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絵本を読む理由って何ですか?
「絵本は、何歳から読み聞かせをすればいいのでしょうか?」
公共図書館で働いていた頃、こんな質問を受けたことがあります。例えば、児童文学や小説などを読むことは、色々な価値観に触れることで客観的に物事が考えられるようになったり、語彙力が身についたり、疑似的な経験が得られたりと他にも多くのメリットが一般的に挙げられていますが、まだ言葉も話せない乳児にこれらを求めて読み聞かせをするのは筋違いですよね。
では、乳児に絵本の読み聞かせをする理由とは何でしょうか。
言葉が早く出るようにと願って、読み聞かせをする方も中にはいるかも知れません。読み聞かせをすることで赤ちゃんが早く話すようになる効果があるのかは分かりませんが、どのような真意であってもわが子に絵本を読み聞かせているお父さんお母さんは、きっと穏やかな気持ちで子どもと向き合って読み聞かせをしているはずです。赤ちゃんにも、その穏やかな気持ちは表情や声を通して届いているはずであり、乳児に絵本を読み聞かせをする良いところは、まさにそこにあるのではないかと私は思います。読み聞かせを通して赤ちゃんに与えられるものは、安心感です。
表情が豊かな月齢になってくると、読み聞かせの中で笑いかければ赤ちゃんも笑います。これは立派なスキンシップです。言葉で訴えることの出来ない赤ちゃんにとって、こういった安心感を得ることは、とても重要なのではないでしょうか。もちろん、読み聞かせている側にとっても、心穏やかにいられるこのひと時は、日々の慌ただしさから離れられる、かけがえのない時間となるのです。
冒頭の質問に戻りますが、私が出した答えは「いつからでも」でした。
極端な話、読み手が穏やかな気持ちでいられるのであれば、産まれたてでも良いのです。ですが、出産してしばらくは寝られない毎日が続きますし、体力的にも精神的にも絵本を図書館や書店へ選びに行く余裕など無いでしょう。そうであれば、表情が豊かになってくる月齢を待ってからでも遅くはありません。自治体によっては、健診時などに愛育委員や市の図書館が、絵本をプレゼントしてくれる所があるようです。こうした絵本から手始めに読み聞かせて、わが子の反応を楽しんでみてはいかがでしょうか。
赤ちゃんへのスキンシップの手段の一つとして、絵本を沢山読んであげてください。
0歳児におすすめの絵本
わが子と私の読み聞かせストーリーは次のような感じです。まず、自治体から頂いた絵本のプレゼントをわが子に読み聞かせしまくった私は、次に図書館から数冊借りてきて子どもの反応を確かめました。そして、食いつきが良かったものを書店で購入し、何度も何度も読み聞かせをしました。毎回同じところで声を出して笑うようになったわが子は愛おしく、気づけば子どものお気に入り絵本は1冊から複数冊に増え、小学一年生となった今でもその冊数は更新し続けています。
これから、そんな0歳児であったわが子がハマった絵本を5冊ご紹介します。(これはあくまで私の見解ですが、赤ちゃんに読み聞かせをする場合、手あたり次第読み聞かせるよりも、1~5冊を何回も読み聞かせしてあげる方が赤ちゃんに受け入れられやすい様に思います。)今回紹介する絵本は、わが子に喜ばれた絵本であって、必ずしも他のお子さんには当てはまらないかも知れません。ご参考程度にご覧ください。
赤ちゃんに対して、どのように絵本を読んであげたら喜ぶのかを踏まえつつ、ご紹介が出来ればと思います。
『だるまさんが シリーズ』かがくいひろし/さく・え ブロンズ新社
このシリーズはどれもだるまさんが可愛らしくて面白いのですが、0歳児には『だるまさんが』をお勧めします。
こちらは「だ・る・ま・さ・ん・が、」で始まり、次のページでだるまさんが伸びたり縮んだり・・・読み聞かせをする時のコツは、だるまさんの動きに合わせて絵本を持つ腕も伸ばしたり縮ませたりして絵本全体で楽しむことです。また、この絵本はリズミカルでもあるので、「だ・る・ま・さ・ん・が、」では自分の体も左右に揺らして読むと赤ちゃんも喜びますよ。実はこの絵本は読み聞かせをスタートしてから、わが子が初めて笑顔を見せてくれた絵本でした。お母さん(お父さん)が楽しんでいると赤ちゃんにも伝わるのかも知れませんね。
これ、ぼくが赤ちゃんの時に破いて、いまはボロボロだよ。
だるまさんの動きが、今見ても面白いね~。(息子談)
『ちゅっちゅっ』MAYA MAXX/さく・え 福音館書店
こちらはタイトルの通り、キスをする絵本です。パンダの親子や、うさぎの親子など、動物の親子がページごとに出てきて「ちゅっちゅ」とします。そして、最後は人間の親子が出てきて「ちゅっちゅ」とするのですが、ここをわが子の名前に変えて「ちゅちゅちゅちゅちゅちゅ~っ」と赤ちゃんの体に顔をうずめて愛情表現できるのがこの絵本の醍醐味だと私は勝手に思っています。大丈夫。赤ちゃんもちゃんと喜んでくれます。(万が一泣いたら、直ちに止めてあげてください。)
また、この絵本は、赤ちゃんが最初にわかる色といわれている赤一色で描かれているので、じっと真剣な眼差しで絵本を見つめる赤ちゃんも見られて癒されますよ。
この絵本大好き!いろんな動物が出てくるよ~。(娘談)
『ぴょーん』まつおか たつひで/さく・え ポプラ社
こちらは、いろいろな生き物が「ぴょーん」とジャンプをしていく絵本です。ジャンプに成功するかどうかは次のページで明らかになるのですが、飛びそうな生き物から、カタツムリや魚など、一見飛ばないと思われる生き物までが登場します。赤ちゃんに読み聞かせをする時は、『だるまさんが』の時と同様に絵本を高く上げながら「ぴょーん」と言うと笑顔が見られたりします。1、2歳児に読み聞かせをする場合には、「ぴょーん」のところで子どもに高い高いをしてあげると最高の笑顔が見られますよ。
『あかちゃん』tupera tupera/さく・え ブロンズ新社
こちらの絵本は、絵本そのものが色々なものに変わっていきます。まずは表紙で赤ちゃんの顔からスタートし、この顔がページをめくっていくたびに段々と泣き顔になり、そんな赤ちゃんをあやす為に絵本は太鼓に変わったり、ボールに変わったり、挙句の果てにはオッパイになったり・・・丸い絵本の形はいろいろなものに変身します。読み聞かせをする時は、太鼓の時には軽く太鼓を叩いて音を鳴らし、ボールの時はボールをポンポンとつくマネをして、一緒に楽しんでください。一歳ぐらいになるとそれを自分でマネし始めて、可愛らしい様子が見られると思います。1歳に近づいてくると、絵本の赤ちゃんのマネをして同じ表情で読み聞かせると、笑ってくれました。
『じゃあじゃあびりびり』まつい のりこ/さく・え 偕成社
こちらの絵本は色々な”音”が出てきます。不思議なもので、大人が読んでも何てことないのですが、赤ちゃんはこの絵本に出てくるたくさんの”音”に釘付けです。赤ちゃんによってはスーパーの袋のガサガサという音でご機嫌になったり、掃除機の音で安心して寝てしまう赤ちゃんもいるので、ひょっとしたら赤ちゃんにも好きな音、安心する音がそれぞれあるのかも知れませんね。
今はどこが面白かったのか、よくわかんないや~。(息子談)
いかがでしたか?ここに紹介した5冊は、最初に述べた通り、全て自分の子どもに読み聞かせをして反応の良かった絵本です。
実際に私が肌で感じた結果を紹介させて頂いています。気になった方は、ぜひ一度、図書館や書店で実物に触れてみてください。