電車好きに読んであげたい「電車の絵本」
ある程度お子さんが大きくなってくると、図鑑のような「見る」絵本ではなく、ストーリー性のある絵本も読み聞かせてあげてみてはいかがでしょうか。
中には、絵本になかなか興味を示さないお子さんもおられるかも知れません。そんなお子さんには、ぜひ、お子さんの「好き」に焦点を当てて絵本選びをしてあげてください。たとえ絵本という媒体に興味がなかったとしても、大好きなものの写真や絵が載っているページがあれば、子どもはずっと眺めていられます。
我が子が今、何に興味を持っているか・・・子どもと触れ合いながら、たくさん発見できるといいですね。
さて、今回は「電車」にスポットライトを当てて素敵な絵本を7冊集めましたよ。
電車好きのお子さんに、ぜひ、読み聞かせてあげてください!
電車の絵本7選
『でんしゃでいこうでんしゃでかえろう』間瀬 なおかた/著 ひさかたチャイルド
こちらは字が少ないので2歳ぐらいの子でも飽きずに見ることのできる、電車のしかけ絵本です。
雪の降り積もる村から始まり、トンネルを抜けるごとに外の風景が変化していきますが、景色だけでなく、真っ暗なトンネルの中では乗客たちの行動にも少しずつ変化が見られます。間違い探しの本ではないですが、お子さんと一緒にどこが変わったか乗客たちのそういった変化を楽しむのもいいですね。
トンネルの入口と出口の部分が切り抜かれていて、トンネルの中から外の景色(次のページの絵)が見える仕掛けがあるので、我が家の小学生も前後のページを何度もめくって楽しんでいました。
通る場所によって、電車の音が微妙に変化するのがうちの6歳児は面白かったようですよ。全部読んだ後で、この絵本のもう一つのからくりに気づき、思わずもう一度読んでしまいましたが・・・それは読んでのお楽しみと言うことで詳しくここでは触れません。
間瀬さんは他にも、電車やバス、はしご車など、たくさんの乗り物の絵本を出版されています。どのお話も子どもの好奇心がくすぐられるちょっとした仕掛けが施されているので、ぜひ、他のお話も読みきかせしてあげてください。
『いろんなでんしゃ はっしゃしまーす』岡本 雄司/著 アリス館
こちらは、電車好きならば、この表紙から絶対食いつくであろう一冊です。
載っているのは関東のいろいろな電車たち。関東圏でなければあまり馴染みがないかも知れませんが、こちらの絵本には本編に出てくる電車のイラストと名前が一覧にしてある小冊子が付いているのでその辺は心配いりません。お子さんに電車名を聞かれた時にはさっとそれを出して答えてあげればいいのです。
実物そっくりに描かれた電車に、電車好きのお子さんは大興奮間違いなし。
いろいろな電車でお父さんやお母さんたちと旅をするぼくと一緒に、電車の旅に出かけた気分が味わえますよ。
『モノレールの たび (かがくのとも絵本)』みねお みつ/著 福音館書店
こちらは、湘南モノレールをモデルにして、ターミナル駅から海のある町まで運行するモノレールの旅を描いた絵本です。細部まで忠実に描かれたモノレールはもちろんのこと、その下の町並や道路、下にいる人々の様子までもがリアルに描かれていて、まるで体感しているかのような錯覚すら起こします。
モノレールの車庫内部の様子なども載っているので、大人も読み聞かせながら「へ~っ」と思わず声を漏らしてしまいました。私も子どもたちもモノレールには乗ったことがないので、この絵本を読んだことにより、まるで空を飛んでいるような感覚を味わってみたくなりましたよ。
『いたずらきかんしゃちゅうちゅう』バージニア・リー・バートン/ぶん・え むらおかはなこ/やく 福音館書店
こちらは、ある程度長いお話でも落ち着いて聞けるようになったら、ぜひ、読んであげてほしい機関車が主役の絵本です。
色彩豊かな絵本に慣れているお子さんは、読み始めは慣れない白黒に戸惑うかもしれませんが、読み進めていくうちにすぐに引き込まれていくはずです。トーマス大好きだった我が子も、この絵本の虜になった内の一人。地味な色味などすぐに気にならなくなるほどの躍動感に目をキラキラさせ、読み終えると「もう一回!(読んで)」が何度も聞けた思い出の絵本です。
自分勝手に暴走してしまう機関車がどうなるのか、気になる内容もさることながら、文章の配置にユーモアがあったり、リズムの良い文体が読んでいて心地よいです。
物語に引き込まれて、そのうち、その白黒の色使いすら、舞い上がる石炭の煙を表現しているのではないかと思えてしまったのは私だけではないはず・・・。
『小さなきかんしゃ』グレアム・グリーン/文 エドワード・アーディゾーニ/絵 阿川弘之/訳 文化出版
こちらは、いつも同じ道ばかり走らされていた小さな機関車が、それに飽き飽きして逃避行をしてしまうお話です。
この絵本の作者グレアム・グリーンは『第三の男』などで有名なイギリスの小説家です。その名を知っている人は「こんな絵本を書いていたのか・・・」と驚くことと思いますが、ストーリーは全く難しくなく、先に紹介した『いたずらきかんしゃ ちゅうちゅう』と通ずるところがあるような気がします。
我が子は、冒険した範囲が地図で記されているところが面白かったようで、食い入るように見ていました。
小さな機関車の冒険が最後にはどうなるのか、楽しく読める一冊ですよ。
『でんしゃがまいります』秋山とも子/さく 福音館書店
こちらは、1987年頃の、中央線新宿駅の1日を描いた絵本です。まるでその時代の一部を切り取ったかのようなリアルな絵が見ていて懐かしさあふれます。1ページ、1ページの描き込みが素晴らしく、「この人、何してる?」「靴、拾ってるねえ。」と、親子共に思わず見入ってしまいました。
ホームの一日と言うことで、乗客の様子だけでなく、事務所の中で駅員さんが休憩を取っている様子なども描かれているのが、普通なら見られない部分が知られて面白いです。
『汽車の絵本 機関車トーマス』ウィルバート・オードリー/著 ポプラ社
こちらは、テレビでおなじみの「きかんしゃトーマス」の原作本シリーズです。レトロ可愛いイラストとともに、テレビの元となったトーマスの4つのお話を楽しめます。少し生意気でお調子者のトーマスがとても子どもらしくて可愛い作品です。
なんと、トーマスの絵本が出版されてから2020年で75周年を迎えたそうです。ウィルバート・オードリーが毎晩2歳のお子さんに話して聞かせていた、自分が好きな鉄道を題材にしたお話が元となり、『汽車のえほんシリーズ』が誕生したということですが、オードリーが想像した機関車たちの世界を形に出来たのには、画家であるレジナルド・ドールビーの力も大きかったそうですよ。このような個性豊かな絵になったからこそ、心躍る機関車たちの世界が、世界中の子どもたちに愛されるようになったのかも知れませんね。
電車好きをリスペクトした絵本たち
電車が登場する絵本はたくさんありますが、今回は特に、電車の絵が丁寧に描かれているものを中心に集めてみました。文は少し長いものもありますが、どの絵本も電車を主役に描いた楽しい作品ばかりです。
ここから、お子さんの絵本の世界が広がるといいですね。