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小・中学生職業調べにおすすめの本20冊

 

目次

キャリア教育で図書資料を活用しましょう

いつの頃からか、中学生は職業について調べ、社会のマナーや働く姿勢等について学んだ後、地域の会社や商店へ職場体験へ行くようになりました。最近ではネットに頼った調べ学習から企業の人を招いた講演型の授業まで、キャリア教育の方法も学校により様々ですが、司書としては、こういった調べ学習の場でこそ、資料を自分で探して答えを見つける方法を一緒に学んでほしいと思うわけです。せっかく学校に図書室があるわけですから、どんどん資料に触れて、知識を手に入れてほしいです。

今回、小・中学生のキャリア教育(職業調べ)におすすめな本を20冊集めました。将来の夢に具体的なビジョンを持ちたい人は、ぜひ、学校の図書室や近隣の図書館で資料を探してみてください。

 

小・中学生のキャリア教育におすすめな20冊

就きたい職業がまだない人は、これ!

『新13歳のハローワーク』 村上 龍/著 幻冬舎

将来就きたい職業が、まだ決まっていない人は、そこから見つけていかなければなりません。そこで身近な「授業科目」から職業を絞っていけるのがこの『新13歳のハローワーク』です。誰にだって好きな科目、苦手な科目があると思いますが、今現在好きであったり得意であったりする科目の項目を引けば、その分野の仕事を見つけられるようになっています。

例えば、「国語」が好き・興味がある という項目を引くと、更に、

 

 1.随筆や物語を読む

 2.詩や作文など文章を書く

 3.詩や文章を朗読する

と分かれているので、その中から自分の好きなことのページを見てみます。

私を例にすると、どちらかというと読むより書く方が好きなので、2.の「詩や作文など文章を書く」という項目を引いてみます。すると、いろいろな職業が出てきます。作家、コピーライター・・・。どんな職業が自分に向いているか知ることが出来るので、この本を職業調べの始めに開いてみてください。

 

 
職種から仕事を選びたい&働く生きた声を聞いておきたい人は、これ!

『あこがれ仕事百科』NHKラジオ第1「きらり10代!」制作班/編 実業之日本社

こちらは、「接客・サービス系」、「専門・技術系」等、職種ごとに職業が分かれて載っています。大体どの分野の仕事に就きたいか定まっている人は、その職種に関係のある職業について理解を深めるのに調度いいかも知れません。

例えば、「接客・サービス系」の項目を開いてみると、ホテルフロントや看護師、バスガイド等、9種類の職業が紹介されています。各々の職業の紹介ページでは、実際にそこで働いている先輩たちの生の声を聞くことが出来るので、理想と現実との間にうまれるギャップを最小限に抑えられるかも知れません。この本のインタビューに答えている先輩たちにも、進路を迷った時期があったのです。もちろん、自分の未来をイメージ出来ている人だけでなく、全く将来のビジョンが見えていない人にも、こういった先輩たちから発せられる言葉はとてもためになります。本書にも、次のような記述が見られます。

君が、「何になりたいか、まだ決められない・・・」と思っているなら、何も無理に決めなくてもいいのではないでしょうか?この本で紹介した仕事人の多くも、君たちと同じように、10代のころは迷っていました。この本には、迷っていた先輩たちからのメッセージが載っています。ぜひ、そこを読んでください。これから何をすればいいのか、そのヒントに出あえると思います。(『あこがれ仕事百科』NHKラジオ第1「きらり10代!」制作班/編 実業之日本社 P.4)

将来を考え始めた時に、ぜひ、手に取ってもらいたい一冊です。

 

楽しみながら仕事のイメージを膨らませたい人は、これ!

『こどもおしごとキャラクター図鑑』 給料BANK/著 宝島社

こちらは日本の職業をゲームキャラクターのように紹介しています。職業のイメージから能力や装備を説明しており・・・と、ここまでの説明では何のことやら分かりづらいかも知れませんが、要は、視覚と短い文章で端的にどのような職業であるか分かるようになっています。

例えば、個人的に気になる図書館司書のページを見てみると、「図書館司書」の前にキャッチフレーズが付いていました。「10万冊読んでも人生は変わらなかったけど生き方は変わりました 図書館司書」。

この本によれば、司書の能力は、

  • 獲得できる平均報:220000G
  • まほう:ブックサーチ(すぐさま探している本を見つけることができる)、ブックリターン(たくさんの読まれた本を棚に一気に戻すクリア魔法)

装備は、

  • 検索の魔導書
  • 司書のエプロン
  • カテゴライズ樹形図

となっています。これらの説明の一番下に、「図書館司書のおしごと」という欄があり、詳しい仕事内容やなり方について具体的な説明が載っています。それぞれの職業のキャッチフレーズが見ていて楽しいですね。本を普段読む習慣がない人にはもってこいな一冊かも知れません。

仕事に就いた時のタイムスケジュールが知りたい人は、これ!

『大人になったらしたい仕事 「好き」を仕事にした35人の先輩たち』 朝日中高生新聞/著 幻冬舎

こちらの本は、下のような「好きなこと」から職業を調べることができます。

  • 機械やしくみが好き
  • のりものが好き
  • 自然や動物が好き
  • 食べることが好き
  • 人と話すのが好き
  • 人を助けるのが好き
  • 絵をかいたり物をつくったりするのが好き
  • 本を読むのが好き
  • 人を楽しませるのが好き

思い当たる自分の「好き」のページを捲ると、その「好き」を仕事に結びつけた先輩たちのインタビューが載っています。(一つの「好き」項目につき、職業は2~6個ほど紹介。)その仕事に就こうと思った理由や、仕事の楽しさ、大変なことなどが事細かに話されていて、その仕事の本質がとてもイメージしやすいです。特に、その職業に就く人の一日を大まかな時間に区切って紹介しているので、これを働き方の目安とすることが出来ます。具体的なイメージを膨らませやすいので、見ていてワクワクしてくる一冊です。

小学生にもおすすめなのは、これ!

『好きなモノから見つけるお仕事』シリーズ 藤田 晃之/監修 学研プラス

こちらは4冊からなるシリーズで、それぞれ、

  1. あそびから見つける
  2. 家の中で見つける
  3. 家の外で見つける
  4. 学校で見つける

と各巻でテーマごとに職種を分けて紹介しています。一巻の「あそびから見つける」を見てみると、

  • テレビ
  • サッカー
  • 絵本
  • 音楽
  • ゲーム

に更に分けられていて、それに関係した職業が数種類載っています。

例えば、この中の「テレビ」だと、章の表紙に、テレビに関係する職種を「番組を考える」側と「番組をとる」側に括って図(絵)で簡単に把握出来るようになっています。ここで気になった職業があれば、記載ページにとんで確認が出来ます。それぞれの職業ページは、仕事の様子をカラーの写真で紹介し、実際にその職業に就いている人達に「仕事をはじめたきっかけ」や「仕事の魅力」を聞いて載せています。こちらも大まかなタイムスケジュールが載っていたり、その職業に就くためのモデルコースが簡単に図で表されていたりとイメージがしやすくなっています。1ページの中に多くの情報がとても分かりやすく載っているので小学生にもおすすめです。

掲載職種655種類!あの百科事典から特化シリーズ!

『ポプラディアプラス仕事・職業 職業図鑑 上・下』ポプラ社

キャリア教育の資料として、絶対に外すことのできないシリーズがこちら。百科事典『ポプラディア』の「仕事」に特化したシリーズです。掲載職種は655種類。これを30のジャンルに分けて紹介しています。これまで紹介してきた資料と同じように仕事内容や、やりがい、その職業に就く方法、インタビューなどが載っていますが、違う点をいえば、職業紹介ページの右上に「興味・関心マーク」というものが表示されています。可愛らしい絵で描かれたマークの種類は、機械、チーム、コツコツ等、全部で10種類あって、このマークを見て自分の興味や性格に合った職業を探すことが出来ます。職業調べの参考にしてください。ちなみにそれぞれのマークの意味をいくつかご紹介しておくと・・・

  • ものづくりマーク→自分で何かをつくりだすことが好き
  • 人と接するマーク→人と話したりかかわったりすることが好き
  • チーム→チームで役割を分担して何かをすることが好き
  • コツコツ→コツコツと何かにとりくむことが好き 等

この図鑑で気になる職業をみつけて、大体のイメージを掴んでおくと、後の調べ学習がスムーズに進んでいきますね。

職業調べで、学習のモチベーションも高まってしまう?!

『5教科が仕事につながる!』シリーズ 松井 大助/著 ぺりかん社

最初に紹介した『新 13歳のハローワーク』のような、中学生に馴染みのある「科目」から職業を調べる本が他にもあります。こちらの『5教科が仕事につながる!』シリーズは、丸々一冊、一つの科目に注目して、この科目が職業でどのように役立っているのかを紹介しています。職業調べとしてももちろん効果ある一冊ですし、学習のモチベーションを高めることにも繋がります。『5教科が仕事につながる!社会の時間』を例に見ると、

  • 「公民」を活かす仕事
  • 「地理」を活かす仕事
  • 「歴史」を活かす仕事
  • こんな分野でも「社会」が活きている

の4章からなり、例えば、このうちの「公民」を活かす仕事としては、保育士や警察官、シナリオライター等が挙げられています。中身を見て感じることとしては、この本はこれまで紹介してきた本とは少し違い、見やすさ重視ではなく、完全なる「よみもの」であるということです。興味深い体験談が沢山載っているので、普段から活字に慣れている人はもちろん、読み慣れていない人にもチャレンジしてもらいたい一冊です。

働く姿勢を学ぶなら、これ!

『きらり10代!ワークメッセージ』 NHK「GOOD JOB!プロジェクト」/編 旬報社

同じく、楽しく読んでその職業の魅力を知れるのがこちら。いろいろな分野で活躍している8人のプロフェショナルな方たちが、自分の仕事について、ただひたすらに語っている一冊です。俳優、映画監督、映像人類学者、元プロ野球選手、ジャーナリスト、ダンサー、医師、写真家といった、ジャンルが全く違う8人の人達の話は、どれも仕事への情熱で溢れています。着実に歩んできた成功ストーリーではなく、失敗談もあるからこそ、ためになるのではないでしょうか。本気で語ってくれているからこそ、胸を打つものがあります。こちらを読んで、あなたの中に「こんな生き方がしたいなあ」という気持ちがメラメラと燃え上がってきたら、ぜひ、そのモチベーションのままで職業調べをしてみてください。

「仕事」そのものについて考えを深められる本

『子どもだって哲学⑤ 仕事ってなんだろう』 矢崎 節夫(ほか)/著 佼成出版社

こちらの本は、「収入を得る」ためだけではない、「仕事」における人の概念がいろいろと書いてあります。童謡詩人である矢崎節夫さん、絵本作家の五味太郎さん、女流棋士の石橋幸緒さん、探検家で医師でもある関野吉晴さん、専修大学教授(哲学)の神崎繁さん、この5人の方々の言葉によって構成され、前半に紹介したような「世の中にはどのような職業があるのか」を書かれたものとは少し違い、もっと深いところで、「仕事」そのものについて考えを深めることが出来る本です。一見、仕事とは無縁に思える、幼い頃の記憶であったり、感情が、実は今の職業に繋がっていたり、仕事をする上でのモチベーションになっていたりするんですよね。もちろん、この本で語っている方々と同じ職種に就きたいと思っている人にとっては、それぞれの職業に就くために参考にもなるとは思いますが、それよりも、仕事は、その人の生き方なのだということこの本を通して学ぶことが出来るのではないでしょうか。「収入を得る」、そのために働くことはとても大事ですが、どうせ働くなら、「就けてよかった」と思える仕事に就けたらいいですよね。

仕事にかける、プロフェッショナルたちの意気込みを学ぼう!

『NHK プロフェッショナル 仕事の流儀』シリーズ NHK「プロフェッショナル」制作班/編 ポプラ社

こちらは、NHKで放送された番組『プロフェッショナル 仕事の流儀』を書籍にまとめなおしたシリーズです。全8巻で、どの巻も「働く心得」のようなもので溢れています。それぞれの巻は、次のようにサブタイトルが付けられています。

  1. 革新をもとめるプロフェッショナル
  2. 技をきわめるプロフェッショナル
  3. 創造するプロフェッショナル
  4. 命と向き合うプロフェッショナル
  5. くらしをささえるプロフェッショナル
  6. 食をささえるプロフェッショナル
  7. 表現するプロフェッショナル
  8. 信念をつらぬくプロフェッショナル

大体、一つの巻で5人のプロの仕事を見ることが出来るように収まっています。その仕事内容を詳しく理解できるようになるばかりか、仕事に臨む姿勢や考え方を通して、仕事の奥深さを感じることが出来ます。職場体験を前に、仕事への意識を高めるのに良いシリーズですね。

知りたいことがすぐに見つかる!

『キャリア教育に活きる!仕事ファイル』シリーズ 小峰書店編集部/編著 小峰書店

こちらのシリーズは写真や絵もカラーで見やすく表示されていて、その職業に就いている方に質問→解答という形で分かりやすい構成になっています。質問の内容は、

  • どんな仕事か
  • やりがい
  • 仕事上で大事にすることは何か
  • 仕事上で難しいと感じる部分はどこか
  • なぜこの仕事を目指したのか
  • 今までどんな仕事をしたか
  • 普段の生活で気をつけていることはあるか
  • これからどんな仕事をしていきたいか

といった感じです。分かりやすくまとまっているので、「仕事のこういうことを知りたい」と思う気持ちに答えてくれるシリーズです。シリーズは今のところ第2期まで出ていて、

  1. ITの仕事
  2. サイエンスの仕事
  3. 学校の仕事
  4. 住まいの仕事
  5. メディカルの仕事
  6. 動物の仕事

 (※第1期)

このように仕事内容で巻が分かれていて、一つの巻で6つの職業が紹介されています。小学生でも十分理解できる内容になっているので、小学生の職業調べにも活躍が期待出来そうなシリーズですね。

仕事現場の様子が、沢山の写真で伝わる!

『現場写真がいっぱい 現場で働く人たち』 こどもくらぶ/編著 あすなろ書房

こちらは、様々な現場を支える人たちにスポットをあてたシリーズです。現在、

  1. 事故現場
  2. 災害現場
  3. 救急医療現場
  4. 報道現場

この全4巻からなり、4つの現場で働く人たちを紹介しています。1巻の「事故現場」一つをとってみても、警察官、救急隊、山岳救助隊、海上保安官、フライトドクター等、一つの現場で多くの職業の人達が関わり合っていたり、場所によって出動する職業の人が違っていたり、現場の様子をいろいろ知ることが出来ます。職場体験では実際にこういった現場へ行ってお世話になるわけですから、どの現場で働く人であっても、信念を持って働いているということを忘れないでいてほしいです。沢山の写真で仕事現場の様子が伝わってきますよ。

生き残るための精神を大企業から学ぼう!

『見学!日本の大企業』シリーズ こどもくらぶ/編 ほるぷ出版

このシリーズは、日本の大企業を取り上げて、その成功の背景に見える生産、販売、経営の工夫などを紹介しています。現在、「大企業」と呼ばれるまでになった企業は、最初から山頂で胡坐をかいていたわけではありません。むしろ、大きく成長した後も、胡坐などかかず、様々な工夫をして今日に至っているわけです。そういった大企業の成長物語をこのシリーズで詳しく見ていくことは、働く姿勢であったり、精神論を学んでいるような気がします。「ローマは一日にしてならず」という言葉を思い出しますが、現在の姿になるまでの道のりは平たんなものでは決してなく、だからこそ、そこからは沢山のことが学べるのです。

結婚、出産、育児…先を見越した職業選びを考える!

『一生困らない 女子のための「手に職」図鑑』 華井 由利奈/著 光文社

こちらは、将来多くの人が通るであろう道を想定した職業調べの本となっています。ずっと自分ひとりだけの未来であれば、自分とさえ向き合えていればいいわけで、さほど職業選びに苦労はしません。ところが、人生の旅の途中で気の合う相手と出会い、結婚をし、出産、育児…となると、自分中心から一変、他人中心の生活が始まります。それはとても幸せに満ち足りたものであると同時に、これまでの生活サイクルは捨てなければいけないと言うことです。働く女性が多く活躍するこのご時世であっても、残念なことですが、女性はまだまだこの影響を受けやすく、結婚や出産を機に、退職や転職をする人が多くいるのが現状です。

この本は、育児や職場の両立に悩んで仕事を辞める前に、働く女性の現実を知っておくこと、そして、それを知った上で将来の計画を予め練っておくことの大切さに気付かせてくれます。まだまだ先の未来だと思っていますか?綺麗ごとではない現実を知っておくことは必ず自分のプラスになりますよ。

ちなみにこの本では、主に次のようなことに触れています。

  • どのような仕事内容か
  • 子育て中はどういう働き方に変わるのか
  • 大体の仕事データ(勤務場所、多い勤務形態等)
  • どのような人にあう職業か 等

各職業ページに、「資格が必要か」、「自宅で出来る仕事か」等が分かるサインも分かりやすく付いているので、とても見やすい作りになっています。女性には、もちろん読んでもらいたい本ですが、いづれ、大切なパートナーと共に人生を歩むであろう男性にも、ぜひ、読んで色々な事を感じてほしいと思います。

 

職場体験学習に特化した本の構成!

『職場体験学習に行ってきました。』シリーズ 全国中学校進路指導連結協議会/監修 学研教育出版

こちらのシリーズは、中学校で行なっているキャリア教育(生徒のみなさんがどのように生きていくかを学ぶ学習)として多くの学校で行なわれている職場体験学習に、スポットを当てています。1冊に2つの職場体験を紹介していて、沢山の写真や体験が見やすく載っています。本の構成を簡単に説明すると、

  1. 仕事内容の説明
  2. 受け入れ先の事業所での1日の仕事スケジュール
  3. 中学生の職場体験学習の紹介(体験したことによる、発見等)
  4. 職場体験に行く前に、事前に知っておくと理解が深まる事柄
  5. 体験した生徒の感想
  6. 体験先の責任者や働いている人のインタビュー
  7. 将来、その職場で働くための進路やポイント等
  8. 職場体験の事前学習・事後学習のポイントを解説

という流れになっています。職場体験学習に参加をする前に太字の部分に目を通しておくだけでも、ためになりますね。次々新しい巻が出ているので、自分が職場体験で参加する業種があるか、ぜひチェックをしてみてください。

仕事内容を分かりやすく説明した本は、これ!

『職場体験完全ガイド』シリーズ 小原 解子(ほか)/編 ポプラ社

先程とタイトルこそ似ていますが、こちらの本は、生徒さんが体験する様子ではなく、働いている人の一日や仕事内容にスポットを当てています。こちらも次々と新しい巻が出ているので、シリーズの中から自分の興味ある職業名を探してみてください。この本の構成は、

  1. 仕事内容
  2. 一日の流れ
  3. インタビュー
  4. インタビューに答えてくれた方の先輩や上司からの言葉
  5. この職業に就く方法

という感じです。この本が他の本に比べて特化している所は何と言っても、4ページに渡って(※一日の流れのページも入れると6ページ)詳しく解説されている仕事内容です。例えば看護師の仕事内容を紹介しているページでは、診察の準備から説明が始まり、治療や手術の準備・補助に関する細かい説明、患者さんへの対応、入院患者さんに対する看護の説明が写真と共に本当に事細かに載っています。仕事内容を詳しく知りたい人は、必ず開いてみるべき資料です。

動物園の獣医に興味があるなら、これ!

『どうぶつ園のじゅうい』シリーズ 上田 美弥/監修 金の星社

「動物園で獣医の仕事がしたい」、「動物園での獣医の仕事に興味がある」、そんな人におすすめしたいのが、この『どうぶつ園のじゅうい』シリーズ全3巻です。

  1. びょうきや けがをなおす しごと
  2. 赤ちゃんをまもる しごと
  3. ぜつめつから すくう しごと

となっていて、1巻では、動物への採血についてや、採った血を調べて病気がないか検査をする様子、色々な種類の動物たちへ手術をする様子等、動物の病気やけがを治療する内容が載っています。続く2巻では、動物の出産に立ち会う様子、人工哺育等について、動物の出産や赤ちゃんとの関わり方が載っていて、3巻は絶滅が心配されている動物たちの人工哺育や妊娠、手術、絶滅から動物を救う国境を越えた作戦についての紹介等、動物保護の観点から解説しています。この本の監修が長年、獣医として動物園に勤めてきた方というだけあって、この全3巻を通して見れば動物園の裏方でもある獣医の仕事の大部分が分かります。また、それぞれの巻のタイトルを見ても分かる通り、この本はおそらく小学生向けに書かれたものです。その為、1ページに沢山の写真が載っていて、その横に説明が加えられている構成となっています。見やすい作りになっているので、動物園の獣医に関心があるのであれば、ぜひ、手に取ってみてください。

仕事に熱中する姿が、働く楽しさを語ってくれる

『障がい者の仕事場を見に行く』シリーズ 小山 博孝/著 童心社

少し前までは、障害者は福祉施設で過ごすことが多く、社会に出て働く人の方が少なかったそうですが、現在では色々な障害を持っている人の多くがハンディキャップに負けることなく仕事に熱中していきいきと働いています。この本は、そういった障害のある方々の仕事場を40年近く取材をしてきた著者が、最近の10年間に見てきた仕事場の中から選りすぐって、全4巻に分けて紹介しています。1巻の「ひとのために働く」では、保育や介護など人と関わる仕事、2巻の「学校で働く」では、学校に関わる仕事、3巻の「伝統や先端の世界で働く」では、伝統に触れる仕事や先端技術を用いる仕事、4巻の「私たちのこと、もっと知ってほしいな」では、仕事場に収まらず、障害者の方たちの働き実例を紹介しながら、社会のあり方そのものを考えています。ひとつの巻には4つの職場で障害者の方が働く様子が収められていて、沢山の写真に紹介文が添えられています。

自分の存在が誰かに認められたり、誰かの助けになることは、誰にとっても嬉しいものです。「幸せ」の定義について考えた時、それはお金や地位ではなくて、誰かに必要とされることではないかと私は思います。本書の中で紹介されている方々の障害を持ちながらも、いきいきと働く様子を通して、誰かの助けになって必要とされることから得られる幸福感や、働く楽しさを見出してもらいたいです。

気になる職業について調べ倒したい人は、これ!

『なるにはBOOKS』シリーズ ぺりかん社

こちらは、ひとつの巻につき、ひとつの職業についてが紹介されているシリーズです。どの巻も、それぞれの分野にたけた方々が著者として名を連ね、仕事の魅力・現実から、なり方まで幅広く紹介しています。なんとこのシリーズ、発行元のぺりかん社さんのサイトには、「少年少女の夢を応援することを目的に刊行を開始し、現在150点刊行。現代社会のほとんどの職種をカバーする最大の職業ガイドシリーズ。」と謳われています。また、刊行したのは1971年ですが、以前出版されたものを最新の情報に改めた改訂版も多く出版されていて、常に時代の流れに沿った内容になっています。(※例えば言い回しも、看護婦→看護師、スチュワーデス→キャビンアテンダントへ変更等)

例えば、私の職業である『司書になるには』(森 智彦/著)を見てみると、構成はこのような感じです。

  1. ドキュメント:本と人をつなぐ仕事
  2. 司書の世界
  3. なるにはコース

1章の「ドキュメント」は、司書としてどこかの学校や図書館に、実際に勤めている方達の話、2章の「司書の世界」では、図書館の種類やあゆみ、詳しい仕事内容、生活と収入のこと等、幅広い情報を紹介、3章の「なるにはコース」では、適性や資格の取得方法、就職の実際等、司書になる為のかなり具体的な方法が載っています。

本書を読んで、これからの自分の進路と照らし合わせながら、どのような生き方がしていきたいかよく考えてみてください。

 

なかなか人に聞けない、給料(目安)の話が知りたい人は、これ!

『日本の給料&職業図鑑』 給料BANK/著 宝島社

最後に紹介する本は・・・実は、私が以前勤めていた学校で、「一年間で最もよく借りられた本ランキング」3位にまで登りつめた本です。生徒にとって一番手に取りやすかった職業調べの本として、今回紹介の20冊に加えることにしました。

日本の職業が271種紹介されていますが、職業の解説ページに描かれた豪華イラストに思わず突っ込みを入れずにはいられません。拳から炎(?)のようなものを出して鋭い眼差しでこちらを睨む海上保安官、弓矢に手紙をつけて、今まさに射ろうとしている郵便局員、背後にネコのスタンドのようなものを従えた劇団四季団員、トラック運転手の絵に至っては、改造人間みたいになっている始末・・・。思わず、「こんな世界で仕事がしてみたい」とつぶやいてしまいそうです。

肝心な、職業調べに役立つかどうかですが、仕事内容や採用に関する小ネタが各ページに載っています。また、タイトルにもなっている通り、その職業に就いた場合に得られる平均給料が年代別に載っているので、目安にしてください。(※ただ、手取りではないと思うので実際に自分の好きに使えるお金はこれより少ないと思ってくださいね。)

 

書籍を使った調べ学習のすすめ

なるべく、伝えたいことや伝え方の違う資料等、バランスを考えて20冊選んだつもりですが、いかがでしたか?この中から皆さんの将来に役立つ、人生を歩むガイドラインのような本が見つかることを願います。

冒頭にも書きましたが、昨今、インターネットの普及でiPadやパソコンのみに頼った調べ学習が増えてきたように感じます。学校の図書室へ生徒を移動させる手間や、本を探す時に騒がしくなって注意・・・そんなやり取りを考えて先生たちは、本を使った「調べ学習」よりも、iPadで手軽に「情報集め」を生徒にさせてしまうのかも知れません。ただ、情報収集能力をまだ鍛えている段階である皆さんには、覚えていてもらいたいのです。ネットはあくまでもは本であり図書館です。ネットの情報はその殆どが無料で手に入りますが、本は、図書館ならば図書館が、一般の人ならば書店を通して、お金を払って購入します。有料であるということは、その裏には責任があるということです。これは、お金を払って本を購入してくれた人に対して、本を書いた著者や出版社が負う責任です。この為、誤った情報ではないか、信ぴょう性があるか、色々な人の目を通して確認をし、本の品質は保たれています。

また、図書館は調べ学習の場に最適です。これは、本で調べられるから等という単純なことではなく、図書館の棚の並び、つまり本の並びから言えることです。日本にある図書館の殆どは、日本十進分類法に基づいて、本を分類ごとに細かく分けて並べられているので、目的とする本の辺りに行けば、芋づる的に調べたい事柄と関連した本に出会えることになります。ネットであればこうはいきませんよね。ネットの世界は沢山の情報が断片的に散らばっています。ネットで気になる記事を見つけて、調べ学習の突破口を開くことは良いかも知れませんが、全てをネットに頼ることは大変危険です。

一冊手に取って読んでみることで、一連の流れが理解でき、得たい情報がまとまって手に入る・・・やはり調べ学習で本に勝るものは無いと声を大にして言いたいです。

 

 

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