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◆小学3、4年生◆ 中学年に司書がおすすめする、児童書10選

物語の世界にどっぷりと浸かれる年齢

 

高学年にもなれば、勉強にいよいよ本腰を入れていかなければなりませんが、(個々の事情にもよりますが)中学年は、クラブ活動や塾の時間を差し引いても、自分の好きなことに使える時間が比較的多い学年です。
学校生活にもすっかり慣れて、宿題を終わらせるのも早くなり、余った時間をテレビやゲームに使うお子さんもいらっしゃるのではないでしょうか。
この、好きなことに使える時間を、ぜひ、読書に向けてもらいたいと思うのが、司書の性。
面白い本との出会いは、時に、その子の人生を変えることだってあるのです。
親子で同じ本を読んで、感想を共有しあうこともお勧めです。

今回、10冊の児童書をご紹介していますので、これを機会に、ご家庭で読書の時間を設けてみてはいかがでしょうか。

中学年に司書がおすすめする、児童書10選

 

 

不思議な冒険へ繰り出そう!

『マジックツリーハウス』メアリー・ポープ・オズボーン/作・食野 雅子/訳 メディアファクトリー

ジャックは、読書と自然観察が大好きな8歳の男の子。アニーは、空想や冒険が大好きな元気いっぱいの7歳の女の子。
そんな仲良し兄妹が、ある日見つけたツリーハウスは、魔法のツリーハウスでした。二人がツリーハウスの中で本を見ていると、突然ツリーハウスが回りだし、なんと本の中へ行ってしまい・・・。

こちらは不思議な冒険に心躍るシリーズです。一巻では恐竜時代にタイムスリップしますが、以後も色々な本の中へ行くので、このシリーズから、色々な時代で実際に起きたことや、実在する登場人物に興味を持つ子も多くいるようです。絵のないページも多々ありますが、字が大きめなので、3、4年生のお子さんには読みやすいシリーズです。
うちの7歳長男にも、少し早いかな・・・と思いながら読み聞かせてみたところ、真剣に聞いてくれました。
これまで読んできた絵本の中で、冒険ものは多くありましたが、「本の中の時代へ行く」というストーリーが新鮮だったようで、絵がないページも、彼なりに想像を膨らせて楽しんでくれていましたよ。
 

小1むすこ
小1むすこ

マジックツリーハウスから恐竜の時代へ行けるところが、夢みたいで面白かった。
こんな秘密基地があればいいのに・・・。

 

ロングセラーシリーズの中で、特に人気の作品が集まった!

『クレヨン王国の十二か月 クレヨン王国ベストコレクション(青い鳥文庫)』福永 令三/作・椎名 優/絵 講談社

500万部ロングセラー、「クレヨン王国」シリーズが新装版になり、挿絵も新しくなって戻ってきました。
王妃の悪い癖12個を直してほしいがために、家出をしてしまったクレヨン王国の王様。ユカと王妃は王様を探す旅をすることになりましたが・・・。

こちらは、主人公ユカと一緒に、不思議な旅の入り口に立てられる名作シリーズです。
子どもの頃、クラスで新巻を取り合いになったことを思い出し、大人になってから再読。
そうそう、こんな話だったと懐かしみながら読みましたが、シルバー王妃に親近感が沸くのは、私がしっかりしていない大人になったから?と感じて見たり・・・。子どもの頃はシルバー王妃にヤキモキしていたので、大人になってから読むと、また感じ方が違いますね。
「自分のクレヨンも、こうだったら」なんて、キラキラと膨らむ想像の世界。ファンタジーはいいですね!

 

ここの駄菓子は美味しいだけじゃない。

『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』廣嶋 玲子/作・jyajya/絵 偕成社

銭天堂の駄菓子は、美味しいだけではありません。迂闊な気持ちで手を出すと、とんでもないことになる可能性があります。例え、幸せの鍵を手に入れたとしても、使い方次第で、幸にも不幸にもなりえるのです。
「型ぬき人魚グミ」や「猛獣ビスケット」など、駄菓子の名前が章のタイトルにもなっているこちらの作品は、どこか『笑うセールスマン』や「世にも奇妙な物語」を彷彿とさせる不気味さがありますが、可愛らしい絵のタッチも相まって、そこまで怖くはなく、むしろ、登場人物がどういう結末を迎えるのか、怖いもの見たさで、興味深く読み進められます。
中学年には、これくらいの不気味さがクセになるようですよ。
いろいろな駄菓子が出てくるので、個人的には、どんな味がするのだろうかと気になる作品です。

シリーズは2019年10月に出版された12巻で、第2シーズンに入っていて、中学年でこの作品に出会った読み手が、高学年になっても、引き続き、好んで読んでいるケースが多いように感じます。

 

猫たちの友情に想像力を膨らませて。

『ルドルフとイッパイアッテナ』斉藤 洋/作・杉浦 範茂/絵 講談社

飼い猫だったルドルフは、トラックに乗ってしまったことから飼われていた家に戻れなくなってしまいました。
見知らぬ地でノラネコのイッパイアッテナと知り合い、ノラネコとして生きていく術を学び、小さいながらも一生懸命考えながら生きるルドルフ。そんなルドルフに最初は興味本位で近づいたイッパイアッテナですが、やがて、イッパイアッテナにとってルドルフはかけがえのない存在へと変わっていくのでした・・・。

ルドルフには最初から優しく接してくれていたイッパイアッテナですが、行動を共にするうちに、その関係はますます濃いものになっていき、読んでいると見返りを求めない友情を羨ましく感じてしまいます。小学一年生の我が子に読むには、まだ少し早いですが、いつかこの本を読んだ時、「こんな友達いいな」と感じてもらえると素敵だな~と、親心に思いました。
 

小1むすこ
小1むすこ

ルドルフが「いっぱいあってな。」を、勘違いして「イッパイアッテナ」っていう名前だと思ったところが面白かった~。
まだ自分では読むのが大変だけど、今はこの本を読んでもらうのが一番好き!

 

中学年から高学年まで人気!

『黒魔女さんが通る!!』石崎 洋司/作・藤田 香/絵 講談社

オカルトマニアの黒鳥千代子(チョコ)は、ある日、呪文を唱えてキューピットを呼び出すつもりが、間違えて黒魔女ギュービッドを呼び出してしまいました。そして、ひょんなことから黒魔女修行をすることになってしまい・・・。

黒魔女ギュービッドが出てきて黒魔女修行、なんて、一見、思いっきりファンタジーなのかと思いきや、クラスのいじめや、女子特有のグループの感じなど、小学生のリアルも垣間見ることができる作品です。「学校の怪談」が軸としてあるので、怖い話が苦手な子は尻込みするかも知れませんが、コメディー要素も豊富なので、割と安心して読めますよ。ただ、なめてかかると、意外と怖いと感じるかも知れません。

 

昆虫好きは必見!

『ファーブルの昆虫記』アンリ・ファーブル/作・松岡 達英/絵 中村 浩 , 江口 清/訳 講談社

こちらは、虫たちの世界がとてもわかりやすく説明されている昆虫記です。
頭や首が無くなって、メスに食べられながらも、それでも子孫を残すことをやり遂げようとするオスのカマキリ。生きながらにして、ゴミムシに食いちぎられる毛虫の最後。説明は子供向けながら、内容は、大人でも、はっとさせられます。
虫たちに対する表現がどこか人間的で、時を忘れ、虫たちをじっくりと観察して、ファーブルが、まるで、虫たちの一員にでもなったつもりで、これを書き上げたのではないかと、読んでいて思わずにはいられません。

 

ここで出会って気に入った作品は、原作を読もう!

『10歳までに読みたい世界名作シリーズ』学研プラス

こちらは、読書嫌いが克服できるようにいろいろな工夫が散りばめられた、読書のきっかけに良いシリーズです。
一冊の中に、好まれやすいタッチのイラストが50点以上も盛りこまれているので、活字を読みなれていない子も物語に入り込みやすく、さくさく読むことが出来ます。このシリーズで、沢山の名作と言われている作品を知って、「このお話が好き!」と感じたら、ぜひ、原作に挑戦して、新たな読書の扉を開けてみてほしいと思います。
このシリーズを通して、知らなかった沢山の名作と出会えると良いですね。

 

奇妙な世界にハマる子多数!

『きまぐれロボット』星 新一/作・和田 誠/絵 理論社

お金持ちのN氏は、博士から便利なロボットを買い、このロボットと共に、離れ島で暮らすことにしました。悠々自適な生活が送れるかと思いきや、ロボットは、壊れたり、狂ったりし始めて・・・。(他30の物語を収録。)

これまで、まっすぐなメッセージ性のある児童書しか読んでこなかった子どもたちにとって、このショートショートシリーズは、とても新鮮に感じられるかもしれません。何といってもオチが秀逸。はっきりとしたメッセージ性はなく、必ずしも教訓めいているわけではありませんが、読めば、時にドキリとさせられたり、クスッと笑えたりと、ひねりがきいています。胸がざわつくラストの虜になってしまうかも知れませんね。

 

登場キャラクターたちが魅力的!

『黒ねこサンゴロウ』竹下 文子/作・鈴木 まもる/絵 

お父さんに会いに行くために乗車した電車で、黒ねこのサンゴロウと出会ったケンは、ひょんなことから一緒に宝探しの旅へ行くことに。旅のはじまりから、ドキドキが絶えず、楽しみながら読むことが出来るシリーズです。

幼年期に、竹下さん鈴木さんコンビの絵本に慣れ親しんできたお子さんにはぜひとも読んでもらいたいのがこちら。
1巻は、このシリーズの序章であり、物語が本格的に動きだすのは2巻からなので、1巻で読んだ気にならず、2巻もセットで読んでみられることをお勧めします。竹下さんの作品とくれば、鈴木さんの挿絵。今回もピッタリと合っていて、物語を引き立てています。
個人的には、常に落ち着いていて、年齢不詳なサンゴロウがツボですよ。

 

読んで、何を感じるか。

『窓ぎわのトットちゃん』黒柳 徹子/作 講談社

トットちゃんは、好奇心旺盛な女の子。ある日、先生を困らせて、学校を退学になってしまったトットちゃんは、お母さんに連れられて「トモエ学園」という学校にやってきました。ここでは、前の学校のようにトットちゃんを叱りつける大人はおらず、自分の好きな科目から勉強をすることが出来ます。そんな子供主体のトモエ学園での生活は、トットちゃんにとって、とても過ごしやすいものでした。
こちらは、タレント黒柳徹子さんの自叙伝であり、海外でも翻訳されて出版されている、ベストセラー本です。

今は、支援の必要な子には手を差し伸べるなど、学校現場では、その子のペースに合わせたカリキュラムが組まれた教育を行うようになっていますが、トットちゃんの時代は、なかなかそういった子が理解されなかったことが、この作品を読んでいるとよくわかります。
トットちゃんのような子が只々「問題児」として、先生たちから怒鳴りつけられてきたことを思うと胸が締め付けられますが、子どもたちの目に、トットちゃんや、トモエ学園は、どう映るのでしょうか。
ぜひ、この作品から多くのことを感じ取ってもらいたいです。いろいろな友達がいて、みんながそれぞれの方法で一生懸命生きているのだということを知るきっかけにもなるかも知れませんね。

9歳~10歳は沢山の作品に触れる時期

いかがでしたか?一言に「児童文学」と言ってはみても、大人が読む小説同様に、冒険ものからファンタジーや、ミステリーまで、そのジャンルは多岐にわたります。だからこそ、読みやすく感じたり、逆に、読みづらく感じたりと、子どもの好みによって作品から受ける印象は様々であり、普段本を読まない子が1、2冊の本を読んだところで、本好きには到底なれっこありません。

9歳から10歳の年齢のお子さんは、とにかく数を読んで、沢山の作品に触れることが大切です。
あまり本を読まないお子さんには、子どもが好きそうな表紙の本を、そっとリビングに置いておいたり、冒頭を少し読み聞かせてあげたりすることで、お子さんの読書意欲を高めることに繋がるかも知れませんね。

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