目次
- 1 絵本で夏を感じよう。
- 2 夏に読み聞かせたい絵本 15選
- 2.0.1 『ぼくのかえりみち』ひがし ちから/さく BL出版
- 2.0.2 『まほうの夏』藤原 一枝・はた こうしろう/さく・はた こうしろう/え 岩崎書店
- 2.0.3 『夏がきた』羽尻 利門/さく・え あすなろ書房
- 2.0.4 『10ぴきのかえるのなつまつり』間所 ひさこ/さく・仲川 道子/え PHP研究所
- 2.0.5 『10ぴきのかえる はじめてのキャンプ』間所 ひさこ/さく・仲川 道子/え PHP研究所
- 2.0.6 『ありとすいか』たむら しげる/さく・え ポプラ社
- 2.0.7 『なつやさいのなつやすみ』林 木林/さく・柿田 ゆかり/え ひかりのくに
- 2.0.8 『セミくんいよいよこんやです』工藤 ノリコ/さく・え 教育画劇
- 2.0.9 『ばばばあちゃんのアイスパーティー』さとう わきこ/さく・え 福音館書店
- 2.0.10 『生きる』谷川 俊太郎/詩・岡本 よしろう/え 福音館書店
- 2.0.11 『おばけのアイスクリームやさん』安西 永丸/さく・え 教育画劇
- 2.0.12 『なつのおとずれ』かがくい ひろし/さく・え PHP研究所
- 2.0.13 『わんぱくだんのおばけやしき』上野 与志/さく・末崎 茂樹/え ひさかたチャイルド
- 2.0.14 『わんぱくだんのなつまつり』上野 与志/さく・末崎 茂樹/え ひさかたチャイルド
- 2.0.15 『わんぱくだんのかいていたんけん』上野 与志/さく・末崎 茂樹/え ひさかたチャイルド
- 3 夏は、なにか楽しいことが起こる季節。
絵本で夏を感じよう。
7月になり、我が家の庭でも蝉たちの大合唱が聞こえるようになりました。
いよいよ、夏本番といったところでしょうか。
大人になれば、仕事が忙しかったり、子育てに追われていたりで、季節に浸る暇などないという方もおられるかも知れません。私自身、年々、一年が過ぎるのが早くなっている気がしています。
蝉の鳴き声や、風鈴の音、真っ青な空に浮かぶ入道雲、誰かと通った夏のあぜ道・・・。
誰しもが、きっと子どもの頃に感じたことのある、夏だけに聞こえる音や、見える景色。
絵本は、そんな、耳や目で感じるキラキラとした夏を、私たち大人に思い出させてくれます。
絵本を開けば、瞬く間に、心はあの頃の夏に戻っていくのです。
お子さんにとっても、やはり夏は特別で、大好きな季節。
今回は、そういった夏の音や景色を感じられる、夏に読み聞かせたい絵本を15冊選んでいます。
ぜひ、新たな季節の訪れを感じながら、読み聞かせをしてあげてください。
夏に読み聞かせたい絵本 15選
『ぼくのかえりみち』ひがし ちから/さく BL出版
「きょうは、このしろいせんのうえをあるいてかえろう」
そら君は、学校の帰り道、自分ルールを一つ作りました。それは、白線の上を歩いて帰るというもの。
白線が途中で途切れようが、無くなろうが、自分で決めたルールは絶対に守らなければなりません。
この絵本を読んでいると、自分がまだ小学生の頃、夏休みに学校の図書館へ本を借りに行った帰り道、姉と白線の上を裸足で歩いて帰ったことを思い出します。
私も、そら君と同じことをしていたからか、この絵本を読み聞かせていると、あの頃の夏の日差しや、いろいろな音、得体の知れない開放感が蘇ってくるのです。
そら君が自分自身に課したルールが、いかに「絶対」であるかがわかる描かれ方が秀逸で、読んでいるこちらまでドキドキハラハラとする作品です。
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横断歩道を渡るところの絵が、すごい!
お母さんに抱きつくところがいいね!
『まほうの夏』藤原 一枝・はた こうしろう/さく・はた こうしろう/え 岩崎書店
こちらは、夏本来の楽しみ方をたくさん知ることが出来る絵本です。
ぐーたらな夏休みを送っていた都会暮らしの兄弟が、田舎のおじさんからの一声で、田舎の夏を満喫しに行くことになりました。
田舎には、都会では味わうことの出来ないワクワクがいっぱい。最初は戸惑っていた兄弟ですが、すぐに順応し始めるところはさすが子どもの力ですね。
いつかは覚めてしまうから「まほう」なのだろうと思うと、少しノスタルジックな気持ちになりますが、だからこそ、この夏をキラキラした思い出として、留めておくことが出来るのですよね。
田舎に暮らすうちの子からしてみると、「まほうの夏」というか、「ふだんの夏」ですが・・・。
この絵本を読んでいると、夏休みが楽しみで楽しみで、たまらなくなる。
ばあばの家みたい!
『夏がきた』羽尻 利門/さく・え あすなろ書房
こちらは、表紙の絵からして、夏の音や、香りが漂ってきそうな絵本です。
思わず、「わかるっ!」と言ってしまいそうな、扇風機、麦茶、花火、入道雲、通り雨・・・これら、夏の風物詩が、この絵本にはギュギュっと詰まっています。
子どもたちの生き生きとした表情や、真っ青な空に浮かぶ入道雲がとても気持ち良く描かれていて、引き込まれる一冊です。
これぞ夏っ!っていう感じ。
もくもくの雲がおいしそうだった。
『10ぴきのかえるのなつまつり』間所 ひさこ/さく・仲川 道子/え PHP研究所
10ぴきのかえるたちの住むひょうたんぬまで、年に一度の夏祭りが始まろうとしていました。このお祭りに欠かせないのが笛名人のどじょうじいさん。ところが、このどじょうじいさんが囚われの身になったから、さあ大変です!このままでは夏祭りが出来ません。そこで、10ぴきのかえるたちは・・・。
夏祭りメインと言うよりは、どじょうじいさん救出をメインに描いた物語ではありますが、このシリーズはこのドタバタ劇が持ち味だから、それでいいのです。一筋縄でいかないところがこのシリーズの面白さであり、このシリーズが大好きな子たちは、むしろ、このドタバタ劇を求めています。
あの手この手で、10ぴきの個性豊かなかえるたちが協力し合って切り抜けていく様子は、頼もしくも、可愛らしくもあり、子どもの心をつかんで離しません。
このシリーズ大好き!この話も、どうなるか先が気になって面白かった~。
かえるたちの名前が面白い!
『10ぴきのかえる はじめてのキャンプ』間所 ひさこ/さく・仲川 道子/え PHP研究所
キャンプ好きのお子さんはもちろんのこと、これから初キャンプに行く予定のお子さんや、まだキャンプに行ったことのないお子さんにも、ぜひ、読んでいただきたいのがこちら。
先ほど紹介した「10ぴきかえるシリーズ」ですが、お騒がせな彼ら、実は、キャンプまで楽しんじゃっています。
10ぴきのかえるたちがキャンプなんて、何も起こらないはずがありません。
手作りカレーや、キャンプファイヤーなど、キャンプの王道も賑やかにこなし、かえるたちと一緒に、見ているこちらもキャンプ気分を楽しめてしまう一冊です。
10ぴきのかえるたちが楽しそうで、またキャンプに行きたくなった~。
キャンプでカレー、わたしも食べたい!
『ありとすいか』たむら しげる/さく・え ポプラ社
夏と言えば、スイカですよね。こちらは、私が小学校に勤務していた頃、1年生だったか、2年生だったかの必読図書にもなっていた絵本です。
アリが見つけた大きなスイカ。美味しそうなスイカを巣穴に持って帰ろうと奮闘するアリたちのお話ですが、お話の中で何度も登場するスイカの、なんとも美味しそうなこと。真っ赤に熟れている大きなスイカと、真っ黒で小さなアリたちの対比も良くて、思わず絵を見入ってしまう作品です。
ぼくも、こんなに大きなスイカにかぶりつきたいっ!
わたしもっ!!
『なつやさいのなつやすみ』林 木林/さく・柿田 ゆかり/え ひかりのくに
夏野菜たちが夏休みを満喫する、こちらの絵本。
野菜たちが喋るたびにダジャレがさく裂しているので、ダジャレ好きの息子は、新たなダジャレが出てくるたびに声に出してそのダジャレを堪能していました。物語の内容そのものよりは、言葉あそびを楽しむタイプの絵本です。
ここで覚えたダジャレを言いながら野菜を食べると、苦手な野菜が克服できるかも知れませんね。とにかくダジャレが多い絵本なので、ダジャレがわかる年齢からが読み頃です。
野菜に関係したダジャレが、たくさん出てきて楽しかった。ぼくも使おうと思う。
お兄ちゃん、ダジャレばっかり言ってるもんね。ふふっ。
ダジャレは頭使うからな~。頭にいいんだ。
『セミくんいよいよこんやです』工藤 ノリコ/さく・え 教育画劇
タイトルからワクワクするこちらの作品。内容は、まさしく、タイトル通りで、ずっと土の中にいたセミ君が、いよいよ地上に上がるその日が描かれています。
同じ作者の『ノラネコぐんだんシリーズ』が大好きな息子。こちらも気に入ったようで、何度も読み返しています。
工藤エリコさんの作品は、絵がとても愛らしくて素敵です。今回、擬人化(?)されているセミや、他の虫たちも、表情にどこか愛嬌があって、読んでいて笑みがこぼれますよ。
とにかくセミ君が可愛くて、応援したくなる。
セミの抜け殻って、こうやって出来るんだ!知らなかった!
『ばばばあちゃんのアイスパーティー』さとう わきこ/さく・え 福音館書店
『ばばばあちゃんシリーズ』の中でも、お菓子作りをする内容のものは、作り方の簡単な手順が紹介されているので、読んでいると「作ってみようかな~。」という気にさせてくれます。
今回も、いろいろなものを凍らして(そんなものまで凍らすのか!というものまで)アイスパーティーを楽しんでいるので、「これを家でやったら、子どもは大喜びだろうな」と、思わずにはいられません。ばばばあちゃんの手にかかれば、暑い夏ですら涼しくなってしまうのですから凄いですよね。その行動力、見習いたいです。
こんなに簡単にアイスが作れるとは、思わなかった!やってみたい!
冷たくて、美味しそう!
『生きる』谷川 俊太郎/詩・岡本 よしろう/え 福音館書店
こちらは、谷川俊太郎さんの詩「生きる」に、ありふれた夏の日常の一コマが挿絵となって描かれている作品です。
誰しもが、普段は無意識に生きていて、そのありがたさを忘れているけれど、ありふれた何でもない日常を送れることの大切さは、非常時になってみて初めて気づけたりしますよね。特に、これまで通りには生きられないコロナ禍の今読むと、詩も、絵も、なんだか痛いほど沁みてしまいます。
非常時だからこそ、ありふれた毎日を幸せに思えたり、
死を前にして初めて、生きることの素晴らしさに気づけたり、
そんなかけがえのない「生」が、この絵本の中にはたくさん隠れています。
絵を見て、道路にセミが死んでいたのを思い出したよ。
『おばけのアイスクリームやさん』安西 永丸/さく・え 教育画劇
おばけの「ぼんちゃん」は、森のアイスクリーム屋さんです。いろいろなお客さんがアイスクリームを求めてやってきますが、ぼんちゃんは、お客さんそれぞれが喜ぶアイスクリームをちゃんとわかっているのです・・・。
特に大きな出来事が起こるわけではありませんが、話を進めていくうちに、次にぼんちゃんが作るアイスがどんな形なのかが気になってくる、どこかクセになる絵本です。ゆるいタッチで描かれた絵も、これまたクセになります。
暑い夏に、おばけと、アイスクリームと、極限まで無駄を削り取られたがゆえの、ゆる~い絵で、涼しくなってみませんか?
次にどんなアイスクリームが出来上がるのか、アイスをもらいに来たお客さんから想像して、お子さんと当てっこしても楽しいですね。
こんなアイスクリーム屋さんが本当にあればいいのに。ぼくなら絶対、カービィの形。
わたしは、ファントミラージュの形。
・・・それは難しいだろ。たぶん、キティちゃんぐらいじゃない?
ぼんちゃんなら、作ってくれると思う。ファントミラージュ。
『なつのおとずれ』かがくい ひろし/さく・え PHP研究所
気象予報士のかたつむりによって、梅雨明けが告げられました。そこで太陽が立ち上がり、「みんなに知らせますか」と一言。これにより、メロン、スイカ、セミ、カブトムシ、かきごおり、ソフトクリーム、せんぷうき、ひまわり、蚊取り線香、とうもろこし等々・・・夏の風物詩たちが、夏の始まりに向けて猛ダッシュ!最後は太陽の口が開き・・・。
もしも、夏の始まりが目で見てわかるなら、この絵本のような、爽快で楽しい感じがいいですね。
我が子には、「夏休み」と言われてたくさんの宿題をイメージするのではなく、こういった夏に出来る楽しいことをたくさん思い浮かべてほしいです。
かがくいひろしさんの絵は、ふんわりしていて温かいので、私も、うちの子たちも大好きです。
夏に関係する食べ物たちが、楽しそうで可愛い。最後は、そうなるのかっ!と、少し驚いた。
太陽の口の中は、熱くないのかな?
最後に、うちの子も愛してやまない「わんぱくだんシリーズ」を3本立てでご紹介します。
2019年9月に発売された『わんぱくだんのてんぐのすむやま』まで、シリーズは23作品となり、累計95万部を超える人気です。
3人の子どもたちが不思議な世界に迷い込み、冒険をする物語が、子どもたちは好奇心をくすぐられ、わくわくできるようです。23作品ともなると、クリスマスだったり、夏祭りだったり、季節感のあるお話がたくさんあり、読み手側も季節に合ったお話を選んで、手に取りやすいですね。
23作品の中に、夏に読みたい、ピッタリのお話がたくさんありました。
『わんぱくだんのおばけやしき』上野 与志/さく・末崎 茂樹/え ひさかたチャイルド
けん、ひろし、くみ、3人そろってわんぱくだん。
シリーズいつもの流れと少し違うのが、こちら。
いつもなら、3人が不思議な世界に迷い込んでしまうところですが、今回は、空き家でお化け屋敷ごっこをして終わりです。
ただ、お化け屋敷だけに、3人が怖~い体験をしちゃうので、怖がりさんの心臓はバクバクになるかも知れません。うちの怖がりさんは、「最後、怖かった~。」と言いつつも笑っていましたが・・・。
これくらいの程よい怖さが、怖がりさんには、ちょうど良いのかも知れませんね。
本物が出てくるとは思っていなかったので、ドキッとした。
最後の方に出てきた、後ろ姿の子どもたちの仕業だったのかな?
ちょっと・・・怖かった。
『わんぱくだんのなつまつり』上野 与志/さく・末崎 茂樹/え ひさかたチャイルド
表紙の絵が、とっても楽しそうなこちらの絵本。
わんぱくだんの3人は、お面を付けて、夏祭りを楽しむ準備万端。
楽しそうな太鼓の音色に誘われて、いつのまにやら不思議な夏祭りに迷い込んでしまいました・・・。
これぞ、わんぱくだんといった話の流れに、このシリーズ大好きのうちの子は、途中からニヤニヤが止まりません。
夏祭りの雰囲気もたっぷり味わえるので、このシーズンに読み聞かせてあげるのがピッタリな一冊です。
動物たちのお祭りなんて、ありえない話だけど、だからこそワクワクした~。
わたしも動物と友達になりたい。
『わんぱくだんのかいていたんけん』上野 与志/さく・末崎 茂樹/え ひさかたチャイルド
小さなプールで潜って遊んでいたはずのわんぱくだんが、さらに潜って潜って、気づけば、そこは海!
この回も期待を裏切らない、夢のようなお話です。その上、海底にイルカの町があるだなんて、子どもの目がキラキラしないはずがありません。「いいな~。」と、終始、目を輝かせながら、物語に耳を傾けてくれることでしょう。
そして、わんぱくだんシリーズですっかりお馴染みなのは、最後に味わえるドキドキです。
夢オチで「なあ~んだ。そういうことか。」とがっかりさせておいてからの、くみのセリフ、「夢じゃないわ!ほらっ!」で、また、子どもの目はキラキラ。子ども心を最後までグッと話しません。
それにしても、イルカと一緒に泳ぐとは、なんて素敵なシチュエーションなのでしょう♪
小さなプールが海と繋がっているなんて、夢みたい!
こんなことが本当に起きればいいのに~。
イルカの国(町)に、わたしも行ってみたい!楽しそう!
夏は、なにか楽しいことが起こる季節。
いかがでしたか?
夏をテーマにした絵本は、探せばたくさんあります。
暑苦しくて、うっとうしい季節ではなく、なにか楽しいことが起こる季節。
お子さんが、わくわく、キラキラできる、そんな夏を絵本で一緒に感じることができると良いですね。