のことを知ろうとすることで互いの壁がなくなるのです。又、誰かのことを知ろうとすればするほど見えてくるのが、普段何てことなく過ごしている「自分自身」だったりします。同じ人間でも、誰一人として、同じ身体や考えの人はいないわけで、自分以外の誰かを知ろうとすることは、これまで自分が見落としてきた自分自身の良いところや凄いところをも気づかせてくれることだってあるのですよね。

 

 

聴覚障害

ローラのすてきな耳』 エルフィ・ネイセ/著 エリーネ・ファンリンデハウゼ/絵 朝日学生新聞社

このお話は、幼少期の頃に耳が聞こえにくかった作者の実体験に基づいて書かれたものです。自分のせいではないのに、耳が聞こえにくいが故に起こってしまう様々なこと・・・この絵本には、そんな少女のつらさや苦しさが語られていると共に、後半からは補聴器を着けたことによって彼女の前に広がった新たな世界のことが、希望に満ちた様子で描かれています。耳が聞こえづらい人にとって、補聴器がただの「機器」ではなく、いかに重要な「耳」となりえるのか・・・「私にもようやく居場所が見つかったの!」この絵本の最後で少女の口から出た言葉が、全てを物語っているような気がします。

 

 

聴覚障害

『ぼくのだいじな あおいふね』 ピーター=ジョーンズ/著 ディック=ブルーナ/絵 偕成社

こちらは、耳が聞こえづらい男の子の毎日がディック・ブルーナの絵で分かりやすく語られています。聴覚障害児をもつお母さんや先生方の助言から誕生した絵本ということで、外見だけでは分かりにくい聴覚障害の悩みや不安が小さな男の子の目線で丁寧に描かれています。ブルーナの明るい色調とシンプルにまとめられた文は、とても暖かく、愛情をもって理解を示してくれる人達の存在がどれほど心強いか、気づかせてくれます。

 

 

聴覚障害

わたしたち手で話します』 フランツ=ヨーゼフ・ファイニク/著 フェレーナ・バルハウス/絵 あかね書房

生まれつき耳が聞こえないリーザという女の子と、手話が得意なトーマスという男の子の出会いが微笑ましいお話です。リーザは同い年くらいの子どもたちとなかなか仲良くなることができませんでした。リーザにとって、声を出して話をすることは、自分が話す声も聞くことができないのでとても難しいのです。リーザが耳が聞こえないことを手話でいくら話しても、子どもたちには通じません。そんな一人ぼっちのリーザに手で話しかけてくれたのがトーマスでした。トーマスの両親も耳が聞こえないので、トーマスの家では手話が日常で使われていたのです。そして、リーザとトーマス、二人の出会いは他の子どもたちにも素敵な効果をもたらすことになりました。
読んでいて、心にふっと暖かい灯りがともる、そんな絵本です。この絵本によって、思わず手話を覚えたくなる、そんな子供たちもきっと出てくるのではないでしょうか。

 

小1むすこ
小1むすこ
学校で、手話の本を借りてきたよ! 「手伝いましょうか?」を覚えたんだ。(息子談)

 

聴覚障害

わたしの妹は 耳がきこえません 』 ジーン=W=ピーターソン/著 デボラ=レイ/絵 偕成社

こちらは、耳の聞こえない妹を持つ作者が、詩のような優しい文で妹について書き綴っている絵本です。友達に「耳がきこえないって、耳がいたいの?」と聞かれて、”わたし”は「耳はいたくないの。でも、むねがいたくなるの。みんなに自分の気持ちをわかってもらえないときにね。」と答えます。妹のことを本当によく見ているお姉さんで、妹のことがとても大切で可愛いのだろうなあ、と、読んでいて愛情が伝わってきます。例え耳が聞こえていなくても、誰かに愛されているだけで、世界はこんなにも光に満ちてみえるのだということがよくわかる一冊です。

 

 

染色体異常

『わたしたちのトビアス』 セシリア・スベドベリ/さく 偕成社

こちらは、子どもたちの無邪気な絵と文で、障害児である弟のトビアスのことが書き綴られている絵本です。トビアスが産まれた時にちっとも嬉しそうではなかったママの声や、周囲の反応・・・それらを目の当たりにして、トビアスの兄弟たちは「とくべつ」や「ふつう」について考えます。パパとママは、トビアスを施設へ預けることを検討しますが、兄弟は大反対。「トビアスに手がかかるなら、わたしたちみんなで、てつだうのがあたりまえ」とかんかんに怒るのです。ある時、ママが言いました。「みんな、いっしょにくらさないから、おたがいに、わかりあったり、すきになったりできないんだわ。」そこで兄弟たちはこう考えます。「わたしたちに、ふつうでない弟がいてよかった」、「わたしたちは、ふつうでない人といっしょにくらすことをおぼえるし、ふつうでないとはどういうことかが、わかるようになるから」と。
弟への愛にあふれた絵本であり、社会全体で”知ること”が”支援に繋がる”ということをこの絵本は教えてくれます。

 

 

染色体異常

『わたしのおとうと、へん・・・かなあ』 マリ=エレーヌ・ドルバル/さく スーザン・バーレイ/え 評論社

こちらは、フランスの≪幼年期と染色体異常を考える21世紀の会≫の提唱で創られた絵本です。
うさぎのリリには、どんなときでも、にこにこ笑顔のドードという弟がいます。「目は、どろーん」、「耳は、だらーん」、「口から、よだれが、だらだらだら」そんなドードを見て、「わたしの、おとうと、へん……かなあ。」と、リリは時々心配しています。そして、ドードがスープを零しても、床にお漏らしをしても、ちっともドードを怒らないパパとママのせいで、このままではドードが赤ちゃんのままだと心配が止まりません。「いくら、しんぱいでも、きみがひとりで、なにから、なにまで、してあげることはできないよ。」とリリに助言をしてくれるふくろうのおじさんや、大風の日に家を建てた野ネズミの話を聞いて、リリは一番大切なことを思い出すのです。スーザン・バーレイさんの温かい絵のタッチが素敵な一冊です。

 

 

肢体不自由(両足麻痺)

『わたしの足は車いす』 フランツ=ヨーゼフ・ファイニク/著 フェレーナ・バルハウス/絵 あかね書房

アンナは、生まれた時から両足が麻痺している女の子です。自分の足では動くことが出来ないので、車いすがアンナの足となって行きたい場所へ連れて行ってくれます。ある日、お母さんにお使いを頼まれたアンナは、初めて自分一人で外へ出かけることになりますが、なかなか思うようには行きません。じろじろ見てくる人がいたり、「気のどくだね。」と言われたり、お店の店員に変に気を使われたり・・・そんなアンナに対して声を掛ける男の子、ジギーの優しい言葉は、アンナの張りつめた気持ちをどんなに楽にしてくれたことでしょう。「ふつうとはちがってる」、「ちがってもいいのさ。ちがってるのって、ほんとうは、とくべつなことなんだから。」よく考えてみれば、”ふつう”って何を基準に言っているのかわからないですよね。大多数の人が”ふつう”で、少数派の人が”ちがう”と弾かれているのであるならば、ジギーの言葉は的を得ているようにも思えます。この絵本から、ぜひ、いろいろなことを感じ取ってみてください。

 

小1むすこ
小1むすこ
車いすに、ちょっとだけ乗ってみたいな。 アンナに友達が出来て良かった。(息子談)

 

 

肢体不自由(脳性麻痺)

『ぼくたちのコンニャク先生』 星川 ひろ子/著 小学館

「幼い子に向けて障害をメッセージする本を作りたい———」こちらは、母であり写真家である著者がずっと温め続けてきた思いによって生まれた写真絵本です。保育園に勤めだして直ぐに「コンニャク」と言うあだ名を付けられて、園児たちから洗礼を受けた近藤先生と純真無垢な園児たちの日常を垣間見ることが出来ます。生後8か月の時に脳性まひと診断された近藤先生は、ごはんの時に手が震えたり、話すことが苦手だったり、手先ならぬ足先を器用に使って折り紙を折ったり・・・子どもたちの目には、それら全てが新鮮に映って、興味の対象となるのです。「偏見」など微塵も持たず、近藤先生の色々なことを純粋に「知りたい」と思う、この園児たちのように、”いろんな人がいて、あたりまえ”なのだと、多くの子どもたちがこの絵本から感じ取っていくのではないでしょうか。

 

小1むすこ
小1むすこ
足の指でいろんなことが出来るのがすごい!ぼくにも出来るかな・・・。(息子談)

 

 

肢体不自由(先天性四肢欠損)

『さっちゃんのまほうのて』 たばた せいいち/さく 偕成社

田畑精一さんと先天性四肢障害児父母の会によって作られた、生まれつき右手の指がない女の子のお話です。ままごとあそびでお母さんになりたいさっちゃんは、お母さんに訊ねます。「しょうがくせいになったら、さっちゃんのゆび、みんなみたいに はえてくる?」お母さんはさっちゃんが期待通りの答えはしてくれませんでした。「さっちゃんは おかあさんには なれないよ!だって、てのないおかあさんなんて へんだもん」友達から言われた、こんな心ない言葉もあって、やがて、さっちゃんは幼稚園を休むようになってしまいました。
子供は純粋であるが故に、その言葉によって人が傷ついてしまうということを深く考えずに、言葉を発してしまうことがあります。一度、口から出てしまった言葉は「無し」にすることは出来ません。でも、その言葉が正しくなかったと気づいた時、その言葉を違う言葉や態度で上書きすることは出来ると思います。さっちゃんの友達は、ハートの形をしたチョコレートを渡すことで、さっちゃんに対して謝りたい気持ちを態度で表しました。さっちゃんにとっては、それだけで、「なんだか ふうーっと おかしくなって」前向きになれるのです。自分と違う体の人を、つい、ジロジロ見てしまうこともあるとは思います。無知ほど残酷なものは無いのかも知れません。この絵本は、先天異常と子どもたちを取り巻く問題をこれからも広く社会に語りかけていくことでしょう。

 

小1むすこ
小1むすこ
指がない人だけじゃなくて、指の数が多い人もいるって聞いてビックリした。 いろんな人がいるんだな~。(息子談)

 

 

自閉症

『ふしぎなともだち』 たじま ゆきひこ/さく くもん出版

続いてご紹介する絵本は、転校先の小学校で、自閉症の男の子と初めて出会う少年の目線で描かれている絵本です。先ほど、「無知ほど残酷なものは無いのかも」と言いましたが、こちらは「知っていること」の大切さがよく描かれているように思います。初めて自閉症の子と出会い、その行動や、それを当然として日々を過ごす子どもたちに衝撃を受けたおおたくん。おおたくんにとって、初めのうちは、自閉症のやっくんは「きんちょう」の対象だったり、一緒にいると「いらいら」してしまう、近づきたくない相手だったりします。ですが、長い年月を共に重ねていく中で、やっくんの存在はおおたくんにとって、心でわかりあえる、不思議な友達となるのです。
このお話には、実は実在するモデルとなった二人がいるようで、作者である田島さんが淡路島の自閉症の青年とその同級生に取材を重ねて絵本になったのだそうです。その為か、読んでいて周囲の反応もとてもリアルに感じました。私が小学生の時にも同じような子がいて、よくクラスでからかわれていましたが、彼も今思えば、なんらかの障害を持っていたのだと思います。当時の自分にこの絵本を読ませたい・・・「知っている」からこそ、見えてくることって、本当に沢山あるのではないでしょうか。

 

 

学習障害

『ありがとう、フォルカーせんせい』 パトリシア・ポラッコ/著 岩崎書店

知的発達に目立った遅れがないのにも関わらず、学習面で、読み書きが出来なかったり、算数が苦手だったりと、つまずきや習得の困難さを示す子どもを「学習障害」と言いますが、この絵本の主人公であるトリシャも、字をくねくねした形としか捉えることが出来ず、読み書きが一切できません。トリシャが、隣の子の読んでいることを丸暗記して本を読めるふりをしたり、先生が読んだ後に同じことを繰り返して読めるふりをしていたことで、先生たちには気づかれないまま、学校生活は過ぎていきます。子供たちはその点敏感で、自分たちとは違うトリシャを笑ってばかにし、からかいます。そんなトリシャの苦しみにいち早く気が付いたのが、フォルカー先生でした。「きみには 字や すうじが みんなとは ちがってみえるのに、らくだいしないで ここまで きた」、「きみは かしこくて、それに とっても ゆうかんだ」フォルカー先生はトリシャに優しく言葉を投げかけます。
これは、作者の自伝的な物語であり、30年後、トリシャがフォルカー先生と再び会った時に、どんな仕事をしているのか尋ねられ、彼女は先生にこう言うのです。「しんじられますか?こどもの本を かいているんですよ。」学習障害を持っている子どもたちにとって、これほど勇気をもらえる絵本はないのではないでしょうか。トリシャにとって、フォルカー先生との出会いが人生を変えたのです。この絵本は、個性にあった教育の大切さを再認識させてくれます。

 

 

学習障害

『算数の天才なのに計算ができない男の子のはなし 算数障害を知ってますか?』 バーバラ・エシャム/著 マイク・ゴードン/絵 岩崎書店

まず、このタイトルを見て、「どういうこと??」と疑問に思う人は少なくないかも知れません。算数が得意ならば、計算も簡単に出来るのでは?と。これが、算数障害の誤解を招きやすい部分で、この絵本ではこういった分かりづらいケースをウィットに富んだ絵と文で、分かりやすく伝えてくれています。算数障害の子どもにとって、この絵本のマックスの様に、数の概念を理解出来ても、九九を機械的に覚えることは出来ません。また、その反対に、計算が出来ても、計算の意味が理解出来ないというケースもあるそうです。傍から見ると大変分かりづらいですが、当の本人にしてみれば、「どうして自分は出来ないのだろう」と自暴自棄になる、とても深刻な状況です。障害を認識されることなく、間違った方法での指導が続くことになれば、ますます悪い方向へ進んでしまいます。教師も親も、子どもたちをよく観察して、その子に寄り添った支援をすることが大切なのだということをこの絵本を読んで改めて実感しました。

 

 

発達障害

『ボクはじっとできない』 バーバラ・エシャム/文 小学館

表紙にも小さく書かれてある通り、こちらは、自分で解決法をみつけたADHDの男の子のお話です。この絵本の素晴らしいところは、なんといっても、デイヴィッド自身が自分の特性のどこが問題であるかに気づき、解決方法を探って、解決策を先生に提案したことでしょう。昨今、日本では社会に出ていく上で問題解決能力が重要視されていますが、デイヴィッドに備わっていたのは、まさしく、この問題解決する力であったのです。ADHDの特性として、落ち着きがなかったり、モノをすぐ失くしてしまったりと、ネガティブな面だけがクローズアップされがちですが、頭の回転の速さや、アイデアの豊富さなど、強みとなる部分もこちらでは頼もしく描かれています。

 

小1むすこ
小1むすこ
自分でいろいろ考えて、デヴィッドって凄い。(息子談)

 

障害や福祉関係のおすすめな読み物

 

続いて、障害や福祉関係のおすすめな読み物についてご紹介します。

視覚障害

『目の見えない人は世界をどう見ているのか』(新書) 伊藤 亜紗/著 光文社

こちらは、生物学者を目指していた著者によって書かれた本です。視覚障害者やその関係者達に対して行ったインタビュー、その人達とともに行ったワークショップ、日々の何気ないおしゃべり等から「世界の別の顔」の姿を柔らかな読みやすい文体でまとめています。「世界の別の顔」とは、見えない世界しか知らない人から言えば、「見える世界」のことで、見える人から言えば、逆に「見えない世界」のことです。本文にも書かれてありますが、実はこの本は、「いわゆる福祉関係の問題を扱った書物ではなく、あくまで身体論であり、見える人と見えない人の違いを丁寧に確認しようとするもの」(p.7)です。「視覚障害者がどんなふうに世界を認識しているのかを理解すること」(p.23)がこの本の大きなテーマとなっています。決して支援の観点から書かれている本ではありません。もちろん、必要とされた時に、差し伸べる手は大切ですが、この本を読めば、きっと全く違った印象を持つはずです。著者である伊藤さんの解説がとても丁寧で分かりやすく、どの話もストンと入ってきて読んでいて心地良かったです。
そして、余談ですが、この本を基にして描かれた絵本があります。こちらは未就学児に見せても楽しむことが出来ますし、小学生に物事を違う視点で見たり考えたりするきっかけを与えられる絵本だと思います。絵本作家のヨシタケシンスケさんがストーリーを考え、伊藤亜紗さんに相談しながら作ったそうですよ。こちらもお勧めです。

 

 

視覚障害

『暗やみの中のきらめき 点字をつくったルイ・ブライユ』 マイヤリーサ・ディークマン/著 汐文社

こちらは、ルイ・ブライユのただの伝記ものではなく、現代のフィンランドに住む盲目のレオ少年の話と、まだ幼いながらも200年前に点字を発明したルイ・ブライユの話が交互に進んでいきます。よくある伝記ものは、事実を語ることに忠実になりすぎて内容が浅くなってしまいがちですが、二人の人生が交互に語られることで、ルイがやり遂げたことが如何に凄いことであるのかがよくわかり、物語に厚みが加わっています。当時のフランスの時代背景や、フィンランドの学校での様子なども物語の端々に描かれているところも興味深い作品です。「そこに書いてあることを知りたい、物語を聞きたい」熱い思いを抱いていた幼い盲目の少年が点字を発明するまでを、現代のフィンランドの男の子レオの目を通して見つめている、とても読み応えのある一冊です。

 

 

聴覚障害

ろう者の祈り 心の声に気づいてほしい』 中島 隆/著 朝日新聞出版

こちらは、新聞での連載が加筆されて本になったものだそうで、インタビューのような形で話が進んでいきます。聴覚障害者の方が悩んでいることや、どのような助けを必要としているのかがよくわかる本です。手話は、聴覚障害者の方にとって言語の一つですが、私自身、お恥ずかしながら、この本を読むまで手話と日本語がこれほどまでに違う言語であるとは思っていませんでした。こういった聴者の認識のズレが聴覚障害の方に対する誤解を生み、聴覚障害者の方を苦しめているのかも知れません。聴覚障害について知るきっかけとして良い一冊です。

 

 

聴覚障害

『犬たちがくれた音 聴導犬誕生物語』 高橋 うらら/著 金の星者

こちらは、小学校高学年ぐらいから読める児童書です。捨てられたり、震災などで帰る場所を失った犬がどのようにして聴導犬となるのかがこの本を読めばよくわかります。聴導犬は聴覚障害者にとって、生活に必要な音を伝える大切な存在です。しかし、中には、聴導犬がいなくても、機械を使えば音を知らせることは可能だと考える人もいるでしょう。この本は、そういった声に対して疑問を感じた著者が、動物保護や聴導犬の育成に取り組んでいる団体へ取材を重ねていく上で出会った、ある一頭の犬と、その犬を育てた人たちを主人公にしたお話です。日本で認定されている聴導犬はまだ数少なく、盲導犬に比べてあまり世間に知られてはいません。この本によれば、アメリカやイギリスでは沢山の聴導犬が活躍していますが、聴導犬の歴史の浅い日本では(この本が出版された2007年時点で、)約数十頭しかいないそうです。
この本を読めば、聴導犬がもっと社会に浸透してほしいと願わずにはいられません。

 

 

聴覚障害

あなたの声がききたい―聴覚障害の両親に育てられて』 岸川 悦子/著 岡本 順/絵 佼成出版社

こちらもノンフェクションの一冊です。著者の岸川悦子さんが入院先の病院で出会った、看護師の加奈子さんのこれまでの人生が丁寧に描かれています。加奈子さんのご両親は聴覚障害者で、幼いころから加奈子さんは友達の親と自分の親との違いにもどかしさを感じながら育ったそうです。心無い人たちからの偏見や差別が、読んでいて何とも言えない気持ちにさせますが、加奈子さんのご両親の前向きな生き方や、「将来は、弱い立場の人たちのために、なにか役立つ仕事をしよう」という、加奈子さん自身の気持ちの変化は読んでいてとても「強さ」を感じました。加奈子さんのご両親がまだ若かった頃、日本は今よりもっと、障害者に対して偏見や差別があったこと、手話が禁止され、ほとんどの聾学校で「口話法」が教育されていたこと・・・この本から知った事実が沢山ありました。そして、「手話」が聴者と聴覚障害者を繋ぐ重要な手段であることを改めて認識させられました。感動だけではない、色々なことを、ぜひ、この本から感じていただければと思います。

 

 

肢体不自由(難病ALS)

『わたしは目で話します』 たかお まゆみ/著 偕成社

こちらは、難病ALS患者である著者が「言葉の力」について書いた本で、全篇、文字盤を使って目で書かれています。言葉を発することは奇跡であり、孤独の中で言葉は育たず、言葉が人を人間にする・・・この本の中に散りばめられている言葉の数々は、どれも核心的で、読んでいて、はっとさせられます。第一章でALSという病気についての説明が詳しくなされていますが、ここで、著者にとって「身体が動かなくなるより、おいしいものが食べられなくなるより、言葉をうしなっていくことのほうが、十倍も百倍もつらかった」 (p.53)ことが書かれています。普段何も考えずに、ごく自然に使っている言葉ですが、失って初めてわかる、言葉の可能性や力をこの本から感じられるのではないでしょうか。話すことさえ出来れば、あらゆる困難を解決できることだってあるでしょう。最後に、人と話すことに悩みを抱えている人へ、著者からメッセージが書かれていました。その中の一つに、「友だちの言葉を大切に。」という内容のものがあります。私は、闘病生活や話せない苦しみだけを綴った本ではなく、この本がコミュニケーションできる喜びがどんなに深いものなのか、人と言葉を交わすことの尊さについて書かれている本であることが、このメッセージに凝縮されているように思いました。難病ALSについてはもちろんのこと、普段の何気ない言葉のやり取りに対しても考えることの出来る良書です。

 

 

肢体不自由(両下肢弛緩性マヒ)

車イスから見た街 』(岩波ジュニア新書) 村田 稔/著 岩波書店

こちらは、生まれて一年半で、せき髄性小児マヒで両足が動かなくなり、車いす生活を余儀なくされた著者の目線から見た、日本の街や社会についてのことが書かれた本です。この本は今から約25年前に書かれたものなので、この頃から言えば、日本は随分変わりましたが、「福祉の視点で街を見る」きっかけに良い本ということで、今回選ばせていただきました。今でこそ、商業施設のトイレには必ずと言っていいほど障害者用トイレがありますが、この本によると、これが書かれた頃の日本には、まだあまりメジャーではなかったようです。又、歩けないからという理由で高校側から入学を拒否された話なども載っていて幾分内容に古さも感じますが、著者が25年前に、車イスの目線で「おやっ」と思っていたことが、残念なことに令和になった現代の街でもまだ見られる光景であることを私たちは知っておかなければならないと思います。例えば、車イスマークのついた駐車区間に、平気で止める一般車や、同じく車イスマークのついた駐車区間に設けられた、鎖の付いた柵、これは現代でも見かける光景です。歩道橋、駅の階段、地下鉄の入り口、バス、電車・・・誰にとっても使いやすい街になるために、誰かの目線で物事を見たり、考えたりすることはとても大切ですね。

 

 

発達障害

拝啓、アスペルガー先生』 奥田 健次/著 飛鳥新社

タイトルに小さく「支援記録」とありますが、小難しい話は一切なく、とても読みやすい一冊です。こちらは、臨床心理士、行動分析学者で知られる奥田健次先生が書いた支援記録で、過去の支援から著者が思い出に残っている子どもたちのエピソードが紹介されています。著者が20年間の中で出会った子どもや家族たちで、実際に出会ったその時々の問題と乗り越えた記録に基づいて書かれていて、発達障害の子どもはこんなに変わることが出来るんだという事実を、読み物として楽しみながら、多くの人に知ってもらうことを目的として書かれたそうです。色々なケースで著者の所に訪れる子どもとその家族たちの様子や、課題を乗り越えて成長する子どもたちの姿に心揺さぶられ、この本から、子育てのアドバイスを沢山いただきました。正直、この先生の本を読み漁りたい・・・そんな衝動に駆られました。発達障害があるなしに関わらず、子どもたちの一人一人の特性を見極めて、それぞれに合わせた適切な教育の必要性を改めて感じた一冊でした。

 

 

自閉症

自閉症の僕が跳びはねる理由』 東田 直樹/著 角川学芸出版

こちらは、自閉症者である13歳の少年が、自閉症者の心の中を誰にでも理解できるように、自分自身の言葉でわかりやすく説明したものです。言葉についてや、感覚の違いについて等、様々な「謎」に一つ一つ丁寧に答えていくことで、自閉症者やその家族の助けになることが出来たらという願いを込めて、執筆されたのだそうです。本書の中の「僕たちの世界を旅してください」という一文にその思いが込められているのではないでしょうか。著者はこの本の中で、コミュニケーション手段の一つである筆談について、「書いて伝えることではなく、自分の本当の言葉を分かってもらうための手段」(p.15)であると述べ、「自分の気持ちを相手に伝えられるということは、自分が人としてこの世界に存在していると自覚できること」(p.31)だと説明しています。心と行動がイコールでないこと、その行動には全て理由があるということ・・・自閉症者の苦しさや心の声に気づかされる一冊です。

最後に、ユニバーサルデザインについて書かれてある本でお薦めの本をご紹介します。 今や、学校の授業自体もユニバーサルデザインを唱える時代です。当事者でなければ、その障害を「理解する」ことは出来ないかも知れませんが、「知らない」より「知っている」だけで、誰かが救われることだってあるかも知れません。どうすれば、全ての人々にとって、この世の中が生きやすくなるのか・・・「知っている」だけで、イメージしやすくなり、それはやがて、行動を起こすことに繋がるのではないでしょうか。自分さえ良ければいいという自己中心的な考えではなく、人のことを思いやれる優しい心を持ちたいものですね。

 

 

ユニバーサルデザインにおすすめな本

車イスが必要な生活を知ろう

ドラえもんの車いすの本 (バリアフリーブック―体の不自由な人の生活を知る本)』 共用品推進機構/編集 小学館

こちらの本の構成は、前半は、四肢機能障害で歩行困難となり、車イス生活を余儀なくされた北斗君という男の子の小学校での様子が沢山の実際の写真と共に紹介されていて、後半は、車いすに乗ったまりちゃんという転校生が出てくる漫画、『ドラえもんの空飛ぶ車いす』がメインとなっています。どちらの話も、読んでいる側に、「誰もが”不便さ”や”危険”を感じずに生活をするには、どうすれば良いのか」を考えさせてくれる内容になっていて、普段気が付かないことに目を向けられるきっかけとなる一冊です。自分の住む街や学校は、誰もが住みやすい、通いやすい場所となっているのか、この本をきっかけとして、身の回りのバリア(障壁)の有無をチェックしてみてはどうでしょうか。

 

 

自分以外の人の視点で見ることの大切さ

弱視の人に出会う本 (バリアフリーブック―見えにくいってどんなこと?)』 共用品推進機構/編集 小学館

こちらは、『弱視のおばあちゃん まちを行く』という漫画がメインとなっていて、最後の方に少し弱視について理解を深めることの出来るコラム等が載っています。漫画部分では、弱視であるおばあちゃんから見た社会が描かれていて、おばあちゃんと一日一緒に街を歩いた孫は、誘導ブロックの上に止められた自転車や、見えにくい料金表、ふちがはっきり見えない階段などを初めて危険なものだと認識します。そして、帰宅後、みんなのことを考えて工夫をしていけば、もっとよくなると思うことがいっぱいあったと両親に伝えるのです。障害のある人にとって住みやすい街は、障害のない人にとっても住みやすい街であるのだと気づくことができ、このお話は終わります。自分以外の別の人の視点に立ってみることで、「あれ?」と、何気ない光景を疑問に感じ、気づける人になりたいという気持ちが芽生えることが出来る本です。

 

 

バリアフリーを考える

新しい 心のバリアフリーずかん きみの「あたりまえ」見直そう! (見る知る考えるずかん)』 中野 泰志/監修 ほるぷ出版

タイトルにもなっている「心のバリアフリー」とは、「私たちのなかにある、”気づかない”という心のバリアを取りはらい、バリアフリーの社会を実現するために行動すること」(p.4)を言い、この本には、そういった「心のバリアフリー」によって、みんなが同じようにいきいきと活動できる社会を目指していくためのヒントが沢山載っています。町の中の色々なシーンを切り取って、そこからそれぞれのシーンに見られる問題点や解決策を探っていき、周囲の人はどのようなアクションを起こすことが出来るのかまでも詳しく書かれています。又、外からは分かりづらい、発達障害についても沢山触れられていて、学校の中での「心のバリアフリー」についても理解を深めることが出来る内容になっています。絵も豊富で、小学生にも十分理解できる、バリアフリーの知識を深められる図鑑です。
 

 

 

ユニバーサルデザインを分かりやすく解説!

トコトンやさしいユニバーサルデザインの本(第2版) (今日からモノ知りシリーズ)』 宮入 賢一郎/著 日刊工業新聞社

中学生や高校生が、ユニバーサルデザインについて調べるときに、必ず読んでいただきたい本がこちらです。今日からモノ知りシリーズは、どの本も、とても詳しく一つのことについて調べ上げて書かれてあるので、調べ学習に最適です。内容としては、バリアフリーとの違いについてや、「障がい」への誤解と理解、導入のプロセスと開発手法、各機関・各企業の取組み事例などが載っています。ユニバーサルデザインに対して、正しい理解と豊富な実例を沢山紹介してくれているので、これを基にして自分たちの身近にあるユニバーサルデザインを見つめて生活に生かすことへと繋げられるのではないでしょうか。

 

 

日常の中から考えよう!

くらしのユニバーサルデザイン (知る! 見る! 考える! ユニバーサルデザインがほんとうにわかる本)』 小石 新八/監修 六耀社

こちらは、シリーズ全3巻で、「もののユニバーサルデザイン」、「まち・施設のユニバーサルデザイン」、「くらしのユニバーサルデザイン」と、様々な場面でのユニバーサルデザインについて考えられる作りになっています。ただUD製品を紹介するだけではなく、ユニバーサルデザインについて色々な角度からみることで、今後の課題を考えようというわけです。又、頁の最後の方には、ユニバーサルデザインを調べて学ぶことの意味についても触れていて、日本人も福祉の心をもっともっと高めていかなければならないと、再認識させられました。

 

 

考え方から社会への広がりまで!

よくわかるユニバーサルデザイン (楽しい調べ学習シリーズ)』 柏原士郎/監修 PHP研究所

こちらの本では、まずはユニバーサルデザインを知るところから始まり、暮らしの中や、街の中のユニバーサルデザインについて知って知識を深めていけるようになっています。最後の章では、心とコミュニケーションのユニバーサルデザインについても触れられており、「考え方から社会への広がりまで」、しっかりと書かれています。
2020年のオリンピック・パラリンピック開催国として、社会全体で、ユニバーサルデザインの考え方を根付かせようとしている日本・・・誰もがわかるピクトグラムや、UDトークなど、誰にとっても理解しやすく、全ての人のために考えられたものは、例え言葉が通じなくてもコミュニケーション出来る大切なアイテムとなることでしょう。

 

 

4つのテーマに分けて、ユニバーサルデザインを紐解く!

ユニバーサルデザインがわかる事典』 柏原 士郎/監修 PHP研究所

こちらも先ほど紹介した本と同じく、「ユニバーサルデザインとは何ぞや」から始まり、次の章から、より詳しく、「いろいろなかたちのユニバーサルデザイン」、「いろいろな使い方のユニバーサルデザイン」、「まちのユニバーサルデザイン」、「サービス・情報のユニバーサルデザイン」と、4つに分けて説明されています。かたちを少し変えるだけで、使い勝手が断然に良くなったもの、機能やかたちを工夫することで、身体に障害がある人にも利用しやすくなったもの等、ユニバーサルデザインの製品は、実は、私たちの身の回りにさりげなくあるのです。これからの社会は、色々な人の立場に立って、「利用しづらい場所」や「使いづらいもの」を見つけ、みんなの声からユニバーサルデザインに作り替えていかなければいけませんね。

 

 

みんなが利用するからこそ、誰もが安全安心に使える建物を!

みんながつかうたてものだから』(絵本) サジ ヒロミ/著 偕成社

最後は、ユニバーサルデザインの建物を物語仕立てで解説している、絵本をご紹介したいと思います。市民合唱団の発表会へ行くことになった、まあちゃんは、その会場となっている建物で、お父さんからいろいろなことを教えてもらいます。車イスマークの話、みんなが使えるスロープのこと、点字ブロックを必要とする人がいることなど、まあくんにとって、それらは初めて聞くことばかりでした。障害がある人、無い人、様々な年代の人・・・みんなが使う建物だからこそ、誰もが便利で安全であることを意識して建てられたのだということが丁寧に描かれており、ユニバーサルデザインの考え方がよくわかる絵本です。

 

 

まとめ ~障害を知ることからユニバーサルデザインを考える~

 

いかがでしたか?この中で、気になる本はありましたか?

障害について書かれていて、小学生でも理解しやすい本は沢山あります。

中学生や高校生が知識を深めるために活用できる、ユニバーサルデザインの本も、意識して探せば沢山見つけることが出来ます。

少しでも気になった方は、書店や図書館で、ぜひ、現物を開いて内容をご確認してみてください。私がこれらの本から得た”気づき”以外にも、きっと、様々なメッセージを作品から感じ取って頂けるのではないかと思います。

この記事が、本を必要としている全ての人にとって、役立つものとなりますように・・・。

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大人が、ジ~ンとくる、しみる絵本10選

大人だって、絵本を読みたい時がある

仕事が思い通りにいかないとき、人間関係に疲れているとき、どうにかしてモチベーションを上げたいとき・・・皆さんはどうやって、その時を乗り越えているのでしょうか。

私はそんな時、決まって絵本を開きます。

書店に行くと、所狭しとひしめき合って置かれている絵本の中に、未就学児や小学生低学年に読んであげるには、少し、ハードルが高い絵本が目に留まることがあります。これらは、子どもに向けてというよりは、作者が意図している”物語の向こう側”をくみ取れる大人や、社会の荒波に揉まれて少し病んでいる大人が読むと、時に絶大な効果(?)を発揮することがあります。

実際にこれらの絵本を子どもに読み聞かせても、ぽかんとして反応はイマイチ。 ところが、中学生に全く同じ絵本を読み聞かせすると、神妙な面持ちで良い反応が返ってきます。

そこで、今回は、そういった未就学児や低学年の児童向けではない、中学生から大人までが”しみる”絵本を10冊集めてみました。

絵本の奥深さを感じて頂き、心に”しみて”もらえたら嬉しいです。

中学生から大人までが、しみる絵本10選

 

自分探しは人生の永遠のテーマ?!

『ぼくを探しに』シェル・シルヴァスタイン/著 講談社

 

せいとさんの声
せいとさんの声

子供向けかと思ったけど、意外に響いた。(生徒さん談)

 

小1むすこ
小1むすこ

パックマンみたい。(息子談)

 

 

たいせつなのは、あなたがあなたでいること。

『たいせつなこと』マーガレット・ワイズ・ブラウン/さく フレーベル館

 

せいとさんの声
せいとさんの声

これを読むと、自分はありのままでいいと思えた。(生徒さん談)

 

 

想像することを忘れないで。

『ぼくがラーメンたべてるとき』長谷川 義史/作 教育画劇

 

せいとさんの声
せいとさんの声

子供向けかと思いきや、途中から雰囲気が変わって、何とも言えない気持ちになった。

 

小1むすこ
小1むすこ

ぼくが色々している間にも、世界ではいろんなことが起きているんだな~。(息子談)

 

 

男の子への思いに、ジーンとくる。

『おおきな木』シェル・シルヴァスタイン/さく あすなろ書房

 

どこか哲学的・・・。

『ヒトニツイテ』五味 太郎/さく 架空社

 

”ことば”から、その土地の歴史や文化が見え隠れ。

『翻訳できない世界のことば』エラ・フランシス・サンダース/著 創元社

 

せいとさんの声
せいとさんの声

本のデザインがとっても可愛い!(生徒さん談)

 

 

伊坂小説のような、”わくわく”が感じられる絵本。

『Dr.インクの星空キネマ』西野 亮廣/さく 幻冬舎

 

せいとさんの声
せいとさんの声

お笑い芸人が書いたと聞いて、めちゃくちゃ驚いた!
話も、絵も、今まで見た絵本の中で一番良かった。(生徒さん談)

 

 

おじいさんの思いに心打たれる。

『つみきのいえ』加藤 久仁生/さく 平田 研也/絵 白泉社

 

物事を違う視点から見ることの、面白さ。

『ZOOM』イシュトバン・バンニャイ/さく 復刊ドットコム

 

せいとさんの声
せいとさんの声

こういう本をもっと図書館においてください!(生徒さん談)

 

 

サイレント映画さながらです。

『アライバル』ショーン・タン/さく 河出書房新社

 

 

まとめ ~絵本のセラピー効果~

いかがでしたか?
子どもの頃、絵本を親に読み聞かせてもらったり、わくわくしながら自分で一生懸命読んだりした経験のある方は、大人になって絵本を開くと、そんな温かな懐かしい思い出が一気に蘇ってくるのではないでしょうか。
読み終わった後で、胸の奥をギュッと掴まれてしまったような何とも言えない気持ちが、現実世界とシンクロした時、私たちは紛れもなく、絵本に”癒されている”のです。

絵本は、子どもだけでなく、疲れている大人に対しても、分け隔てなく、”癒し”や”気づき”を与えてくれます。ぜひ、この機会に、”しみる絵本”を手に取ってみてはいかがでしょうか。

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好きな漫画の傾向から、ハマりそうな小説を選びました‼

 

◆ 自分の好みを知るところから始まる、「読活」。

 

ある日、滅多に図書館へ来ない子に、「本はあまり読まないの?」と尋ねると、なんとも嫌そうな顔をして「漫画は読むけど、本は読まん。」「活字は嫌い。」と話してくれたことがありました。「なんで漫画は読むん?」と更に聞いてみると、「絵で、すぐ読めるし・・・。面白い話が多いから。」だそうです。確かに、漫画ならではの面白さってありますよね。例えば、学校図書館で漫画を置くことが禁止だからと、変わりとして漫画のノベライズ本を置くところがあったりしますが、漫画大好きな私としては、それでは漫画の良さが損なわれているように感じてなりません。漫画は、ストーリーと同じくらい作画が重要であるだけに、その漫画の変わりをノベライズ小説に全て託してしまうのは見当違いです。つまりは、漫画には漫画の良さがあって、小説には小説の良さがあるのです。
では、漫画は漫画で堪能しつつ、漫画好きの情熱を少しだけ小説にも向けてもらうことは出来ないのでしょうか。
これは、学校司書の永遠のテーマであり、課題なのかも知れません・・・。

これまで、読書とは無縁の生活を送ってきて、小説を小難しいものだと認識してしまっている中学生の固定観念を覆すには、「漫画ばかり読まんと、本を読め!」ではなく、「漫画って面白いよね~!いいよね~。」と、まず、漫画を肯定することにあると私は思います。嘘でもなんでもなく、実際に漫画は面白いのですから。
「どんなの読むん?何系?」と漫画トークに花を咲かせ、相手の好みを聞き出せたら、してやったり。心の中で私はガッツポーズをします。「この漫画のここが好きなんよ。」と、キラキラした瞳で語ってくれる子どもたちに癒されながら、頭の中では、同じジャンルの小説を、無い脳みそをフル回転させて探します。
そして、「その漫画が好きなら、絶対この本ハマるわ~。だまされたと思って読んでごらん。」と、一冊の本を手渡し、何なら、大まかなストーリーや見どころを漫画トークと同じ熱量で、子どもたちと同じキラキラの瞳で語ってしまいます。

本選びは、絵本も小説も、自分の好みを知っておくことがとても大事です。
読書初心者で、その物差しとなる「好み」がわからないのであれば、好きな漫画をその代わりとして、小説選びの基準にしてみてはどうでしょうか。小説の面白さに気づき、新しい扉が開けるかも知れません・・・。

 

 

◆ この漫画が好きな人は、あの小説にハマる?!

前置きが長くなってしまいましたが、それでは、実際に、漫画と小説を紐づけて、お勧めの小説を紹介していきます。小説初心者にしては、少し長い本もありますが、ハマれば長さは関係ないということで載せておきましたので、ぜひ、挑戦してみてください。

★あの疾走感を小説でも味わいたいなら・・・

 

運動音痴ですら、バスケにハマった漫画

『スラムダンク』井上 雄彦 集英社

こちらの漫画が好きな人に、お勧めしたい小説はこちら!

本当の強さとは何かを考えられる作品!

『風が強く吹いている』三浦 しをん/著 新潮社 

 

★得体の知れないものから恐怖を味わいたい人には・・・

 

まっすぐな少年と、それに憑く化け物の妖怪退治

『うしおととら』藤田 和日郎 小学館

こちらの漫画が好きな人に、お勧めしたい小説はこちら!

その声に、答えてはいけない!

『ぼぎわんが、来る』澤村 伊智/著 KADOKAWA 

 

この世のものではないモノを見通す眼を持つ、青年探偵の物語

『心霊探偵八雲』神永 学/著 KADOKAWA 

 

★痛快な青春エンターテインメント!ハマったならば・・・

 

今日から不良になった2人がおくる、ドタバタ劇

『今日から俺は!!』西森 博之 小学館

こちらの漫画が好きな人に、お勧めしたい小説はこちら!

落ちこぼれ高校生たちのおバカ青春ストーリー!

『レヴォリューションNo.3』金城 一紀/著 KADOKAWA 

 

★仲間っていいよね!人生は冒険だ!カッコイイ生き方がしたいなら・・・

 

ひとつなぎの大秘宝を探して大海原へ!

『ワンピース』尾田 栄一郎 小学館

こちらの漫画が好きな人に、お勧めしたい小説はこちら!

秘密組織にスカウトされ、人生が180度変わった少年の物語

『英国情報局秘密組織チェラブ』ロバート・マカモア/著 ほるぷ出版 

 

仲間と一緒に正義を貫く!

『ぼくらのシリーズ』宗田 理/著 ポプラ社 

 

★爽やかな少女漫画好きには、極上な青春モノを・・・

 

恋愛だけでなく、一人の女の子の成長も感じられる少女漫画

『君に届け』椎名 軽穂 集英社

こちらの漫画が好きな人に、お勧めしたい小説はこちら!

多感な時期に、何を思い、何に悩むか・・・高校生の心の成長を描いた名作

『夜のピクニック』恩田 陸/著 新潮社 

 

★物語のヒロインらしからぬ主人公は、小説にも!

 

王道を行かない主人公

『ヒロイン失格』幸田 もも子 集英社

こちらの漫画が好きな人に、お勧めしたい小説はこちら!

こじらせOLの恋物語

『勝手にふるえてろ』綿矢 りさ/著 新潮社 

 

◆ きっかけは何だっていい。「読活」のすすめ

いかがでしたか?漫画、小説ともに、まだまだ紹介したい本があったので、いつかまた、第二弾もやれたら・・・と思います。
漫画で描かれた伝記モノ、映画のノベライズ本、アイドルが書いた私小説・・・読書をするきっかけは、何だっていいのです。そこがスタートとなって、守備範囲を広げていけば、自ずと、自分が面白いと思える小説にたどり着けるのではないでしょうか。
冒頭にも書きましたが、まずは、自分の好みを知っておくこと。自分がどのようなジャンルが好きで、どういった作品を読みやすく感じるのか知っておくことが大切です。又、読活を続けていけば、「この作家さんの書く小説が好き」と、更なる気づきがあるかも知れません。
そこまでいけば、「ちょっと冒険してみよう」と、普段は手に取らないジャンルに挑戦し、新たな発見を楽しむ余裕も生まれていることでしょう。

本を毛嫌いしている子どもたちが、少しでも、読書の楽しさ、小説の面白さに気づいてくれればいいな~と、心から思います。

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芸術の秋‼ 絵が美しい絵本10冊

絵画として楽しむ絵本

 

突然ですが、魅力的な絵本とは、どのような絵本でしょうか。
絵本の素晴らしさとしては、絵に対して程良い量の文で、小説ほど、くど過ぎない、丁度良い”心地良さ”を表現できることが一つとして挙げられるかも知れません。
しかし、絵だけで、見るものをグッと引き込んでしまう絵本が世界にはあります。声に出して読んだ時、”言葉のリズムが美しい絵本”が存在するように、”絵から目が離せなくなる絵本”もまた、沢山存在しているのです。
そこで今回、食欲の秋に続く、”〇〇の秋”第二弾、”芸術の秋”として、絵が美しい絵本を10冊集めてみました。

絵本を美しい絵画として、今一度楽しんでみてはいかがでしょうか。

 

 

絵が美しい絵本10冊

 

 

幻想的なだまし絵に魅了される

『終わらない夜』サーラ・L・トムソン/ぶん・ロブ・ゴンサルヴェス/え ほるぷ出版

 

 

大自然と空の表情に圧倒される

『川はどこからながれてくるの』トマス・ロッカー/ぶん・え みうら まりこ/やく 偕成社

 

 

描きこまれた森にうっとり

『もりのこびとたち』エルサ・ベスコフ/ぶん・え おおつか ゆうぞう/やく 福音館書店

 

 

サイレント映画のような、鉛筆画に引き込まれる

『アライバル』ショーン・タン/ぶん・え 河出書房新社

 

 

トリックアートのような世界!

『アザー・サイド』イシュトバン・バンニャイ/ぶん・え 復刊ドットコム

 

 

いろいろな青色で表現された世界

『あおのじかん』イザベル・シムレール/ぶん・石津 ちひろ/やく 岩波書店

 

 

物語の雰囲気そのままの優しい挿絵

『ピーター』バーナデット・ワッツ/ぶん・福本 友美子/やく BL出版

 

 

ビーズ刺繍の挿絵が物語を彩る

『銀河鉄道の夜』宮沢 賢治/ぶん・清川 あさみ/え リトル・モア

 

 

版画で描かれた花が幻想的

『花さき山』斎藤 隆介/ぶん・滝平 二郎/え 岩崎書店

 

 

美しい海の世界!

『スイミー』レオ・レオニ/ぶん・谷川 俊太郎/やく 好学社

 

 

まとめ ~絵本から得る心地よさ~

 

 

いかがでしたか?

美しい表紙や挿絵の絵本を眺めるていると、さっきまでのイライラは何のその、
ぬるま湯につかっているかのような穏やかな気持ちに包まれます。
たまには、日常の中で、
美術館で絵画をじっくりと眺めているような
心地よさを感じてみませんか?

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◆小学1、2年生◆絵本からの橋渡しとなる、おすすめの児童書15選

絵本から児童書への橋渡しとなる、本選び

 

小学生になったら、ぜひ、絵本以外の児童書も手に取って読んでみてほしいです。
最初は絵が多く、ストーリーがわかりやすい、無理なくチャレンジできるものから始めてみることをお勧めします。例えば、最初からストーリーが入り組んでいたり、お子さんが読めない字が出てくるようなものは、いくら内容が素晴らしくとも最適とは言えません。お子さんがこれまでどんな絵本を好んできたのかをヒントに、お子さんと一緒に選んでみてはいかがでしょうか。絵本に比べて少し長い児童書であっても、一度読み聞かせてあげて「面白い」と感じていれば、二回目からは積極的に自分で読む姿が見られることでしょう。
今回、絵本から児童書への橋渡しとなる本を15冊選んでいます。どの本も、1、2年生から無理なく読める児童書ばかりですが、読み聞かせは絵本までと区切りをつけず、お子さんが本を持って来たら、ぜひ、喜んで読み聞かせをしてあげてください。

絵本からの橋渡しとなる児童書15選

 

 

最初に読む児童書として、はずせないシリーズ

『かいけつゾロリシリーズ』原 ゆたか/さく・え ポプラ社

 

小1むすこ
小1むすこ

イシシノシシのおならは、いつもすごい!(息子談)

 

 

ゾロリにハマれば、この本も!

『きゃべたまたんていシリーズ』三田村 信行/さく・宮本 えつよし/え 金の星社

 

小1むすこ
小1むすこ

きゃべたまシリーズの絵が大好きっ!キャベツの葉を取って、悪い奴に投げるところが面白い。(息子談)

 

 

低学年にも、極上ミステリーを読む権利があります!

『ぼくはめいたんていシリーズ』マージョリー・ワインマン・シャーマット/さく・マーク・シーモント/え 大日本図書

 

小1むすこ
小1むすこ

パンケーキがいつも美味しそう!ネートは、小さいのに頭が良くて凄いと思う。(息子談)

 

 

一冊を読み込む楽しさを知れる本

『おしりたんていシリーズ』トロル/さく・え ポプラ社

 

小1むすこ
小1むすこ

口からおならを出すのが、最高に面白い!助手のブラウンが可愛い。(息子談)

 

 

痛快!忍者の卵の物語

『忍たま乱太郎シリーズ』尼子騒兵衛/原作・望月 千賀子/さく ポプラ社

 

小1むすこ
小1むすこ

しんべヱが食いしん坊すぎて、面白い。きり丸の目がお金になるところも笑える。(息子談)

 

 

お互いを思い続ける熱い気持ち・・・

『完全版あらしのよるに』きむら ゆういち/さく・あべ 弘士/え 講談社

 

小1むすこ
小1むすこ

いつ本当のことがばれるのかと、ドキドキした。(息子談)

 

 

ありえないから、面白い

『はれときどきぶた』矢玉 四郎/さく・え 岩崎書店

 

小1むすこ
小1むすこ

ぶたが降ってきて、本当に面白かった!
最後に十円やすくんが、日記を消しゴムで消し忘れたところだけを読んでみると、「じゃがいもに けが・・・」となっていたところが一番面白かった。(息子談)

 

 

物語の世界観に癒される

『ペンギンたんけんたい』斉藤 洋/さく・高畠 純/え 講談社

 

小1むすこ
小1むすこ

すごく楽しかった。
ライオンがただ、ひまというだけでペンギンたちの後をついてきただけなのに、他の動物たちもぞろぞろついてきたのが面白い。(息子談)

 

 

遊び心が満載!

『かいぞくポケットシリーズ』寺村 輝夫/さく・永井 郁子/え あかね書房

 

小1むすこ
小1むすこ

ケンがいつもすぐ寝てしまうのが笑える!呪文はもう覚えたよ。(息子談)

 

 

児童書の大御所

『エルマーのぼうけん』ルース・スタイルス・ガネット/さく・ルース・クリスマン・ガネットえ 福音館書店

 

小1むすこ
小1むすこ

載っている地図を見ながら読むと、次に何が起こるかわかって面白い。(息子談)

 

 

いろいろなおばけに興味津々!

『おばけずかんシリーズ』斉藤 洋/さく・宮本 えつよし/え 講談社

 

小1むすこ
小1むすこ

いろんなおばけが出てくるけど、全然怖くない。学校で大人気!(息子談)

 

 

短編集で読みやすい!

『日本のおばけ話・わらい話シリーズ』小暮 正夫/さく・原 ゆたか/え 岩崎書店

 

小1むすこ
小1むすこ

絵が面白くて、読みやすかった。
おばけの話は好きではないけど、キツネとタヌキは動物なので怖くはなかった。(息子談)

 

 

頭を使って、話のオチを考えよう

『寺村輝夫のとんち話シリーズ』寺村 輝夫/さく・ヒサクニヒコ/え あかね書房

 

小1むすこ
小1むすこ

すこし難しい話もあったけど、説明をしてもらうと、どれも面白かった。(息子談)

 

 

女子だけでなく、食いしん坊男子も食いつく!

『わかったさんシリーズ』寺村 輝夫/さく・永井 郁子/え あかね書房

 

小1むすこ
小1むすこ

かいぞくポケットの人が書いたと聞いて、ビックリした。
いろんな話が書けて、すごいと思う。(息子談)

 

 

ほんわかとした絵が、女子の目を引き付ける

『ルルとララのシリーズ』あんびる やすこ/さく・え 岩崎書店

 

小1むすこ
小1むすこ

これを見て、自分でもクッキーが作れそう。(息子談)

 

 

 

児童書の面白さに気づかせてあげられる、読み聞かせ

 

いかがでしたか?ご紹介した児童書以外で、この年齢に適している本を知りたい方は、書店へ行く前に、ぜひ、図書館へ行ってみてください。どれほどの規模であっても、司書が在籍している殆どの図書館では、児童書コーナーがあって、その年齢に適した本が固まって棚ごとに配架してあるので、年齢に合わせた本を選びやすいです。又、日本の図書館の大半は、日本十進分類法に基づいて、分類ごとに振り分けられて棚に収められているので、書店より、目当ての本が探しやすくなっているのも、書店へ行く前に図書館へ行くことをお勧めする理由です。好みの本を自分で探す楽しさを、子どもに一緒に感じてもらえたら、学校の図書室でも自発的に本を見つけられるようになるのではないでしょうか。
7、8歳の子どもは、まだまだ絵本を手に取って、優しい声で読み聞かせをしてもらいたい年齢かと思いますので、絵本は絵本で読んであげて、数冊選んだ絵本の中に1、2冊児童書を忍ばせるくらいで十分です。出来ればその1,2冊の児童書は、お子さんと一緒に選んで決めたものであれば、読書を促す上で理想的かも知れません。そして、冒頭にも言いましたが、ぜひ、最初の一回は読み聞かせてあげて、物語に集中させてあげてほしいと思います。字を目で追って、本をすらすらと読めるようになることと、物語を理解して読書の楽しさを知ることは全くの別物です。
児童書の面白さに気づくことが出来たら、子どもは暇な時に自分で本を手に取り、自発的に読書をするようになります。

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食欲の秋!あの物語の味を再現できるレシピ集を集めました!

夢のようなレシピ集があるのです。

もしも、あの絵本や小説に出てくる美味しそうな食べ物が、本当に食べられるとしたら、想像しただけで幸せな気持ちになりませんか?
今回は、物語を読んで、これまで想像することしか出来なかった食べ物が、実際に作れて味わえるレシピ本をたくさんご用意してみました。
絵本から現実世界に飛び出したレシピは、作り方も比較的簡単なものばかりなので、お子さんと一緒にチャレンジもしやすいですし、デザイン性も高いので、写真集のような感覚で見て楽しむことも出来ます。
季節は、読書と食欲の秋
どれもこれも、食欲の秋にピッタリな、美味しそうなレシピばかりなので、普段あまり料理やお菓子作りをしない方も、ぜひ一度、手に取ってみてはいかがでしょうか。

 

あの物語の味を再現できるレシピ集を集めました!

 

小学生高学年ぐらいなら、ひとりでチャレンジできる!

『わかったさんとおかしをつくろう!(全3巻セット)』永井 郁子・寺村 輝夫/著 あかね書房

長年、子どもたちに愛され続けてきた『わかったさんシリーズ』がレシピ本になって帰ってきました!なんと、30周年を記念して作られたということです。あの頃読み漁っていた少女が、今は3、40代となっている事実に驚愕・・・。
シリーズは、クッキーやドーナツ、アップルパイなどのレシピが載っている『わかったさんのこんがりおやつ』、クロカンブッシュやカッサータなど冷たいお菓子のレシピが載っている『わかったさんのひんやりスイーツ』、マドレーヌやクレープなどが載っている『わかったさんのふんわりケーキ』の全部で3作品となっています。全てカラーなのでお子さんでも見やすく、高学年ぐらいであれば、大半がひとりで出来るものばかりなので、親は補助に回ってお子さんにお菓子作りをチャレンジさせてあげるのも良いかも知れませんね。
 

食卓に並べば、お子さん大喜び間違いなし!

『こまったさんのレシピブック』寺村 輝夫/著 岡本 颯子/イラスト さわの めぐみ/監修 あかね書房

同じく、寺村輝夫さんのシリーズですが、なんと、「こまった、こまった」が口癖の『こまったさんシリーズ』も、レシピ本が出ています。
こちら、児童書だからと侮っていては、痛い目を見るかも知れない、なかなか本格的な料理レシピ本です。思えば本編に出てくるレシピも、手間を省かない本格派でした。小学生だった自分にはハードルが高かった料理の数々ですが、大人になった今ならレシピを見ながら難なく作れそうなものばかりです。
ぜひ、『こまったさんシリーズ』を読み聞かせてあげた後で、お子さんに作って喜ばせてあげてください。
 

眺めるだけで思わず笑顔になれるレシピ集。

『バムとケロのおいしい絵本 絵本のなかのとっておきレシピ集』島田 ゆか/監修 八木 佳奈/料理 文溪堂

『バムとケロ』のシリーズを読んだことがある人ならば、一度は食べてみたいと思うに違いない、あのドーナツが作られるレシピ本です。やまもりドーナツ、ふわふわのオムレツ、パンケーキ・・・魅力的なレシピの数々に子どもも目を輝かせます。
こちらの本にはステンシルシートの付録も付いているので、バム、ケロ、おじぎちゃんの3つの絵柄をいろいろなお菓子に描くことも可能です。バムケロ好きにはたまらない一冊ですね。
 

このシリーズは、絵本を読み返したくなる!

『だいすき!絵本からうまれたおいしいレシピ』きむら かよ・Backe 晶子・伊能勢 敦子/著 宝島社

まずは表紙の『ちびくろ・さんぼ』のホットケーキに見とれてください。絵本を読んだ時の「食べてみたい!」という、子どもの頃の願いが思い起こされるのではないでしょうか。
こちらのレシピ本は、累計34万部の人気シリーズから内容を抜粋、加筆により、新装改訂された最新版で、名作ぞろいのレシピがぎっしり詰まっています。
物語のどこで登場した食べ物であったか気になれば、もう一度再読してみるのも楽しいですね。
 

読者の夢を形にしたレシピ集!

『夢の名作レシピ マンガ・絵本・アニメのあの料理がつくれる!』星谷 菜々/監修 日本図書センター

こちらは、フルカラーで可愛らしいレシピが盛りだくさんのレシピ本です。
第一巻が『マンガに出てくるお菓子とごはん』、二巻が『絵本に出てくるお菓子とごはん』、三巻が『アニメに出てくるお菓子とごはん』となっていて、どの巻も作ってみたくなる魅力的なレシピが載っています。知っているお話を懐かしく感じたり、知らないお話は物語に立ち返って読んでみたりと、ぜひ、思い思いの方法でこの本を楽しんでみてください。
 

低学年女子に大人気の児童書がレシピ本に!

『ルルとララのかわいいデザートレシピ』あんびる やすこ/監修 ぴあ

こちらは、メープル通りにある小さなお菓子屋さんの小学生店長、ルルとララの作る美味しそうなお菓子が簡単な手順で作られるレシピ本です。レシピは写真が掲載されているので、完成品がイメージしやすく、モチベーションが上がります。ゼリーやいちごデザート、カップケーキなどのお馴染みレシピはもちろんのこと、物語には出てこないレシピも含まれていたり、アレンジレシピも載っているので、新しい発見もある一冊です。
今風に言えば、彩りが良い「映える」レシピのオンパレードですよ。
 

小さなお子さんもきっと笑顔に!

『絵本『からすのパンやさん』のパンをつくろう!Have Fun with Breab!』文化出版局/著 いとう みな(自家製酵母パン研究家)/パン製作・監修 文化出版局

こちらは、全部で84種類の造形パンが作れてしまうレシピ本ですが、もちろん、ただのパンではありません。
なんと、全てがあの「からすのパンやさん」が作って売っているパンなのです。基本の生地作りと成形のコツさえ押さえれば、お子さんと粘土感覚でパン作りを楽しむことが可能です。
パンが完成したら、ぜひ、絵本を読んで、完成したパンを眺めながら、物語の世界にどっぷりと浸かってください。
 

懐かしい世界の名作に出てくる、あのお菓子!

『今だから読んでほしい 物語に出てくる楽しいお菓子の作り方』吉田 菊次郎/著 朝文社

こちらは、12の作品から12のお菓子のレシピが紹介されているレシピ本です。有名な作品ばかりですが、改めて見てみると「あれ?この物語にこんな食べ物出てきたかなぁ?」と記憶は曖昧だったりするものです。
そんな私でも、記憶に残っていた食べ物が、『ナルニア国物語』の中で、次男が女王(魔女)からもらった「ターキッシュ・デライト」。日本人にはあまり馴染みのないお菓子ですが、トルコのお菓子だそうですね。女王から欲しいものはないかと訊ねられ、数ある食べ物の中から次男がチョイスしたのが、このターキッシュ・デライトでした。
この本には、そんな、これまで文字を追ってイメージしてきた魅惑的なお菓子が、写真とレシピで存分に味わえます。
 

美しい写真集のようなレシピ本。

『食堂かたつむりの料理』小川 糸・オカズデザイン/著 ポプラ社

こちらは、『食堂かたつむり』の中で、倫子がお客さんのために作った料理を再現したレシピ本です。
本編での倫子の丁寧なおもてなし料理の通り、手の込んだ料理の数々がレシピとして収まっています。一主婦が作るには、いささかハードルが高い気もするので、物語の裏側を知られる番外編のひとつとして楽しんでみてはいかがでしょうか。物語のその先を想像するように、物語で語られていない細かい部分も妄想してみると、小説の世界観も広がりを見せてくれる気がします。
料理の写真の盛り付け方が美しくて素敵なので、写真集を見ている感覚にもなるレシピ本ですよ。
 

小説の中の料理を完全再現!

『食べ物語る』BUNDANCOFFEE&BEER/著・編集 主婦の友社

こちらは、日本近代文学館の中の文学カフェ「BUNDAN」の料理やスイーツのレシピをまとめたレシピ本で、向田邦子、角田光代、太宰治、芥川龍之介など、その料理の元となった文学作品も一緒に紹介されています。
作品の料理そのままというよりは、例えば、梶井基次郎の『檸檬』を檸檬パフェにするといったようなアレンジが加わっているので、作品への忠実さを心がけるより実際の食べやすさを考えて考案されたレシピ集といった感じです。
表紙を見てもわかる通り、レシピの写真がとても美味しそうなので、見ているだけで癒されます。
 

七字さんのイラストにほっこり癒される。

『四十九日のレシピのレシピ』伊吹 有喜・なかしま しほ/著 七字 由布/イラスト ポプラ社

こちらは、小説『四十九日のレシピ』の中で、乙美さんの残した料理レシピや家事のコツが、物語の雰囲気そのままに手書き風な温かいイラストと共にまとめられている一冊です。
原作を読んだことのある方は、物語の余韻に浸れますが、読んでいない人でも冒頭に書かれている「当たり前に続くと思っていた日常。ずっとそばにいるはずだった人。」という言葉から、レシピの背景にあるものを何となく感じ取れるのではないでしょうか。幸せに暮らすために書き残されたレシピカード、それは紛れもなく、家族への愛そのものです。
小説から飛び出したレシピ集に、心の奥が温かくなります。

 

まとめ

いかがでしたか?
見ているだけで、よだれが出てきそうなレシピがたくさん載っているので、ごはん時に眺めるには注意が必要です。
思わず、「なつかしい!」と叫んでしまったり、物語の余韻を味わえるメニューもちらほらあったのではないかと思います。
物語の中の食べ物が実際に作れるなんて、夢のようなレシピ本ですね。

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「赤ちゃんはどこからくるの?」と聞かれた時に、読み聞かせたい絵本5選

子どもの純粋な疑問に答えて。

「赤ちゃんは、どこからやってくるの?」
ある日、ふと我が子にこう訊ねられたら、あなたは何と答えますか?
「コウノトリが運んできてくれた」?それとも、ごまかさずにあるがままのストーリーを語りますか?
おそらく、大半の親が戸惑い、口ごもってしまうのではないでしょうか。
どこまで話すべきなのか悩みますし、命の話をないがしろには出来ません。ちゃんと答えてあげようと考えれば考えるほど、難しいですよね。
今回は、そんなとっても大切な、性や、命の話について書かれている絵本を5冊選んでみました。
選んだ5冊の本の中には、性犯罪から身を守る術を丁寧に教えてくれる絵本も含めています。
性や命の話と一緒に、この機会にぜひ、お子さんに読み聞かせてあげてください。

「赤ちゃんはどこからくるの?」と聞かれた時に、読み聞かせたい絵本5選

 

ごまかし一切なしの、命の話。

『ぼくどこからきたの?~あるがままのいのちのはなし。ごまかしなし、さしえつき。~』ピーター・メイル/著・谷川 俊太郎/訳 河出書房新社

こちらの絵本は、子どもに語り掛けるかたちで、とても丁寧に説明していますが、かなり濃い内容になっているので読み聞かせる前に少し覚悟が必要かもしれません。一切のごまかしが無いので、子どもとしては知りたかったことを存分に知られるはずです。

親しみある絵で、子どもの「なぜ?」に答えてくれる絵本。

『なぜなのパパ?』きたざわ きょうこ/さく・やなせ たかし/え アーニー出版

こちらは、表紙の絵から見てもわかるように、子どもたちにとって、とっても親しみのある、やなせたかしさんが絵を担当されています。話のテンポも良く、子どもの知りたい気持ちに寄り添って、出来るだけわかりやすい、理解しやすい言葉を選んで作られたのがよくわかります。オブラートに包みつつ、知りたいことだけ的確に答えてくれているので、読む側もかまえずに読むことのできる一冊です。

自分の身体が大切だと知れる絵本。

『わたしのはなし』山本 直英・和歌山 静子/さく 童心社

こちらは、女の子に向けて書かれている絵本ですが、もちろん、読み聞かせるのは男の子であっても構いません。
この本では、心と体がいかに大切であるかを説いており、プライベートゾーンについても触れられています。命の話と言うよりは、プライベートゾーンを他人に触られるのは良くないということ、そのようなことをされた時にどう自分を守るかということが書かれています。赤ちゃんの話からは少し外れてしまうかも知れませんが、これも同じ性の話の一つとして、ぜひ、お子さんに伝えてあげてほしいと思います。

なぜ、自分がここに生きているのか。

『ぼくのはなし』和歌山 静子/さく 童心社

この絵本の主人公は男の子ですが、もちろん、こちらも女の子に読み聞かせてあげて構いません。
海君という、一人の男の子を通して、赤ちゃんがいるお腹の中の仕組みや、赤ちゃんが形になって生まれるまでのストーリーを可愛い絵で伝えてくれています。性交の図や話も少し出てきますが、あくまでも命が形になるまでのストーリーの一つとして伝えられているので、語りづらさはそれほどありません。

性被害から身をまもる術を教えてくれる絵本。

『とにかくさけんでにげるんだ~わるい人から身をまもる本~』ベティー・ボガホールド/作・安藤 由紀/訳 岩崎書店

こちらも、山本直英さん、和歌山静子さんの『わたしのはなし』同様に、自分の大切な心と体を守る術について教えてくれている絵本です。更に、こちらはもう少し具体的な例をいくつか紹介してくれているので、お子さんもいろいろなケースをイメージしやすいのではないでしょうか。
お子さんに命の話をする時に、ぜひ、それを脅かす存在がいるのだということ、如何なる場合も自分は全く悪くないのだということを一緒に話しておくことは、誘拐や性被害の予防にもきっと繋がるはずです。
こういった絵本を通して、親子で気軽に話せることは、親として、とてもありがたいと思います。

誰だって自分のルーツを知りたいもの。

いかがでしたか?
なるべく、恥じらいなく語れるものを選んだつもりですが、それでもまだ大人からみれば、戸惑ってしまう絵や単語が見られたりと、躊躇してしまうことがあるかもしれません。
しかし、『ぼくのはなし』のあとがきで、著者の和歌山静子さんは、こう言われています。
「この問いは、子どもにとっては、自分のアイデンティティ(正体)を確かめることなので、決して親はいいかげんに扱ってはいけません。」
和歌山さん曰く、「自分のルーツを知ることによって自分の価値に気がつく」のだそうです。
このことを常に頭においておけば、純粋な子どもの問いかけに恥じらっている場合ではないとすぐに気づくはずです。
誰だって、自分のルーツを知る権利があるのですから。
話しづらい話だからこそ、絵本に助けてもらいながら、ごまかさずに、ぜひ、教えてあげたいですね。

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~絵本で赤ちゃん返りを乗り切ろう!~兄弟が出来る我が子へ、読み聞かせたい絵本10選

読み聞かせで安心感に包まれて。

我が子に兄弟が出来ることは、喜ばしいことです。なぜなら、生きていく上で、互いに励ましあい、助けとなり、無条件に自分の味方となる存在は、そうはいないからです。
兄弟がいて良かったと我が子にも感じてほしいと思うのが親の性ですが、実際には、なかなか親の思い通りにはいかず、兄弟のありがたみを知るのは、もっとずっと後のことになるのが殆どなのではないでしょうか。
幼いうちは、兄弟が出来ることによって大好きなママを奪われるのではないかと子どもは気が気ではありません。下に兄弟が出来たからといって、そう簡単に、お兄ちゃん、お姉ちゃんに急にはなれないのです。お子さんによっては、赤ちゃん返りが起こってしまって手が付けられない状態になってしまうことも。そんな時、上のお子さんの気持ちに寄り添って、自分は愛されているのだという安心感を与えてあげられることが、お子さんの自己肯定感を育むことに繋がるのだと思います。
絵本は、こうした「安心感」を与えることにおいて、ピッタリなアイテムです。優しい声で絵本を読み聞かせてあげることで、母も子も穏やかな気持ちになり、安心感に包まれるのです。
今回、兄弟が出来る上の子の気持ちに寄り添える絵本を10冊選んでみましたので、これを機会に、ぜひ、お兄ちゃん、お姉ちゃんに、たくさん読み聞かせてあげてください。

 

兄弟が出来る我が子へ、読み聞かせたい絵本10選

 

温かい気持ちに包まれる絵本。

『わたしがあかちゃんだったとき』キャスリーン・アンホールト/さく・角野 栄子/やく 文化出版局

自分が赤ちゃんだった頃に着ていた小さな洋服をみつけたことをきっかけに、赤ちゃんだった自分のことをお母さんに訊ねる女の子。赤ちゃんだった自分は、何を食べていて、どんな遊びが好きで、どんな風に愛されていたのか・・・女の子の質問一つ一つに丁寧に受け答えをしながら、お母さんは、女の子へかけてきた溢れんばかりの愛情を示していきます。
この絵本を読んだ後で、「あなたも赤ちゃんだった頃・・・」と、お子さんに伝えられると素敵ですね。
 

上の子の心情の変化がなんとも健気!

『あなたってほんとにしあわせね!』キャスリーン・アンホールト/さく・星川 菜津代/やく 童話館

自分に弟が出来るなんて、これまで想像もしたことがなかった女の子にとって、赤ちゃんは異質の存在。
おばあちゃんは赤ちゃんを見て、「かわいい!」と言いますが、女の子にとっては「つぶれたいちごみたい」にしか見えません。それでも少しずつ向き合って、赤ちゃんと過ごす日々を楽しめるようになっていく女の子の心情の変化が、丁寧に描かれている作品です。
 

あかちゃんの一年がわかる写真絵本。

『あかちゃんてね』星川 ひろ子・星川 治雄/著 小学館

こちらは、産まれて一時間経った赤ちゃんが一歳を迎えるまでを、まるでお母さんが上のお姉ちゃんに優しく語り掛けているかのような文章と写真で紹介している写真絵本です。ページ最後の方には、一年間で赤ちゃんがどのくらい大きくなったかわかる写真が見開きで載っているので、赤ちゃんの成長の早さに驚くお子さんの顔が見られるかもしれませんね。上の子にとって、これまで未知の存在であった漠然としていた妹(弟)のイメージが、写真によって、より鮮明に思い描くことが出来る一冊です。
 

お腹の中の赤ちゃんを身近に感じられる絵本。

『おへそのあな』長谷川 義文/さく・え BL出版

こちらは、今はまだお母さんのお腹の中にいる赤ちゃんが、お母さんのおへその穴から、外の様子を見たり、聴いたりしている、微笑ましいお話です。お腹の中に赤ちゃんがいると言われても、それは当然目に見えないので、子どもたちにとっては、どこか現実味がなくて釈然としませんが、この絵本を読んであげることで、目には見えなくても、ちゃんとそこに命があることに気づいてもらえるのではないでしょうか。
「なんで絵が逆さなの?」子どもの口からそんな疑問が出てきたら、親としてはしてやったりですね。
 

戸惑いながらも、楽しみで仕方ない、ぼくの弟。

『あかちゃんがやってきた』角野 栄子/さく・はた こうしろう/え 福音館書店

「おーい、おとうと」生まれてくるのは弟に違いないと、弟と遊ぶ自分を想像するお兄ちゃん。妄想はどんどん膨らんで、留まることがありません。
こちらは、まだ見ぬ赤ちゃんに、嫉妬心を抱きつつも、赤ちゃんの誕生が楽しみで仕方ない男の子のお話です。読んでいると、男の子のドキドキとした気持ちが伝わってきて、自然と笑顔になります。最後には、ちょっぴり意外な展開が待っていて「どおりでお腹の大きさが・・・。」と思わず呟いてしまいました。
弟(妹)が出来ることによる、純粋な喜びに溢れる絵本です。
 

構ってほしい。切ない気持ちはネコも一緒。

『ねえだっこして』竹下 文子/さく・田中 清代/え 金の星社

こちらは、お母さんのお膝を赤ちゃんに奪われてしまったネコの、切ない気持ちを描いています。
「わたし まってるから あとでで いいから」そう言って、自分に関心が向くのをひたすら待つネコ。
「あかちゃんなんて つまらない」お母さんと赤ちゃんのやり取りを見ながら、そんなことを考え、「わたし もう おおきいから」なんて、ネコは自分に言い聞かせるのです。
翌々考えれば、これらの感情は全て、上の子が抱くそれと同じですよね。ただし、人間の子は、ネコのように素直に甘えにいけません。だからこそ、少しのシグナルに気づいて抱きしめてあげたいですね。
 

上の子の気持ちに、全力で寄り添った絵本!

『ちょっとだけ』瀧村 有子/さく・鈴木 永子/え 福音館書店

赤ちゃんが生まれてから忙しいママを横目に、自分で着替えたり、髪を括ってみたり、なっちゃんはママの手を借りることなくいろいろなことに精一杯挑戦します。
それらが「ちょっとだけ」成功した時の満足気な表情や、一生懸命”おねえちゃん”を頑張る健気さに、胸の奥がきゅっと締め付けられる作品です。母親が下の子のお世話をしている間、上の子は、少なからず、何かしらの我慢を強いられているのだということに、改めて気づかされます。読むと、上の子を抱きしめたくなるかも知れません。
 

妹を可愛がる、しっかり者のお姉ちゃん。

『あさえとちいさいいもうと』筒井 頼子/さく・林 明子/え 福音館書店

こちらは、面倒見がいい、しっかり者のお姉ちゃんのお話です。
これまで紹介してきた、妹(弟)への戸惑いが隠せない主人公たちとは少し違い、あさえは、自分より幼い妹を守るべき存在であるとちゃんと認識していて、一生懸命”お姉ちゃん”をしています。いなくなった妹を心配して、必死に探して駆け回り、妹への愛が溢れています。
この素敵な”お姉ちゃん”にも、きっと、妹を可愛いと思えなかった時期があったのかな、それを乗り越えて、今こうして小さな妹を大切に思っているのかな、なんて、物語上にないことまで想像が膨らんでしまう作品です。
 

ピーターのささやかな抵抗が愛らしい絵本。

『ピーターのいす』E=ジャック=キーツ/さく・きじま はじめ/やく 偕成社

ピーターは、妹のスージーが生まれてから、自分の物だったものが次々にピンク色に塗り替えられ、スージーの物へと生まれ変わっていくのを目の当たりにします。この絵本では、この時のピーターの感情が何であるかの説明は一切なく、ピーターが自分の物だったそれを見つめる絵と、「あれ、ぼくの ゆりかごだったのに」、「あれ、ぼくの しょくどういす なのになあ」といったピーターのセリフだけで、言葉にならない感情を表現しています。
やがて、まだ青いままの椅子を見つけたピーターは、ある一大決心をするのですが、それがなんとも意地らしく、親目線で見ると可愛いのです。
絵は、コラージュ(切り絵)で出来ており、日本の和紙も使われている為、どこか温かみのある仕上がりになっているのも作品の雰囲気にあっていて素敵です。
 

愛されている自分に気づくことが出来る絵本。

『おたんじょうびのひ』中川 ひろたか/さく・長谷川 義文/え 朔北社

6歳になる、よしふみ君のお誕生会を前に、園では、みんなが生まれた時のことや、赤ちゃんに興味津々です。
赤ちゃんだった自分のことをお母さんに聞きたい”ぼく”は、家にかえって、早速お母さんに訊ねます。「おかあさん、ぼく うまれたとき どんなだったん?」お母さんの口から語られる、赤ちゃんだった時の自分。
懐かしそうな表情でどこか嬉しそうに答えるお母さんを見ていると、子どもであっても、きっと、これまで大切に育てられてきたのだということがわかるのかも知れませんね。
読んだ後で、赤ちゃんだった頃の子どものアルバムを開いて見たくなるのは、きっと、私だけではないはずです。

 

読み聞かせは、年齢制限なし!

いかがでしたか?今回は、赤ちゃん返りが起こってしまう原因にも意識を向けつつ、上の子の気持ちに寄り添った内容や、下の子がまだお腹の中にいるうちから読んであげることで「妹(弟)が出来る」ということがどういうことなのか、よりイメージしやすい内容の絵本などを選んでみました。
読み聞かせには、何歳までという上限はありません。お子さんが望む限り、たくさん読んであげてください。
間違っても、「もう、〇歳なんだから、自分で読めるでしょ!」なんて、突き放すような冷たい言葉はかけないであげてほしいです。
お子さんが読んでほしい時は、きっと、愛されているという安心感に包まれたい時。
そんな時は、出来るだけ受け入れて、精一杯応えてあげたいですね。